「事務所のホームページを開設したものの、全然問い合わせが来ない」
「SEOって何からやればいいのかわからず、放置している」
このような士業の方は多いのではないだろうか。
近年、士業の顧客獲得において、オンラインでの集客が主流となっている。多くの依頼者がインターネットで情報収集を行っており、サイト経由での問い合わせが新規獲得の経路となっているからだ。

このデジタルシフトに対応できない事務所は、年々厳しい状況に追い込まれている。本記事では、士業(弁護士・税理士・司法書士・行政書士・社労士など)が自サイトで安定した集客を実現するために押さえるべきSEO対策のポイントを解説する。

検索上位を獲得し、安定した集客を実現するために、本記事を活用してほしい。
1. 士業こそSEOに取り組むべき理由
まずは、士業にとって、なぜSEO対策が重要なのかについて、あらためて確認しておこう。
- SEO対策は広告費をかけずに見込み客へリーチする有効な手段
- そもそも士業は検索上位を獲得しやすい
- SEOの本質は「ユーザーの役に立つこと」
1-1. SEO対策は広告費をかけずに見込み客へリーチする有効な手段
まず、広告費をかけずとも見込み客に露出できることが、SEOの大きな魅力である。
たとえば、リスティング広告ではクリックするたびに費用が発生し、ポータルサイト掲載は毎月固定費がかかる。一方、SEOは一度上位表示されれば継続的に効果を発揮する資産となり、長期的に見れば費用対効果が極めて高い。

【SEO対策のコスト面のメリット】 - 広告費ゼロの集客:検索エンジンからの自然流入は広告費がかからないため、露出維持のための追加コストが不要である。広告予算がない小規模事務所でも取り組みやすく、一度作成したコンテンツは半永久的に集客効果を発揮する。
- 長期的な資産化:SEO対策で作成したコンテンツは、長期にわたって見込み客を集める資産となる。最初に記事作成の労力は生じるが、それが月単位、年単位で新たな相談者を呼び込み続ける効力を持つ。
- 明確な意図を持った訪問者の獲得:検索経由の訪問者は、具体的な課題やニーズを持っていることが多い。そのため問い合わせや相談予約などのコンバージョン率が高く、効率的な集客が可能になる。
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SEO対策は短期的には時間と労力を要するが、長期的には非常に費用対効果の高い集客手段となる。とりわけ、個人や小規模事務所ほど、広告に依存しない集客チャネルを持つことは経営の安定につながるため、積極的に取り組みたい施策である。
1-2. そもそも士業は検索上位を獲得しやすい
士業が提供するコンテンツやサービスの専門性の高さは、検索上位表示において有利にはたらく。専門知識の少ない一般的なサイトよりも、容易に上位獲得できる可能性が高い。
【士業がSEOで有利な理由】 - ユーザーニーズの明確さ:[税務調査 領収書がない場合][離婚したい 弁護士 無料相談]のように、具体的な困りごとや課題に関する検索が多い分野である。ユーザーの検索意図が明確なため、的確なコンテンツを用意すれば上位表示されやすくなる。
- 地域性との親和性:[横浜 相続 司法書士]のような地域名を含む検索が多いのも特徴だ。地域密着型の事務所は、全国規模の大手と差別化し、ローカルSEO(地域別検索での最適化)で上位表示を狙いやすい環境にある。
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他業種と比べて参入障壁の高い士業分野では、競合サイトの数も限られている。ニッチな専門分野や地方都市であれば、少ない労力で上位表示が可能なケースも多いのだ。
1-3. SEOの本質は「ユーザーの役に立つこと」
検索エンジン(Google)はユーザーに最適な情報を提供することを目的としており、SEOの本質はユーザーの役に立つ情報を提供することにある。

これは士業の本来の使命と完全に一致している。
【ユーザーの役に立つコンテンツの例】 - 専門知識のわかりやすい解説:難解な専門用語や制度を一般の人にも理解できるよう噛み砕いて説明することは、検索ユーザーの悩みを解決する直接的な価値提供になる。専門家としての知見を活かし、複雑な内容を平易に伝える力が評価される。
- 最新情報の正確な提供:法改正や判例の最新情報を踏まえた正確な情報提供は、検索エンジンからも高く評価される。古い情報や間違った情報が低評価となる一方、専門家による信頼性の高い情報は良質なコンテンツとして上位表示されやすい。
- 具体的な事例の紹介:抽象的な説明だけでなく、実際の相談事例を紹介すれば、読者の理解が深まる。「自分と似たケースがある」と感じた読者は相談・問い合わせに進みやすくなり、コンバージョン率も向上する。
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SEO対策とは特殊なテクニックではなく、「専門家として困っている人の役に立つ情報を提供する」という本来の仕事そのものなのだ。
検索エンジンのアルゴリズムは年々進化し、こうした本質的な価値提供を重視する方向に変化している。
2. 【サイトの基本設定】士業SEOの土台を構築する

さて、ここからは士業のSEOの実践について見ていこう。
SEO対策の効果を最大化するには、まずサイトの基本設定をしっかりと整えることが重要だ。土台がぐらついていると、どれだけ良いコンテンツを用意しても効果が半減してしまう。
以下のポイントを確認しよう。
- サイト運営目的と士業としてのターゲット顧客像を明確に定義する
- 顔写真・資格・所属団体・経歴などを明記し信頼性を高める
- GoogleアナリティクスとSearch Consoleを導入する
- プライバシーポリシーや免責事項をわかりやすく掲載する
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2-1. サイト運営目的と士業としてのターゲット顧客像を明確に定義する
サイト設計の前に、運営目的とターゲット像を明確にすることが基本中の基本だ。明確な方向性がなければ、その後の作業が迷走する原因となる。
【ターゲット設定のポイント】 - 顧客属性の具体化:年齢層・性別・職業・家族構成・収入レベル・地域などの基本情報を明確にする。「40代〜50代の中小企業経営者」「相続を控えた60代以上の資産家」など、できるだけ具体的に想定すると、サイト設計の方向性が定まる。
- 悩みと検索行動の洗い出し:ターゲットが抱える具体的な悩みや課題を列挙し、その解決を検索する際にどんなキーワードを使うか想像する。「顧客の言葉」で考えることが重要だ。専門用語ではなく、一般の人が使う表現を意識しよう。
- 獲得したい案件の明確化:「どんな案件を増やしたいか」を具体的に設定する。たとえば「遺言作成の依頼」「会社設立の相談」など、事務所として注力したい業務を明確にすると、サイト内での強調ポイントが決まる。
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ターゲット設定が曖昧だと、「誰にも刺さらないサイト」になってしまう。逆に明確であれば、その後のキーワード選定やコンテンツ作成の指針となり、効率的にSEO対策を進められるのだ。

具体的なフレームとしては、「ペルソナ設定」を行うとよい。以下の記事で詳説している。
また、サイト設計やプランニングについては、以下の記事が参考になるはずだ。
2-2. 顔写真・資格・所属団体・経歴などを明記し信頼性を高める
士業サイトでは、専門家としての人物像を明確に示すことが信頼感につながる。匿名性の高いサイトよりも、顔が見える情報発信のほうが圧倒的に信頼を得やすい。
先にも述べたとおり、GoogleはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼)を重視している。E-E-A-Tを向上させるためのサイト設計が欠かせない。

【信頼性を高める情報】 - 詳細プロフィール:顔写真・氏名・経歴・専門分野・受賞歴などを詳しく掲載する。「○○大学法学部卒業後、△△法律事務所を経て開業」といった具体的な経歴は、専門家としての背景を示す重要な要素だ。写真はプロのフォトグラファーに撮影を依頼し、親しみやすさと信頼感を演出するとよい。
- 所属団体や登録番号:「○○弁護士会所属(登録番号:xxxxx)」のように、所属団体と登録番号を明記する。業界規則で表示が義務付けられている内容はもちろん、それ以外の情報も最大限に開示して透明性を高めよう。
- 専門家としての実績:「相続案件1,000件以上の実績」「年間○○件の顧問契約実績」など、可能な範囲で具体的な数字を示す。著書や講演実績、メディア掲載歴などもあれば積極的に掲載し、専門性の高さをアピールしよう。
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プロフィールページは多くの訪問者が確認するページであり、ここでの情報の充実度がサイト全体の信頼性評価に大きく影響する。
Googleも、コンテンツ自体だけでなく「そのサイトを誰が運営しているか」「そのコンテンツを誰が作成したか」を評価対象としている。
サイト内に蓄積していく各コンテンツのSEO効果を高めるためには、まず、サイト運営者・コンテンツ作成者に関する情報の質と量を意識的に高めることが重要だ。
2-3. GoogleアナリティクスとSearch Consoleを導入する
SEOでは、しっかりデータを蓄積して、数字を見ながら改善を重ねるプロセスが欠かせない。
測定分析ツールは多数あるが、まず最低限導入すべきなのが「Googleアナリティクス(GA4)」と「Search Console」である。
【各ツールの概要】 - Googleアナリティクス:高機能なアクセス解析ツール。現行バージョンの「GA4」では、訪問者の流入経路、サイト内行動パターン、コンバージョン達成状況などを詳細に分析可能だ。ユーザー行動の把握に優れている。
- Search Console:Google検索エンジンとサイトの関係性を分析するツール。検索キーワード別の表示回数・クリック率・平均掲載順位など、SEOに直結する指標を把握できる。インデックス状況の確認やページエラーの検出、モバイル対応状況のチェックなど、検索エンジン最適化に必須の機能を備えている。
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それぞれの導入方法は以下の記事で解説している。導入自体は30分程度で完了するため、まだ設定していない場合は対応しておこう。
2-4. プライバシーポリシーや免責事項をわかりやすく掲載する
信頼性の高いサイト運営には、個人情報の取り扱いや免責事項を明確にすることが欠かせない。とくに専門サービスを提供する士業では、これらの明示がユーザーの安心感とE-E-A-Tの向上につながる。
【対応のポイント】 - プライバシーポリシーの作成:個人情報の収集目的・利用範囲・第三者提供の有無・保管方法・開示請求への対応など、個人情報保護法に準拠した内容を記載する。問い合わせフォームを設置している場合はとくに重要で、個人情報を適切に管理している姿勢を示すことが信頼獲得につながる。
- 免責事項の明記:「本サイトの情報は一般的な情報提供を目的としており、個別具体的なアドバイスではない」「最新の情報提供に努めているが、法改正などにより内容が変更される可能性がある」など、情報の利用に関する免責事項を明記する。サイト情報の限界を示して注意喚起するとともに、リスク回避にもつながる。
- 専門家への相談呼びかけ:一般ユーザーの自己判断では危険な問題については「専門家への相談を」という注意書きを添える。専門家として責任ある態度を示すと同時に、相談を促す呼びかけにもなるため、適切に配置するとよい。
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これらの情報は、通常フッターメニューからアクセスできるように配置する。一見地味な項目だが、これらが整備されているサイトは「きちんとした運営をしている」という印象につながり、士業では重要な信頼性向上要素となる。
3. 【キーワード戦略】地域性と専門性を軸に狙いを定める

次に「キーワード選定」について見ていこう。
SEO対策の核心は、上位表示を狙うキーワードの選定にある。やみくもにコンテンツを作るのではなく、ターゲットとなる見込み客がどんな言葉で検索するかを見極め、戦略的にアプローチする必要がある。
- ターゲット顧客の悩みを士業の専門分野から具体的に想定する
- [地域名+士業名/業務内容][○○手続き/相談費用]などの軸で調査する
- 検索ボリュームと競合度を確認し自事務所の強みが活きる語句を選ぶ
- 対策するキーワードを決定する
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3-1. ターゲット顧客の悩みを士業の専門分野から具体的に想定する
キーワード選定の第一歩は、顧客視点での悩みの洗い出しだ。専門家目線ではなく、相談者が実際に感じている困りごとから考えるのがポイントである。
【顧客視点の洗い出し例】 - ライフイベントからのアプローチ:結婚・出産・退職・相続など、人生の節目で生じる悩みを洗い出す。たとえば[離婚 親権 争い 対処法][退職金 確定申告 必要]など、ライフイベントから派生する具体的な疑問をリストアップすると、潜在的なキーワードが見えてくる。
- 業界別の課題抽出:法人顧客をターゲットとする場合、業種別の悩みを想定する。[飲食店 開業 許認可][建設業 下請法 違反 対策]など、特定業界に特化した専門的な課題は、ニッチでありコンバージョン率の高いキーワードとなる。
- 時事問題との関連付け:法改正や社会問題から生まれる悩みも重要な視点である。[インボイス制度 対応 個人事業主][ハラスメント 新法 企業対応]など、時事的な話題と絡めたキーワードは検索ニーズが高まりやすく、タイムリーな対応が効果的だ。
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顧客の悩みを想像する際は、実際の相談内容やよくある質問を参考にするとリアリティが増す。
自分が扱った案件を振り返り、「相談前にクライアントは何を検索していただろうか?」と考える習慣を持とう。これこそ、実効性の高いキーワードを発見する鍵である。
3-2. [地域名+士業名/業務内容][○○手続き/相談費用]などの軸で調査する
士業のSEOでは、いくつかの定番となるキーワードパターンがある。これらを軸にした体系的なリサーチによって、見落としを防ぎながら効率的にキーワードリストを作成できる。
【キーワード調査の主要軸】 - 地域名との組み合わせ:[横浜 相続税 税理士][大阪市 離婚 弁護士]のように、地域名と専門分野を組み合わせる。都道府県名、市区町村名、駅名との組み合わせを検討する。地域密着型の事務所では、こうしたローカルSEOがとくに重要だ。
- 費用に関する疑問:[離婚調停 弁護士費用 相場][会社設立 司法書士 報酬]など、費用に関する検索は非常に多い。価格に敏感なユーザーへのアプローチとして、費用体系を明示したコンテンツは効果的である。透明性のある料金提示は信頼性向上にもつながる。
- 手続き方法の解説:[相続登記 必要書類 流れ][労災 申請方法 期限]のように、具体的な手続きに関するキーワードもニーズがある。これらは情報収集段階の検索ユーザーに向けたもので、専門知識を示しながら最終的には「専門家への相談」へ誘導するコンテンツとして活用できる。
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これらの軸を組み合わせていくと、たとえば[横浜市 相続税申告 税理士 費用]といった複合的なロングテールキーワード(*1)も見えてくる。検索ボリュームは小さくてもニーズが明確なため、コンバージョン率の高いキーワードとして価値がある。
*1:ロングテールキーワードとは、検索ボリュームは少ないが特定の意図があり、コンバージョンにつながりやすい複数語の組み合わせキーワードのことである。

詳しくは「ロングテールSEOで検索アクセスを倍増させるための基礎知識と具体策」もあわせて参照してほしい。
3-3. 検索ボリュームと競合度を確認し自事務所の強みが活きる語句を選ぶ
キーワード候補が出そろったら、実際の検索需要と競合状況を調査し、自事務所の強みを活かせる語句に絞り込む。
洗い出したすべてのキーワードに対応するのは非効率なため、戦略的な取捨選択が必要だ。
【キーワード評価のポイント】 - 検索ボリュームの確認:Googleキーワードプランナーやラッコキーワード(*2)などのツールを使い、各キーワードの月間検索数を確認する。月間100回以上の検索があれば十分狙う価値がある。一方、たとえ0〜10回であっても、コンバージョンしやすいキーワードが存在することに留意しよう。
- 競合状況の分析:実際にGoogleで検索し、上位表示されているサイトの質をチェックする。公的機関や大手ポータルサイト、全国規模の法律事務所が上位を独占しているキーワードは難易度が高い。一方で、質の低いサイトや専門性の低いサイトが上位にある場合は、比較的容易に順位向上が見込める。
- 事務所の強みとの整合性:「この分野ならほかの事務所より詳しい」「この業務はとくに経験が豊富」といった自事務所の強みを活かせるキーワードを優先する。専門性で勝負できる分野であれば、質の高いコンテンツで差別化が可能だ。
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*2:Googleキーワードプランナーおよびラッコキーワードについては、以下の記事で解説している。
このプロセスで留意したいのは、検索ボリュームだけを見て判断せず、「検索意図」に注目すべきという点だ。
たとえば[離婚]単体よりも[女性 弁護士 離婚 相談]のほうが、依頼につながる明確な意図を持った検索である。後者のような「ビジネス価値の高い意図のキーワード」は、検索数が少なくても優先度を上げる必要がある。
詳しくは「検索ボリュームがゼロのキーワードなのに、あなたのサイトのCVを倍増させる可能性が!」の記事も確認してほしい。
3-4. 対策するキーワードを決定する
最終的にどのキーワードに注力するかを決定し、優先順位をつけて対策プランを立てる。欲張りすぎず、段階的に取り組む姿勢が重要だ。
【キーワード決定の判断基準】 - コアキーワードの選定:事務所の主力業務に関連する中核キーワードを3〜5つ程度選定する。たとえば[大阪 相続 弁護士][東京 企業法務 顧問弁護士]など、メインとなるキーワードだ。これらは事務所全体のブランディングにも関わるため、トップページやサービス紹介ページでも重点的に対策する。
- 対策キーワードの設定:コアキーワードを補完する派生キーワードとして、より具体的なキーワードを100個程度リストアップする。[遺言書 書き方 注意点][会社分割 手続き 流れ]など、専門知識を活かした情報提供に適したキーワードだ。
- キーワードマップの作成:選定したキーワードをサイト内のどのページで対策するか、マッピングを行う。「このキーワードはトップページで」「このテーマはブログ記事として」など、具体的な対策場所を決めておくと、実行段階での迷いがなくなるだろう。
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一度にすべてのキーワードに対応するのではなく、まずは優先順位の高いキーワードから始め、徐々に対象を広げていくアプローチが現実的だ。また、キーワードリストは固定せず、検索トレンドや法改正などに応じて定期的に見直すことも重要である。
キーワード選定について、より専門的に深掘り解説した記事として「【図解】キーワード選定の正しいやり方─SEOの最初に読むべき記事」がある。読み込んで実践していただければ、SEO専門会社へ依頼するのと遜色ないキーワード選定が可能だ。ぜひ参考にしてほしい。
4. 【コンテンツ戦略】専門性とオリジナル性にこだわった独自コンテンツを作る

キーワード選定の次は、実際にコンテンツを作成する段階だ。士業サイトでは「専門性」と「わかりやすさ」を両立させた質の高いコンテンツが、SEO成功の鍵を握る。
- 「ユーザーが知りたいこと」に徹底的にフォーカスする
- 法改正や最新事例を踏まえた専門的で正確な情報を発信する
- 顧客の声や具体的な解決事例を紹介する
- コンテンツの執筆者・監修者(資格者本人)を明記し権威性を示す
- 事務所の強みや得意分野が明確に伝わるサービス紹介を作成する
- 料金体系と相談から解決までの流れを明記する
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4-1. 「ユーザーが知りたいこと」に徹底的にフォーカスする
SEOコンテンツの基本は、検索ユーザーの疑問や悩みに直接応えることだ。専門家視点ではなく、ユーザー目線で「本当に知りたいこと」を見極めることが重要である。
【ユーザー視点のコンテンツ作成法】 - 検索意図の分析:同じキーワードでも、ユーザーが求める情報は異なる場合がある。たとえば[相続税]と検索する人は、税率を知りたいのか、節税方法を探しているのか、申告の流れを調べているのか、さまざまな意図が考えられる。実際に検索して上位表示されているコンテンツを分析し、ユーザーが求める情報の傾向を把握するとよい。
- 質問形式の見出し活用:「相続税はいくらかかる?」「離婚調停の期間はどのくらい?」など、ユーザーが疑問に思う内容をそのまま見出しにするのも効果的である。Q&A形式のコンテンツは読者の知りたいことに直接応える形になるため、満足度が高く、離脱率も低くなる傾向がある。
- 基礎から応用まで段階的に解説:初心者にもわかる基本情報から、より詳しく知りたい人向けの専門的内容まで、理解度に応じた情報を用意する。難しい内容は図表や事例を交えて説明し、専門用語にはかならず解説を添えておくと、幅広い読者に役立つコンテンツとなる。
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コンテンツを作成するときには常に、「この検索をした人は、どんな疑問を持ち、何を知りたがっているか?」と問いかけることが大切だ。
専門家として当たり前すぎて説明を省略してしまいがちな部分こそ、じつはユーザーが最も知りたい情報である場合が多い。
4-2. 法改正や最新事例を踏まえた専門的で正確な情報を発信する
士業サイトの最大の武器は「専門的で正確な情報提供」だ。これは一般のブログやオウンドメディアには真似できない強みであり、積極的に活かすべきポイントである。
【専門性を示すコンテンツの例】 - 最新法改正情報の解説:「令和○年税制改正のポイント」「相続法改正で何が変わったか」など、法改正に関する情報をいち早く、かつわかりやすく解説する。最新情報への言及は、専門家としての情報感度の高さを示すと同時に、サイトの鮮度を保つ効果もある。
- 判例・裁判例の引用と解説:具体的な裁判例を引用し、専門家の視点で解説を加えると説得力が増す。「○○事件判決からみる△△問題の実務的対応」など、判例と実務を結びつけた解説は、他サイトと一線を画す質の高いコンテンツとなる。
- 典拠の明示:法律の条文番号や省庁の通達など、情報の出典を明記することで信頼性が高まる。「会社法第○条に基づけば…」「国税庁通達××によると…」といった具体的な典拠の提示は、専門家ならではの裏付けとなる。
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最新情報を扱う際は、公開日と最終更新日を明記し、定期的に内容を見直すことが重要だ。古い情報がそのまま残っていると信頼性を損なうため、法改正や制度変更があった際はすみやかに更新する体制を整えておくとよい。
情報鮮度に関する考え方は、「SEOに影響する「更新頻度」の真実─最適な更新頻度を知る5つの確認点」の記事も参考にしてほしい。
4-3. 顧客の声や具体的な解決事例を紹介する
実際の相談事例や解決実績を紹介するコンテンツは、ユーザーにとって強く興味を惹かれるものだ。実務経験に基づく情報は説得力が高く、他サイトとの差別化にもつながる。
同時に、E-E-A-Tの「経験(Experience)」の証明にもなるため、SEO効果が高い。
【事例紹介のポイント】 - 匿名化した実例の紹介:実際の相談事例を匿名化して紹介する。「Aさん(40代男性)のケース」のように属性だけを残しつつ、具体的な解決プロセスを説明していくと、同じ悩みを持つ読者の共感を得られる。守秘義務違反とならないよう注意を払いながら、依頼者の課題と解決プロセスにフォーカスしたケーススタディを作成するとよい。
- ビフォーアフターの明示:「解決前はこんな状況→対応後はこうなった」という変化を明確に示す。「相続税申告前は○○円の納税見込みだったが、適切な対策により△△円に圧縮できた」など、具体的な成果を示すと、依頼するメリットが伝わりやすくなる。
- 依頼者の声の掲載:実際の依頼者からの感謝の声や評価を掲載する。「初めての離婚で不安でしたが、丁寧に対応いただき安心して任せられました」といった生の声は、新規相談者の不安を和らげる強力な後押しとなる。もちろん掲載には依頼者の許可を得ることが大前提だ。
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事例紹介は「自分も同じように解決してもらえるかもしれない」という期待感を抱かせる効果がある。ただし弁護士など広告規制で事例掲載に規制がある場合もあるため、所属団体のガイドラインを確認したうえで対応しよう。
4-4. コンテンツの執筆者・監修者(資格者本人)を明記し権威性を示す
Googleは医療・法律・金融など「人生や財産に関わる重要な分野(YMYL)」のコンテンツについて、とくに厳しく信頼性を評価する。資格者が監修していることを明示し、権威性を高めることが重要だ。
【監修情報の効果的な表示】 - 執筆者・監修者の明記:記事の冒頭または末尾に「執筆:○○弁護士(△△法律事務所)」「監修:□□税理士」のように表示する。資格者本人が執筆していることが明確にわかるようにしておくと、E-E-A-T評価向上につながる。とくに専門性の高いコンテンツほど、誰が責任を持って内容を保証しているかを示すことが重要だ。
- プロフィールリンクの設置:執筆者名から詳細なプロフィールページへリンクを貼ると効果的である。プロフィールページでは保有資格・経歴・専門分野・執筆実績などを詳細に紹介し、その分野の専門家であることを裏付ける情報を充実させるとよい。
- 専門家としての見解明示:「専門家の視点から見ると…」「○○の実務経験からアドバイスすると…」など、一般的な情報提供ではなく、資格者としての見解や経験を交えた記述を加える。この「付加価値」がGoogleの評価するE-E-A-Tに直結する。
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コンテンツ作成を外注する場合でも、かならず士業資格者自身が内容チェックを行い、誤りがないことを確認したうえで監修者として名前を掲載すべきである。専門性の保証は、外注できない士業サイトの核心部分だ。
4-5. 事務所の強みや得意分野が明確に伝わるサービス紹介を作成する
一般的な業務説明だけでなく、自事務所ならではの強みや特色を打ち出して、他事務所との差別化を図る。何でも対応する「総合事務所」より、特定分野に強いという印象のほうが記憶に残りやすい。
【差別化ポイントの示し方】 - 得意分野の明確化:「○○分野専門」「△△業界に特化」など、専門特化している分野があれば前面に打ち出す。たとえば「IT企業の顧問契約に強い」「医療法人の設立・運営サポートが得意」など、特定業界やテーマに焦点を当て、該当するニーズを持つ見込み客に強くアピールしよう。
- 独自の対応方針:「初回相談は2時間じっくり対応」「土日夜間の相談にも対応」「ご自宅や入院先への訪問可能」など、顧客視点で価値のある対応方針があれば強調する。とくに大手事務所にはない柔軟性や親身な姿勢のアピールは、「この事務所なら自分の悩みを理解してくれそう」という安心感を与えられる。
- 強みの裏付け:単に「○○に強い」と主張するだけでなく、その裏付けとなる実績や経験を示す。「同業界の顧問経験10年以上」「類似案件を100件以上解決」など、具体的な数字を示すことで説得力が増す。可能であれば成功事例の概要も添えるとよい。
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作成した記事の多くが上位表示されても、ビジネス成果(コンバージョン)につながらないサイトは、サービス紹介が手薄になっている可能性が高い。
「自社のサービスの価値を語り尽くすページを公開しよう」の記事も参照のうえ、渾身のサービス紹介ページを準備しよう。
4-6. 料金体系と相談から解決までの流れを明記する
料金や相談の流れは、顧客が最も気にする情報のひとつだ。これらが明確に示されていれば、ユーザーの不安や疑問を減らし、相談への心理的ハードルを下げられる。
【料金・流れの効果的な表示】 - 料金体系の透明性:可能な限り具体的な料金を明示する。「初回相談料:○○円(△分)」「着手金:××円から」のように、依頼者が費用の見通しを立てられる情報提供が望ましい。業務ごとに料金表を作成したり、よくある案件の費用事例を紹介したりして、「いくらかかるかわからない」という不安を解消しよう。
- 相談から解決までのステップ説明:「(1)お問い合わせ→(2)初回相談(状況確認)→(3)正式依頼→(4)解決に向けた手続き→(5)完了・アフターフォロー」など、依頼から解決までの流れを図解するとよい。各ステップごとに所要期間や必要書類なども説明すると、より具体的なイメージが伝わる。
- よくある質問(FAQ)の掲載:「相談だけでも可能ですか?」「急ぎの場合の対応は?」など、実際によく寄せられる質問とその回答をFAQとしてまとめる。潜在的な疑問点を先回りして解消しておくと、問い合わせへの心理的ハードルが下がる。
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「料金が書かれていないサイト」は警戒されやすい。業務の性質上正確な金額を提示できない場合でも、「○○円〜」「目安:△△円程度」など、ある程度の費用感を伝えることが重要だ。透明性が信頼につながる。
5. 【サイト内部の改善】検索エンジンに評価されやすい状態に整える

質の高いコンテンツを用意しても、サイト内部の技術的な最適化が不十分だと上位表示は難しい。検索エンジンに正しく評価されるための内部SEO対策を実施しよう。
- 各ページのタイトルタグを最適化する
- H1〜H2などの見出しタグで情報の構造をわかりやすく整理する
- スマートフォンでの見やすさ(レスポンシブ対応)を高める
- 表示速度を測定しストレスなく閲覧できるようにする
- 関連性の高い情報同士を内部リンクでつなぐ
- サイト内の画像に適切なalt(代替テキスト)を設定する
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5-1. 各ページのタイトルタグを最適化する
タイトルタグはSEOにおいて最も重要な要素のひとつだ。検索結果に表示されるため、クリック率に直結するだけでなく、ページの主題を検索エンジンに伝える役割も果たす。

【タイトルタグ最適化のポイント】 - キーワードを前方に配置する:重要なキーワードはタイトルの前半に入れる。「専門家が詳しく解説する離婚の慰謝料請求の流れ」より「離婚の慰謝料を請求したい!相場や必要な証拠を弁護士が解説」のようにキーワードを前に出すほうが効果的だ。前方に配置されたキーワードほど重要度が高いと評価される傾向がある。
- 適切な長さを維持する:検索結果で完全に表示されるのは概ね32〜36文字程度である。それ以上は途中で省略されるため、重要な情報や訴求ポイントは前半に凝縮する。長すぎるタイトルは検索エンジンにスパム的と判断されることもあるため、シンプルさを心がけよう。
- ページごとの一意性を確保する:サイト内の全ページで異なるタイトルを設定する。「○○の解決事例 | △△事務所」のような重複タイトルのURLが、サイト内に複数ある状態は避けよう。各ページの内容を反映した固有のタイトルを付与しておくと、検索エンジンに正しく評価される。
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タイトルタグの見直しは地道な作業だが、効果が高い。時間を取って、全ページの見直しを行うとよい。その際、以下の記事にも目を通しておこう。
5-2. H1〜H2などの見出しタグで情報の構造をわかりやすく整理する
見出しタグ(H1、H2、H3など)は、ページの論理的構造を示す重要な要素だ。ユーザビリティの向上だけでなく、検索エンジンがページの主題を理解する手がかりにもなる。

【見出しタグ活用のポイント】 - H1タグの適切な使用:各ページにはH1タグを1つだけ配置し、そのページの主題を端的に表現する。通常、H1はページのメインタイトルとして使われる。「相続税はいくらまで無税?計算方法を解説」「会社設立の手続きの流れと必要書類」のように、ページ内容を的確に表すH1を設定することが基本だ。
- 階層構造の明確化:H1の下にH2、その下にH3という具合に、論理的な階層構造で見出しを設定する。「1. 相続税の基礎知識(H2)→1-1. 相続税の計算方法(H3)→1-2. 申告が必要なケース(H3)」のような構造化により、内容が整理され読みやすくなる。
- キーワードの自然な配置:見出しには狙いのキーワードを含めるが、不自然に詰め込むのではなく、文脈に合った自然な形で組み込む。「相続税対策法律相談弁護士」のような意味不明な羅列は避け、「相続税の対策について弁護士に相談するメリット」のように、読み手にとって意味が通じる表現にするべきだ。
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見出しタグはデザイン要素ではなく構造要素である点に注意したい。
文字を大きくしたいからH2にする、ではなく、文書の論理構造に合わせて適切なタグを選択しよう。ユーザーが斜め読みしても内容が把握できる、明快な見出し構造を心がけてほしい。
「hタグ(見出しタグ)の使い方と絶対に知っておくべき注意点」の記事もあわせて目を通しておくと、理解が深まる。
5-3. スマートフォンでの見やすさ(レスポンシブ対応)を高める
現在、Webサイトへのアクセスの多くはスマートフォンからだ。
総務省の調査によれば、端末別のインターネット利用率(個人)は、「スマートフォン」(72.9%)が「パソコン」(47.4%)を25.5pt上回っている(出典:総務省「通信利用動向調査(令和6年版)」)。
モバイルフレンドリーなサイト設計は、ユーザー体験向上だけでなく、Googleのモバイルファーストインデックス(スマホ版サイトを優先的に評価・検索順位付けする仕組み)への対応としても不可欠である。
【モバイル対応のポイント】 - レスポンシブデザインの採用:画面サイズに応じて自動的にレイアウトが調整されるレスポンシブデザインを採用する。1つのURLで異なるデバイスに対応できるため、SEO的にも管理面でも有利だ。最新のWordPressテーマなど、多くのCMSテンプレートはレスポンシブ対応しているが、カスタマイズ時に崩れていないか確認が必要である。
- タップしやすいボタン設計:スマホでは指でタップするため、ボタンやリンクは十分な大きさと間隔が必要だ。とくに「お問い合わせ」「相談予約」などコンバージョンにつながる重要ボタンは、視認性が高く押しやすいサイズにする。小さすぎるボタンやリンクが密集している状態は誤タップの原因となり、ユーザー離脱につながる。
- 縦スクロールの最適化:スマホは横スクロールが使いにくいため、縦スクロールですべての情報が閲覧できるレイアウトが基本だ。重要な情報は画面上部に配置し、ページの読み込み速度も考慮して画像サイズを最適化する。
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まずは、実際にスマートフォンでサイトを閲覧し、使い勝手を確認することが重要である。
新しい記事を作成する際には、パソコンで作成してそのまま投稿するのではなく、かならずスマホでチェックすることを習慣にしよう。
5-4. 表示速度を測定しストレスなく閲覧できるようにする
ページの表示速度は、ユーザー体験とSEOの両面で重要な要素だ。表示が遅いサイトは、それだけで悪印象である。
Googleもページ速度をランキング要因のひとつとしており、とくにモバイルでは重要視される傾向にある。
【表示速度改善のポイント】 - 画像の最適化:画像ファイルを適切に圧縮して軽量化する。解像度が必要以上に高い画像や、サイズの大きい画像はページ読み込みを遅くする原因だ。画像編集ソフトやオンラインツールで圧縮するほか、WebP形式など最新の画像フォーマットの採用も検討するとよい。
- 不要なプラグイン削除:WordPressなどのCMSを使用している場合、必要最小限のプラグインに絞り込む。プラグインが多いとページ生成に時間がかかり、脆弱性リスクも高まる。未使用のプラグインはすみやかに削除し、重複機能を持つプラグインは統合すると、サイトパフォーマンスが向上する。
- キャッシュの活用:ブラウザキャッシュを活用する設定を行い、訪問者が二回目以降にアクセスした際の読み込み速度を向上させる。WordPressサイトであれば、キャッシュプラグインの導入も効果的だ。サーバー側でのキャッシュ設定も可能であれば、さらなる高速化が期待できる。
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まずは Google PageSpeed Insights を活用して、サイト速度の現状を把握しよう。URLを入力するだけで、すぐに測定できる。
具体的な改善方法については、「ページ速度とは?Webサイトに与える影響と重要な改善方法を解説」にて解説している。
5-5. 関連性の高い情報同士を内部リンクでつなぐ
内部リンク(サイト内のページ同士をつなぐリンク)は、サイト内のページ同士を適切に連携させる重要な要素だ。
ユーザーの回遊性を向上させ、検索エンジンによるクロール効率の向上やページ評価にも影響する。

【内部リンク設計のポイント】 - 関連コンテンツへ自然に誘導する:記事内の関連トピックに触れた部分から、そのトピックを詳しく解説している別記事へリンクを張る。たとえば相続税の記事で「生前贈与」に触れた部分があれば、「生前贈与の詳細については『記事のタイトル名』をご覧ください」とリンクして、ユーザーの情報探索を助ける。
- リンクテキストを最適化する:リンクを設置する際のアンカーテキスト(クリックできる文字列)には、リンク先のコンテンツを適切に表す言葉を使用する。「詳しくはこちら」「関連記事」といった曖昧な表現ではなく、「生前贈与の税金対策を自分でやる方法」など、具体的な表現のほうが、ユーザビリティとSEOの両面で効果的だ。
- サイロ構造を構築する:関連するコンテンツ同士を相互にリンクし、トピックごとのクラスター(集合体)を作る。たとえば「相続」関連の記事群、「離婚」関連の記事群など、テーマごとにまとまりを作っていくと、そのトピックに関する専門性をGoogleに提示できる。
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内部リンクは「ページの価値配分」という側面も持つ。重要なページには多くの内部リンクを集めることで、そのページの重要性を検索エンジンに伝達できる。戦略的な内部リンク設計が、サイト全体のSEO効果を高めるのだ。
内部リンクについては、「内部リンクとは?SEOでの重要性と効果が出る張り方のコツ」を確認しておこう。
5-6. サイト内の画像に適切なalt(代替テキスト)を設定する
画像のalt属性(代替テキスト)は、視覚障がい者への情報保障というアクセシビリティの観点はもちろんのこと、SEOにおいても重要な役割を果たす。検索エンジンは画像の内容を直接理解できないため、alt属性を手がかりにする。
【alt属性設定のポイント】 - 内容を適切に説明する:画像が何を表しているのか、文脈に即して簡潔に説明する。「相続税申告書の記入例」「離婚調停の流れを示す図解」など、画像の内容が伝わる具体的な説明が望ましい。実際に画像を見られない人が内容を理解できる説明を心がける。
- キーワードを自然に含める:alt属性にもキーワードを含めることでSEO効果が期待できるが、不自然な詰め込みは避ける。「弁護士東京相続無料相談事務所」などのキーワード羅列は、スパムと判断されるリスクがある。「東京の相続問題を扱う当事務所の無料相談の様子」のように自然な文脈で含めよう。
- 装飾画像への対応:単なる装飾目的の画像やアイコンなど、内容理解に不要な画像はaltを空にするか、CSS背景画像として実装するのが望ましい。必要な情報を伝える実質的な画像と、装飾的な画像を区別して対応することがアクセシビリティの観点からも重要である。
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alt属性の設定は最初は面倒に感じるかもしれないが、慣れればすぐに設定できるようになる。こうした細かな積み重ねが、サイト全体の最適化レベルを引き上げるのだ。
具体的な書き方は、「alt属性とは?適切な設定方法と具体的な書き方をキャプチャ付きで解説」で確認してほしい。
6. 【地域での認知・信頼獲得】ローカルSEOや外部評価に対応する

士業は地域密着型のビジネスが基本であり、地域での認知や信頼獲得が重要だ。とくに「地域名+士業」での検索で上位表示されるための対策が必須となる。
- Googleビジネスプロフィールに詳細な事務所情報を登録更新する
- Googleの口コミに誠実かつ迅速に返信する
- 所属士業会や関連団体公式サイトからの被リンク獲得を目指す
- 評判や口コミサイトでの事務所評価を定期的に確認する
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6-1. Googleビジネスプロフィールに詳細な事務所情報を登録更新する
Googleビジネスプロフィールは、地図検索や[○○市 弁護士]などのローカル検索(特定地域にひも付いた検索)に関わる重要なプラットフォームだ。

Googleビジネスプロフィールからアクセスできるので、案内に従って登録を済ませておこう。適切に設定・運用することで地元ユーザーからの集客力が大幅に向上する。
【Googleビジネスプロフィール最適化のポイント】 - 基本情報を正確に入力する:事務所名・住所・電話番号・営業時間・定休日などの基本情報を正確に入力する。住所は建物名や階数まで詳細に記載し、Webサイトと表記を統一することが重要だ。ユーザーが迷わず訪問できるようになり、Googleも一貫した情報として評価する。
- 業種カテゴリを適切に選択する:メインカテゴリと追加カテゴリを適切に選択する。たとえば「税理士」をメインカテゴリにし、「債務整理」など具体的な専門分野を追加カテゴリに設定すると、関連検索での表示機会が増える。
- ビジュアル情報を充実させる:事務所の外観・内観・スタッフ写真など、最低でも5枚以上の写真を掲載する。とくに事務所入口や応接スペースの写真は、初めて訪問する人の不安軽減につながる。写真は明るく清潔感のある雰囲気のものを選び、定期的に更新することで活発な印象を与えられる。
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Googleビジネスプロフィールは、マーケティングツールとしても活用する意義がある。たとえば、投稿機能を利用すれば、ブログ更新情報や無料相談会のお知らせなども発信できる。まだ使いこなしている士業事務所は少ないため、差別化につながるだろう。
Googleビジネスプロフィールについては、以下の記事も参考になるはずだ。
6-2. Googleの口コミに誠実かつ迅速に返信する
Googleビジネスプロフィールを活用すると、Googleに寄せられた口コミに返信できる。
口コミは、潜在顧客の事務所選びに大きな影響を与える。肯定的な口コミが増えれば信頼性が高まり、否定的な口コミが増えれば回避されてしまう。
【口コミ管理のポイント】 - 肯定的な口コミへの返信:感謝の気持ちを伝え、具体的な内容に言及する返信を心がける。「ありがとうございます」だけの定型文より、「○○についてのご相談、解決にお役立てて嬉しく思います」など個別の内容に触れた返信のほうが、誠実な印象を与える。返信があると、口コミを投稿しやすい雰囲気も作られる。
- 否定的な口コミへの対応:感情的にならず、謝罪と改善の姿勢を示す。「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」と率直に謝罪したうえで、改善策や説明を簡潔に述べるとよい。場合によっては「詳しいお話を伺いたいので、お手数ですがご連絡いただけますと幸いです」と対話の機会を作ることも検討する。
- 口コミ投稿の促進:満足度の高い依頼者には、可能であれば口コミ投稿をお願いする。「当事務所の改善のため、よろしければGoogleでの評価にご協力いただけると幸いです」など、押し付けにならない程度の声かけが効果的だ。ただし、特定の評価を条件に謝礼を提供するなどの行為はガイドライン違反となるため避けるべきである。
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口コミは「第三者からの評価」として極めて説得力が高く、とくに士業のような信頼関係が重要なサービスでは、検討段階の大きな判断材料となる。定期的に確認し、低評価が慢性化しないように注意しよう。
6-3. 所属士業会や関連団体公式サイトからの被リンク獲得を目指す
士業会や関連団体など信頼性の高いサイトからの被リンクは、SEO評価と信頼性向上の両面で極めて価値が高い。
※被リンクの効果については「被リンクとは?SEO効果と良質なリンクの増やし方を解説」で詳説している。
サイト全体の検索順位を底上げするために、意識的にリンク獲得を目指そう。
【外部リンク獲得のポイント】 - 所属団体サイトの活用:弁護士会・税理士会・司法書士会などの所属団体サイトに会員情報として掲載される際に、自サイトへのリンクが張られるよう申請する。団体によってはリンクポリシーが異なるため、申請方法を確認したうえで対応するとよい。公的性格の強い団体からのリンクはとくにSEO効果が高い。
- 地域団体との連携:商工会議所・青年会議所・地域の経済団体などに所属している場合、それらの会員紹介ページから自サイトへのリンクが得られる可能性がある。地域に根差した団体との連携は、ローカルSEOの強化につながる有効な手段だ。
- 専門サイトへの寄稿:専門分野のポータルサイトやオウンドメディアへの記事寄稿を通じて、著者紹介からの被リンクを獲得する。たとえば相続に関する専門サイトに「専門家コラム」として寄稿し、プロフィール欄に自サイトリンクを入れる方法が考えられる。質の高い情報提供と引き換えに価値あるリンクを得られ、互恵的な関係を構築できる。
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リンク獲得は「数より質」が重要だ。なかでも「.go.jp」「.lg.jp」などの公的サイトや業界団体のサイト、専門分野に関連する高評価サイトからの被リンクは、少数でも大きな効果が期待できる。
リンクの多様性も重要なので、さまざまな信頼性の高いサイトからリンクを獲得する努力を続けよう。
6-4. 評判や口コミサイトでの事務所評価を定期的に確認する
Googleの口コミ以外にも、さまざまな口コミサイトで事務所の評判が形成されている。これらを定期的に確認して適切に対応し、オンライン上の評判管理(ORM:Online Reputation Management)を行うことが重要だ。
【評判管理のポイント】 - 定期的な評判モニタリング:自事務所名や代表者名でGoogle検索し、口コミサイトやレビューサイトでの評判を定期的に確認する。士業向けの比較サイトや相談ポータルなど、専門的なプラットフォームでの評価にも注意を払い、新規の口コミがあれば迅速に把握する体制を整える。
- 否定的評価への適切な対応:不満の声があれば真摯に受け止め、可能な限り回答や対応を行う。サイトによっては返信機能があるので、「ご意見ありがとうございます。ご指摘の点については改善に取り組んでおります」など建設的な返信を心がける。感情的な反論は避け、常に冷静かつプロフェッショナルな対応を維持することが重要だ。
- ポジティブな評判の活用:好意的な評価は(掲載元の規約に違反しない範囲で)自サイトに引用させてもらうことも検討する。「○○様(仮名)より、『親身になって対応してくれた』とのお声をいただきました」など、第三者評価として紹介することで信頼性向上に役立てられる。
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オンライン上の評判は、潜在顧客があなたの事務所について最初に接する情報源となる可能性が高い。否定的な声も含めて誠実に対応しよう。それが、「問題が起きても責任を持って対応する事務所」という評価につながるのだ。
また、Google検索の評価基準にもオンライン上の評判は含まれている。最低限、悪評が立たないように、評判管理と実際のサービス品質の両軸で細心の注意を払う必要がある。
7. 【継続的な運用と改善】効果測定と改善を続ける

SEO対策は一度行って終わりではなく、継続的な運用と改善が必要だ。効果測定に基づく改善サイクルを回し、コンプライアンス対策も徹底することで、長期的に安定した成果を生み出せる。
- アクセス解析で問い合わせに繋がったキーワードやページを分析する
- Search Consoleで検索順位やサイトの問題点を継続的に監視する
- 分析結果に基づきコンテンツの加筆修正やリライトを行う
- 広告表示規制など士業関連法規を遵守したサイト運営を徹底する
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7-1. アクセス解析で問い合わせに繋がったキーワードやページを分析する
どのようなキーワードやページから問い合わせが発生しているか、的確な分析ができれば、効果の高い施策に集中投資できる。データに基づく改善が成功への近道だ。
【アクセス解析活用のポイント】 - コンバージョン設定と計測:Googleアナリティクス(GA4)でコンバージョン設定を行い、問い合わせフォーム送信や電話クリックなどの成果を計測する。「どのページからどれだけの問い合わせが発生したか」が可視化され、効果的なページとそうでないページの区別ができるようになる。
- 流入経路の分析:どの検索キーワードからの訪問者が問い合わせに至りやすいかを分析する。GA4の探索レポートを活用すると、流入経路からコンバージョンまでの詳細な行動パターンが可視化できる。コンバージョン率の高いキーワードや経路に関するコンテンツを戦略的に強化する判断が可能だ。
- ユーザー行動の把握:ヒートマップツール(Microsoft Clarityなど)を活用し、ユーザーがページのどこに注目し、どこでつまずいているかを視覚的に確認する。たとえば問い合わせボタンが見つけづらい、重要情報がスクロールせずに見える範囲(ファーストビュー)に入っていないなどの問題点を特定し、改善につなげよう。
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データ分析は難しく感じるかもしれないが、まずは「どのページからの問い合わせが多いか」「サイト内でよく見られているページはどれか」といった基本的な指標から始めるとよい。定期的にデータをチェックする習慣をつけることが重要だ。
以下の記事では、まったくの初心者の方にもわかりやすく各ツールを解説しているので、活用してほしい。
7-2. Search Consoleで検索順位やサイトの問題点を継続的に監視する
Google Search Consoleは、検索順位やサイトの技術的な問題を把握するための重要なツールだ。定期的にチェックし、SEO上の問題点を早期に発見・解決していこう。
【Search Console活用のポイント】 - 検索パフォーマンスのモニタリング:検索キーワードごとの表示回数・クリック数・クリック率・掲載順位を確認する。とくに重視しているキーワードの順位変動に注目し、上昇・下降傾向があれば要因を分析する。モバイルとパソコンでの検索パフォーマンスの違いも確認し、デバイス別の対策も検討するとよい。
- クロール問題の早期発見:インデックス作成レポートでインデックスエラー(Googleのデータベースに登録されないエラー)や除外ページがないか確認する。404エラー(ページが見つからない)やrobots.txtによる意図しないブロックなど、クロール(検索エンジンのボットの巡回)に問題があればすぐに対処する。サイト更新後はとくに注意が必要だ。
- モバイルユーザビリティの確認:エクスペリエンスレポートでスマートフォン表示に問題がないか確認する。良好なURLと判断されなかった場合、その理由が表示されるので改善していこう。ユーザー体験とSEO評価の両方が向上する。
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SEO施策の効果が現れるまでには時間がかかるため、Search Consoleでは半年〜1年単位での推移を見ることがポイントだ。長期的な視点によって、より正確な効果測定が可能となる。
Search Consoleについては、以下の記事を参考にしてほしい。
7-3. 分析結果に基づきコンテンツの加筆修正やリライトを行う
データ分析の結果、改善が必要だと判断したページに対しては、積極的に加筆修正やリライトを行う。「書いて終わり」ではなく、継続的に磨き上げる姿勢が重要だ。
【コンテンツ改善のポイント】 - 検索順位が不振なページの改善:狙ったキーワードで順位が伸び悩んでいるページがあれば、キーワードの出現頻度や使用箇所(見出し・本文など)を見直す。コンテンツの充実度が競合に比べて劣っていれば情報を追加し、構成や見出しを整理して読みやすさを向上させる。情報の鮮度を保つため最新情報に差し替え、最終更新日もアップデートするとよい。
- 高パフォーマンスページの強化:アクセスが多く滞在時間も長いコンテンツは、シリーズ化や関連記事の追加などさらに発展させて強化する。たとえば「離婚問題の基礎知識」が人気であれば、「財産分与の具体的な計算方法」「親権問題の解決策」など派生コンテンツを作成し、相互にリンクさせて回遊性を高める。
- コンバージョンの改善:アクセスは多いのに問い合わせにつながっていないページは、CTA(Call To Action:行動喚起)の配置や文言を見直す。「ご相談はこちら」という単純なボタンより、「○○でお悩みの方へ/今すぐ無料相談する」など具体的で行動を促す表現に変更したり、ボタンの色やサイズを目立たせたりし、コンバージョン率向上を図ろう。
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コンテンツ改善は一度に全ページを行うのではなく、重要度や改善効果の高さでページに優先順位をつけ、計画的に進めるとよい。また法改正や制度変更があった際は、関連コンテンツをすみやかに更新し、情報の正確性と鮮度を維持しよう。
7-4. 広告表示規制など士業関連法規を遵守したサイト運営を徹底する
士業のWebマーケティングには、各種団体による広告規制や倫理規定が適用される。SEO効果を追求するあまり、これらの規制に違反することがないよう注意が必要だ。
【法令遵守のポイント】 - 業種別広告規制の理解:弁護士・税理士など業種ごとの広告規制を正確に理解する。たとえば弁護士の場合、誇大広告や比較広告、顧客の誘引を目的とした不当な表示などが禁止されており、「絶対に勝てます」「日本一の専門家」などの表現は使用できない。各士業団体のガイドラインを確認し、表現の許容範囲を把握しておくことが重要だ。
- 事例紹介の適切な匿名化:依頼者の事例を紹介する際は、個人が特定されないよう十分な匿名化処理を行う。具体的な数字や特徴的な状況は変更し、複数の事例を組み合わせるなどの工夫をする。掲載前に依頼者の承諾を得ることも重要で、同意なく事例を公開することは守秘義務違反となり得る。
- 定期的な法令チェック:広告規制や個人情報保護法など関連法規の改正情報を定期的にチェックし、サイト内容を適宜更新する。法改正対応が遅れると、知らずに違反状態が続く恐れがあるため、所属団体からの情報に常にアンテナを張っておくことが大切だ。
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法令遵守はSEO効果より優先されるべき事項だ。「効果があるから」という理由で違反行為を行えば、所属団体からの処分リスクだけでなく、社会的信用の失墜にもつながる。士業としての品位を保ちながらSEO対策を進めることが、長期的な信頼構築につながる。
8. まとめ
本記事では「士業のSEO」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。
士業こそSEOに取り組むべき理由は以下のとおりだ。
- SEO対策は広告費をかけずに見込み客へリーチする有効な手段
- そもそも士業は検索上位を獲得しやすい
- SEOの本質は「ユーザーの役に立つこと」
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サイトの基本設定として、まず士業SEOの土台を構築しよう。
- サイト運営目的と士業としてのターゲット顧客像を明確に定義する
- 顔写真・資格・所属団体・経歴などを明記し信頼性を高める
- GoogleアナリティクスとSearch Consoleを導入する
- プライバシーポリシーや免責事項をわかりやすく掲載する
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キーワード戦略は、地域性と専門性を軸に狙いを定めていく。
- ターゲット顧客の悩みを士業の専門分野から具体的に想定する
- [地域名+士業名/業務内容][○○手続き/相談費用]などの軸で調査する
- 検索ボリュームと競合度を確認し自事務所の強みが活きる語句を選ぶ
- 対策するキーワードを決定する
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コンテンツ戦略は、専門性とオリジナル性にこだわった独自コンテンツを作ろう
- 「ユーザーが知りたいこと」に徹底的にフォーカスする
- 法改正や最新事例を踏まえた専門的で正確な情報を発信する
- 顧客の声や具体的な解決事例を紹介する
- コンテンツの執筆者・監修者(資格者本人)を明記し権威性を示す
- 事務所の強みや得意分野が明確に伝わるサービス紹介を作成する
- 料金体系と相談から解決までの流れを明記する
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サイト内部の改善を行い、検索エンジンに評価されやすい状態に整える。
- 各ページのタイトルタグを最適化する
- H1〜H2などの見出しタグで情報の構造をわかりやすく整理する
- スマートフォンでの見やすさ(レスポンシブ対応)を高める
- 表示速度を測定しストレスなく閲覧できるようにする
- 関連性の高い情報同士を内部リンクでつなぐ
- サイト内の画像に適切なalt(代替テキスト)を設定する
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地域での認知・信頼を獲得するために、ローカルSEOや外部評価に対応することも重要だ。
- Googleビジネスプロフィールに詳細な事務所情報を登録更新する
- Googleの口コミに誠実かつ迅速に返信する
- 所属士業会や関連団体公式サイトからの被リンク獲得を目指す
- 評判や口コミサイトでの事務所評価を定期的に確認する
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継続的な運用と改善を行い、SEO効果を高めていこう。
- アクセス解析で問い合わせに繋がったキーワードやページを分析する
- Search Consoleで検索順位やサイトの問題点を継続的に監視する
- 分析結果に基づきコンテンツの加筆修正やリライトを行う
- 広告表示規制など士業関連法規を遵守したサイト運営を徹底する
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まずはできることからひとつずつ実践してみてほしい。そして検索経由であなたの事務所を見つけた人が、必要な情報と安心感を得て相談へと進むような、価値あるサイトを生み出していただければと願う。