- オンライン
11/27水19:00〜20:00
Googleのアルゴリズムについてまず伝えたいのは「この5年で激変していること」である。
にもかかわらず、2010年代に流行した古いSEO知識で戦っている人が多すぎる。
Googleのアルゴリズムは「進化している」というレベルではなく、「ゲームが変わっている」ことに気づこう。現在のゲームのルールで戦わないと、成果が出ない。
本記事では、Googleアルゴリズムの現在地をわかりやすく解説する。
2022年8月18日に発表されたHelpful Content Update(ヘルプフルコンテンツアップデート)についても、最新情報を掲載した。
「Googleのアルゴリズムって何?」という初心者の方から、最新情報をキャッチアップしたい方まで、日々のSEO業務に役立ててほしい。
目次
まずGoogleのアルゴリズムについて、基本的な事項から押さえておこう。
※重要な結論だけ先にお伝えすると以下のとおりだ。
●Googleのアルゴリズムは公開されていない
●ネット上に公開されているリストの多くは第三者の考察でしかないので要注意
●Googleの公式発表から断片的に推測は可能
そもそも「アルゴリズム」とは、
〈ある特定の問題を解いたり、課題を解決したりするための計算手順や処理手順のこと〉
である(出典:デジタル大辞泉)。
Googleが、検索結果ページの順位を決めるために使用している計算や処理のことを「Google検索アルゴリズム」と呼んでいる。
「Googleのアルゴリズムを教えてほしい」
という声をよく聞くし、そういった情報を公開しているWebページもある。
しかしながら、
「Googleのアルゴリズムは、Googleの内部の人間以外、誰も知らない」
という前提を、明確にしておこう。
Googleはおもに以下2つの理由から「アルゴリズムを公開しない」と明言している。
出典:Perrill Blog ※筆者訳
仮に、第三者による考察が正しかったとしても、Googleのアルゴリズムは常に変化している。
アルゴリズムの要素は200以上あり、1日に平均6回・年間で2,000回のアップデートが実施されている(参考:Ahrefs)。
Google検索アルゴリズムの詳細を把握することは誰にもできないし、万が一できたとしても、次の瞬間には古い情報となる。
「では、Googleのアルゴリズムを知る方法はないのか?」
といえば、アルゴリズムの一部は、公式に詳細を知ることができる。
一部のアルゴリズムは、アップデートの際に、Googleが告知を行っているためだ。
ここでは以下のアップデート時の情報から、アルゴリズムを見ていこう。
●2011年2月:Google Panda(パンダアップデート)
●2012年4月:Google Penguin(ペンギンアップデート)
●2013年8月:Google Hummingbird(ハミングバードアップデート)
●2015年4月:Mobilegeddon(モバイルゲドン)
●2017年12月:健康アップデート
●2017年以降:コアアルゴリズムアップデート
●2022年8月:Helpful Content Update(ヘルプフルコンテンツアップデート)
●RankBrain / BERT / MUM
『Google Panda』は、日本語では「パンダアップデート」として知られる。
端的にいえば、「中身のない、薄っぺらなページ」に低い評価を与えて、ランキングを下げることを目的としたアルゴリズム改良である。
対象 | 重複コンテンツ、盗用コンテンツ、内容の薄いコンテンツ、自動生成スパム、キーワードの詰め込み など |
挙動 | ページごとに品質スコアを割り当て、品質スコアをランキング要因として使用する |
パンダアップデート以前は、広告しか掲載していないページや自動生成ページでも、キーワードの大量埋め込みなどのテクニックで、検索上位に表示されるケースがあった。
パンダアップデートによって安易なやり方は通用しなくなり、「ページごとの品質スコア」を踏まえて、検索順位が決まるようになった。
詳しくは「パンダアップデートとは」にて解説している。
『Google Penguin』は、日本語では「ペンギンアップデート」として知られる。
不自然な被リンクで検索結果を操作しようとするサイトの排除を目的とした調整だ。
対象 | 不自然な被リンク、スパムによる被リンク、不正なリダイレクト、不適切なアンカーテキスト、マークアップの悪用 など |
挙動 | 不自然な被リンクを持つサイトをランクダウンさせる |
Google誕生時(1998年)の原始的な検索アルゴリズムは「PageRank」で、被リンクによって検索順位が決まるものだった。
ペンギンアップデート以前は、被リンクを増やすために相互リンクに励む、有料プログラムに参加する(被リンクを購入する)、などがSEO対策として行われていた。
ペンギンアップデートによって、作為的な被リンクは評価されなくなり、不自然な被リンクを持つサイトの検索順位が大幅に落ちた。
詳しくは「ペンギンアップデートとは」にて解説している。
『Google Hummingbird』は、日本語では「ハミングバードアップデート」として知られる。
検索クエリ(ユーザーが検索窓に入力する語句)をGoogleが解釈し、ユーザーの検索意図に合う検索結果を表示することを目的とする。
対象 | 検索クエリ、ページのコンテンツ |
挙動 | ・自然言語処理によってユーザーの検索意図を理解する |
ハミングバードアップデートは、Googleが「より人間に近い」挙動を実現するための大きな一歩だった。
ユーザーの入力した言葉や、Webページに書かれている文章を、まるで人間のように、理解しようとする試みだ。
本当の意味で価値あるコンテンツが、検索上位を獲得する時代への幕開けだった、といえる。
ただ残念なことに、2013年のハミングバードアップデート以降、SEO対策として流行したのは、共起語・連想語・類語などを、コンテンツに埋め込むライティングだった。
共起語自体はコンテンツを客観的に確認する一つの指標として一定の意味はあると思うが、せっかくGoogleが人間に近づこうとしているのに、サイト運営者が機械的な作業に走るのは少しこっけいに感じられる。(今もそれをしている人がいたら、やめてほしい)。
『Mobilegeddon(モバイルゲドン)』は、最初は第三者によって名付けられ、その後に公式でも使われるようになった名称だ(そのため、Google〜がついていない)。
モバイルゲドンは、モバイルユーザーの快適性を上げるためのアップデートで、モバイルフレンドリーなページを優先するものだ。
対象 | Webページ全般 |
挙動 | モバイルの検索結果では、モバイルフレンドリーなページが優先して掲載される |
自サイトがモバイルフレンドリーかどうか、Google Search Consoleの「モバイル フレンドリー テスト」でチェックできる。
モバイルゲドンのアップデート以降、多くのWebサイトがレスポンシブWebデザインへ切り替えた。
「レスポンシブWebデザインとは?3つのメリットと実装方法を解説」にて取り上げている。
医療や健康に関連する検索結果の改善(俗に『健康アップデート』と呼ばれる)は、2017年12月に日本語検索のみに行われた特殊なアップデートだ。
医療・健康の分野において、信頼性が高く有益な情報を表示する目的で実施され、関連分野の60%に影響する大きなアップデートだった(参考:Google Developers)。
対象 | 医療・健康分野のWebページ |
挙動 | 医療従事者や専門家、医療機関から提供されるような、より信頼性が高く有益な情報が上位に表示されやすくなる |
以下に、健康アップデートの背景を紹介しておこう。Webコンテンツにかかわるなら、教訓として知っておきたい内容だからだ。
2017年の健康アップデートと切り離せないのは、2010年代に大流行した「キュレーションサイト(まとめサイト)」の存在である。
『NAVERまとめ(2020年9月サービス終了)』が先駆けで、ビジネスとして流行し、多くの事業者が参入した。
キュレーションサイトは、当時でいうドメインパワーが強く、Google検索上位がキュレーションサイトで埋め尽くされる事態が続く。
キュレーションサイト事業者だけでなく、多くの企業やアフィリエイターが、自サイトへの流入経路としてキュレーションサイトを活用し始めた。
多数の素人ライターへ低コストでの発注が行われ、低品質な記事が量産され続けた。
結果、起きたのが「モラルの著しい崩壊」である。盗用や誤情報が、インターネット上に氾濫したのだ。
とくに、命にかかわる誤った医療情報を掲載していた『WELQ』の問題は深刻であり、社会問題へと発展した。
以上の社会的背景も踏まえて行われたのが、健康アップデートである。
その後、2018年12月には英語版にも『Medic』と呼ばれるアップデートが展開された。ポイントとなるのは「YMYL」と「E-A-T(専門性・権威性・信頼性)」だ。次項で詳しく説明しよう。
健康アップデートおよびMedic以降、Googleは以下の挙動となった。
●E-A-Tが低いと認識したYMYLコンテンツの評価を下げる
●E-A-Tが高いと認識したYMYLコンテンツの評価を上げる
YMYLとは「Your Money or Your Life(お金・資産や人生・健康・命)」の略語で、人の健康や幸福に影響を与えるページを指している。
コンテンツが粗悪だった場合、深刻な悪影響を与えるリスクが高い分野(健康、医療、経済的安定、安全など)を指す概念だ。
たとえば、心臓発作の症状、お金の投資法、地震が起きたときの対処法の情報が間違っていたら、誰かの健康・経済的安定・安全を害する危険がある。
Googleは以下のとおり述べている。
明らかなYMYLのトピックに関するページでは、非常に厳しいページ品質評価基準を設けています。
低品質のページは、人の健康、経済的安定、安全、または社会の福祉や幸福に悪影響を及ぼす可能性があるためです。
For pages about clear YMYL topics, we have very high Page Quality rating standards because low quality pages could potentially negatively impact a person’s health, financial stability, or safety, or the welfare or well-being of society.
出典:Google検索品質評価ガイドライン ※筆者訳
YMYLコンテンツの評価基準として重視されるのが「E-A-T」だ。
「E-A-T」は、Expertise(専門性)、Authority(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の略語で、ページのコンテンツ品質を示すGoogle独自の概念である。
E-A-Tでは、コンテンツの作成者が専門知識や適切な資格を有しているか、社会的に認められた権威を持っているか、確立された科学的なコンセンサスを表しているかなどを、評価する。
以上をまとめると、
「YMYLコンテンツは、E-A-Tを欠いていると、検索上位に表示されにくい」
ということだ。
2017年以降は『パンダ』『ペンギン』のように、Googleがアップデートの社内コードネームを公開して、アルゴリズムの詳細を明かすことはなくなっている。
大きなアップデートは「Core algorithm update(コアアルゴリズムアップデート)」と呼ばれ、年に数回行われる。
コアアルゴリズムアップデートの実施は、Google Search Central BlogやTwitter(@searchliaison)で告知されるが、詳細は明かされないことが多い。
▼ Googleによる告知の例
Later today, we are releasing a broad core algorithm update, as we do several times per year. It is called the December 2020 Core Update. Our guidance about such updates remains as we’ve covered before. Please see this blog post for more about that:https://t.co/e5ZQUAlt0G
— Google SearchLiaison (@searchliaison) December 3, 2020
サイト運営者としてはできるのは、
「大きな順位変動が起きるかもしれない」
と心構えをすることくらいだ。
順位変動の結果から、アップデートの内容が想像できる場合は対策を行う。しかし、現在はアルゴリズムの複雑性が増しており、順位変動を見たところで内容は推測できないことが多いだろう。
このあとに紹介する「3. Googleアルゴリズムの5つの要因」に基づいて、日々のコンテンツづくりに力を注ぐ以外、できることは少なくなっている。
ここで最新情報がある。しばらくコアアップデート告知しかしていなかったGoogleが、2022年8月18日に「Google’s helpful content update(ヘルプフルコンテンツアップデート)」を発表したのだ。
「helpful(ヘルプフル)」とは「有用な、役に立つ」という意味だ。ユーザーにとって役に立つ有用なコンテンツを検索結果ページに表示させるためのアップデートとなる。
挙動としては、役に立たないコンテンツ、および役に立たないコンテンツを多く持つサイトの評価を下げ、役に立つコンテンツを相対的に上位表示しやすくする。
対象 | Webページ全般 |
挙動 | ・価値の低いコンテンツ、付加価値の低いコンテンツ、検索ユーザーにとって有用でないコンテンツを自動的に識別し、評価を下げる |
ヘルプフルコンテンツアップデートは、2022年8月18日に「来週リリース」と告知されたあと、8月25日に英語版での展開が始まっている。
▼ Helpful Content Update(ヘルプフルコンテンツアップデート)のスケジュール
●2022年8月25日にリリース済み
●リリースしてから完全にロールアウト(運用スタート)するとGoogle Search Ranking Updatesのページに掲載される(それまで最長2週間)
●まず英語の検索に反映され、その後で、他の言語にも拡大する予定
●リリースから数ヶ月の間に、役に立たないコンテンツを検出する識別法の改良を続け、ユーザーを第一に考えたコンテンツをよりよく評価する、さらなる取り組みをスタート予定
英語以外の言語への展開時期が気になるところだが、Googleは「in the future(将来的に)」と述べている。
ニュアンスの読み取りが難しいところだが、“近いうちに”のニュアンスであれば、日本語版への反映は「数ヶ月以内(2022年9月〜12月)」と心構えしておくのが妥当だろう。
参考:What creators should know about Google’s helpful content update
このアップデートの対策としては、サイト内の役に立たないコンテンツを削除あるいは改善し、サイト全体がGoogleのガイドラインに従っていることを確認しておく必要がある。
チェック項目の日本語訳を、後述の「4. 最新のヘルプフルコンテンツアップデート対策 2つのポイント」に掲載した。対策に役立ててほしい。
ほかにアップデートとして「RankBrain」「BERT」「MUM」が紹介されることがある。補足として解説しておこう。これらはすべて、Googleが開発しているAI(人工知能)システムだ。
『RankBrain(ランクブレイン)』は、2015年にGoogleアルゴリズムに導入されたディープラーニングのシステムだ。これがGoogle検索では初のAIシステムである。
RankBrainによって、Googleは検索クエリがユーザーの脳内の概念とどう関連しているかを理解できるようになった。
▼ 例
●検索クエリ:[食物連鎖で最上位の消費者とは]
●RankBrain:さまざまなページでの単語の使われ方に基づいて、「消費者」が人間の「消費者」ではなく、動物である可能性があると学習する。
これらの単語を理解し、関連する概念と照合することで、検索ユーザーが「頂点捕食者」や「高位消費者」を検索していると理解する。
なお、RankBrainはその名のとおり、検索結果ページの順位に大きく関わっている(詳細は明かされていない)。
『BERT(バート)』は、2019年に導入された自然言語処理(NLP)の事前学習のモデルだ。
BERTは“Bidirectional Encoder Representations from Transformers”の略で、「トランスフォーマーによる双方向のエンコード表現」と訳される。
GoogleはBERTについて「自然言語理解における大きな飛躍」と述べている。学習プロセスの精度が著しく向上しており、「AIが人間を超えた」と話題になった。
BERTの開発によってGoogleは、“単語の組み合わせ” がさまざまな “意味” や “意図” をどのように表現しているか、理解できるようになった。
▼ 例
●検索クエリ:[薬局 誰か 受け取り]
●BERT導入後:知りたいことは「本人以外が薬を受け取ることができるかどうか」だと理解する
●BERT導入前:「誰か」が重要と理解できないので処方箋の受け取り方法に関する結果を表示する
『MUM(マルチタスク・ユニファイド・モデル)』は2021年5月に発表され、現時点で最新のGoogle検索AI技術だ。
Googleは「BERTよりも1000倍強力で、言葉の理解と生成の両方が可能」と述べている。
まだ活用の試みは初期段階だが、MUMの活用が進むと、
「高度な言語理解から、世界の情報をより繊細にニュアンスを汲み取った情報理解へと移行がはじまる」
という。
すでに一部で利用が始まっており、「 最新技術 MUM で新型コロナワクチンに関する検索の精度を向上」といった成果を上げている。
以上が近年のGoogleアルゴリズムの動向だ。
総括して押さえたいのは、
「Googleは『AI技術』の分野で、最先端の進化を続けており、
人間の手で、アルゴリズムに対応できるレベルでは到底ない」
という事実である。
ここまで、アップデートに関する公式発表をベースにアルゴリズムを解説してきた。
もうひとつ、Googleが公式にランキングシステムについて語っているドキュメントとして、「ランキング結果 – Google 検索の仕組み」がある。
このページで紹介されているのは、以下5つの要因だ。
それぞれ、解説を加えながら紹介しよう。
関連性の高い結果を返すには、ユーザーがどんな情報を探しているか、つまり検索クエリの背後にどんな意図があるかをまず理解する必要があります。そのために、Google では、検索ボックスに入力された比較的少数の単語と、入手可能な最も有益なコンテンツとのマッチングの程度を把握するための言語モデルを構築しています。
検索クエリの意図の理解については、前述の「2-3. 2013年8月:Google Hummingbird(ハミングバードアップデート)」や「2-8. Google開発のAIシステム:RankBrain / BERT / MUM」にて述べた内容にあたる。
入力した語句そのものよりも、「検索時のユーザーの心の中」を理解し、その心に対して検索結果をマッチングさせようとする試みだ。
システムは次に、コンテンツを分析して、求められている内容に関連する可能性のある情報が含まれているか評価します。
情報の関連性を評価するための最も基本的なシグナルは、検索クエリと同じキーワードがコンテンツに含まれているかどうかです。たとえばウェブページの場合、キーワードがページに出現する(特に見出しや本文に含まれている)場合、そのページの情報は関連性が高い可能性があります。
ユーザーの心に検索結果をマッチングさせるために、Googleはコンテンツの関連性をアルゴリズムで判定する。
「最も基本的なシグナルは、検索クエリと同じキーワードがコンテンツに含まれているか(とくに見出しや本文)」
と明記されていることに注目しよう。
コンテンツ制作時に、対象キーワードをタイトル(titleタグ)や見出し(hタグ)に入れることは、現在でも有効なSEO対策といえる。
ただし注意点として、1つのキーワードを何回も入れればよい、というものではない(2-1. 2011年2月:Google Panda(パンダアップデート)の対象となり評価が下がるので、やめてほしい)。
たとえば、「犬」で検索する場合、必要なのは「犬」という単語が何百回も出現するページではありません。それを踏まえて、検索アルゴリズムでは、「犬」というキーワード以外で関連性の高いコンテンツ(犬の画像や動画、犬種のリストなど)がページに含まれているかどうかを評価しています。
「検索アルゴリズムでは、『犬』というキーワード以外で関連性の高いコンテンツ(犬の画像や動画、犬種のリストなど)がページに含まれているかどうかを評価」
と明記されている。
「画像や動画」と書かれているとおり、テキストに限らない。「本当に関連性が高いコンテンツなら、含まれている要素」が存在することが重要だ。
本気で取り組むべきことは、コンテンツ制作者も、Googleがしているのと同じように、
「ユーザーがどんな情報を探しているか、検索クエリの背後にどんな意図があるか」
を理解してコンテンツを作ることである。
すると、検索クエリと関連性の高いコンテンツができあがる。
システムは、関連性のあるコンテンツを特定した後、最も役立ちそうなコンテンツを優先しようとします。そのために、どのコンテンツが専門性、権威性、信頼性を示しているか判定するために役立つシグナルを特定します。
複数ある関連性があるコンテンツの中から、「ユーザーにとって役に立つコンテンツ」をGoogleは優先する。
役に立つコンテンツの識別に使われる指標として、「専門性、権威性、信頼性」という言葉が出てきたが、先ほど「YMYL分野はE-A-Tを厳しく評価する」にて触れたE-A-Tのことだ。
YMYL以外でも、「Expertise(専門性)、Authority(権威性)、Trustworthiness(信頼性)」は、Googleランキング要素の重要部分となっている。
E-A-Tのうち、権威性については別記事「権威性とは?SEOやマーケティングで使う意味と権威性を高める7ルール」にて詳説しているので参考にしてほしい。
E-A-Tを判定するシグナルのひとつとして挙げられているのが「リンク・言及(リファー)」だ。
たとえば、その判定を支援するために使用している要因の 1 つに、そのコンテンツへのリンクまたは言及が他の著名なウェブサイトに含まれているか把握するということがあります。含まれていれば、多くの場合、その情報の信頼性が高いことを示す十分なしるしとなります。
ただ数を集めるだけの被リンク対策は「2-2. 2012年4月:Google Penguin(ペンギンアップデート)」にて、排除されるようになったが、信頼性の高さを示す証拠となる被リンクは有効であることがわかる。
参考:被リンクとは?SEO初心者向けの基本と調べ方・増やす獲得方法の極意
コンテンツの品質評価について「Google 検索の仕組み」で語られているのは以上だが、Google 検索セントラル ブログには、「良質なコンテンツを提供しているか自己評価する質問」が掲載されている。
Googleが「この基準を評価するアルゴリズムになっている」と教えてくれているようなものだ。
以下に引用する。参考にして改善しよう。
▼ コンテンツと品質に関する質問
●コンテンツは、独自の情報、レポート、研究、分析を提供しているか。
●コンテンツは、特定のトピックに対して包括的または完全な説明を充分に提供しているか。
●コンテンツは、あたりまえのことだけでなく、洞察に富んだ分析や興味深い情報を含んでいるか。
●コンテンツが他のソースから得られたものである場合、単なるコピーや書き換えでなく、付加価値とオリジナリティを充分に提供しているか。
●見出しやページタイトルは、内容を説明する有用なものになっているか。
●見出しやページタイトルは、コンテンツを誇張したり、読者に強いショックや不快感を与えたりするものでないか。
●自らブックマークしたり、友人と共有したり、友人にすすめたくなるようなページか。
●コンテンツは、雑誌、百科事典、書籍に掲載または引用されるような価値があるか。
▼ 専門性に関する質問
●コンテンツは、明確な情報源、関係する専門知識の証明、著者またはコンテンツを公開しているサイトの背景情報(著者ページへのリンクやサイトの概要ページなど)など、掲載されている情報が信頼性の高いものであることを示すための情報を提供しているか。
●コンテンツを制作しているサイトを調査した場合、そのトピックに関する権威者としてそのサイトが信頼されている、または広く認識されているという印象を受けるか。
●コンテンツは、トピックに関して明らかに充分な知識を持つ専門家や愛好家によって書かれているか。
●コンテンツに明らかな誤情報がないか。
●お金や人生に関連する問題について、このコンテンツを安心して信頼できるか。
▼ コンテンツの提示や制作に関する質問
●コンテンツに誤字やスタイルに関する問題がないか。
●コンテンツは適切に制作されているか。急いで制作されたような印象を与えていないか。
●コンテンツが多数のクリエイターへの外部委託によって大量制作されていたり、複数のサイトの大規模なネットワークに拡散されており、個々のページまたはサイトのプレゼンスが低下していないか。
●コンテンツに、主要なコンテンツを妨害したり注意をそらしたりするほどの大量の広告が掲載されていないか。
●コンテンツは、モバイル デバイスでも適切に表示されるか。
▼ 比較に関する質問
●検索結果の他のページと比較した場合、コンテンツは実質的な価値を提供しているか。
●コンテンツは、サイトの訪問者が本当に求めるものを提供しているように思えるか?あるいは、検索エンジンで上位に表示するためだけを狙って作成されたように思えるか。
Google のシステムでは、コンテンツのユーザビリティも考慮されています。どのコンテンツも大きな差がない場合には、ユーザーにとってのアクセス性が高いコンテンツのほうが効果的である可能性があります。
ここで押さえておきたいのは、検索アルゴリズムでの優先順位は、
「コンテンツの質 > ユーザビリティ」
であるものの、質が同じページが複数ある場合、ユーザビリティの高いページが検索上位になる、ということだ。
「Google のページ エクスペリエンスについて」では、以下のとおり明記されている。
ページ エクスペリエンスは重要ですが、それでも Google は、ページ エクスペリエンスが劣っていても、全体的に価値の高い情報を含むページを上位にランキングするようにしています。
つまり、いくらページ エクスペリエンスが優れていても、コンテンツが優れたページを上回ることはありません。
ただし、関連性が同じ程度のページが多数存在する場合の検索ランキングにおいては、このページ エクスペリエンスが一段と重要になります。
ページエクスペリエンスについて、具体的なシグナルが公表されている。以下に従って改善しよう。
▼ ページ エクスペリエンス シグナル
ウェブに関する主な指標 | 次の指標によって、そのページが読み込み、インタラクティブ性、視覚的安定性の点で優れたユーザー エクスペリエンスを提供していることを示します。
|
モバイル フレンドリー | そのページがモバイル フレンドリーであることを示します。 パソコンの場合、このシグナルは適用されません。サイトに適切な構成のパソコン向け URL とモバイル向け URL が別々にある場合、パソコン向けシグナルは、パソコン ユーザーに表示される URL に基づきます。 |
HTTPS | そのページが HTTPS で配信されていることを示します。 |
煩わしいインタースティシャルがない | ページのコンテンツにユーザーが容易にアクセスできることを示します。 |
現在地、過去の検索履歴、検索設定などの情報はすべて、検索の時点で最も有用で関連性が高い検索結果を確保するために役立っています。
最後に5つめのコンテキストは、ユーザーが今いる場所や過去の検索履歴なども踏まえて、関連性が高い検索結果を返すためのアルゴリズムである。
「ユーザーの検索意図を、検索クエリ以外の背景や文脈も活用して解釈する」のが、コンテキストのアルゴリズムだ。
国や場所、検索設定のほかに、最近の検索内容が参考にされる場合もある。
より関連性の高い検索結果を提示するために最近の検索内容を参考にする場合もあります。たとえば、「バルセロナ」を検索しているユーザーが、その少し前に「バルセロナ対アーセナル」を検索していた場合、今検索しているのは都市ではなくサッカーチームについての情報であるという重要な手掛かりになります。
サイト運営者が行うSEO対策としては「3-2. コンテンツの関連性」とほぼ重複する。コンテキスト用に特別にすべきことはない。
心構えとして、今後、コンテキストのアルゴリズムが進化すれば、
「1つの検索キーワードの検索上位を、競合サイトと獲り合う世界ではなくなる」
と想定しておこう。
コンテキストによって、1つの検索キーワードの検索結果が多様化し、ユーザー属性、場所、時間、日付、前後の検索などにより、同じ検索結果は二度と出ない世界になるかもしれない。
繰り返し述べてきたことだが、サイト運営者も、検索クエリの背景、すなわち「ユーザーの脳内、心の中」に対してコンテンツを最適化する重要性が増していくだろう。
ここまでお読みいただいた方ならおわかりかと思うが、近年のGoogleはAIを取り入れ、進化が早いスピードで起きている。
2010年代に主流だったSEO対策は、古くて役立たないので、忘れてほしい。
今、最新のSEO対策として取り組むべきことは、Googleが2022年8月22日に告知した『Helpful Content Update(ヘルプフルコンテンツアップデート)』への対応である。
ヘルプフルコンテンツアップデート対策のポイントを2つ、GoogleがGoogle Search Central Blogで明かしているので、日本語訳をお届けする。
1つめのポイントは「ユーザー第一主義に徹する」ことだ。
※原文では「people-first(ピープル・ファースト)」と書かれているが、ここではわかりやすく「ユーザー第一主義」とした。
以下の質問に「はい」と答えた方は、ユーザー第一主義で正しい道を歩んでいる。
●既存ユーザーや潜在層が(検索エンジンを経ず)直接アクセスしてきた場合に、そのコンテンツを役に立つと思うか?
Do you have an existing or intended audience for your business or site that would find the content useful if they came directly to you?
●あなたのコンテンツは、専門性や知識の深さ(例:実際に商品やサービスを使用する、ある場所を訪れる、などで得られる見識)を明確に示しているか?
Does your content clearly demonstrate first-hand expertise and a depth of knowledge (for example, expertise that comes from having actually used a product or service, or visiting a place)?
●あなたのサイトは根源的なパーパス(存在意義)やフォーカス(集中していること)を持っているか?
Does your site have a primary purpose or focus?
●あなたのコンテンツを読み終えた人は、自分のゴールを達成するために十分な知識を得たと、そのトピックについて感じるか?
After reading your content, will someone leave feeling they’ve learned enough about a topic to help achieve their goal?
●あなたのコンテンツを読んだ人は、満足のいく体験をしたと感じるか?
Will someone reading your content leave feeling like they’ve had a satisfying experience?
●コアアップデートや製品レビューのガイドに留意しているか?
Are you keeping in mind our guidance for core updates and for product reviews?
出典:Google Search Central Blog ※筆者訳
2つめのポイントは「コンテンツを検索エンジンのために作らない」だ。
以下の質問に「はい」と答えるものがあれば、大切にしているのはユーザーではなく検索エンジンである。
●そのコンテンツは、人間のために作るより、検索エンジンからの集客を第一にしていないか?
Is the content primarily to attract people from search engines, rather than made for humans?
●検索結果で上位に表示されることを期待して、多岐にわたるトピックのコンテンツを、大量に作っていないか?
Are you producing lots of content on different topics in hopes that some of it might perform well in search results?
●たくさんのトピックのコンテンツを作るために、自動化を使っていないか?
Are you using extensive automation to produce content on many topics?
●他人が言ったことの要約がほとんどで、十分な価値を付加していないのではないか?
Are you mainly summarizing what others have to say without adding much value?
●読者のために書くのではなく、トレンドになりそうという理由だけで書いていないか?
Are you writing about things simply because they seem trending and not because you’d write about them otherwise for your existing audience?
●あなたのコンテンツは読者に、もっとよい情報を得るために再検索しなければと思わせていないか?
Does your content leave readers feeling like they need to search again to get better information from other sources?
●Googleに評価される文字数があると聞いて、特定の文字数で書いていないか?(そんなものはない)
Are you writing to a particular word count because you’ve heard or read that Google has a preferred word count? (No, we don’t).
●専門知識もないのにニッチな分野に参入しようと決めたのは、検索トラフィックを得られると思ったからではないか?
Did you decide to enter some niche topic area without any real expertise, but instead mainly because you thought you’d get search traffic?
●答えのない質問に答えることを約束したコンテンツになっていないか?(製品・映画・テレビ番組のリリース日が決まっていないのに示唆するなど)
Does your content promise to answer a question that actually has no answer, such as suggesting there’s a release date for a product, movie, or TV show when one isn’t confirmed?
出典:Google Search Central Blog ※筆者訳
あらためて、自サイトを顧みるきっかけとし、これからやってくるヘルプフルコンテンツアップデートに備えよう。
本記事では「Googleのアルゴリズム」をテーマに解説した。要点を簡単にまとめよう。
Googleのアルゴリズムの基礎知識は、以下のとおりだ。
●Googleが検索順位を決めるために使用するルールのこと
●Googleは「アルゴリズムを公開しない」と明言
●200以上の要素が1日に平均6回・年間2,000回更新
公表されているGoogleアルゴリズムのアップデートとして、以下を紹介した。
●2011年2月:Google Panda(パンダアップデート)
● 2012年4月:Google Penguin(ペンギンアップデート)
●2013年8月:Google Hummingbird(ハミングバードアップデート)
● 2015年4月:Mobilegeddon(モバイルゲドン)
●2017年12月:健康アップデート
● 2022年8月:Helpful Content Update(ヘルプフルコンテンツアップデート)
● 2017年以降:コアアルゴリズムアップデート
● Google開発のAIシステム:RankBrain / BERT / MUM
Googleが公式に明かしているランキング要因として、次の5つがある。
●検索クエリの意味
●コンテンツの関連性
●コンテンツの質
●Webサイトのユーザビリティ
●コンテキスト
ヘルプフルコンテンツアップデート対策として、以下のポイントをお伝えした。
●ユーザー第一主義に徹する
●コンテンツを検索エンジンのために作らない
Googleのアルゴリズムを表面的に追い掛けるのはやめて、ユーザー第一主義でエネルギーを注ぎ込むSEOをスタートしてほしい。
広告に頼り切ったマーケティングの打開策としてコンテンツマーケティングについて調べているけれど、よく分からないと悩んでいませんか?
本書は弊社やクライアント様がコンテンツマーケティングに取り組み
など、コンテンツマーケティングの効果と、具体的な施策内容を全94ページに渡って詳細に解説しているものです。
ぜひ、貴社のWEBマーケティングにもご活用ください。