- オンライン
11/27水19:00〜20:00
「オウンドメディアの作り方を知りたい」
という方へ結論からいえば、“ただメディアを作るだけ”なら、カンタンだ。知識がなくてもオウンドメディアを作れるツールは、多数ある。
しかし、多くの場合、
「オウンドメディアを作り、その果実として、ビジネス成果を得たい」
といった“目的”があるだろう。
新規顧客の獲得、売上アップ、ブランディングなど、ビジネスに寄与する優れたオウンドメディアを作るには、絶対に外してはいけないポイントがある。
ポイントを外したまま、箱(サイト)だけ作っても、うまくいかない。
本記事では「実利を得られるオウンドメディアの作り方」をテーマに解説する。具体的には、以下の内容で構成した。
【マインド編】
● 初めてオウンドメディアを作る人が押さえるべき前知識
● 成功するために絶対不可欠のポイント
【実践編】
● 企画
● サイト構築
● コンテンツ制作
オウンドメディアの規模にかかわらず、着手前に目を通してほしい。成功度を、確実に上げられるはずだ。
目次
まずは、
「そもそもオウンドメディアとは何か?」
について、理解するところから始めよう。
オウンドメディア(Owned Media)とは、「所有メディア、自社メディア」という意味である。
簡単にいえば、自社で運営管理しているWebサイトやブログを指す。
今、ご覧いただいている「バズ部」も、オウンドメディアである。
自社所有でも、セールス目的のECサイトやランディングページは、オウンドメディアに含まないのが、一般的な解釈だ。
メディアとは、“情報伝達の媒介となるもの”という意味で、情報発信やコミュニケーションを目的とした媒体を指すためである。
「自社ブログ」「自社サイト」といった表現ではなく、あえて「オウンドメディア」の語が使われるのはなぜか。
「オウンドメディア」の語は、マーケティングで使うメディアを4種類に分けるフレームワーク「PESOモデル」からきている。
▼ PESOモデル
【P】Paid(有料) | 有料の広告、スポンサー付きコンテンツなど |
【E】Earned(獲得) | パブリシティ、プレスリリース、テレビ・新聞の報道など |
【S】Shared(共有) | ソーシャルメディアなど |
【O】Owned(自社) | 自社所有のメディア、ブログなど |
補足として、PSEOの前身にあたるモデルとして「トリプルメディア」がある。
トリプルメディアは、“ペイド/アーンド/オウンドメディア”の3分類で、シェアードメディアの概念はアーンドメディアに含まれていた。
近年は、アーンドメディアから「シェアードメディア」を独立させた、上記の「PSEOモデル」がよく使われている。
PSEOの文脈でオウンドメディアを理解する利点は、ほかのメディアと異なる“オウンドメディアの特徴”が際立つことにある。
広告宣伝を行うペイドメディアや、第三者によるアーンドメディアと異なり、
「自社が運営するメディア」
であることの意義を、いま一度、考えてみてほしい。
せっかくオウンドメディアを立ち上げても、広告宣伝の場であってはペイドメディアと変わらない。自社の思いを伝えないなら、アーンドメディアでもよいだろう。
では、具体的にオウンドメディアの意義とは何だろうか。
端的にいえば「コンテンツマーケティングの実践場」である。
コンテンツマーケティングとは、
「ユーザーの役に立ったり、楽しませたり、人生を幸せにしたりするような、価値のある情報財を無償で提供することで、ユーザーとの深い絆(感情的な結びつき)を作る活動」
を指す。
成功するオウンドメディアとは、高レベルなコンテンツマーケティングを実践できる装置のことである。
コンテンツマーケティングの知識なしに、オウンドメディアづくりを進めることほど、中身のない仕事はない。
しかし、「オウンドメディアは儲かるらしい」という表面的なイメージが先行して、中身のないオウンドメディアが量産されている現実がある。このことを、私たちは非常に危惧している。
これからオウンドメディアを作る方(とくに初心者の方)は、コンテンツマーケティングの理解から着手してほしい。
「ハズ部が教えるコンテンツマーケティング101」を見ていただくと、基本的な知識が身につくはずだ。
冒頭で、
「優れたオウンドメディアを作るには、外せないポイントがある」
と述べた。それは、以下の3つである。
● 売り込まず『コンテンツ』でユーザーの役に立つ
● 『SEO』を学んで実践しアクセス数を確保する
● 運営し続ける『エネルギー』をコミットする
それぞれ見ていこう。
1つめは「売り込まず『コンテンツ』でユーザーの役に立つ」ことである。
先ほどコンテンツマーケティングの話をしたばかりで、しつこいことは承知のうえだが、口を酸っぱくしていわせてほしい。
オウンドメディアでは、売り込むよりも、ユーザーのためを純粋に思い、価値あるコンテンツで献身する姿勢を貫き通すべきである。
これは聖人君子たれという話ではなく、逆説的だが「売らないほうが、圧倒的に売れる」という話をしている。
広告・販促・PRにまみれたデジタル社会で、自社が異彩を放ち、ユーザーから支持される戦略として、「売り込まないオウンドメディア」があるのだ。
繰り返すが、オウンドメディアで重要なのはコンテンツの力である。このマインドセットを最初にしっかりしていれば、大きな失敗をすることはない。
多くの人は、オウンドメディアを続けているうちに、売り込みたくなってきて、ブレる。
一時的には、売り込んで収益が上がることもあるため抜け出せなくなり、そのままオウンドメディアは失敗する。くれぐれも注意してほしい。
2つめは「『SEO』を学んで実践しアクセス数を確保する」ことである。
SEOとは「検索エンジン最適化」のことだが、どんなイメージをお持ちだろうか。
一時期、悪質なSEO業者がはびこった影響もあり、ネガティブなイメージを持つ人が多いようだ。
しかし、本来のSEOは、悪いことでもズルをすることでも、お金がかかることでもない。
少し踏み込んだ言い方をすれば、
「Googleという会社が掲げるミッションを理解して、その思いに共感し、足並みをそろえること」
が、SEOであるといえる。
Googleは、悪質なサイトや間違った情報を排除して、ユーザーに高い価値を届けたいと思っている。
Googleの理念やルール(*1)を学んで最適化することは、コンテンツマーケティングの目指す方向性と完全に合致する。
そのようなSEOは、Googleを経由したアクセス数の爆増とともに、コンテンツマーケティングの鍛錬というかけがえのない財産を、社内にもたらしてくれる。
*1:Googleがどんな理念・ルールを掲げているのかについては、
「Googleのアルゴリズムとは?2022最新アップデートから対策まで解説」
に目を通すと、理解できる。
3つめは「運営し続ける『エネルギー』をコミットする」ことである。
オウンドメディアづくりにチャレンジするすべての方に、最初に断っておきたいのだが、オウンドメディアを作ったあと、運営し続けることは、非常に大変で、困難で、エネルギーが必要である。
多くの企業が、途中で挫折し、投げ出しているのが現状だ。甘くはない。
かける時間や費用といったリソースはもちろんだが、担当者や関わる内外チームの「パッション(熱意)」「モチベーション」といった意味でも、高カロリーが必要なのだ。
オウンドメディアの運営は、モチベーションをマックスに高めて維持し続けないと成功できないが、それが難しい。
逆にいえば、それができれば、オウンドメディアは成功できる。
さて、ここからはマインド編から【実践編】へ移る。まずは企画だ。
先ほど、
「オウンドメディアの運営は、モチベーションをマックスに高めて維持し続けないと成功できない」
と述べた。成功するオウンドメディアは、なぜモチベーションを維持できるのか。その答えは、「ミッション」があるからだ。
たとえば、今ご覧いただいているオウンドメディア「バズ部」は、関わるすべての人間のモチベーションが、異様に高い。
その理由は、以下のミッションに、ベクトルが集中しているからである。
▼ バズ部のミッション
● 売上アップに悩んでいる企業が、Webマーケティングの力を使い、低コストかつ短期間(半年から3年)で、業界のトップを取れるようにする
● そのために“真に良質なコンテンツ”を、一貫して提供し続ける
ミッションがあるから、思いが一点に集中し、熱意が生まれる。熱意がエネルギーを生み、手間暇と真心を込めて創り上げた、良質なコンテンツができあがる。
ぜひ、自社のオウンドメディアのミッションを、丁寧に、深く、考えてみてほしい。
次に、
「届けたい相手は誰か?」
を明確にしよう。
オウンドメディアでやるべきことは、シンプルに「相手のためになる情報を届けること」である。
どんな情報がその人のためになるのか?は、
「相手がどんな人で、何に困っていて、何が好きで(何が嫌いで)、これからどうなりたいと思っているのか?」
によって変わる。
オウンドメディアの相手を、明確にするためのマーケティングツールが「ペルソナ」だ。
ペルソナとは、マーケティング戦略で使用される象徴的な仮想ユーザーのことである。
以下のようなペルソナシートにまとめることで、オウンドメディアの情報を届けたい相手が、明確になる。
実際のペルソナ設定方法は、以下の記事を参考にしながら進めてほしい。
▼ ペルソナの参考記事
※簡単に流れだけ紹介しておくと、以下の5つのステップで設定する。
出典:ペルソナとは?マーケティングを成功させる設定手順と使い方
ミッションとペルソナが明確になると、
「どんなオウンドメディアを作るべきか?」
の方針が、おのずと浮かんでくるはずだ。
その方針を言語化し、「クリエイティブブリーフ」として、ドキュメントにまとめてほしい。
▼ ドキュメントの例(社内に既存フォーマットがあればそれを利用する)
クリエイティブブリーフ
ミッション(何を成し遂げたか)
ターゲット(誰に話しかけるか?)
プロポジション(どんな価値を提供するのか?)
ストラテジー(どんな作戦で実行するのか?)
トーン&マナー(どんなデザイン・テイストにするのか?)
頭の中のイメージを、ドキュメントに可視化することで、ブラッシュアップできるようになる。
同時に、オウンドメディアにかかわる社内外のチームメンバーと共有することで、ブレが起きなくなる。
なお、方針がスムーズに浮かんでこない場合、ミッションとペルソナの設定がまだ甘い。
無理やり先に進めずに、クリエイティブブリーフをスラスラ書ける状態になるまで、ミッションとペルソナを詰めていこう。
オウンドメディアの企画が見えてきたら、次は実際に組み立てるフェーズに入る。
まず、誰が・何をするのか?を整理しよう。外注する場合も、どの部分を・どの会社へ外注するのかを決めていく。
サイトの構築に必要になるリソースは、おもに以下のとおりだ。
リソース | 職種例 |
オウンドメディアの企画・設計をするビジネス戦略脳 | ・社長、役員 |
サイトを立ち上げるWeb技術とWebデザイン | ・Webエンジニア、Webプログラマー |
コンテンツを制作するマーケティングとクリエイティブ | ・編集長、ディレクター |
トラフィックを獲得するためのSEO | ・Webマーケター |
上記リソースの配分方法や、外注・内製の考え方は、別途「オウンドメディア構築のやり方と費用・リードタイムの目安を解説」にまとめたので、参照してほしい。
次のフェーズは、サイト設計と要件定義だ。
サイト設計では、以下のようなサイトの構造を、どうするかを決めていく。
上記の白枠に書かれている[靴][スニーカー]などは、ユーザーがGoogleで入力する検索キーワードを想定している。
オウンドメディアのポイントとして「2-2. 『SEO』を学んで実践しアクセス数を確保する」とお伝えした。
SEOのために、検索キーワードを主軸にサイト設計するのが、オウンドメディアの重要なコツである。
検索キーワードの選定からサイト構造を決定するまでのやり方は、
「キーワード選定|圧倒的集客を実現するコンテンツプランニングと絶対やるべき3つの事 」
にて詳説しているので、参考にしてほしい。
流れだけ抜粋すると、以下の4つのステップを実践する。
設計したサイト構造や、その他の要件は、WebエンジニアやWebデザイナーにとってわかりやすいよう、「要件定義書」としてまとめておこう。
外注する場合、外注先の会社が使用している要件定義シートに基づいてヒアリングされたり、記入を依頼されたりするケースが多い。
内製する場合や、要件定義シートのフォーマットがない場合は、ランサーズの以下のページにあるシートが参考になるだろう。
要件定義まで済んだら、サイトの開発・制作を行う。Webエンジニアや、Webデザイナーが手を動かすフェーズだ。
完成すると、「オウンドメディアの箱」まで、できあがった状態となる。
「Webエンジニアや、Webデザイナーに依頼せずに、自力でサイトの開発・制作をやりたい」
という場合は、選択肢は「WordPress(ワードプレス)」を使ったサイト構築となる。
WordPressはCMS(コンテンツマネジメントシステム)と呼ばれるソフトウェアだ。
ごく簡単に理解するなら、
「知識がなくても、自社サイトのサーバーで、ブログシステムが使えるようになるツール」
と覚えておこう。
デザインの作り込みは除き、WordPressをサーバーにインストールするだけの作業なら、5分程度で完了する(すでに自社サイトのドメイン、サーバーがある状態で、サーバーにインストール機能が付いている場合)。
具体的な手順は「初心者でも簡単に出来る WordPress のインストール方法」を見ながら、実践してほしい。
オウンドメディアが立ち上がって「箱」ができあがったら、中身(コンテンツ)を制作していく。
この「コンテンツ制作」のフェーズは、終わることがない。永久に続けていくべきプロセスである。
具体的にやることは、以下の4ステップだ。
検索キーワードの選定は、先ほど「4-2. サイト設計・要件定義」の項でも行ったが、制作フェーズに移ってからも、常に実施する重要タスクとなる。
基本的には、「1キーワードに対して、1つのページ(記事)」を制作するように、キーワードを選定してリソースを配分する。
たとえば、毎月10記事分を制作するリソースがあるなら、10個のキーワードを優先度の高い順に選定する、という具合だ。
キーワード選定の手法は、以下で解説している。
キーワードを選定したら、キーワードごとにコンテンツの設計を行う。
上記を熟考した上で、コンテンツの設計図を作ろう。
たとえば、以下は[コンテンツマーケティング]の検索キーワードに対応する、プランニングシートである。
キーワード | コンテンツマーケティング |
検索数 | 1600 |
仮タイトル | 本当のコンテンツマーケティング:弊社が広告を一切使わずに毎月○○人の新規客や紹介客を獲得し続けている方法 |
書き出し | きっと、あなたの会社は、PPC広告に頼った集客をしていることだろう。そしてPPC広告の単価が上昇している影響で利益率はどんどん下がってきているのではないだろか。さらに、「今はまだいいが、このままでは3年後はどうなっているのだろう」と将来の売上に対する不安が日に日に募っていることだろう。一方、自社の話で恐縮だが、バズ部は、全くPPC広告を出すことがなく、毎月好きなだけ反響や問い合わせを得ることができている。 なぜか? それは、バズ部がユーザーの役に立つ様々なコンテンツを公開して届けているからだ。このように、コンテンツによって、潜在顧客から認知され、しかるべきステップを経て購入してもらうまでの一連の流れを組み立てることをコンテンツマーケティングと言う。本日は、バズ部が行っているコンテンツマーケティングの結果や、実際に行っている具体的なノウハウをご紹介する。是非参考にしてほしい。 |
本文 | 1. 本質的なコンテンツを追求すれば従来のマーケティングの100倍成果が出る! 2.コンテンツマーケティングの成否を分けるポイント 3. コンテンツマーケティングの全体像(メカニズム) 4. バズ部がコンテンツを作るために何をやっているのか? 5. まとめ |
結論 | コンテンツマーケティングとは、ユーザーに対して提供しうる最大の価値を届けるということ |
プランニングの道筋は、
「コンテンツSEOとは?効率的に成果を出すやり方4ステップと成功の秘訣」
も参考にしてほしい。
コンテンツの設計ができたら、設計に基づいて、コンテンツを作っていく。
「そのキーワードを検索したユーザーのニーズを十分に満たし、120%以上、満足してもらえる情報」
をテキストで書き、必要な部分は画像イメージや図解も使い、1つの記事を創り上げていくプロセスだ。
ここで「どうやって記事を書いたらいいかわからない」というのは、よく聞く悩みである。
以下に参考になる記事をリンクするので、ぜひ目を通してほしい。
できあがったコンテンツはオウンドメディア上にアップロードする。
WordPressの操作については「WordPressとは│集客できるブログの作り方まとめ」にて、まとめているので、困ったときには活用してほしい。
アップした記事は、そのまま放置ではなく、効果測定をして、ブラッシュアップしていくことが、オウンドメディアの成果を確実なものにしてくれる。
▼ 参考記事:
検索キーワードの性質によっては、短いスパン(1ヶ月に1回など)で更新することで、SEOの効果が高まるケースもある。
詳しくは「【2022年】SEO成果を最大化する更新頻度とは?検索順位を高める方法」の記事も、あわせて参考にしてほしい。
以上が、オウンドメディアの作り方、一連の流れとなる。
ここからが本番であり、コンテンツを充実させていく努力が必要だが、まずはこのフェーズまでたどり着くよう、着手してみてほしい。
本記事では「オウンドメディアの作り方」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。
▼ 【マインド編-1】前知識
● オウンドメディアとは自社で管理・運営しているWebサイトやブログのこと
● PESOモデル上「オウンドメディア」と呼ばれる
● ペイドメディアやアーンドメディアと異なる意義を理解する
● オウンドメディア=コンテンツマーケティングの実践場
▼ 【マインド編-2】外せないポイント
● 売り込まず『コンテンツ』でユーザーの役に立つ
● 『SEO』を学んで実践しアクセス数を確保する
● 運営し続ける『エネルギー』をコミットする
▼ 【実践編-1】企画
● メディアのミッションは何か?
● 届けたい相手(ペルソナ)は誰か?
● クリエイティブブリーフに方針をまとめる
▼ 【実践編-2】サイトの構築
● 担当者のアサイン
● サイト設計・要件定義
● サイトの立ち上げ
▼ 【実践編-3】コンテンツ制作
● キーワード選定
● コンテンツ設計
● コンテンツ制作
● コンテンツ改良
最初のモチベーションを維持して、コンテンツ制作のプロセスを長期的に継続することが、オウンドメディア成功のカギを握る。
最初からそれを見据えて取り組めば、成功しやすい。この記事を読んでくださったあなたなら、きっと実現できるはずだ。
広告に頼り切ったマーケティングの打開策としてコンテンツマーケティングについて調べているけれど、よく分からないと悩んでいませんか?
本書は弊社やクライアント様がコンテンツマーケティングに取り組み
など、コンテンツマーケティングの効果と、具体的な施策内容を全94ページに渡って詳細に解説しているものです。
ぜひ、貴社のWEBマーケティングにもご活用ください。