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11/27水19:00〜20:00
301リダイレクトとは、ドメイン変更やサイトリニューアルにより永続的なURL変更が発生した際に、旧ページから新ページへ自動転送することである。
本記事では、301リダイレクトの設定ファイルの書き方など実務を解説するが、その前に、こんな不安を持っていないだろうか。
「301リダイレクトって、本当にSEOに悪影響はないの?」
「せっかく獲得したGoogle上位が、圏外に落ちたりしない?」
調べてみても、影響があるような・ないような、奥歯に物の挟まった言い方ばかりで釈然としない……と感じているかもしれない。
結論からいえば、
「100%の保証はないものの、8割〜9割以上はGoogleの評価を引き継げる」
と考えてほしい。
本文中では、この根拠についても明快に解説する。では、さっそく見ていこう。
目次
まず301リダイレクトとは何か、基本の知識から確認していこう。
そもそも「リダイレクト」とは、指定されたWebページから別のページへ自動転送させることをいう。
「aaa.html」というページにアクセスがあったら、「bbb.html」に自動的に転送して、bbb.htmlのページ内容を表示させる、というのがリダイレクトである。
たとえば、サイトリニューアルをしてURLが変更になり旧ページを削除した場合、リダイレクトをしないと「404 Not Found(お探しのページが見つかりません)」のエラー画面が表示されてしまう。
そこで、リダイレクトの処置を行い任意のページに自動転送すれば、ユーザーに不便な思いをさせることもないし、サイト運営者としては機会損失を防ぐことができる。
【サイトリニューアルの必読記事】
リダイレクトのやり方には複数の選択肢がある。
▼ リダイレクトのやり方
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SEOの観点から望ましい手法は、1番目の「Webサーバーの設定で行うリダイレクト」だ。
本記事のテーマである「301リダイレクト」は、Webサーバーの設定で行う。SEO効果のあるリダイレクト法としてマスターしたいものだ。まずはこのポイントを押さえてほしい。
なぜSEO的に301リダイレクトが推奨されるのか。その理由を見ていこう。
シンプルにいえば、
「転送元の旧ページが持つGoogleの評価・PageRankを、転送先の新ページへ引き継げる」
という理由で、301リダイレクトが推奨される。
「それは本当に?」
「評価を“完全に”、引き継げる?」
という質問は多い。
肌感覚としては、冒頭でも触れたとおり、
「100%の保証はないものの、通常、8割〜9割以上は引き継げる」
と捉えてほしい。
もう少し詳しく説明しよう。
まず「“完全に”引き継げるのか?」については、これまでよく論点となってきた。
たとえば、2013年に米国のSEO専門家の間で、
「301リダイレクトで、PageRankの一部が失われることが確認された」
として、話題になったことがある。
「PageRankが15%失われる」と主張する者もいた。
ただし、2016年にGoogleのジョン・ミューラーが、ユーザーからの301リダイレクトに関する質問に、以下の主旨の解答をしている。
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以降、この発言を根拠として、
「301リダイレクトによって、PageRankが失われることはない」
と考える者が増えた。
直近では、2021年にGoogleの公式ガイドが更新され、
「サーバー側のリダイレクトは Google によって正しく解釈される可能性が最も高くなります」
と明記されている(出典:リダイレクトと Google 検索)。
※補足:301リダイレクトは上記でいう“サーバー側のリダイレクト”に該当する。
つまり、さまざまなリダイレクトの手法があるなかで、
「Googleによって正しく解釈される(=評価の引継ぎを含む)可能性が高い方法は、301リダイレクトである」
と公式アナウンスされているのだ。
先ほど「100%の保証はないものの、通常、8割〜9割以上は引き継げる」と述べた。
“8割〜9割以上”としたのは、以下の情報を踏まえ、リスクをとれるようにするためである。
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ここまでの話をまとめておこう。
▼ まとめ
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サーバーで行うリダイレクトは、301以外にも複数の種類がある。通常の運用では「301」「302」の2つを覚えておけばよい。
301・302の詳細を解説する前に、全体像を把握しておこう。
Webサーバーでのさまざまな設定には、3桁の数字からなるコードが使われる(HTTP レスポンスステータスコードという)。
▼ HTTP レスポンスステータスコード
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たとえば、よく見かけることの多い「404 Not Found」も、HTTP レスポンスステータスコードの一種である
リダイレクトに関するコードは300番台にある。
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出典:RFC 2616 – Hypertext Transfer Protocol — HTTP/1.1
このうち、私たちがサイト運営でよく使うのは301・302、という構造となっている。では、301・302のそれぞれを説明しよう。
「301 Moved Permanently」は「永久に移動した」という意味だ。そのままの意味で、一時的ではなく永続的に、URLが変更になったときに利用する。
▼ 301 Moved Permanentlyの定義
リクエストされたリソースが Location ヘッダーで示された URL へ完全に移動したことを示します。
ブラウザーはこのページにリダイレクトし、検索エンジンはリソースへのリンクを更新します。
出典:301 Moved Permanently – HTTP | MDN
▼ 301リダイレクトの用途
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Googleのクローラーは、301リダイレクトを発見すると、
「このURLは、永久に移動したんだな」
と認識する。
よって、Googleのインデックスを新URLに書き換えて、Google検索結果に新URLが表示されるようにする。ここがひとつポイントで、この後に解説する302との違いだ。
もうひとつの「302 found」は、以前は「Moved Temporarily(一時的に移動した)」と定義されていたコードで、永久のURL変更ではなく一時的な変更であることを示す。
▼ 302 Foundの定義
リクエストされたリソースが一時的に Location で示された URL へ移動したことを示します。
ブラウザーはこのページにリダイレクトしますが、検索エンジンはリソースへのリンクを更新しません。
▼ 302リダイレクトの用途
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前述の301では、Googleインデックスは新URLに書き換えられると述べたが、302は一時的なものなので、GoogleインデックスのURL書き換えは行われない。
301と302の選択肢で、PageRankが失われるのか否かについても、長らくさまざまな意見が出されてきた。
結論からいえば、2016年にGoogleのゲイリー・イリェーシュおよびジョン・ミューラーが相次いで、
「300番台のリダイレクトは、301でも302でもなんであろうが、現在はPageRankを失うことはない」
という主旨の発言をしている。
▼ ゲイリー・イリェーシュのツイート
30x redirects don’t lose PageRank anymore.
— Gary 鯨理/경리 Illyes (@methode) July 26, 2016
よって、301か302かを選ぶ際には、PageRankへの影響ではなく、
「定められたコードに対して、状況的にどちらが正しいか?」
で判断する。
すなわち、永続的なURL変更であれば301、一時的なURL変更であれば302という判断だ。
ドメイン変更やサイトリニューアルによって旧URLは使わなくなり、新URLに変わるのであれば、301を選択する必要がある。
301リダイレクトの概要が理解できたら、ここからは実際のやり方について解説していく。
301リダイレクトを設定するやり方はいくつかあるが、技術者ではないWeb担当者の選択肢として現実的なやり方は、以下の2つである。
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それぞれ見ていこう。
1つめは、“.htaccess”に命令文を書く方法だ。
.htaccessはサーバーの設定ファイルだ。「ドット エイチティー アクセス」と読む。
.htaccessの実体はテキストファイルで、ルートフォルダにある。FTPやcPanelなどのファイルマネージャーから確認しよう。
ルートフォルダとは最上階層フォルダのことで、WordPressを利用している場合、index.phpやwp-config.phpと同じ場所だ。
ダウンロードして、テキストエディタなどで開き、編集する。
▼ .htaccessの例
.htaccessを開けたら、301リダイレクトの命令文を記述する。命令文の書き方は、以下のとおりだ。
▼ 旧ページから新ページへ(old.html→new.html)
Redirect 301 /old.html http://example.com/new.html
▼ 旧ページから新ページへ(拡張子なし、old→new)
Redirect 301 /old http://example.com/new
▼ 旧ディレクトリから新ディレクトリへ(old/→new/)
redirect 301 /old/ http://example.com/new/
▼ 旧ドメインから新ドメインへ(olddomain.com→newdomain.com)
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^olddomain.com [NC,OR]
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^www.olddomain.com [NC]
RewriteRule ^(.*)$ http://newdomain.com/$1 [L,R=301,NC]
▼ 記載した例
注意したい点として、.htaccessの記述を誤ると、サイト全体がエラー表示になって消える、といったトラブルが起きる。
.htaccessを編集する前にかならずバックアップをとり、トラブル時にはすぐ元に戻せる準備をしてから取りかかろう。
今までに.htaccessを扱った経験がない方、エラーが起きないか不安な方は、次に紹介するプラグイン利用を検討してほしい。
WordPressであれば、リダイレクトを効率的かつ安全に設定できる便利なプラグインが存在する。
プラグインの選択肢はいくつかあるが、おすすめは「Redirection」だ。インストール数が本記事執筆時点で200万以上あり、更新も頻繁に行われている。
Redirectionは、WordPressの管理画面の[プラグイン]→[新規追加]から「Redirection」と検索するとヒットする。
WordPressにプラグインをインストールする方法がわからない方は、先に「WordPress プラグインのインストールと停止・削除・更新の方法」を確認してほしい。
[今すぐインストール]をクリックしてインストールが終わると[有効化]にボタンが変わるので、クリックする。
これでRedirectionが使える状態になった。
[ツール]メニュー内に[Redirection]が現れる。クリックし、セットアップを開始しよう。
セットアップを開始すると、入力項目の画面が出てくる。後からでも簡単に変更できる。
Redirectionの機能をフルで使うためには、すべてチェックしておくとよい。
次の画面でセットアップ完了をクリックして準備完了となる。
後は、Redirectionのツール画面の入力フォームで、転送ルールを設定するだけで、簡単に301リダイレクトを設定できる。
ソースURL(旧URL)は相対URL(ルートディレクトリからの相対パス)、ターゲットURLは絶対URL(https://〜始まるパス)で表記する。
▼ 例:
ソースURL:/index.html ターゲットURL:https://lucy.ne.jp/index.html |
上記の例で設定した画面が以下のとおりだ。
新しいルールの[コード]の項目に「301」と表示されているとおり、何も設定しなければデフォルトで301リダイレクトの設定となる。
302に変更するなど、より詳しい設定を行いたい場合は、歯車マークをクリックすると高度なオプションが表示される。
ディレクトリ→ディレクトリのリダイレクトや、新しいドメインへのリダイレクトも、Redirectionで設定可能だ。
▼ ディレクトリのリダイレクトの例
▼ 新しいドメインへのリダイレクト
新しいドメインへのリダイレクトは、専用の設定画面が用意されている。
上部メニューから[サイト]をクリックすると、以下の設定画面へ移動できる。新しいドメインを入力して更新すれば、サイト全体がリダイレクトされる。
注意点として、まったく関係のない他者のサイトを転送先にすることも含め、簡単にリダイレクトの設定ができてしまう。誤りのないよう注意してほしい。
最後に、301リダイレクトの設定を行った後の留意点を3つ、お伝えする。
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それぞれ見ていこう。
まずは何はともあれ、正しく転送されていることを確認せねばならない。
実際に自分で旧URLにアクセスしてみて、正しいページに遷移しているか、確認する。
次に「302ではなく301としてGoogleに認識されているか?」を確認するために、GoogleのインデックスのURLが更新されたかどうか確認する。自分でGoogleを検索して、URLが更新されているかチェックしよう。
更新されていない場合、新URLがGoogleにインデックス登録されているか、確認する。
▼ サーチコンソールからチェックする方法
[URL検査]をクリックし、検索窓に確認したい新URLを入力して検索する。
結果、表示されるメッセージを確認しよう。
インデックスされている場合のメッセージ:
インデックスされていない場合のメッセージ:
「ユーザーから見た挙動に問題はないが、Googleのインデックスが更新されない、登録されない」という場合、問題の切り分けが必要だ。
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インデックスの問題については「インデックスとは?SEOに初めて取り組む人向けの重要知識まとめ」を参照してほしい。
robots.txtやXMLサイトマップの更新・再送信が役立つこともある。関連記事を以下にリンクしておこう。
内部リンクやcanonical(カノニカル)タグなど、旧URLを新URLに書き換える作業は、余力があれば行ってほしい。
逆にいえば、ほかのより価値が高い仕事を犠牲にしてまで、やるべき作業とはいえない。
そもそも、そういった作業をスキップしても、検索エンジンに正しく解釈してもらうための301リダイレクト設定だ。
Googleのジョン・ミューラーも、オンラインイベントでユーザーからの質問に答える形で、以下の主旨の発言をしている。
「被リンクの更新は(できれば)したほうがよいが、やらなかったからといって、サイトに致命的な損失が生じることはない」
なお、書き換え作業を行うという場合には、WordPressならプラグインによって大幅に効率化できることがある。
たとえば「Better Search Replace」は、URLや特定の文字列の検索と一括置換ができるプラグインだ。
できるだけ効率的なやり方を探そう。
無事に301リダイレクトの設定が済み、Googleのインデックスも更新されても、301リダイレクトの設定はすぐに外さないようにしよう。
少なくとも1年以上は、そのままにしておく。
「1年」の根拠はジョン・ミューラーが「How long to keep 301 redirects?」にてそう述べたからだ。
発言の主旨を要約しよう。
「Googleでは少なくとも数ヶ月に1度、すべてのページを再処理するよう心掛けているが、クロールの量には限りがあり、優先順位をつけなければならない。
リダイレクトの設定をGoogleが数回クロールしたことを確認するために、少なくとも1年間はリダイレクトを維持することを推奨する」
基本的には、一度設定した301リダイレクトは、永遠にそのままにして悪影響は何もない。特別な事情がなければ、維持しておこう。
ただし、再度のドメイン変更などにより、リダイレクトチェーンが発生する場合は別だ。
「ページA→ページB→ページC…」という具合に、3回以上のリダイレクトが起きる場合は、リダイレクトの数を少なくし、最終目的地に直接リダイレクトするように修正を行う。
リダイレクトチェーンは処理速度を低下させ、ユーザーエクスペリエンスを損ない、SEO上もリスクがあるためだ。
本記事では「301リダイレクト」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。
サイトリニューアルやドメイン移転などにより、やむを得ずリダイレクトが必要となった場合、SEO的に最善の選択肢は「301リダイレクト」である。
Googleの評価・PageRankは8割〜9割以上は引き継げると捉えてよい。
301リダイレクトの設定方法としては、「.htaccess」に記述する方法と、プラグインを使う方法がある。簡単なのはプラグインを使う方法だ。
設定が済んだら、以下のポイントに留意してほしい。
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やむを得ずリダイレクトを行う場合には、本記事を参考に、サイトの価値を毀損しない実践をしていこう。
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