コーポレートサイト制作手順の流れや掲載内容・依頼先の選び方を解説

コーポレートサイトを新たに制作したいと考えるとき、

 「具体的に、どういう手順でやるのがよいのか?」
 「自分で作れる?外注する?」
 「費用はどれくらいかかるのか?」

など、さまざまな疑問が浮かぶのではないだろうか。

企業の情報発信のデジタル化が進む中、コーポレートサイトの良し悪しがビジネスの未来を決めるといっても過言ではない。慎重かつ戦略的に、コーポレートサイト制作を進めたいところだ。

この記事では、コーポレートサイト制作の手順や費用の相場、依頼先の選び方について詳しく解説する。

着手前の確認事項から、掲載コンテンツの選び方、制作会社の選定基準など、コーポレートサイト制作に必要な情報を網羅した。

効果的なコーポレートサイトを構築するテクニックを学び、ビジネス成果に結び付けてほしい。

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1. コーポレートサイトとは何か?基本の知識

まず、そもそもコーポレートサイトとは何なのか、あらためて理解しておこう。

1-1. 「コーポレートサイト」の定義

コーポレートサイトとは、企業を代表し、その企業の顔となるWebサイトを指す。

企業について、自社の顧客やユーザーだけでなく、一般の人々に対して広く紹介するためのものだ。

この点において、自社の顧客やユーザーを対象とする商用サイト(例:ランディングページやECサイトなど)と区別して、コーポレートサイトの語句が使われることが多い。

コーポレートサイトと商用サイトの対象者の違い

1-2. コーポレートサイトの目的

コーポレートサイトの目的は何か。答えは「自社のプレゼンス向上」である。

プレゼンスとは存在感のことだ。自社の顧客やユーザーのみならず、業界や社会において、自社の存在感を増し、影響力を持つために、コーポレートサイトを活用する。

商用サイトの場合は、ビジネス成果の獲得が直接的な目的となる。新規顧客の獲得や売上増加が、商用サイトの役割だ。

優良なコーポレートサイトは、結果としてビジネス成果に貢献する。だが、一元的にはそれを目的としていない点が、商用サイトとの違いといえるだろう。

1-3. コーポレートサイトのオーディエンス

コーポレートサイトのオーディエンス(影響を与えたい相手)は誰かといえば、以下のとおり、リストアップできる。

【コーポレートサイトのオーディエンス】

  • 自社の顧客・ユーザー
  • 取引先(外注先、仕入先、金融機関など)
  • 求職者(就活生、転職者)
  • 学生(インターンシップ希望者など)
  • 地域住民
  • 投資家・株主
  • メディア関係者(報道機関など)
  • 競合他社
  • 行政機関・規制当局
  • 学術機関・研究者
  • 協力団体・業界団体
  • その他

商用サイトでは「ターゲットは絞るべき」とされることが多い。

しかし、コーポレートサイトの場合、特定のターゲットに絞るのではなく、多岐にわたるオーディエンスに対応できる360度性が重要である。

全方位的な対応が、企業の価値を多様なステークホルダーに伝える鍵となるだろう。

1-4. 優れたコーポレートサイトから得られるメリット

優れたコーポレートサイトは、企業に多くのメリットをもたらす。ここでは3つのポイントを紹介しよう。

コーポレートサイトのメリット

第一に、信頼性の向上だ。

企業の取り組みや成果を具体的に示すことで、顧客や取引先からの信頼を得られる。業績データや、企業の社会的責任(CSR)活動を掲載すれば、透明性が高まり、信頼性が向上する。

第二に、マーケティング効果の促進である。

製品やサービスの情報を効果的に発信すれば、ターゲット顧客層にリーチして、購買意欲を促進できる。

第三に、採用活動の強化だ。

企業文化や働く環境を具体的に紹介することで、求職者に対して魅力を伝える。社員インタビューを掲載し、実際の働く様子を伝えることが、優秀な人材の確保につながるだろう。

以上のメリットは、企業にとって非常に重要である。コーポレートサイトの質を高めることが、企業活動の基盤となるのだ。


2. コーポレートサイト制作に着手する前の3つの確認事項

コーポレートサイト制作に着手する前には、依頼先、予算、期限の3つの要素を確認する必要がある。

コーポレートサイト制作着手前の3つの確認事項

これらの要素を適切に設定することで、効率的かつ効果的なサイト制作が可能となる。

2-1. 依頼先:誰が制作するか

依頼先の選定は、コーポレートサイト制作の方向性を大きく左右する。専門性とコスト、納期のバランスを見極める必要がある。

選択肢は大きく2つに分かれる。

2-1-1. 外注 or 自作 の選択肢

1つめの選択肢は、Web制作会社へ外注することだ。専門的な技術を有しているため、期待するクオリティを確保できる可能性が高い。納期管理も容易である。

一方、デメリットとしては費用がかかることが挙げられる。

【外注の特徴】

  • 専門的な技術力:Web制作会社は専門的な技術を持っているため、高いクオリティのサイト制作が可能だ。
  • 納期管理が容易:プロの会社に依頼するため、納期の管理がしやすい。
  • 高コスト:専門的なサービスを受けるため、費用がかかる。

2つめの選択肢は、社内で自作することだ。低コストで柔軟な対応が可能だが、リソースとスキルの確保が課題となる。

【自作の特徴】

  • 低コスト:社内リソースを活用するため、コストを抑えることができる。
  • 柔軟な修正対応:自社で制作するため、修正が容易である。
  • リソースとスキルの確保が課題:社内での制作には、リソースとスキルが必要となる。

「この会社なら期待通りのクオリティで納品してくれるだろう」と、安心できる外部パートナーが見つかっているならば、外注が推奨される。

前述のとおり、コーポレートサイトは企業にとって非常に重要な役割を果たすからだ。

自作する場合は、「必要なリソースとスキルはそろっているか?」と自問し、慎重に判断しよう。

2-1-2. ディレクション力に自信があれば部分発注も可

補足として、社内にディレクション力がある場合なら、必要なパートだけをフリーランスなどに依頼する、部分発注での制作も選択肢となる。

たとえば、

「デザインができるWebデザイナーをクラウドソーシングで見つけて、こちらのディレクションどおりに作ってもらう」

といったやり方だ。

※ディレクション…制作の総指揮・管理のこと。方向性を指示し、クリエイターのモチベートも含めて適切なフィードバックを行い、プロジェクトを成功させる。

しかし、「制作物のディレクションはしたことがない」「コーポレートサイト制作は初めて」といったケースなら、ディレクション込みで制作してくれるWeb制作会社に依頼しよう。

ディレクションには時間と労力がかかるうえに、スキル不足の場合はコミュニケーションでつまずいて、成果物の質が下がることは珍しくないからだ。

2-1-3. 制作会社の選定基準

制作会社を選定する際には、以下の10のポイントを参考にしてほしい。

【制作会社を選定する10のポイント】

  1. 実績確認:過去の制作実績を確認し、クオリティを判断する。
  2. 技術力評価:デザイン力やWeb開発力を評価する。
  3. コミュニケーション:プロジェクト進行時のコミュニケーション体制を確認する。
  4. 費用対効果:予算内で最大限の効果が得られるかを検討する(相場については後述)。
  5. 納期管理:納期を守る体制が整っているかを確認する。
  6. アフターサポート:制作後のサポート体制を確認する。
  7. 最新トレンド対応:最新のデザインや技術トレンドに対応しているかを確認する。
  8. 企業文化の適合:制作会社の企業文化が自社と合うか、相性を見る。
  9. 信頼性評価:信頼できる企業であるかを確認する。
  10. 契約内容確認:契約内容を詳細に確認し、後々のトラブルを防ぐ。

2-2. 予算:いくらで制作するか(相場)

予算の範囲内で最大限の効果を発揮するコーポレートサイトを制作するためには、まず費用の相場を理解しておく必要がある。

【コーポレートサイト制作費用の相場】

項目

費用の目安

デザイン制作

30万円~100万円

コーディング

20万円~60万円

CMS導入・カスタマイズ

10万円~50万円

レスポンシブ対応

10万円~30万円

SEO対策

5万円~20万円

サーバー・ドメイン費用

2万円~10万円

その他(写真撮影など)

5万円~20万円

合計(目安)

50万円~300万円

中小企業向けのシンプルなコーポレートサイトであれば、《50万円前後》が相場といえるだろう。

もちろん、実際の費用は、依頼先や発注内容によって大きく変動する。

相場感を目安にしつつ、まずは予算を確保して、依頼先の選定や交渉の材料としてほしい。

2-3. 期限:いつまでに制作するか(納期)

期限の設定は、プロジェクトの進行管理に不可欠である。

とくに、コーポレートサイトが必要とされる具体的な日時が決まっている場合、その日時に間に合うよう逆算してスケジュールを組む必要がある。

【コーポレートサイト制作のリードタイム目安】

項目

期間の目安

企画・方針決定

2週間〜1ヶ月

デザイン案作成

2週間〜1ヶ月

コーディング

1週間〜1ヶ月

コンテンツ制作

2週間〜1ヶ月

テスト・調整

1週間〜2週間

合計(目安)

2ヶ月〜5ヶ月

上記の期間は、中規模のプロジェクトをもとにした目安である。

逆算の際には、各工程の内容と要件、リソースの状況などを考慮し、余裕を持った計画を立てることが大切だ。


3. コーポレートサイト制作の基本的な手順

続いて、コーポレートサイト制作の基本的な手順を見ていこう。

ここでは以下の7つのステップに分けて解説する。

  1. 目標を明確にする
  2. デザインコンセプトを策定する
  3. サイトマップとワイヤーフレームを作成する
  4. デザインとコンテンツを制作する
  5. サイトを実装する
  6. テストして問題点を修正する
  7. サイトを公開する

前述の「依頼先・予算・期限」はすでに検討した後の展開として解説を進めるが、実際には、以下の手順と前後しながら、コストやスケジュールを調整するケースもあるだろう。

3-1. 目標を明確にする

1つめのステップは「目標を明確にする」である。

目標を明確にする

コーポレートサイトを通じて、何が・どうなることを望んでいるのか、ゴールを明確にしておこう。

【目標を明確にするポイント】

  • 多岐にわたるオーディエンスを特定する:自社の顧客・ユーザー、取引先、求職者など、コーポレートサイトの対象となる人たちを明確にする。
  • ビジョンや価値を明確にしておく:会社のビジョンや価値を再確認し、コーポレートサイトの方向性と一致させる。
  • 自社にとってのプレゼンス向上を定義する:自社にとってプレゼンス向上とは何かを明確にし、それをコーポレートサイトの目標にする。

たとえば、コーポレートサイトの目標として、以下のようなものが考えられるだろう。

【目標の例】

  • ブランドの認知度向上:サイトを通じてブランドの強みや価値を発信し、ターゲット顧客層に対して認知度を高める。
  • 信頼性の強化:透明性を高めるために、業績データやCSR活動などを掲載し、企業としての信頼性を強化する。
  • コミュニケーションの活性化:定期的に業績報告や経営方針を公開し、投資家、顧客、求職者などとのコミュニケーションを活性化させる。

3-2. デザインコンセプトを策定する

2つめのステップは「デザインコンセプトを策定する」である。

デザインコンセプトを策定する

自社のブランドイメージや理念を、視覚的に表現する基盤を決める大切なプロセスだ。

【デザインコンセプト策定の詳細】

  • コーポレートイメージの確認:自社の価値観や目指すイメージを深く理解する。企業文化やミッションを明確にし、それをデザインに反映させる方向性を決定する。
  • ターゲット層の分析:サイトを訪れる主なビジターのニーズや好みを分析する。データをもとに、訪問者に共感を呼び起こすデザインを計画する。
  • カラーの選定:自社のイメージに合った色彩を選ぶ。コーポレートカラーやブランドイメージと一致する色の組み合わせ(カラースキーム)を検討する。
  • フォントの選定:読みやすさとブランドイメージに合ったフォントを選ぶ。フォントの種類とサイズを検討する。
  • キービジュアルの選定:サイトのメインとなるイメージ画像を選定する。キービジュアルは、サイトのテーマ性を一目で伝える役割がある。自社のイメージを具現化し、訪問者に強い印象を与えるビジュアルを選ぶ。オリジナルの写真やイラストの作成、プロのデザイナーとのコラボレーションなど、クリエイティブなアプローチも検討する。

なお、デザインコンセプトの策定は、専門的な知識や経験を要する面が多い。制作会社に依頼する場合には、プロのデザイナーとともに構築していこう。

3-3. サイトマップとワイヤーフレームを作成する

3つめのステップは「サイトマップとワイヤーフレームを作成する」である。

サイトマップとワイヤーフレームを作成する

3-3-1. サイトマップ

サイトマップは、Webサイトの全ページ構造を視覚化する図で、家を建てる際の設計図のようなものだ。

サイトマップ

【サイトマップの作成手順】

  1. ページのリストアップ:必要なページとその関連性をリスト化する。
  2. 階層構造の設計:ページ間の階層関係を設計し、それを可視化した図を作成する。
  3. ユーザーの行動フローの想定:訪問者の行動を想定し、最適なページ遷移を設計する。

※コーポレートサイトにどのようなページを作成すべきかについては、後述の章「4. コーポレートサイトに掲載するコンテンツ」にまとめている。続けて読み進めてほしい。

3-3-2. ワイヤーフレーム

ワイヤーフレームは、ページごとのレイアウトを示す図で、部屋の間取り図のようなものである。

ワイヤーフレーム

【ワイヤーフレームの作成手順】

  • 各ページの目的の明確化:各ページで達成したい目的を明確にする。
  • 要素の配置計画:ページ内で必要な要素の配置とサイズを計画する。
  • デザインの方向性の設定:コンセプトに基づいたデザインの方向性を設定する。
  • インターフェイスの構築:ユーザーにとって使いやすいインターフェイスを構築する。

3-4. デザインとコンテンツを制作する

4つめのステップは「デザインとコンテンツを制作する」である。

デザインとコンテンツを制作する

このステップで重要なのは、前のステップまでに設定した目標やコンセプトを、社内外の制作メンバーに共有して、浸透させることである。

それができていないと、ブランドイメージの混乱やターゲット層への訴求力の低下などのリスクがある。

具体的な手法としては、以下が挙げられる。

【方針を浸透させる方法】

  • 共有会議の実施:目標とコンセプトを共有する会議を実施し、理解を深める。全員が同じ方向を向いて取り組む契機となる。
  • ドキュメントの作成:目標とコンセプトを明文化し、参照できるドキュメントを作成する。ドキュメントがあればプロジェクトメンバーが常に方向性を確認できる。
  • 定期的なチェック:進捗状況を定期的にチェックし、目標とコンセプトに沿っているか確認する。方向性のブレを早期に発見し、修正するために有効だ。

制作の実行内容はコーポレートサイトによって異なるが、以下が主要なアクションとなる。

【制作の主要なアクション】

  • デザインコンセプトの具現化:策定したデザインコンセプトに基づき、具体的なデザイン要素の制作を進める。ブランドイメージを具現化する重要な作業である。
  • レイアウトの最終調整:ワイヤーフレームで設計したレイアウトを最終調整し、具体的なデザインに落とし込む。ユーザーの使いやすさも検討する。
  • 色彩の調整:サイト全体の色彩バランスを整える。視覚的な印象を統一し、ブランドイメージを強化する。
  • 文章の作成:ターゲット層に訴求するための文章を作成する。商品やサービスの具体的な説明などが含まれる。言葉の選び方ひとつで、与える印象が変わる。
  • 画像・動画の選定:文章と連動するビジュアルコンテンツを選定し、配置する。ユーザーの興味を引きつけ、サイトの訴求力を高める。

このステップでは、デザインとコンテンツが一体となり、サイトの全体像が見え始める。

3-5. サイトを実装する

5つめのステップは「サイトを実装する」である。

サイトを実装する

これは、実際に動作するWebサイトに仕上げるプロセスである。この段階での作業は、プログラミングの専門知識が求められる部分も多い。

【サイト実装で行うこと】

  • ドメインの取得:サイトのURLとなるドメインを取得する。
  • サーバーの設定:サイトを公開するためのサーバーを準備する。
  • デザインの確定:サイトの全体のデザインを確定する。
  • コーディング:HTMLやCSS、JavaScriptなどを用いて、デザインをコードに変換する。
  • レスポンシブデザインの適用:異なるデバイスでの表示を最適化する。
  • 機能の追加:プラグインやカスタムコードを導入し、サイトに必要な機能を追加する。
  • SEO対策:検索エンジンがサイトを適切に評価するようにする。

なお、WordPressなどのCMSを利用する場合、コーディングなどの専門知識がなくても、サイト立ち上げが可能である(カスタマイズを要しない簡易的なサイトの場合)。

3-6. テストして問題点を修正する

6つめのステップは「テストして問題点を修正する」である。

テストして問題点を修正する

テストは、コーポレートサイトの成功を左右する重要なプロセスだ。複数人の目でダブルチェック・トリプルチェックを行おう。

【具体的なアクション】

  • レスポンシブデザインの確認:スマートフォン、タブレットなど異なるデバイスでの表示を最適化し、多様なデバイスからのアクセスに対応する。
  • ブラウザごとの表示確認:Google Chrome、Safari、Microsoft Edgeなど異なるブラウザでの表示をチェックし、多岐にわたるユーザー環境に対応する。
  • リンク切れのチェック:全てのリンクが正しく機能しているかを確認する。
  • フォームの動作確認:入力フォームが適切に動作するかを検証する。エラーメッセージの表示や、必須項目の確認も行う。
  • コンテンツの確認:文章や画像、動画などのコンテンツが適切に配置されているかを確認する。掲載内容の校閲も行う。
  • セキュリティチェック:サイトのセキュリティ対策が適切であるかを確認する。
  • SEO対策の確認:検索エンジン最適化の対策が施されているかを検証する。メタデータやキーワードの設定などをチェックする。
  • アクセシビリティの確認:障がいを持つユーザーや高齢のユーザーにもアクセスしやすい設計になっているかを確認する。
  • 法的コンプライアンスのチェック:法令に基づく表示が適切であるかを確認する。特にプライバシーポリシーなどの法的要件を満たしているかを検証する。
  • ユーザビリティテスト:実際のユーザーにテストしてもらい、使い勝手や操作感を確認する。ユーザーのフィードバックを取り入れる。

テストの工程では、フレッシュな視点でテストするために、コーポレートサイト制作のプロジェクトに携わっていないメンバーにも協力してもらうとよい。

多角的かつ客観的な視点から、ブラッシュアップしていこう。

3-7. サイトを公開する

7つめのステップは「サイトを公開する」である。

サイトを公開する

最終テストが完了したら、サイトを公開する。

公開後には予期せぬ事態が発生する可能性がある。以下のリスク把握と対策を準備しておこう。

【公開後のリスクと対策】

  • サーバー障害:サイトへのアクセスが集中することがある。耐荷重テストを行い、スケールアップを検討する。
  • セキュリティ攻撃:ハッキングのリスクがある。セキュリティ対策を強化し、定期的にチェックする。
  • 法的問題:著作権侵害などのトラブルがあるかもしれない。法的なチェックを事前に行う。
  • ユーザーのクレーム:内容に対するクレームが発生することがある。クレーム対応の体制を整える。
  • 誤字脱字や情報の間違い:重大な誤字脱字や情報の間違いが発覚することがある。迅速に修正対応できる体制を整える。
  • データの誤削除:修正対応の過程でデータが誤って失われることがある。定期的なバックアップを取っておく。

4. コーポレートサイトに掲載するコンテンツ

コーポレートサイト制作を進める過程では、

「コーポレートサイトには、どんな情報を準備すべきか?」

という点で悩むことが多い。

主要なページと掲載要素を以下にまとめたので、参考にしてほしい。

  1. 会社概要
  2. 製品・サービス紹介
  3. 成功事例
  4. 新着情報
  5. 採用情報
  6. お問い合わせ

4-1. 会社概要

会社概要は、企業の基本情報を掲載するページである。

「この会社は、どんな会社か?」

と知りたくてコーポレートサイトに訪れた人が、まず見るページであり、わかりやすいことが重要だ。

【掲載要素の例】

  • ミッション・ビジョン・バリュー(MVV):企業の核となる価値観を最初に提示する。訪問者に対して、企業の目的と方向性を明確に伝える。なお、タイトルはMVVである必要はない。「企業理念」「プリンシプル」など企業文化にフィットする表現を選ぼう。
  • 沿革:企業の歴史と成長過程を示す。創業の背景や変遷などを時系列で紹介し、企業の信念と経験を明らかにする。
  • 組織体系:組織の構造や役員、部門の役割などを紹介する。企業の体系的な運営と経営陣の信頼性を示す。
  • 主要取引先:取引先の規模や業界を明示し、企業の信頼性と実績を示す。パートナー企業との関係も明らかにする。
  • 資本金と従業員数:企業の規模感を示す。資本金の額や従業員数を開示することで、企業の安定性と信頼性を高める。
  • 所在地と連絡先:企業の所在地、連絡先、アクセス方法などを記載する。会社の実在を示すとともに、問い合わせや訪問ができるようにする。
  • CSR活動と環境への取り組み:企業の社会的責任と環境保護への取り組みを紹介する。企業の倫理観と社会への貢献を示す。

会社概要のページは、関係者との信頼関係を構築する礎となるページだ。透明性を重視して、取り組んでいこう。

【具体例】

株式会社ルーシーの会社概要ページ

出典:株式会社ルーシー

4-2. 製品・サービス紹介

製品・サービス紹介は、自社で扱う製品やサービスについて、詳しく紹介するページである。

魅力を十分に伝えられれば、顧客の購買意欲を促進できる。また、顧客以外のステークスホルダーに対しては、自社の商品力のアピールにつながる。

【掲載要素の例】

  • 製品一覧:提供する製品の種類を一覧で示す。訪問者は企業の製品群をすぐに把握でき、興味関心を引き出す効果が期待できる。
  • 製品の特徴:それぞれの製品の特徴を明記する。訪問者は製品のユニークな側面や利点を理解する。競合他社との差別化を図るために有効だ。
  • サービスの内容:提供するサービスの具体的な内容を説明する。訪問者はサービスの価値を感じ取る。顧客満足を高めるために重要である。
  • 利用シーン:サービスがどのような場面で利用されるのかを描写する。訪問者は自身のニーズと照らし合わせることができる。共感を得るために効果的だ。
  • 独自技術:製品やサービスに用いる独自技術を紹介する。技術力の高さや業界内でのリーダー性をアピールする。
  • 開発力:企業の開発力を証明するエピソードやデータを挙げる。信用度を高めるために有効である。
  • 価格の明示:製品やサービスの価格体系を示す。訪問者は購買の意思決定プロセスを具体的に進めやすくなる。
  • アフターサポート:製品やサービスのアフターサポート体制を詳細に説明する。長期的な関係を築くために効果的だ。

ECサイトやランディングページを運用している場合、製品・サービスページからリンクするとよいだろう。ビジネス成果に結びつきやすくなる。

【具体例】

株式会社ルーシーの例

出典:株式会社ルーシー

4-3. 成功事例

成功事例は、企業の信頼性と実績を証明するページである。これまでに取り組んだプロジェクトや取引先との関係を具体的に紹介し、その成果を明示する。

【掲載要素の例】

  • プロジェクトの概要:プロジェクトの目的と概要を明確にする。ビジョンと方針を伝える。
  • 解決した課題:具体的な課題と解決の意義を解説する。企業の問題解決能力と戦略的思考を示す。
  • 採用した手法:解決策のプロセスと採用した手法を詳細に説明する。企業の専門性と技術力のアピールとなる。
  • 達成した成果:プロジェクトの具体的な成果とその影響を明記する。成果主義の姿勢を示す。
  • クライアントの声:取引先からの喜びの声や推薦の言葉を掲載する。顧客との協業体験を通じて信頼関係を構築していることを伝える。
  • 関連する資料:プロジェクトの報告書や関連する資料へのリンクを提供する。深い洞察と分析を求める訪問者に対応する。

成功事例ページは、その企業の価値と実績を具体的に示す場である。

信頼性、専門性、成果主義の姿勢を強く印象づけ、企業の真価を伝える重要な役割を果たす。

【具体例】

バズ部の成功事例

出典:株式会社ルーシー

4-4. 新着情報

新着情報は、企業の最新情報をタイムリーに発信するページである。

【掲載要素の例】

  • 新製品・サービスの発表:最新の製品やサービスを紹介し、市場へのアピールを強化する。
  • イベントの告知:展示会やセミナーなどのイベント情報を提供し、参加者を募集する。
  • 受賞歴の発表:受賞した賞や認証を発表し、企業の信頼性と権威性を高める。
  • メディア掲載情報:企業がメディアに取り上げられた情報を共有し、認知度を上げる。
  • 財務情報の公開:決算情報や業績予想などを公開し、投資家に対する透明性を高める。
  • 企業の取り組み:社会貢献活動や環境への取り組みなどを紹介し、企業の価値観を伝える。
  • 採用情報の更新:新しい採用情報を発信し、求職者に対して魅力を伝える。

新着情報ページが常に更新され、情報鮮度がキープされていれば、それだけでも企業に対する信頼性は増す。「実体があり、活発に活動している組織」という安心感を与えられるからだ。

新着情報ページは、頻繁に更新することを想定し、担当者にとって更新しやすい仕様にしておこう。

4-5. 採用情報

採用情報は、企業が求職者に向けて提供するページである。優秀な人材の確保が難しくなっている昨今、重要性が増している。

【掲載要素の例】

  • 職種と要件:募集する職種と要件を明示する。求職者が自分に合う職種を見つけられるようにする。
  • 応募方法:応募の手順と必要書類を説明する。志望者がスムーズに応募できるようにしておく。
  • 福利厚生:福利厚生の詳細を紹介する。
  • 社員の声:社員のインタビューや感想を掲載する。社風を伝えるために有効だ。
  • 一日のスケジュール:社員の一日のスケジュールを紹介する。具体的にイメージしやすい。
  • 勤務地:各拠点やオフィスの場所を紹介する。通勤のしやすさを確認するために必要だ。
  • 研修制度:新入社員やキャリアアップを目指す社員向けの研修内容を紹介する。成長の道筋を示す。
  • 企業文化:企業カルチャーやバリューを紹介する。企業の理念に共感する人材を引き付ける。
  • 採用プロセスの流れ:書類選考から最終面接までの流れを示す。応募者がプロセスを理解しやすくする。

採用ページを充実させることは、応募者数の増加に直結する。

イキイキと働く既存社員の写真や、社内イベントの様子など、会社のポジティブな雰囲気が伝わるように配慮するとよい。

【具体例】

株式会社の採用ページの例

出典:株式会社ルーシー

4-6. お問い合わせ

お問い合わせは、サイト訪問者とコミュニケーションを取るためのページだ。

【掲載要素の例】

  • 連絡先の明記:電話番号やメールアドレスを明記する。
  • フォームの設置:問い合わせフォームがあると、問い合わせしやすい。
  • 返信目安時間:返信までの目安時間を明記する。あらかじめ待ち時間がわかっていれば安心できる。
  • よくある質問へのリンク:すぐに解決策を見つけられるオプションも準備しておく。

どのような仕様が最適なのかは、展開しているビジネスの形態によって異なる。

一般消費者向けのビジネスであれば、お客様相談室やフリーダイヤルなどの案内を充実させよう。

B2Bビジネスであれば、お問い合わせページが顧客獲得の重要なフックであることが多いだろう。心理的ハードルを下げ、気軽に問い合わせられるように工夫する。

【具体例】

バズ部の例

出典:株式会社ルーシー


5. コーポレートサイトでビジネス成果を上げるコツ

最後に、コーポレートサイトでビジネス成果を上げるコツを2つ、お伝えしよう。

  1. ユーザー行動に基づいてCTAを配置する
  2. SEOとコンテンツマーケティングを統合的に実践する

5-1. ユーザー行動に基づいてCTAを配置する

1つめのコツは「ユーザー行動に基づいてCTAを配置する」ことだ。

CTA(Call to Action:行動喚起)は、コーポレートサイトに訪れたユーザーに対して、特定の行動を促す要素である。

たとえば、問い合わせや申込みなどの行動が挙げられる。

CTA喚起

CTAの効果を上げるためには、ユーザーの行動データを分析し、最適な位置に配置することが肝要だ。

【CTA最適化の手順】

  • ユーザー行動の分析:訪問者の行動データを収集し、分析する。どのページでどのような行動を取るのかを把握する。
  • CTAの目的の明確化:CTAで促したい行動を明確にする。購買促進、問い合わせ促進など、目的に応じたCTAを設計する。
  • 最適な位置の特定:ユーザーの行動データから、CTAを配置する最適な位置を特定する。訪問者の目に留まりやすい位置に配置する。
  • CTAのテスト:テストし効果を測定する。必要に応じて、位置やデザインの調整を行う。
  • 定期的な見直し:市場環境やユーザーの行動パターンの変化に応じて、CTAの設計を定期的に見直す。

なお、CTAの検証で最も重要なのは、自サイトで、自分でテストすることである。

国内外には、さまざまなCTAのベストプラクティス情報があふれている。

しかし、実際のところ、効果的な手法は各サイトや文脈によってかなり違う事実をお伝えしておきたい。

たとえば一時期、ある業界では「緑色のボタンはコンバージョン率が高い」というのが流行したが、実際に検証すると、ピンク色のほうが高いサイトも多かった。

大切なのは「緑かピンクか」という些末な議論にとらわれずに、目の前の自サイトでデータを取ることである。

5-2. SEOとコンテンツマーケティングを統合的に実践する

2つめのコツは「SEOとコンテンツマーケティングを統合的に実践する」ことだ。

この戦略は、検索エンジンでの評価を高めるSEOと、ターゲット層に対して価値あるコンテンツを提供するコンテンツマーケティングを組み合わせるものだ。

これら2つの要素を統合的に実践することで、以下のような効果が期待できる。

  • 検索エンジンでの評価向上:SEO対策を施したコンテンツは、検索エンジンでの評価が高まる。これにより、検索結果の上位表示が可能となり、訪問者数の増加が期待できる。
  • ターゲット層への訴求強化:コンテンツマーケティングにより、ターゲット層に対して価値ある情報を提供する。ブランドの信頼性が高まり、顧客ロイヤルティの向上が期待できる。
  • 効果的なコンバージョン促進:SEOとコンテンツマーケティングの統合により、訪問者を効果的にコンバージョン(行動)へと導く。

コーポレートサイトのパフォーマンスを最大限に高めるため、ぜひ取り入れたいエッセンスである。

SEOおよびコンテンツマーケティングに関しては、以下の記事も参照してほしい。


6. まとめ

本記事では「コーポレートサイト制作」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。

コーポレートサイト制作に着手する前に、次の3つを明確にしておこう。

  1. 依頼先:誰が制作するか
  2. 予算:いくらで制作するか(相場)
  3. 期限:いつまでに制作するか(納期)


コーポレートサイト制作の基本的な手順は以下のとおりだ。

  1. 目標を明確にする
  2. デザインコンセプトを策定する
  3. サイトマップとワイヤーフレームを作成する
  4. デザインとコンテンツを制作する
  5. サイトを実装する
  6. テストして問題点を修正する
  7. サイトを公開する


コーポレートサイトに掲載するコンテンツとして以下が挙げられる。

  1. 会社概要
  2. 製品・サービス紹介
  3. 成功事例
  4. 新着情報
  5. 採用情報
  6. お問い合わせ


コーポレートサイトでビジネス成果を上げるコツとして、次の2点をお伝えした。

  1. ユーザー行動に基づいてCTAを配置する
  2. SEOとコンテンツマーケティングを統合的に実践する

優れたコーポレートサイトは、ビジネスを後押しする心強い存在である。本記事を参考に、成果につながるコーポレートサイトを立ち上げてほしい。

カテゴリー SEO

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