サイト設計とは?今さら聞けない基本から手順までわかる実践ガイド

「新サイトを立ち上げたいけれど、どこから手を付ければいいの?」

「アクセスが伸びないのは、サイト設計のせいかもしれない……」

このような疑問や不安があれば、あらためて「サイト設計」を学び直す好機である。

サイト設計とは、Webサイトの企画・ペルソナ・コンセプト・デザイン・SEO戦略・サイトマップなどの方針を、サイトの開発・制作の前に、プランニングすることである。

なぜ作りたいのか(目的は何か)、具体的にどのように作りたいのかを定義し、ドキュメント化して社内外のチームに共有する。

サイト設計があってこそ、その後に続く開発制作プロセスのチームワークが、有効に機能する。

成功するWebサイトのイメージ

サイト設計は、あらゆるWebサイトにおいて重要だ。にもかかわらず、適切なサイト設計を行わないまま公開されているサイトが、非常に多い。

これこそが、サイト運営で欲しい成果を得られない原因である。

本記事では、“サイト設計とは何か?” という基本から実践手順まで、解説する。これから新規サイトを手がける方、あるいは既存サイトの見直しをしたい方は、ぜひ役立ててほしい。

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1. サイト設計とは何か

まずはサイト設計とは何か、基本事項から確認していこう。

1-1. サイト設計の定義と意義

冒頭で触れたとおり、サイト設計とは、Webサイトの企画・ペルソナ・コンセプト・デザイン・SEO戦略・サイトマップなどの方針を、サイトの開発・制作の前に、プランニングすることである。

抽象化していえば、「作る前に描く」のがサイト設計の仕事だ。

いきなり作るのではなく最初に描く

描くプロセスを省略して、いきなり手を動かして作り始めれば、多くの問題が発生する。

【生じる問題の例】

  • 完成サイトの品質悪化:サイトの目的が不明瞭となり、結果としてユーザーにとって使いづらく、価値の薄いサイトになる。
  • 開発効率の低下:最初にサイト設計がないと、途中で大きな変更が生じやすい。開発期間が長引き、コストも増加する。
  • チームワークの悪化:サイト設計が明確でないと、メンバーそれぞれが異なる方向に進む。後で矛盾が生じやすい。
  • 運用の困難化:初期段階で考慮しておくべき点が、抜け落ちる。公開後の運用・メンテナンスが煩雑になり、サイト運営に大きな負荷がかかる。

こういった問題を回避し、効果的に高品質なサイトを生み出すために、サイト設計は重要だ。

1-2. サイト設計に包含される要素

サイト設計は、多角的な要素から成り立っている。

サイト設計とは何か?

どの部分に重みがあるかは、サイトの目的や規模、ユーザー層によって、異なる。

ここでは、サイト設計とは、“既存の設計書テンプレートを穴埋めすれば完了”といった単純なものではないことを、押さえておこう。

サイト設計を実務として機能させるためには、それぞれの状況に合わせて、多種多様な要素を描く必要がある。


2. サイト設計の実践の流れ 8つのステップ

続いて、サイト設計の基本的な流れを、8つのステップに分けて見ていこう。

  1. 目的とKPIを決める
  2. ペルソナを設定する
  3. 競合サイトを分析する
  4. サイトのコンセプトを決める
  5. インスピレーションサイトを探す
  6. SEO戦略の方針を決める
  7. サイトマップを作る
  8. ユーザーフローを作る

2-1. 目的とKPIを決める

目的とKPI

1つめのステップは「目的とKPIを決める」だ。

サイト設計の出発点は、明確な目的とKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の設定である。

《目的》はサイトが目指すべき方向性を定義し、《KPI》はその戦略の実行を評価する

サイト設計の目的は何か。それを達成するための具体的なゴールと、その達成度を何をもって評価するか。これらを十分に検討しよう。

【目的の設定例】

  • ブランド認知度を向上させることで、市場での競争力を確保し、新規顧客の獲得を促進する。
  • 顧客ロイヤルティを高める戦略の一環として、長期的な収益基盤を構築するための顧客関係を強化する。
  • ユーザーエンゲージメントを促進する機能やコンテンツを提供し、製品・サービスの付加価値を高めることで、顧客満足度を向上させる。
  • サステナビリティを促進する取り組みを明示し、企業の社会的責任を全うすることで、企業イメージと信頼性を高める。

【KPIの設定例】

▼ 月間ブランド検索数の増加

  • 目標:2024年第1四半期までに、月間ブランド検索数を現状の10,000回から11,500回(15%増)に引き上げる。
  • 測定方法:Google キーワードプランナーを用いて、月次で検索数を追跡する。
  • 責任者:SEOチームリーダー
  • 期限:2024年6月30日

▼ リピート購入率の向上

  • 目標:2024年第3四半期までに、リピート購入率を現状の18%から25%以上に改善する。
  • 測定方法:CRMシステムでの購入履歴データを分析する。
  • 責任者:カスタマーサクセスマネージャー
  • 期限:2024年12月31日

KPIを設定する際には、明確で意義ある目標設定の指針である、「SMART」の原則を心掛けてほしい。

SMARTは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(時間的制約)の頭文字をとったものである。

SMARTとは

2-2. ペルソナを設定する

ペルソナを設定する

2つめのステップは「ペルソナを設定する」だ。

Webサイトの成功は、ユーザーが何を求め、何を期待しているかを理解することが不可欠である。

この理解を深めるために、ターゲット層のペルソナを設定する。

「ペルソナ」とは?

ペルソナとは、「ターゲット層を実在する人物のように具体的に描く手法」だ。抽象的な “顧客” という概念を、具体的な事物で表現することで明確にしていく。

ペルソナは、架空の人物像ではあるが、想像で作るわけではない。

実際のターゲット層が共通して持っている特性やニーズ、行動パターンなどのデータに基づき、“代表的な顧客像” を作り上げるのがポイントだ。

【ペルソナの例】

ペルソナシート

ペルソナ設定において、一般的に設定される項目は以下のとおりだ。

  • 基本情報:名前、年齢、性別、職業 など
  • デモグラフィック:地域、家族環境、収入レベル など
  • サイコグラフィック:価値観、興味関心、趣味嗜好 など
  • ビヘイビア:購買履歴、ブラウジング習慣、製品使用頻度 など
  • ニーズと課題:解決したい問題、達成したい目標
  • コミュニケーションチャネル:よく利用するメディア、SNS、メール
  • ペインポイント:既存の製品・サービスに対する不満や要望
  • タッチポイント:ブランドと接触する場面や時間、チャネル
  • 決定要因:購入や行動を促す要素

ペルソナを設定することで、顧客理解が深化し、ユーザーの視点でサイト設計をできるようになる。

ペルソナ設定の具体的な手順は、「ペルソナとは?マーケティングを成功させる設定手順と使い方」にて解説しているので、参考にしてほしい。

2-3. 競合サイトを分析する

競合サイトを分析する

3つめのステップは「競合サイトを分析する」だ。

競合には「直接競合」と「間接競合」の2つがある(*1)。まずは直接競合のサイトを2〜5つ選び、十分に分析して、敵をよく知ろう。

*1:直接競合とは同じ製品・サービスを提供している同業他社を指す。一方、間接競合とは、同業ではないが提供するベネフィットが重複しており、同じ顧客ニーズに応えている他社である。

直接競合と間接競合の違い

市場での優位性を確立するためには、まずは直接競合となるサイトを、徹底的に分析するステップが欠かせない。自社の強みと弱みを明確にし、市場でのギャップを特定するために必要である。

【競合サイトの分析要素(例)】

  • サイトマップ:サイトのページ配置やナビゲーション構造、ユーザーフローを理解する。
  • コンテンツ戦略:記事の質、ターゲットキーワード、更新頻度などを調査する。
  • リードマグネット:どのようにリード(見込顧客)の情報を獲得しているか、調査する(ホワイトペーパーのダウンロード、無料試供品の配布など)。
  • SEO対策:獲得キーワード、月間の推定アクセス数、検索順位分布などを調査する。SEOツールを利用するとよい。(*2)
  • SNSサイテーション:ソーシャルメディアでの言及数や影響力を測定する。

*2:バズ部が利用しているSEOツールは「Ahrefs」である。「【Ahrefsの使い方】最初に覚えたい3つの機能と11個の無料版ツール」にて解説している。ほかに「ラッコキーワード」なども、競合調査に有用である。

競合分析を通じて、他社がどのように市場で成功を収めているのか、その戦略と手法を理解する。これは、サイト設計におけるダイレクトなヒントを与えてくれるはずだ。

さらに、自社が提供する製品・サービスが、競合と比較して、どのような独自性や優位性を持っているのかを、ドキュメントにまとめておこう(これを次のステップで使う)。

2-4. サイトのコンセプトを決める

サイトのコンセプトを決める

4つめのステップは「サイトのコンセプトを決める」だ。

ここまでのステップで、以下の情報が出そろった。

  • ステップ1 – 目的、KPI
  • ステップ2 – 顧客理解、ペルソナ設定
  • ステップ3 – 競合の戦略、自社の強み

これらの情報に対して、最も適合性の高いコンセプトを、検討していく。

コンセプトが明確であれば、それに沿ったコンテンツやデザインを容易に作成できる。目標に対する達成度も測定しやすくなる。

一方、このステップを怠ると、サイトは方向性を失う。結果、ユーザーにとって価値の低いサイトとなってしまう可能性が高い。

そもそもコンセプトとは何かといえば、

〈創造された作品や商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点〉

のことをいう(出典:デジタル大辞泉)。

言い換えると、そのサイトが語ろうとしているストーリーであり、解決しようとしている問題に対する答えが、コンセプトだ。

「コンセプト」とは?

コンセプトが含有する要素を分解すると、以下が挙げられる。

  • ミッションステートメント:サイトの存在意義、達成すべき使命
  • コアバリュー:サイトが提供する価値やソリューション
  • ターゲット:顧客ニーズへの対応
  • 差別化:競合とは異なるオリジナリティ

いくつか、例を挙げよう。

【サイトのコンセプトの例】

  • 「エコライフで未来を変える、持続可能な生活の新常識」
    持続可能な生活を提案するライフスタイルサイト
  • 「中小企業も、大企業に匹敵する智恵とパワーを」
    中小企業向けの経営戦略とスキル向上をサポート
  • 「健康は360度、全方位から“自分で”守れる」
    全方位的な健康セルフケア情報とサービスを提供

よいコンセプトかどうかは、“目的・顧客・競合に対して、そのコンセプトがうまく機能するか否か” で評価する必要がある。

あなたのサイトのバックグラウンドを踏まえて、最適なコンセプトを吟味してほしい。

2-5. インスピレーションサイトを探す

インスピレーションサイトを探す

5つめのステップは「インスピレーションサイトを探す」だ。

サイト設計において、他の成功事例から学ぶことは非常に有益だ。同業種や異業種に関わらず、優れたデザインと機能性を持つサイトを訪れ、その要素を分析するのがこのステップである。

ここでは、間接競合や、競合しないサイトも含めて、広くアイデアを求めよう。海外のサイトも、大いに参考になる。

【分析視点の例】

  • UI/UX:ユーザーインターフェイスやユーザーエクスペリエンスの視点から見て、どのような工夫がされているか。たとえば、ユーザーが目的を達成するまでのステップ数や、効率的なナビゲーションなど。
  • ビジュアル要素:カラースキームやブランディングの観点から、どのような一貫性や独自性が感じられるか。
  • メッセージング:キャッチフレーズやコンテンツ内で、ユーザーにどのようなメッセージを発信しているか。
  • コンバージョンファネル:CTA(行動喚起)の配置など、ユーザーが次に何をすべきかをどのように提示しているか。
  • ユーザージャーニー:サイト内でのユーザーの導線がどう設計されているか。
  • サイト構造:グローバルナビゲーションやサブメニューの構造など、情報にどれだけ簡単にアクセスできるか。
  • コンテンツ戦略:コンテンツの種類や数、ボリューム、トピックはどうなっているか。

1〜3個程度のインスピレーションサイトがあると、開発・制作のフェーズで社内外のチームメンバーとの意思疎通がしやすくなる。具体的なイメージを共有しやすいからだ。

また、単に他社の成功をコピーするのではなく、その成功要因を理解し、自社のビジョンに適した形で取り入れることで、サイトの価値を高められる。

2-6. SEO戦略の方針を決める

SEO戦略の方針を決める

6つめのステップは「SEO戦略の方針を決める」だ。

サイト設計の段階でSEOの視点を入れておくことで、SEOに有利なサイトを構築できる。

【サイト設計時に検討しておきたいSEO要素】

  • キーワード選定:ターゲット層が検索するキーワードを事前にリサーチし、それに基づいてコンテンツを作成する。
  • 内部リンク構造:ページ間のリンクを効果的に配置し、ユーザーとクローラーのナビゲーションを容易にする。
  • メタデータ設定:タイトルタグやメタディスクリプションを適切に設定し、検索結果ページ上でのパフォーマンスを高める。
  • コンテンツ品質:ユーザーに価値を提供する高品質なコンテンツを作成し、検索エンジンに評価されるようにする。
  • モバイル対応:モバイルユーザーに配慮した設計によって、SEO評価につながるモバイルフレンドリーなサイトを構築する。
  • ページ表示速度の高速化:ページの読み込み速度を最適化して、ユーザーの快適性を向上するとともに、検索エンジンの評価も高める。

また、既存サイトがあり、リニューアルのサイト設計の場合には、リダイレクトや既存コンテンツの統合などの特別な配慮が必要である。

具体的には、301リダイレクトを適切に設定し、現状の検索エンジン評価の喪失を抑えながら、新サイトへ移行する必要がある。

301リダイレクトとは?SEOへの影響と転送の書き方・設定後の留意点」の記事も参考にしてほしい。

2-7. サイトマップを作る

サイトマップを作る

7つめのステップは「サイトマップを作る」だ。

ステップ6までの実践を踏まえて、それらのアウトプットとしてサイトマップ(設計図)を作成する。

サイトマップの構成図

サイトマップによって、サイト全体の構造を明確にし、ユーザー体験を最適化するためのページの順序を決定する。

【サイトマップ作成の主要な要素】

  • ページ階層:サイト内の各ページが、どのように関連しているかを明示する。
  • コンテンツマッピング:各ページで提供するコンテンツの種類と、その配置を決める。
  • リダイレクト計画:既存のウェブサイトをリニューアルする場合、古いURLから新しいURLへのリダイレクトを計画する。
  • アクセシビリティ:障がいを持つユーザーや高齢者の方々も、利用しやすい設計を考慮する。

なお、サイト構造は、さまざまなパターンがある。そのサイトの目的や目指す方針に合わせて選定する必要がある。ステップ5で集めたインスピレーションサイトを参考にしながら、検討してほしい。

ひとつ、変わった構造を紹介すると「トピッククラスター」という構造がある。柱となるコアトピックのページを作り、そこから多数のサブトピックの記事へ、内部リンクする構造だ。

一般的なオウンドメディアとトピッククラスターの違い

トピッククラスターは、特定のトピックに対するオーソリティを高め、検索順位を押し上げる効果が期待できる。

興味がある方は「トピッククラスターとは何か?SEO効果を倍増させる戦略の実践ガイド」にて確認してほしい。

2-8. ユーザーフローを作る

ユーザーフローを作る

8つめのステップは「ユーザーフローを作る」だ。

サイトマップだけでなく、ユーザーフローも作成することで、サイトのビジネス成果を最大化できる。

リード獲得や売上増加といった目的を持つサイトの場合、とくに重要なステップだ。

ユーザーフローの構成図

【ユーザーフロー作成時の検討事項】

  • シナリオ設定:具体的なユーザーアクションのプロセスを想定する。
  • ページ間の遷移:サイトマップに基づき、各ページ間での遷移を明確にする。
  • CTA配置:各ページでユーザーにどのような行動を促すかを決め、CTA(行動喚起)のタイミングや位置を決める。
  • 障壁の排除:ユーザーがスムーズに目的に到達できるよう、障壁や迷いが生じるポイントを洗い出し、改善する。

ユーザーフローは、テストやレビューを経て修正していくべきものだ。この時点で確定する必要はない(すべきではない)。

ただし、ユーザーフローのドラフト(草案、たたき台)は作っておこう。チームメンバーとのコミュニケーションを初期段階から深化させ、課題や改善を明確にできるからだ。

以上、8つのステップでサイト設計の基本は完成する。

サイト設計が確立された後には、各分野の専門家とスムーズな連携が可能となる。

たとえば、

  • デザイナーとの協業でデザインガイドラインを策定する
  • プログラマーと一緒にテクニカルな要件を明確化する
  • コンテンツクリエイターとともにコンテンツ戦略を練る
  • SEO専門家と検索エンジン最適化の詳細を詰める

──といった具合だ。

サイト設計の質が、完成するサイトの価値に直結する。


3. サイト設計前に復習したい5つのポイント

最後に、「さっそくサイト設計に着手したい」という方向けに、5つのポイントをお伝えしたいと思う。

というのは、サイト設計に取りかかる前に、視点として携えたいポイントがあるのだ。

先に理解しておくことで、サイト設計の質を大幅に向上できる。

  1. ユーザーエクスペリエンスの最適化
  2. ブランドイメージの構築
  3. SEOパフォーマンスの最大化
  4. コンバージョンの向上
  5. 運用の効率化

それぞれの前知識として復習したいポイントもあわせて紹介していく。時間をとって、吸収しながら読み進めてほしい。

3-1. ユーザーエクスペリエンスの最適化

UX

1つめのポイントは「ユーザーエクスペリエンスの最適化」である。

サイト設計において、ユーザーエクスペリエンス(UX)の最適化は、中心的な役割を果たす。

たとえば、サイト設計段階でユーザージャーニーを特定し、フローを設計する。訪問者は、目的の情報やサービスに、容易にアクセスできるようになる。

【UX最適化の例】

  • 情報設計:サイト内の情報を整理し、ユーザーが求める情報に迅速に到達できるようにする。
  • ユーザーフロー:ユーザーが目的に到達するまでのステップを明確にし、無駄な遷移を排除する。
  • レスポンシブデザイン:デバイスに応じてレイアウトを自動調整し、ユーザーがストレスなく閲覧できるようにする。
  • アクセシビリティ:障がいを持つユーザー、高齢の方々、その他さまざまなシチュエーションにあるすべてのユーザーにとって利用しやすいように配慮する。

サイト設計前の復習ポイント

ユーザーエクスペリエンス(UX、ユーザー体験)を高めるために何が必要か、スラスラと答えられるだろうか。

UXの構成要素としては、情報アーキテクチャの第一人者であるピーター・モービルの「ユーザーエクスペリエンスハニカム」が有名だ。

サイト設計に際して、あらためて復習しておこう。

ユーザーエクスペリエンスハニカム

出典:Semantic Studios 「User Experience Design」をもとに作成

  • Useful(役に立つ):専門知識と創造性を発揮し、ユーザーに有用な解決策を提供する。
  • Usable(使いやすい):ユーザーインターフェース以外の要素も考慮し、全体的な使いやすさを追求する。
  • Desirable(望ましい):効率だけでなく、ブランドイメージや感情的要素も大切にする。
  • Findable(見つけやすい):情報や機能が簡単に見つかるように設計する。
  • Accessible(アクセスしやすい):障がいを持つ人々も含め、すべてのユーザーがアクセスできるようにする。
  • Credible(信用できる):ユーザーにとって信用に値するように、デザイン要素も含めて設計する。
  • Valuable(価値がある):そのサイトが為すべき価値を生み出す。

3-2. ブランドイメージの構築

ブランド

2つめのポイントは「ブランドイメージの構築」である。

サイト設計は、ブランドイメージを形成し強化する重要な要素である。一貫したブランドイメージは、ユーザーの信頼や愛着を育み、ブランド価値を向上させる。

【ブランドイメージ構築の例】

  • ロゴ:ロゴのレギュレーションを設定し、一貫した使用法を維持することで、ブランド認知を効果的に高める。
  • カラーパレット:ブランドカラーを用いて統一された世界観を表現し、視覚的な印象を強化する。
  • タイポグラフィ:フォントや文字サイズを統一し、読みやすさとブランドイメージを両立させる。
  • コンテンツ戦略:価値提供を明確にし、ユーザーに対するメッセージを強化する。

サイト設計前の復習ポイント

ブランドイメージを構築するうえで、習得しておきたい知識として「ブランディング」が挙げられる。

ブランディングとは、ユーザーとのあらゆるタッチポイント(接点)で、“ブランドのあるべき姿”を体現し続けることを通じて、ユーザーの心の中での変化を目指す一連の取り組みのことである。

詳細は「ブランディングとは?押さえておくべき基本と利益率を倍増する実践法」にまとめている。あわせて参考にしてほしい。

3-3. SEOパフォーマンスの最大化

SEO

3つめのポイントは「SEOパフォーマンスの最大化」である。

集客を必要とするサイトであれば、SEOは避けて通れない要素である。サイト設計段階でのSEO対策は、後々の調整作業を減らし、検索結果ページでの順位向上に直結する。

【SEO対策の要点】

  • サイト構造:SEOに強いサイト構造を採用することで、SEO的に有利なサイト基盤を構築できる。
  • キーワード戦略:ターゲットとするキーワードを明確にし、それに基づいてコンテンツを作成する。これが検索結果ページでの露出を高める。
  • URL構造:シンプルでわかりやすいURLは、ユーザーだけでなく検索エンジンにも好まれる。URLにキーワードを含めると、さらに有利だ。
  • 内部リンク:ページ間の適切な内部リンクは、サイトの使いやすさを高める。また、検索エンジンがサイトをクロール(巡回)しやすくなる。

設計段階でこれらの要素を考慮すると、SEOパフォーマンスの向上が期待できる。最初からしっかりと対策を施すことが、長期的な成功につながるだろう。

サイト設計前の復習ポイント

SEO知識がないまま、サイト設計をしてしまうと非効率である。概要だけでもよいので、SEOの全体的な情報をキャッチアップしてほしい。

SEO初心者向けマニュアル」では、体系的に情報がまとめられている。目を通しておこう。

バズ部のSEO初心者マニュアル

出典:SEO初心者向けマニュアル

3-4. コンバージョンの向上

CV

4つめのポイントは「コンバージョンの向上」である。

サイト設計の段階で、CTA(Call To Action:行動喚起)の配置や、ユーザーフロー、デザインの最適化を行うことで、ユーザーを目的のアクションへ導きやすくなる。

CTA行動喚起

これらをうまく設計できれば、サイトをローンチした初期から、売上やリードが順調に増加する。

収益に対して優秀なサイトを構築したいなら、コンバージョンまわりの設計を重視しよう。

サイト設計前の復習ポイント

以下にコンバージョン向上に役立つ記事をリストアップした。知識を身につけてから、サイト設計に挑もう。

3-5. 運用の効率化

運用

5つめのポイントは「運用の効率化」である。

どれだけパーフェクトなサイトを完成させたとしても、その後の運用がうまくできなければ、効果はすぐに半減する。

優れたサイト設計は、サイトを持続可能にする運用やメンテナンス、携わるスタッフの業務効率まで、きめ細やかな配慮がなされている。

たとえば、CMS(コンテンツマネジメントシステム)を用いることで、非・技術者でも、容易にサイトの更新が可能である。

サイト設計前の復習ポイント

運用の効率化を検討するうえでの必需品は、「WordPress」だ。

WordPressはオープンソースのCMSで、PHPで書かれており、データベースはMySQLまたはMariaDBで動作する。

プラグインやテーマを用いて、Webの専門知識がない人でも、機能やデザインを簡単にカスタマイズできるのが利点である。

WordPressは世界中で広く利用されており、現在ご覧いただいているバズ部のWebサイトも、WordPressで構築されている。

WordPressの基本的な知識は、以下の記事で身につけてほしい。


4. まとめ

本記事では「サイト設計」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。

サイト設計の実践の流れは、以下のとおりだ。

  1. 目的とKPIを決める
  2. ペルソナを設定する
  3. 競合サイトを分析する
  4. サイトのコンセプトを決める
  5. インスピレーションサイトを探す
  6. SEO戦略の方針を決める
  7. サイトマップを作る
  8. ユーザーフローを作る


サイト設計前に復習したい5つのポイントとして、以下を紹介した。

  1. ユーザーエクスペリエンスの最適化
  2. ブランドイメージの構築
  3. SEOパフォーマンスの最大化
  4. コンバージョンの向上
  5. 運用の効率化

サイト設計は、多くの要素を考慮しながら進めるべきプロセスだ。ターゲット層となるユーザーを十分に理解し、手順を踏んでひとつずつ取り組むことで、価値あるサイトを創造できる。

なお、サイトの作り方は、そのサイトの種類や方向性によっても変わってくる。以下の記事も、参考にしてほしい。

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