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11/27水19:00〜20:00
「トピッククラスターって何?」
そんな疑問に行き着いたあなたは、SEOにすでに取り組んでいて、次段階への成長を模索しているのではないだろうか。
トピッククラスターは、内部リンクとサイト構造に関するSEO戦略だ。
関連性の高いコンテンツを「クラスター」として集約し、検索クエリに対する適合性を高めて、検索順位を押し上げる。
この記事では、トピッククラスターの基本概念から実践手順に至るまで、網羅的に解説する。まずはトピッククラスターという戦略の存在を知り、次にそれを使いこなせるようにしていこう。
トピッククラスター戦略を掌握することで、SEOの新たな局面に対応できる。
ただし、トピッククラスターは万人向けの戦略ではないため、おすすめできないサイトについても解説した。まずは一読してほしい。
トピッククラスターとは何か、基礎概念から確認していこう。
トピッククラスターは、SEO(検索エンジン最適化)の先進的な手法である。この戦略は、関連性の高いコンテンツを「クラスター」として一箇所に集約する。
その核となるのが「ピラー(Pillar=柱)」ページだ。ピラーページは、主題(コアトピック)に対する包括的なガイドとなる。
ピラーページの周辺には、その主題に密接に関連する「クラスター(Cluster=房)」ページを、内部リンクによって配置する。
たとえば、「Web制作会社のブログ」を例にしてみよう。
“サイト構築・ライティング・デザイン”といったカテゴリ分けがされていても、各コンテンツは時系列順に投稿され、内部リンク構造としてはバラバラに存在しているのが、一般的である。
トピッククラスターでは、核となるピラーページを作り、その周囲に関連記事をクラスターページとして、内部リンクする。
この構造が検索エンジンによって高く評価される理由は、一言でいえば、「選定したトピックに対する、権威(オーソリティ)を高められるから」である。
たとえば、「箱根温泉」というコアトピックを選定したとしよう。柱となるピラーページには、初心者にもわかりやすく、箱根温泉に関する網羅的なガイドを掲載する。
そのうえで、ディープなファンが求めている、多種多様な深掘り箱根温泉コンテンツを、大量のクラスターページによって内部リンクしていく。
検索エンジンの視点から見ると、
「箱根の温泉について、極めて専門的に語られたサイトである」
と評価され、ピラーページもクラスターページも、まるごと検索順位が上がっていく、という仕組みだ。
細分化すれば、以下のとおりである。
【検索エンジンが高評価する理由】
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トピッククラスター戦略は、おもに米国のSEO専門家たちから広まっていった。とくに、HubSpotがこの概念の伝播者として知られている。
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HubSpotによる上記記事の初出が2017年だ(本記事執筆時点では2022年10月20日に更新されている)。
記事によれば、
〈元HubSpottersのAnum Hussainと Cambria Daviesは、2016年にトピッククラスターの実験を開始した〉
と書かれている。
2013年のハミングバードアップデート以降、Googleはキーワード重視からトピック重視に切り替えたとみられている。
その傾向が強まっていることを踏まえて、新しいコンセプトとして誕生したのが、「トピック」を中心にサイトを構造化するトピッククラスターだった。
トピッククラスター戦略の第一人者である、HubSpotの事例を見てみよう。
(1)トピック (2)ピラーページ (3)クラスターページ |
出典:HubSpot「トピッククラスターを活用したブログの最適化」
手順としては、「Instagramを使ったマーケティング」というトピックを選定し、そのトピックを包括したピラーページを制作する。
ピラーページ内からは、各クラスターページに内部リンクされており、トピッククラスター全体の検索順位が押し上げられる構造となっている。
実際に上記のHubSpotのページを見てみるとわかるが、ユーザー目線では、一般的な構造のサイトとの違いには気づかない。
しかし実は、戦略的に構造化されているのだ。
「ぜひトピッククラスターにチャレンジしたい」
という人は多いだろうが、じつは、すべてのサイトに有効とは限らない。
トピッククラスターの実践方法を解説する前に、トピッククラスターがおすすめではないサイトとその理由を解説する。
1つめは「ページ数が少ないサイト」だ。
トピッククラスターは、基本的には、膨大なコンテンツを保有するサイトを前提としている。
サイト内のページ数が少ない場合、トピッククラスターの有効性は限定的だ。
HubSpotの記事では、以下の大規模サイト特有の課題に対して、トピッククラスターが有益だったことが語られている。
HubSpotや、コンテンツに投資している多くの企業は、似たようなトピック分野をカバーする何十ものWebページを抱えていることに気づく。これらのページはすべて、検索エンジン、ひいては検索ユーザーに見つけてもらうために互いに競合することになる。
これを防ぐには、より整然とした、思慮深い配置が必要である。つまり、検索エンジンに、主要なトピックについてどのページを優先的に表示すべきかを伝えるものである。そうすれば、そのトピックに関連するすべてのページを、相互にリンクした1つのクラスターとして整理することができる。
出典:HubSpot「Topic Clusters: The Next Evolution of SEO」 ※日本語訳は編集部(以下同)
日本語版の記事でも、
〈既存の膨大なブログ記事にトピッククラスターを活用する有用性は理解いただけたでしょうか〉
という表現があり、大規模サイトを前提としたコンセプトであることがわかる。
小規模サイトでトピッククラスターの有効性がないとはいえないが、そもそも、大規模サイトで起きる問題点が生じていないため、効果を感じられるか微妙なところだ。
加えて、
「ピラーページを大量のクラスターページで取り囲むことで、そのトピックに対する権威を高める」
というコンセプトに照らすと、大量のページを蓄積していく見通しがなければ、機能しない。
2つめは「サイトの主題がすでにコアトピックになっているサイト」だ。
サイトの主題がすでにコアトピックである場合、ピラーページの作成が難しく、トピッククラスター戦略の効果が出にくい。
“ピラーページは広範で包括的なトピックを扱うべき”という、基本的な前提に反するからである。
トピッククラスターでは、
「ピラーページで取り上げるコアトピックは、狭すぎても広すぎてもよくない」
とされている。
以下に、HubSpotのLeslie Ye氏の言葉を引用する。
「何かをピラーページと呼ぶべきかどうかを考慮する際には、次のように自問してみよう。
このページは、Xキーワードで検索したユーザーが持つすべての疑問に答えられるもので、かつ20〜30本の記事を包括するほど広範な内容を持っているか?
判断基準として、ロングテールキーワードでページをランクさせようとしている場合、それはピラーページではない。狭いトピックを深く追求している場合も、ピラーページではない。
幅広いトピックの多くの側面に触れているなら、それはおそらくピラーページだろう」
出典:HubSpot「Topic Clusters: The Next Evolution of SEO」
先ほど、HubSpotが「インスタグラムマーケティング完全ガイド」をピラーページとしている事例を紹介した。
しかし、もし「インスタグラムマーケティング完全ガイド」というサイトを運営しているのなら、それよりも深いトピックでピラーページを作成しても、トピッククラスターの効果を期待できない。
小規模ビジネスのオーナーや中小企業のオウンドメディアでは、そもそも、サイトのコンセプトを特定のニッチな分野にフォーカスしているケースが多いだろう。
そこからさらにトピッククラスターで分解していくと、ピラーページの深度が深すぎて不適切となってしまうのだ。
上記を踏まえて、自サイトにとってのトピッククラスターの向き・不向きを判断してほしい。
続いて、「トピッククラスターを実践したい」という方に向けて、手順を解説していこう。
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1つめのステップは「ピラーページを作成する」である。
既存コンテンツがすでにあるサイトの場合、
「どれがピラーページか?」
という視点で、コンテンツを評価し直す。
ピラーページで扱うコアトピックは、ビジネスにとって重要な(つまり顧客化や売上につながる)ものである必要がある。
ターゲット顧客が抱える悩みや問題を特定し、それらと関連性が深いトピックを選定しよう。
必要に応じてアンケートやインタビューを行い、データを収集するとよい。
コアトピックが定まったら、そのトピックでページを作成する。既存ページを改良してもよい。
注意したいのが、ピラーページを、ランディングページ、またはリンク集のようなカバーページと誤解している人がいることだ。
それではまったく不十分で、ピラーページは1万〜2万字以上の文字数を目指して、作り込む必要がある。
ピラーページとは、そのトピックに関する基本的な疑問の答えをすべて網羅した、包括ガイド的なコンテンツである。
お手本として、もう一度、HubSpotのピラーページ「インスタグラムマーケティング完全ガイド」を確認しておこう。本文の文字数は、24,000字以上ある。
ピラーページの要件として、以下が挙げられる。
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上記を踏まえつつ、SEOコンテンツ作成の基本を踏まえた記事を作成しよう。
“SEOコンテンツ作成の基本”については、ここでは詳説しないが、以下の2つの記事を参考にしてほしい。
2つめのステップは「キーワード調査をする」である。
ピラーページの作成と並行して、クラスター化するためのキーワード調査を進める。
サブトピックとして選ぶのは、コアトピックに関連するキーワードの中で検索ボリュームが多かったものだ。
たとえば、「箱根温泉」がコアトピックだとしよう。関連キーワードを洗い出したら、月間検索数を調べて、その数が多い順にソートする。
検索数が多い順から上位20〜30個を目安に、サブトピックとして採用しよう。
なお、キーワード調査の時点で、20〜30個のサブトピックを集められない場合、ピラーページで選定したコアトピックが狭すぎる。より広範囲なトピックを選定し直そう。
キーワードの洗い出し方がわからない場合は、「キーワード選定|圧倒的集客を実現するコンテンツプランニングと絶対やるべき3つの事」に目を通してほしい。
3つめのステップは「クラスターページを作成する」である。
クラスターページも、SEOコンテンツ作成の基本に沿って作成し、それぞれに対してオンページSEO対策をしっかりと実行していく。
参考:オンページSEOとは?今こそ本腰を入れるべき手法の基本から実践まで
なお、注意したいのはコンテンツの重複である。
トピッククラスターは、サイト内でのキーワードのカニバリゼーションを回避して、コンテンツを整理することに重きがある戦略だ。効果を出すためには、重複を慎重に回避する必要がある。
複数の既存ページでトピックが重複する場合、現在の検索順位が最上位のURLに情報をまとめ、それ以外のURLからは、リダイレクトを設定する。
リダイレクトがわからない方は、「301リダイレクトとは?SEOへの影響と転送の書き方・設定後の留意点」にて確認しよう。
4つめのステップは「既存のリンクを一度すべて削除する」である。
これをどこまで完璧に実行するかは、余力とサイト運営者の考え方次第といえるかもしれない。
本家のHubSpotでは、以下のとおり書かれている。
おそらくこのプロセスで最も根気のいるステップがリンクの削除です。
プロジェクトチームはすべてのブログ記事を手作業で見直し、内部リンクをすべて削除しました。
出典:HubSpot「トピッククラスターを活用したブログの最適化」
既存の内部リンクを削除する意図は、設計したトピッククラスターどおりに、検索エンジンにサイト構造を認識させるためだ。
トピッククラスターは、内部リンクによって検索エンジンにサイト構造を伝達する戦略なので、意図しないリンクが残っていると、トピッククラスターが机上の空論になるリスクがある。
5つめのステップは「トピッククラスター内だけで内部リンクを設置する」である。
既存の内部リンクがクリーンになったら、あらためて、トピッククラスター内だけで内部リンクを張る。
HubSpotのMatthew Barby氏によれば、
“In fact, Barby recommends one hyperlink per 150 words.”
とのことで、150 wordsに対して1つずつの内部リンクが推奨されるという。
出典:HubSpot「How We Used the Pillar-Cluster Model to Transform Our Blog」
1単語5文字程度として日本語に置き換えると、750字に1回程度、内部リンクを出現させるとよいだろう。
たとえば、今お読みいただいている「3-5. トピッククラスター内だけで内部リンクを設置する」のセクションの文字数は約430字である。
1〜2つのセクションに1回、内部リンクを挿入するペースだ。
最後に、本記事でも参考文献としたHubSpotの記事をリンクする。
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より深い情報が必要な方は、上記を参照のうえ、学びを進めてほしい。
本記事では「トピッククラスター」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。
トピッククラスターとは、SEO戦略のひとつである。
コアトピックを決め、核となるピラーページを作り、その周囲に関連記事をクラスターページとして内部リンクする。結果、そのトピックにおける権威が高まり、クラスター全体の検索順位が押し上げられる仕組みだ。
ただし、大規模サイトを前提としている側面があり、以下のサイトにはおすすめできない。
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実践手順として、以下を解説した。
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トピッククラスターの実践には、時間や労力がかかるが、サイト構造を戦略的に設計したい方にとっては、有力な選択肢のひとつといえる。
SEO施策の次の一手として、検討してみてほしい。
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