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11/27水19:00〜20:00
コンテンツマーケティングとは、「有益なコンテンツ」を公開することで価値を提供し、最終的に購買行動(売上)につなげるマーケティング手法である。
コンテンツマーケティングの重要な特徴は、
「広告宣伝で商品を訴求するのではなく、ターゲット層にとって“役立つ情報”を発信することで、接触機会を創り出し、信頼を獲得する」
ところにある。
この記事では、
「コンテンツマーケティングって何?」
という方に向けて、コンテンツマーケティングの意味や基本概念をわかりやすく解説していく。
目次
まずはコンテンツマーケティングの基本事項から押さえていこう。
冒頭でも触れたとおり、コンテンツマーケティングとは、
(1)「有益なコンテンツ」を公開し、 (2)ユーザーに対して「価値」を提供することで、 (3)結果的に「購買行動」を促進するマーケティング戦略 |
である。
コンテンツマーケティングにおける“有益なコンテンツ”とは、商品・サービスの宣伝広告とは異なる。ユーザーにポジティブな体験をもたらす情報、と考えるとわかりやすい。
たとえば、キャンプ用品を販売する企業が「キャンプ初心者が知っておくべき10のポイント」といった役立つ情報を、ブログやSNSで発信する。
そのコンテンツを見かけたキャンプ初心者が、書かれていた内容を参考にしてキャンプに挑戦し、すばらしい体験をしたとしよう。すると、その企業への「信頼」が生まれる。
結果として、次回キャンプ用品を購入するときには、その企業から購入したくなる。これが、コンテンツマーケティングの基本的な概念となる。
コンテンツマーケティングの特徴として、「売り込まない」ことが挙げられる。
自社の商品・サービスの情報を一方的に押しつけるのではなく、“ユーザーにとって役立つコンテンツを提供して、信頼を得ること” に重点がある。
あくまでも主体は「ユーザー」にあるのだ。
コンテンツマーケティングでは、ユーザーが楽しい気分になったり、深刻な悩みを解決できたり、何かを学んだりすることで、自然と企業への好意や信頼感が増すことを狙う。
「商品を売らずに、コンテンツを提供する」というのは、一見、遠回りのように見える。
だが、コンテンツマーケティングが目指すのは、
「コンテンツを通じてユーザーが抱える問題を解決し、企業とユーザーとの長期的な信頼関係が築かれる」
という世界である。
コンテンツマーケティングでは、見ているもの・目指しているものが、“目の前の一時的な売上増加” ではない。
顧客生涯にわたる関係性の構築・維持を目的とするならば、コンテンツマーケティングは最上の戦略である。
コンテンツマーケティングの基本概念が理解できたら、続いて実務的な面を見ていこう。
さまざまなマーケティング施策がある中、コンテンツマーケティングには、どのような利点があるのだろうか。
5つのポイントが挙げられる。
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1つめのメリットは「コンバージョンを獲得しやすい」ことだ。
先ほど「コンテンツマーケティングは売り込まない」とお伝えした内容と、矛盾しているように感じるかもしれない。
しかし、他施策との比較で相対的に捉えると、コンテンツマーケティングはコンバージョンに直結しやすい施策である。
たとえば、広告施策は効果低下を実感している企業が多い。CAC(顧客獲得コスト)は〈過去8年で222%増/2022年時点〉というデータもある(出典:SimplicityDX)。
その背景にあるのは、広告宣伝に対するユーザーの信頼の低下だ。
2021年インターネット広告に関するユーザー意識調査によれば、
〈インターネット広告を「信頼できる」と回答した人は約2割のみ(23.1%)〉
という結果が出ている。
ユーザーが、売り込まれることに対して警戒し、広告宣伝を信頼しない傾向を強めている。だから、相対的にコンテンツマーケティングでコンバージョンを獲得しやすくなっているのだ。
2つめのメリットは「SEOとの併用により低コストで集客できる」ことだ。
SEO(検索エンジン最適化)とは、自サイトが検索エンジンの検索結果ページで上位に表示されるようにするための手法である。
コンテンツマーケティングとSEOは相性がよく、相乗効果を出しやすい。Googleのアルゴリズムは、価値あるコンテンツを上位表示させるように設計されているからだ。
検索エンジンからの自然な流入が増加すると、コストをかけずに持続的な集客が可能となる。
3つめのメリットは「現代のユーザー行動に適合させやすい」ことだ。
「どのような媒体でマーケティングを展開すると効果的か?」は、時代の流れの影響を大きく受ける。
たとえば、テレビCMが効果的だった時代、新聞、雑誌、折込チラシ……、といった具合だ。
この文脈において、コンテンツマーケティングは現代に合っている。
現代のユーザー行動、とりわけ “情報収集” 行動に対して、コンテンツマーケティングは有効な手段である。
情報過多の時代において、ユーザーは、自分にとって必要な情報を、自ら探し出そうとする。
その動線上に、自社のコンテンツを配置することで、ユーザーの意志的に自社とタッチポイント(顧客接点)を創出できる。
企業からの押しつけではなく、“ユーザーが自分で見つけ出す” ということだ。
4つめのメリットは「自社のスキルアップにつながる」ことだ。
コンテンツづくりを本業としていない企業にとって、コンテンツマーケティングは、本業とは異なる分野にリソースを費やすことになる。
本業にとってマイナスかと思いきや、じつは逆である。
コンテンツマーケティングで取り組む情報分野は、結果として「本業の深掘り」となるからだ。
高品質なコンテンツを生み出すためには、本業分野のプロフェッショナルとして専門的かつ最新の情報を収集し、それらを顧客層に対してわかりやすく表現する必然性がある。
「コンテンツマーケティングへの取り組みは、本業に対する、これ以上なく良質な勉強法」
といっても過言ではない。
5つめのメリットは「長期的なROIを確保できる」ことだ。
ROI(リターンオンインベストメント:投資利益率)は、“どれだけ効率的に儲けを出せるか?” を示す指標だが、コンテンツマーケティングは長期的に良好なROIを確保できる。
先に述べたとおり、短期的な売上獲得ではなく、長期的な顧客との関係構築がコンテンツマーケティングから得られる成果だからである。
LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)や、顧客ロイヤルティ(信頼や愛着の感情、継続利用に対する意欲)を重視する場合、コンテンツマーケティングは積極的に採用したい戦略だ。
続いて、コンテンツマーケティングが抱えるデメリットを把握しておこう。3つのポイントが挙げられる。
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1つめのデメリットは「手間・労力がかかる」ことだ。
コンテンツマーケティングは、高品質なコンテンツを作るために、時間とリソースを要する手法である。
市場の動向を調査し、顧客のニーズを洞察し、それに応じた有益な情報を提供するためには、制作に着手する前のプランニングだけでも、かなりの時間がかかる。
さらに、実際に文章を書く・画像や動画を作るといったプロセスでは、手間や労力以外に、それらの専門スキルも身につける必要がある。
小規模な組織やスタートアップではリソースが限られているため、取り組みが難しいと感じるかもしれない。
外部の識者からの寄稿を織り交ぜたり、コンテンツ制作支援のサービスを利用したりして、外部リソースもうまく活用する必要がある。
2つめのデメリットは「即時の結果は期待できない」ことである。
コンテンツマーケティングは、顧客との信頼関係を構築し、長期的なROIを追求する戦略であるため、短期的に成果を期待するのは困難である。
とくに、SEOの観点から見た場合、高品質なコンテンツを公開したからと言って、すぐに検索結果で上位に表示されるわけではない。
これは、検索エンジンが新たなコンテンツを評価し、それに基づいてランキングを調整するまでには時間がかかるためである。
3つめのデメリットは「継続的な調整が必要となる」ことである。
コンテンツマーケティングは、単発系の施策ではなく、ベースで永遠に走り続けさせる系の施策となる。
一度、コンテンツマーケティングを始めると、ユーザーの反応や市場環境の変化、情報鮮度の維持などに対して、継続的に調整を加える必要がある。
たとえば、新たなトレンドが出て情報が古くなった場合や、コンテンツのパフォーマンスが予想以下だった場合などにjs、コンテンツを見直す必要がある。
この “見直しのプロセス” をきちんとできる自信がない場合、コンテンツマーケティングへの取り組みを見送ったほうがよいケースもある。
なぜなら、誤った情報や低品質なコンテンツを放置しておくと、ユーザーの信頼喪失やブランドの評判低下といったネガティブな影響があるからだ。
メリット・デメリットを踏まえつつ、自社がコンテンツマーケティングに取り組むべきか見極めたい方のために、コンテンツマーケティングが向いているケース・向いていないケースをご紹介しよう。
まず、コンテンツマーケティングが向いているケースとして、以下が挙げられる。
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1つめは「カスタマーエデュケーションが必要な商品・サービス」だ。
カスタマーエデュケーション(Customer Education)とは、顧客が的確な意思決定をできるよう、必要な情報を詳しく提供して、支援することである。
たとえば、最新技術を用いた製品や専門的な知識を必要とするサービスなど、顧客が理解を深めることで真価を認識しやすいケースでは、コンテンツマーケティングは非常に有効である。
コンテンツを通じて、技術の利点や業界のトレンドなどを伝えることが、結果として自社の商品・サービスのコンバージョンにつながっていく。
2つめは「購入サイクルが長い商品・サービス」だ。
不動産、クルマ、寝具(マットレスやベッド)など、一生のうちで購入回数が多くなく、購買決定まで時間をかけて吟味する商品・サービスは、コンテンツマーケティングに適している。
長期にわたる検討プロセスの中で、顧客は多くの情報を求めるからだ。それに応える高品質なコンテンツを提供することで、最終的な意思決定を手助けできる。
3つめは「ブランド認知度を向上させたい場合」である。
ブランドの認知度を高めるためには、ターゲットとなる顧客に、ブランドの存在を定期的に意識してもらう必要がある。
コンテンツマーケティングは、多種多様なコンテンツによって、無数のタッチポイント(顧客接点)を創造可能だ。
ブランドと顧客との接触機会を増やし、ブランドの認知度を高めるのに有効である。
続いて、コンテンツマーケティングが向いていないケースを見ていこう。
即時の成果が求められる場合
リソースが不足している場合
差別化要素を作りにくい商品・サービス
1つめは「即時の成果が求められる場合」である。
コンテンツマーケティングは長期的な戦略であり、すぐに結果が出るものではない。
短期的なセールスプロモーションや、即時のリード獲得が目的の場合、より直接的なマーケティング手法が適している。
2つめは「リソースが極端に不足している場合」である。
前述のとおり、コンテンツマーケティングは、高品質なコンテンツ制作と継続的な運用に大きなリソースを必要とする。
効果的ではあるものの簡単にはできないのが、コンテンツマーケティングの難点だ。
現実的には、十分な人員や時間、予算などのリソースが確保できない場合、いったん取り組みを見送る選択もある。
「コンテンツマーケティングって、具体的に何をすればいいの?」という方に向けて、実践の流れを簡単に紹介しよう。
1つめのステップは「ターゲットの明確化」だ。
ターゲットを明確にすることは、どのようなマーケティング手法でも重要とされるが、とりわけコンテンツマーケティングでは重要度が高い。
「何が有益なコンテンツとなるか?」は、人それぞれだからだ。
自社の顧客になってほしい人たちにとって、有益なコンテンツを作れなければ、たとえアクセス数が伸びたとしても、ビジネス成果に結びつかない。
そこで、コンテンツマーケティングでは「ペルソナ」と呼ばれる詳細な人物像を描くところからスタートする。
【ペルソナのイメージ】
ペルソナについて詳しく知りたい方は「ペルソナとは?マーケティングを成功させる設定手順と使い方」を参照してほしい。
実際の顧客データをもとに共通項をあぶり出し、1人の人間として代表的な人物像を作るのが、ペルソナ設定のコツである。
2つめのステップは「コンテンツの種類の選定」だ。
コンテンツマーケティングでは、WordPressというツールで立ち上げる、ブログ記事配信型のフォーマットがよく使われる(今お読みいただいているバズ部も、WordPressで作成されている)。
それが代表的な形ではあるが、ほかにもさまざまな選択肢がある。最近では「動画コンテンツ」も人気だ。
【コンテンツの種類】
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ステップ1で明確にしたターゲットとなる顧客にとって、最も利便性が高く、最もアクセスしやすい形式のコンテンツを選ぶ。
1つの種類に集中してもよいし、複数の種類を並行して展開してもよい。
たとえば、
「ブログ記事で発信した内容を、動画にしてYouTubeにも流す」
といった手法をとる企業も増えている。
3つめのステップは「コンテンツの制作」だ。
制作は、おもに以下の流れで行われる。
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コンテンツプランニングは、(1)メディアミッションの決定 ⇒ (2)キーワードリサーチ ⇒ (3)コンテンツ構造の決定、という流れで行う。
詳しくは「ブログを始める前に必ず行いたいコンテンツプランニングの3ステップ」にて確認してほしい。
コンテンツプランニングで、全体像を作ったら、コンテンツごとのアウトラインを作成していく。
【アウトラインの例】
アウトラインの作り方に関して詳細は「コンテンツSEOとは?効率的に成果を出すやり方4ステップと成功の秘訣」にて解説している。
アウトラインができたら、実際にコンテンツを作るプロセスに移る。
社内で内製するケースもあれば、外部のライター・デザイナー・映像制作者・動画編集者などクリエイターと一緒に作るケースもある。
自社でライティング(執筆)を行う場合には、以下の記事も参考にしてほしい。
4つめのステップは「SEOの実施」だ。
制作したコンテンツが、ターゲット顧客から見つけられやすいように、SEO(検索エンジン最適化)を実施する。
Googleの検索結果に表示させるための取り組みのほか、必要に応じて、YouTubeやSNS内の検索にも対応する。
SEOの取り組みは多岐にわたる。詳しくは「SEO初心者向けマニュアル」にて確認してほしい。以下を解説している。
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5つめのステップは「効果測定と改善」だ。
コンテンツマーケティングの成果を定期的に測定し、必要に応じて改善を行う。
コンテンツの閲覧数、SNSシェア数、ページ内リンクのクリック数、新規リードの獲得数など、それぞれのビジネスに合わせて数値をモニタリングしていこう。
効果測定のために使いこなしたいツールとして、以下がある。
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それぞれ、以下の記事で確認してほしい。
【Google Analytics】
【Google Search Console】
本記事では「コンテンツマーケティング」の入門編として、基本的な内容を解説した。簡単にまとめておこう。
コンテンツマーケティングとは、「有益なコンテンツ」を公開することで、ユーザーに価値を提供し、最終的には購買行動や長期的な顧客関係の構築を目指すマーケティング手法 |
コンテンツマーケティングのメリットとして、以下が挙げられる。
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コンテンツマーケティングのデメリットは以下のとおりだ。
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コンテンツマーケティングが向いているケース、向いていないケースを紹介した。
向いているケース:
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向いていないケース:
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コンテンツマーケティングを実践する流れは以下となる。
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可能であれば、続けてよりコアでディープな情報を詰め込んでコンテンツマーケティングを解説している「バズ部が教えるコンテンツマーケティング101」を読み進めてほしい。
本記事で概要をつかんでいただいた後なら、スムーズに理解でき、具体的な実践の手助けとなるはずだ。
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