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12/18水13:00〜15:30
「オウンドメディアを構築したい」
と考えたら、ファーストステップとして、ざっくりでもよいので全体像からつかむことが重要である。
▼ 全体像:
● そもそもオウンドメディアって?
● 必要なリソースは?
● 外注する?内製する?
● 費用は?リードタイムは?
● 成功させるにはどうすればいい?
多くのオウンドメディア担当者は、細かな部分から把握して構築を進めていくために、大きなビジネス成果を手にするのが遅くなる。
まして、成功のキーファクターにたどり着くのは、運営開始して、数年の試行錯誤を経たあとだ。
たしかに、オウンドメディア構築では、種々雑多なタスクが発生するため無理もない。しかし、本記事にたどり着いたあなたには、「重要ポイント」を効率的につかんで、成功の道をショートカットしてほしい。
本記事では、
「この情報を、オウンドメディアを構築する前に知りたかった……!」
といわれる情報をまとめている。さっそく見ていこう。
目次
まずは事前に押さえておきたい基礎情報から整理しておこう。
そもそも「オウンドメディア」とは何か?といえば、所有しているメディアのことである。
自社で管理・運営するメディア(=情報を発信する媒体)のことを、オウンドメディアという。
重要な視点として、
「ペイドメディア(*1)をはじめとする他メディアとは、明らかな一線を画すメディアを構築しないと、ビジネス成果は得られない」
という点を抑えてほしい。
*1:オウンドメディアやペイドメディアは、以下のPESOモデルで使われる用語である。
● 【P】広告費を支払って掲載する「ペイドメディア」
● 【E】新聞雑誌・ニュースサイトなど第三者が運営する「アーンドメディア」
● 【S】SNSを中心とする「シェアードメディア」
● 【O】上記以外の自社所有のメディア「オウンドメディア」
とくに、これまでに広告宣伝や広報活動の実績がある企業ほど、オウンドメディアに対する視点転換に失敗して、「広告販促物としてのWebサイト」を構築してしまう。
しかし、オウンドメディアは、広告販促物ではないからこそ、効果があるのだ。
では、オウンドメディアに何を掲載すべきかといえば、
「ユーザーにとって、真に価値のある、良質なコンテンツ(≠広告販促)」
である。
オウンドメディアとは、コンテンツマーケティング施策なのだ。
コンテンツマーケティングとは、ユーザーに質の高いコンテンツを提供し、強い関係を構築することを目指す、長期的な戦略のことである。
オウンドメディアを構築する前に、
「コンテンツマーケティングとは?|広告費ゼロで10倍の売上を達成した手法」
に目を通していただき、視点を完全にシフトしてほしい。
オウンドメディアでは、広告販促を行わないのに、なぜ、ビジネス成果につながるのだろうか。
構造を理解してほしいのだが、
「ユーザーに売り込みや営業をするのでなく、役立つ情報や楽しんでもらえるコンテンツなど、価値ある情報財を無償で差し出すと、ユーザーとブランドとの間に感情的な結びつき(絆)が生まれる」
という現象が観測される。
オウンドメディアとは、「ユーザーとブランドとの間に、絆をつくるための場所」とイメージしよう。
オウンドメディアで培われた絆(ユーザーとの良好な関係)が源泉となって、ビジネス成果が生まれる。
▼ オウンドメディアが生み出すビジネス成果の例
● 売上獲得(セールス)
● 見込顧客の獲得(リードジェネレーション)
● ブランド認知の拡大
● 既存顧客のロイヤルティ向上
● その他
「オウンドメディアがいいと聞いて……」
と、構築に乗り出す企業担当者の多くは、このオウンドメディアの構造を理解していない。
絆づくりなど眼中になく、ダイレクトに売上を獲得しようとして、失敗する。
繰り返しになるが、この理解が甘いと良質なオウンドメディアは構築できない。まずはコンテンツマーケティングについて、理解を深めてほしい。
先に紹介した記事のほか、以下のページもおすすめである。
近年では、コンテンツマーケティングの概念が浸透しつつあるが、それでも、
「オウンドメディアを作れば、儲かる」
といった、安易で誤った期待を抱いている人が多い。
しかし、オウンドメディアで結果を出している企業は、驚くほどのエネルギーを、オウンドメディアに注ぎ込んでいることを知ってほしい。
オウンドメディアを正しく作ると儲かるのは事実だが、その道はけして簡単ではない。
▼ オウンドメディア必要なエネルギー
● 熱意
● 経営者や責任者が費やす時間
● 不足人材の新規採用
● 外注コスト
具体的に、どんなリソースが必要となるのか、次章で解説する。
オウンドメディア構築のために確保すべきリソースは、大きく4つに分けられる。
リソース | 職種例 |
オウンドメディアの企画・設計をするビジネス戦略脳 | ・社長、役員 |
サイトを立ち上げるWeb技術とWebデザイン | ・Webエンジニア、Webプログラマー |
コンテンツを制作するマーケティングとクリエイティブ | ・編集長、ディレクター |
トラフィックを獲得するためのSEO | ・Webマーケター |
それぞれ見ていこう。
まず、非常に重要な「オウンドメディアの企画・設計をするビジネス戦略脳」である。
経営者(あるいは経営やマーケティングに精通した担当者)が、企画段階から深く入り込んで、高精度のビジネス戦略を練ることが、成功には欠かせない。
実際、私たちバズ部のクライアント事例を見ても、会社の代表や役員、マーケティング責任者が、企画から“本気の参加”をしたオウンドメディアの収益成長は、凄まじい勢いである。
オウンドメディア構築は、経営者にとって重要度の高い施策なのだ。
しかし一般的には、
「現場の若手に、オウンドメディアを作るよう指示して丸投げする」
といったケースが多く見られる。
このやり方では、ビジネス成果は出にくい。高度なビジネス戦略視点での練り込みが、足りないからだ。
オウンドメディアで結果を出すためには、会社の頭脳である経営幹部や責任者のリソースを、オウンドメディアのために確保してほしい。
次に「サイトを立ち上げるWeb技術とWebデザイン」は必要不可欠だ。
Web技術は、サーバー、ドメイン、データベース、コンテンツ管理システム(CMS)など、Webサイトの構築に必要なスキルを指す。
Webデザインは、Webサイトの仕様に合わせたフォーマットで行われるデザインだ。
紙媒体と違い、Web特有の制約やフォーマットに合わせてデザインする技術と、最適なビジュアルを創る表現力の、双方が求められる。
職種として表すと、以下の人たちのリソースを確保する必要がある。
● Webエンジニア、Webプログラマー
● Webデザイナー
Web技術とWebデザインの力があれば、とりあえず「箱(ガワ)」はできあがる。
しかし、オウンドメディアは中身が重要である。
先にも述べたとおり、
「ユーザーにとって、真に価値のある、良質なコンテンツ」
を箱の中に入れなければ、オウンドメディアとして機能しない。
そこで、コンテンツづくりのリソースとして、「マーケティングとクリエイティブ」が必要となる。
クリエイティブのリソースを職種でいえば、コンテンツクリエイターの人たちだ。
● 記事を執筆するライター
● 図表やイメージ画像を作るデザイナー
● 挿入写真を撮影するカメラマン
● その他 クリエイター
そして、コンテンツクリエイターたちを、マーケティングとクリエイティブの双方の視点から、統合的にディレクションする人が必要となる。
企業によって呼び方は異なるが、編集長やディレクターといった存在だ。
編集長やディレクターは、コンテンツのトピックの選定、コンテンツクリエイターのアサイン、上がってきた記事の校正や編集、修正指示を行い、オウンドメディアを運営していく。
くわえて、細かな点だが、クリエイターが制作したコンテンツを、オウンドメディアにアップロード作業する担当者も必要となる。
WebエンジニアやWebデザイナーほど専門的なWeb知識は必要ないが、ある程度、Webに精通していなければならない。
HTML、CSS、画像ファイルの扱いなど、最低限の基礎知識は求められる。
最後に、4つめのリソースとして、オウンドメディアとは切っても切り離せない関係にあるのが「SEO(検索エンジン最適化)」である。
構築したオウンドメディアへの集客の主軸が、SEO施策となるからだ。
SEO施策を実践することで、Googleの検索結果ページからトラフィックを獲得し、オウンドメディアにアクセスするユーザーを増やす。
ペイドメディア(広告)を使って集客するやり方もあるが、コストがかかる。
できるだけ、無料のオーガニック検索からアクセスを集められるよう、SEOを実践することが必要となる。
以上からわかるとおり、オウンドメディア構築には、さまざまな分野のリソースが必要となる。
「オウンドメディア構築を外注するか?社内で内製するか?」
という点が、迷いどころだ。
実例として多いのは、以下の4パターンである。
● すべて外注する
● サイト立ち上げのみ外注する
● すべて内製する
● 部分的に外注する
それぞれ一長一短あるので、詳しく見ていこう。
まず1つめのパターンとして、すべて外注するやり方がある。
リソース | 進め方 |
オウンドメディアの企画・設計をするビジネス戦略脳 | → コンサルティング支援を受ける |
サイトを立ち上げるWeb技術とWebデザイン | → 一式依頼する |
コンテンツを制作するマーケティングとクリエイティブ | → コンサルティング支援を受ける |
トラフィックを獲得するためのSEO | → 一式依頼する |
※ “すべて外注”といっても、ブランドにとって重要な思いや頭脳(ビジネス戦略やコンテンツ制作)の100% 丸投げは難しいので、これらはコンサルティング支援を受けるイメージである。
このパターンをおすすめするのは、初めてオウンドメディアを構築する企業だ。
「正直なところ、どこから手を付けていいか、わからない」
という声をよく聞く。
独学でWebの知識を身につけようともがくうちに、貴重な時間を無駄にする例が後を絶たない。
遠回りして結局外注するくらいなら、最初から外注したほうが早いだろう。
外注する際に避けたいのは、
「過去に、コーポレートサイトやECサイトの制作を依頼した、付き合いのあるWeb制作会社」
に、オウンドメディア構築を依頼することである。
本当によくある失敗で、これをやってうまくいかず、作り直しの依頼を受けることがある。
失敗する理由は、コーポレートサイト・ECサイトと、オウンドメディアでは、構造も考え方もまったく異なるためである。
たとえるなら、中華料理店でフランス料理をオーダーするようなものだ。大分類(料理)は同じでも、使う材料やアプローチがまったく異なる。
“付き合いのあるWeb制作会社”が、コンテンツマーケティングに強ければ問題ない。そうでなければ、新たにコンテンツマーケティングに強い依頼先を、探してほしい。
すべて外注する場合の予算感とリードタイムは、以下のとおりだ。
費用の相場 | 1000万円〜 |
リードタイム(発注〜納品まで) | 1年〜 |
※参考までに、 バズ部の上記に該当するサービスは「オウンドメディア立ち上げサービス」にて紹介している。
2つめのパターンは、サイト立ち上げのみ外注するやり方だ。
リソース | 進め方 |
オウンドメディアの企画・設計をするビジネス戦略脳 | (社内) |
サイトを立ち上げるWeb技術とWebデザイン | → 一式依頼する |
コンテンツを制作するマーケティングとクリエイティブ | (社内) |
トラフィックを獲得するためのSEO | (社内) |
すでにオウンドメディアを運営した経験があり、社内に知見がある場合は、サイト(箱)を立ち上げる導入部分のみ、外注するのがよいだろう。
WebエンジニアやWebデザイナーのリソースのみ、外部を使うイメージである。
サイト構築の際に、SEO観点の指示出しができるのであれば、前述の、
「過去に、コーポレートサイトやECサイトの制作を依頼した、付き合いのあるWeb制作会社」
への依頼でも問題ない。
ブランディングに注力していて、デザイン性や世界観を重視するブランドの場合、オウンドメディアのデザイン的なクオリティに、妥協したくないはずだ。
そういった場合は、Webデザイン部分を外注することで、デザインレベルを担保することができる。
サイト立ち上げのみ外注する場合の予算感とリードタイムは、以下のとおりだ。
費用の相場 | 150万円〜300万円 |
リードタイム(発注〜納品まで) | 1-2ヶ月 |
3つめのパターンは、すべて社内スタッフでまかない、内製するやり方だ。
リソース | 進め方 |
オウンドメディアの企画・設計をするビジネス戦略脳 | (社内) |
サイトを立ち上げるWeb技術とWebデザイン | (社内) |
コンテンツを制作するマーケティングとクリエイティブ | (社内) |
トラフィックを獲得するためのSEO | (社内) |
社内にWebチームや制作チームがあり、コンテンツマーケティングの素養もあり、かつ、それぞれの担当者がオウンドメディアに割くリソースに余裕がある場合は、すべて内製することを検討してみよう。
すでに複数のオウンドメディアを構築した経験があり、それらが成功しているのであれば、内製するのはよい選択肢といえる。
一方、「コストをかけないで作りたいから、全部を社内でやる」という発想であれば、おすすめできない。
作って無駄にならない、成功するオウンドメディアを作るためには、先にも述べたとおりエネルギーが必要だからだ。
すべて内製する場合の予算感とリードタイムは、以下のとおりだ。
費用の相場 | 0円(ただし社内リソース・人件費は発生する) |
リードタイム(発注〜納品まで) | 1週間〜1ヶ月 |
※オウンドメディアを手作りする場合には、
「【オウンドメディアの作り方】成功に不可欠なポイントと実践の流れ」
の記事を参考にしてほしい。どんな手順で実践していけばよいか、指南する内容となっている。
最後に、4つめのパターンは部分的に外注するやり方だ。
リソース | 進め方 |
オウンドメディアの企画・設計をするビジネス戦略脳 | → 一部を依頼する |
サイトを立ち上げるWeb技術とWebデザイン | → 一部を依頼する |
コンテンツを制作するマーケティングとクリエイティブ | → 一部を依頼する |
トラフィックを獲得するためのSEO | → 一部を依頼する |
自社の強みを活かし、不足分だけサポートを受けたいときには、より細かく部分的な外注がよいだろう。
たとえば、私たちバズ部でよくお手伝いさせていただくのは、
「コンテンツを制作するマーケティングとクリエイティブ」
の部分のサポートである。
「毎月10記事」といった具合に、記事制作を代行し、良質なコンテンツが継続的にオウンドメディアに供給される仕組みを提供している。
部分的に外注する場合の予算感とリードタイムは、以下のとおりだ。
費用の相場 | 30万円〜 |
リードタイム(発注〜納品まで) | 1ヶ月〜 |
最後に、オウンドメディア構築に成功する企業の特徴を3つ、お伝えしよう。
1つめは「何を目指すのか、ミッションが明確である」ことだ。
顧客や社会のために何ができるのか、自社のあり方を考えていて、
“オウンドメディアを通じて●●を成し遂げたい”
という使命が明確な企業は、非常に優れたオウンドメディアを構築する傾向にある。
その理由は2つあり、1つめはユーザーから支持されやすいからだ。人は、人の思いに共鳴する。
もう1つの理由は、ミッションはアイデンティティを形成するからである。
ミッションがあることで、他者とハッキリ区別される、差別化されて異彩を放つオウンドメディアができあがる。
オウンドメディアの構築を進める際には「ミッションドリブン」であることを、意識してほしい。
2つめは「既存の概念にとらわれず、コンテンツマーケティングを柔軟に理解している」ことである。
コンテンツマーケティングの概念は逆説的(=売らないと売れる)なので、既存のマーケティングに浸かってきた人は、なかなか理解できない。
もちろん、言葉もコンセプトも“知っている”という人がほとんどだが、本質が肚落ちしている人には、なかなか出会えない。
逆に、本質を理解している人が手がけているオウンドメディアは、百発百中でうまくいっている。
自分が過去にやってきたマーケティングの既成概念から切り替え、コンテンツマーケティングを柔軟に吸収することが、オウンドメディアを成功に導く。
3つめは「ユーザーに価値を届けたいという根底の倫理観が光っている」ことだ。
キレイごとに聞こえるかもしれないが、
「ユーザーのために役立ちたい」
という純粋な思いで作られたオウンドメディアに、人は集まる。
書かれている情報の有益性や、読み手に対する思いやり、読んだあとの人生が幸せでありますようにという思いが、コンテンツの質となって表れるからだ。
“ユーザーのため”を、とことん思って構築することが、最大の成功要因である。
本記事では「オウンドメディアの構築」をテーマに解説した。要点を簡単にまとめておこう。
オウンドメディア構築に着手する前の基礎情報として、以下を紹介した。
● オウンドメディア=価値あるコンテンツを発信する場
● 「培われた絆」が源泉となって莫大なビジネス成果が生まれる
● リソース確保がカギを握る
オウンドメディア構築に必要な4つのリソースは次のとおりだ。
● オウンドメディアの企画・設計をするビジネス戦略脳
● サイトを立ち上げるWeb技術とWebデザイン
● コンテンツを制作するマーケティングとクリエイティブ
● トラフィックを獲得するためのSEO
オウンドメディア構築のやり方(外注/内製)4パターンの特徴を紹介した。
● パターン1:すべて外注する
● パターン2:サイト立ち上げのみ外注する
● パターン3:すべて内製する
● パターン4:部分的に外注する
オウンドメディア構築に成功する企業の特徴として、以下が挙げられる。
● 「何を目指すのか」ミッションが明確である
● 既存の概念にとらわれずコンテンツマーケティングを柔軟に理解している
● ユーザーに価値を届けたいという根底の倫理観が光っている
オウンドメディア構築の際には、成功事例を見ることも、有益である。「本当に役に立つオウンドメディア事例7選【バズ部の詳しい解説付き】」にまとめたので、参考にしていただければと思う。
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