- オンライン
12/18水13:00〜15:30
コーポレートサイトを新たに制作したいと考えるとき、
「具体的に、どういう手順でやるのがよいのか?」
「自分で作れる?外注する?」
「費用はどれくらいかかるのか?」
など、さまざまな疑問が浮かぶのではないだろうか。
企業の情報発信のデジタル化が進む中、コーポレートサイトの良し悪しがビジネスの未来を決めるといっても過言ではない。慎重かつ戦略的に、コーポレートサイト制作を進めたいところだ。
この記事では、コーポレートサイト制作の手順や費用の相場、依頼先の選び方について詳しく解説する。
着手前の確認事項から、掲載コンテンツの選び方、制作会社の選定基準など、コーポレートサイト制作に必要な情報を網羅した。
効果的なコーポレートサイトを構築するテクニックを学び、ビジネス成果に結び付けてほしい。
目次
まず、そもそもコーポレートサイトとは何なのか、あらためて理解しておこう。
コーポレートサイトとは、企業を代表し、その企業の顔となるWebサイトを指す。
企業について、自社の顧客やユーザーだけでなく、一般の人々に対して広く紹介するためのものだ。
この点において、自社の顧客やユーザーを対象とする商用サイト(例:ランディングページやECサイトなど)と区別して、コーポレートサイトの語句が使われることが多い。
コーポレートサイトの目的は何か。答えは「自社のプレゼンス向上」である。
プレゼンスとは存在感のことだ。自社の顧客やユーザーのみならず、業界や社会において、自社の存在感を増し、影響力を持つために、コーポレートサイトを活用する。
商用サイトの場合は、ビジネス成果の獲得が直接的な目的となる。新規顧客の獲得や売上増加が、商用サイトの役割だ。
優良なコーポレートサイトは、結果としてビジネス成果に貢献する。だが、一元的にはそれを目的としていない点が、商用サイトとの違いといえるだろう。
コーポレートサイトのオーディエンス(影響を与えたい相手)は誰かといえば、以下のとおり、リストアップできる。
【コーポレートサイトのオーディエンス】
|
商用サイトでは「ターゲットは絞るべき」とされることが多い。
しかし、コーポレートサイトの場合、特定のターゲットに絞るのではなく、多岐にわたるオーディエンスに対応できる360度性が重要である。
全方位的な対応が、企業の価値を多様なステークホルダーに伝える鍵となるだろう。
優れたコーポレートサイトは、企業に多くのメリットをもたらす。ここでは3つのポイントを紹介しよう。
第一に、信頼性の向上だ。
企業の取り組みや成果を具体的に示すことで、顧客や取引先からの信頼を得られる。業績データや、企業の社会的責任(CSR)活動を掲載すれば、透明性が高まり、信頼性が向上する。
第二に、マーケティング効果の促進である。
製品やサービスの情報を効果的に発信すれば、ターゲット顧客層にリーチして、購買意欲を促進できる。
第三に、採用活動の強化だ。
企業文化や働く環境を具体的に紹介することで、求職者に対して魅力を伝える。社員インタビューを掲載し、実際の働く様子を伝えることが、優秀な人材の確保につながるだろう。
以上のメリットは、企業にとって非常に重要である。コーポレートサイトの質を高めることが、企業活動の基盤となるのだ。
コーポレートサイト制作に着手する前には、依頼先、予算、期限の3つの要素を確認する必要がある。
これらの要素を適切に設定することで、効率的かつ効果的なサイト制作が可能となる。
依頼先の選定は、コーポレートサイト制作の方向性を大きく左右する。専門性とコスト、納期のバランスを見極める必要がある。
選択肢は大きく2つに分かれる。
1つめの選択肢は、Web制作会社へ外注することだ。専門的な技術を有しているため、期待するクオリティを確保できる可能性が高い。納期管理も容易である。
一方、デメリットとしては費用がかかることが挙げられる。
【外注の特徴】
|
2つめの選択肢は、社内で自作することだ。低コストで柔軟な対応が可能だが、リソースとスキルの確保が課題となる。
【自作の特徴】
|
「この会社なら期待通りのクオリティで納品してくれるだろう」と、安心できる外部パートナーが見つかっているならば、外注が推奨される。
前述のとおり、コーポレートサイトは企業にとって非常に重要な役割を果たすからだ。
自作する場合は、「必要なリソースとスキルはそろっているか?」と自問し、慎重に判断しよう。
補足として、社内にディレクション力がある場合なら、必要なパートだけをフリーランスなどに依頼する、部分発注での制作も選択肢となる。
たとえば、
「デザインができるWebデザイナーをクラウドソーシングで見つけて、こちらのディレクションどおりに作ってもらう」
といったやり方だ。
※ディレクション…制作の総指揮・管理のこと。方向性を指示し、クリエイターのモチベートも含めて適切なフィードバックを行い、プロジェクトを成功させる。
しかし、「制作物のディレクションはしたことがない」「コーポレートサイト制作は初めて」といったケースなら、ディレクション込みで制作してくれるWeb制作会社に依頼しよう。
ディレクションには時間と労力がかかるうえに、スキル不足の場合はコミュニケーションでつまずいて、成果物の質が下がることは珍しくないからだ。
制作会社を選定する際には、以下の10のポイントを参考にしてほしい。
【制作会社を選定する10のポイント】
|
予算の範囲内で最大限の効果を発揮するコーポレートサイトを制作するためには、まず費用の相場を理解しておく必要がある。
【コーポレートサイト制作費用の相場】
項目 | 費用の目安 |
デザイン制作 | 30万円~100万円 |
コーディング | 20万円~60万円 |
CMS導入・カスタマイズ | 10万円~50万円 |
レスポンシブ対応 | 10万円~30万円 |
5万円~20万円 | |
サーバー・ドメイン費用 | 2万円~10万円 |
その他(写真撮影など) | 5万円~20万円 |
合計(目安) | 50万円~300万円 |
中小企業向けのシンプルなコーポレートサイトであれば、《50万円前後》が相場といえるだろう。
もちろん、実際の費用は、依頼先や発注内容によって大きく変動する。
相場感を目安にしつつ、まずは予算を確保して、依頼先の選定や交渉の材料としてほしい。
期限の設定は、プロジェクトの進行管理に不可欠である。
とくに、コーポレートサイトが必要とされる具体的な日時が決まっている場合、その日時に間に合うよう逆算してスケジュールを組む必要がある。
【コーポレートサイト制作のリードタイム目安】
項目 | 期間の目安 |
企画・方針決定 | 2週間〜1ヶ月 |
デザイン案作成 | 2週間〜1ヶ月 |
コーディング | 1週間〜1ヶ月 |
コンテンツ制作 | 2週間〜1ヶ月 |
テスト・調整 | 1週間〜2週間 |
合計(目安) | 2ヶ月〜5ヶ月 |
上記の期間は、中規模のプロジェクトをもとにした目安である。
逆算の際には、各工程の内容と要件、リソースの状況などを考慮し、余裕を持った計画を立てることが大切だ。
続いて、コーポレートサイト制作の基本的な手順を見ていこう。
ここでは以下の7つのステップに分けて解説する。
|
前述の「依頼先・予算・期限」はすでに検討した後の展開として解説を進めるが、実際には、以下の手順と前後しながら、コストやスケジュールを調整するケースもあるだろう。
1つめのステップは「目標を明確にする」である。
コーポレートサイトを通じて、何が・どうなることを望んでいるのか、ゴールを明確にしておこう。
【目標を明確にするポイント】
|
たとえば、コーポレートサイトの目標として、以下のようなものが考えられるだろう。
【目標の例】
|
2つめのステップは「デザインコンセプトを策定する」である。
自社のブランドイメージや理念を、視覚的に表現する基盤を決める大切なプロセスだ。
【デザインコンセプト策定の詳細】
|
なお、デザインコンセプトの策定は、専門的な知識や経験を要する面が多い。制作会社に依頼する場合には、プロのデザイナーとともに構築していこう。
3つめのステップは「サイトマップとワイヤーフレームを作成する」である。
サイトマップは、Webサイトの全ページ構造を視覚化する図で、家を建てる際の設計図のようなものだ。
【サイトマップの作成手順】
|
※コーポレートサイトにどのようなページを作成すべきかについては、後述の章「4. コーポレートサイトに掲載するコンテンツ」にまとめている。続けて読み進めてほしい。
ワイヤーフレームは、ページごとのレイアウトを示す図で、部屋の間取り図のようなものである。
【ワイヤーフレームの作成手順】
|
4つめのステップは「デザインとコンテンツを制作する」である。
このステップで重要なのは、前のステップまでに設定した目標やコンセプトを、社内外の制作メンバーに共有して、浸透させることである。
それができていないと、ブランドイメージの混乱やターゲット層への訴求力の低下などのリスクがある。
具体的な手法としては、以下が挙げられる。
【方針を浸透させる方法】
|
制作の実行内容はコーポレートサイトによって異なるが、以下が主要なアクションとなる。
【制作の主要なアクション】
|
このステップでは、デザインとコンテンツが一体となり、サイトの全体像が見え始める。
5つめのステップは「サイトを実装する」である。
これは、実際に動作するWebサイトに仕上げるプロセスである。この段階での作業は、プログラミングの専門知識が求められる部分も多い。
【サイト実装で行うこと】
|
なお、WordPressなどのCMSを利用する場合、コーディングなどの専門知識がなくても、サイト立ち上げが可能である(カスタマイズを要しない簡易的なサイトの場合)。
6つめのステップは「テストして問題点を修正する」である。
テストは、コーポレートサイトの成功を左右する重要なプロセスだ。複数人の目でダブルチェック・トリプルチェックを行おう。
【具体的なアクション】
|
テストの工程では、フレッシュな視点でテストするために、コーポレートサイト制作のプロジェクトに携わっていないメンバーにも協力してもらうとよい。
多角的かつ客観的な視点から、ブラッシュアップしていこう。
7つめのステップは「サイトを公開する」である。
最終テストが完了したら、サイトを公開する。
公開後には予期せぬ事態が発生する可能性がある。以下のリスク把握と対策を準備しておこう。
【公開後のリスクと対策】
|
コーポレートサイト制作を進める過程では、
「コーポレートサイトには、どんな情報を準備すべきか?」
という点で悩むことが多い。
主要なページと掲載要素を以下にまとめたので、参考にしてほしい。
|
会社概要は、企業の基本情報を掲載するページである。
「この会社は、どんな会社か?」
と知りたくてコーポレートサイトに訪れた人が、まず見るページであり、わかりやすいことが重要だ。
【掲載要素の例】
|
会社概要のページは、関係者との信頼関係を構築する礎となるページだ。透明性を重視して、取り組んでいこう。
【具体例】
出典:株式会社ルーシー
製品・サービス紹介は、自社で扱う製品やサービスについて、詳しく紹介するページである。
魅力を十分に伝えられれば、顧客の購買意欲を促進できる。また、顧客以外のステークスホルダーに対しては、自社の商品力のアピールにつながる。
【掲載要素の例】
|
ECサイトやランディングページを運用している場合、製品・サービスページからリンクするとよいだろう。ビジネス成果に結びつきやすくなる。
【具体例】
出典:株式会社ルーシー
成功事例は、企業の信頼性と実績を証明するページである。これまでに取り組んだプロジェクトや取引先との関係を具体的に紹介し、その成果を明示する。
【掲載要素の例】
|
成功事例ページは、その企業の価値と実績を具体的に示す場である。
信頼性、専門性、成果主義の姿勢を強く印象づけ、企業の真価を伝える重要な役割を果たす。
【具体例】
出典:株式会社ルーシー
新着情報は、企業の最新情報をタイムリーに発信するページである。
【掲載要素の例】
|
新着情報ページが常に更新され、情報鮮度がキープされていれば、それだけでも企業に対する信頼性は増す。「実体があり、活発に活動している組織」という安心感を与えられるからだ。
新着情報ページは、頻繁に更新することを想定し、担当者にとって更新しやすい仕様にしておこう。
採用情報は、企業が求職者に向けて提供するページである。優秀な人材の確保が難しくなっている昨今、重要性が増している。
【掲載要素の例】
|
採用ページを充実させることは、応募者数の増加に直結する。
イキイキと働く既存社員の写真や、社内イベントの様子など、会社のポジティブな雰囲気が伝わるように配慮するとよい。
【具体例】
出典:株式会社ルーシー
お問い合わせは、サイト訪問者とコミュニケーションを取るためのページだ。
【掲載要素の例】
|
どのような仕様が最適なのかは、展開しているビジネスの形態によって異なる。
一般消費者向けのビジネスであれば、お客様相談室やフリーダイヤルなどの案内を充実させよう。
B2Bビジネスであれば、お問い合わせページが顧客獲得の重要なフックであることが多いだろう。心理的ハードルを下げ、気軽に問い合わせられるように工夫する。
【具体例】
出典:株式会社ルーシー
最後に、コーポレートサイトでビジネス成果を上げるコツを2つ、お伝えしよう。
|
1つめのコツは「ユーザー行動に基づいてCTAを配置する」ことだ。
CTA(Call to Action:行動喚起)は、コーポレートサイトに訪れたユーザーに対して、特定の行動を促す要素である。
たとえば、問い合わせや申込みなどの行動が挙げられる。
CTAの効果を上げるためには、ユーザーの行動データを分析し、最適な位置に配置することが肝要だ。
【CTA最適化の手順】
|
なお、CTAの検証で最も重要なのは、自サイトで、自分でテストすることである。
国内外には、さまざまなCTAのベストプラクティス情報があふれている。
しかし、実際のところ、効果的な手法は各サイトや文脈によってかなり違う事実をお伝えしておきたい。
たとえば一時期、ある業界では「緑色のボタンはコンバージョン率が高い」というのが流行したが、実際に検証すると、ピンク色のほうが高いサイトも多かった。
大切なのは「緑かピンクか」という些末な議論にとらわれずに、目の前の自サイトでデータを取ることである。
2つめのコツは「SEOとコンテンツマーケティングを統合的に実践する」ことだ。
この戦略は、検索エンジンでの評価を高めるSEOと、ターゲット層に対して価値あるコンテンツを提供するコンテンツマーケティングを組み合わせるものだ。
これら2つの要素を統合的に実践することで、以下のような効果が期待できる。
|
コーポレートサイトのパフォーマンスを最大限に高めるため、ぜひ取り入れたいエッセンスである。
SEOおよびコンテンツマーケティングに関しては、以下の記事も参照してほしい。
本記事では「コーポレートサイト制作」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。
コーポレートサイト制作に着手する前に、次の3つを明確にしておこう。
|
コーポレートサイト制作の基本的な手順は以下のとおりだ。
|
コーポレートサイトに掲載するコンテンツとして以下が挙げられる。
|
コーポレートサイトでビジネス成果を上げるコツとして、次の2点をお伝えした。
|
優れたコーポレートサイトは、ビジネスを後押しする心強い存在である。本記事を参考に、成果につながるコーポレートサイトを立ち上げてほしい。
広告に頼り切ったマーケティングの打開策としてコンテンツマーケティングについて調べているけれど、よく分からないと悩んでいませんか?
本書は弊社やクライアント様がコンテンツマーケティングに取り組み
など、コンテンツマーケティングの効果と、具体的な施策内容を全94ページに渡って詳細に解説しているものです。
ぜひ、貴社のWEBマーケティングにもご活用ください。