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11/27水19:00〜20:00
直近の外部SEO施策において、見落とされがちだが、想定外に高い効果が見込まれるのが「プレスリリース」だ。
例えば、とあるサイトでは、プレスリリースを打った直後、1ヶ月で31の被リンクを獲得し、アクセスが4倍になった。
公開から1ヶ月ほどのサイトだったが、セオリーであれば上位表示に2年はかかるであろうKWでも、突然4位まで浮上したのだ。
これはあくまで一例だが、似たような動きをしているサイトはいくつも観測されている。
では、プレスリリースはただリリースを出せばうまくいくのか。答えはNOだ。
ここでは、今SEOで成果をあげるためにPRを打つべき理由と、
プレスリリースで成果をあげるために抑えておきたいポイントについて解説していく。
目次
プレスリリースとは、新商品や新サービス等の告知をメディアに対して行うことを指す。そのため、一般的にはプレスリリースというと出版社や新聞社にFAXで送ったりすることも含まれる。しかし、本記事でお伝えするプレスリリースは「プレスリリース配信サービス」を活用したプレスリリースに絞ってお伝えする。
プレスリリース配信サービスとはサービスが提携している数千、数万ものWEBメディアに自動でプレスリリースを配信できるサービスだ。
各配信サービスは数千、数万ものWEBメディアと提携しており、プレスリリースを配信したい場合はサービスを通じて提携メディアに自動で転載することができるのだ。
配信サービスを活用すればいちいちWEBメディアに「プレスリリースを掲載してほしい」と依頼する必要なく、一度に数千のメディアに自社のプレスリリースを転載してもらうことができる。
実はプレスリリースの本当の目的は「転載」ではなく、「転載」をきっかけとした「マスコミへの露出」になる。プレスリリースはあくまでマスコミ関係者に見つけてもらうための手段で、プレスリリースをきっかけにサービス等を知ってもらって取材や記事にしてもらうためのものなのだ。
しかし、マスコミが「記事化したい!」「素晴らしいネタだ!」と思うようなプレスリリースを毎回打つのは無理だ。特にWEBメディアでそれほど工数をかけられるケースは少ないだろう。
そして転載されたページには基本的にサイトURLも掲載されているため、多くのメディアから被リンクをもらうことができる。ただし、そのリンクは基本的にnofollowになっている。
そのため、プレスリリース配信でリンクを増やしてもnofollowなので費用に対する効果が低いと今までは言われていたのだ。
配信サービスを活用すれば、提携メディアに作成したプレスリリースを「転載」してもらうことは簡単にできる。しかし、それだけでは効果は十分とは言えない。
目指すべきは配信されたプレスリリースを元に、取材や記事作成に繋げてもらうことだ。
実はただの転載であればハッキリ言ってほとんど注目されることはない。しかし、魅力的なプレスリリースを打つことによって「この内容を深堀りした記事を作ると面白いかも」とマスコミ関係者に感じてもらえば、プレスリリースを元にした記事を作成してもらえることがある。
例えば「入社1年目の23歳を史上最年少役員に抜擢」といった見出しのプレスリリースがあったとしよう。仮にこの企業が歴史ある大企業だった場合、「なんでこんな決断をしたんだ?」「これはネタになりそうだ」と記者の方々に思ってもらえる可能性があるだろう。そしてその内容に対して取材を受けたり、その内容を元にした記事を書いてもらえるかもしれないということだ。
基本的に記者たちは読者の反応が取れると思ったから記事化する。そのため、記事にされた場合は「転載」よりも遥かに多くの人に見てもらえる可能性ができ、話題になる可能性もあるのだ。
ただ、SEOに取り組む人間からすると「それってそんな重要か?」と思われるだろう。そこで、次の章からなぜ、この取組がSEO的に価値を発揮するかをご説明していく。
では、最近になってなぜプレスリリースが外部SEO施策の一つとして効果が高まったのか。
その理由は大きく2つある。
・Googleがnofollowの認識を変更した
・サイテーションの評価を見込める
実はGoogleは2019年9月頃から、「nofollow」の扱いを「命令」ではなく「ヒント」として利用するとアナウンスを行った。
「nofollow」は2005年に導入され、nofollowが記述されたリンクはランキング要因として利用されないようになっていた。
ところが、2019年に「nofollow」の記述があっても絶対にランキング要因として利用しないとするのではなく、「場合によっては評価する」とも考えられる「ランキング要素のヒントとする」という扱いに変更したのだ。
前述の2019年の変更によってプレスリリースサービスで配信されるnofollowのついた「転載」リンクも評価の対象になった可能性があるのだ。
つまり、今までは「転載」されたリンクというのは問答無用で「あってもなくても変わらないリンク」という扱いだったが、この変更により「場合によっては評価に影響するかも」という扱いになった。
この情報だけでは眉唾といえるかもしれないが、実際にプレスリリース直後に順位やアクセスが大幅に向上したケースをいくつか観測している。
例えば、上記のサイトでは印のタイミングでプレスリリースを投稿。その直後からサイト全体のKW順位が大きく上昇し、アクセスが爆上げしている。この時、通常であれば2年はかかるであろうビッグKWでも突然3位まで上がってきていた。
こちらの画像では、印のタイミングから急激にドメイン評価が上がっている。きっかけはプレスリリースだと考えられるが、この時に増えたリンクは全てnofollowのリンクだった。
プレスリリースがSEOに効果的といえる2つ目の理由が、サイテーションだ。
サイテーションとは
自社や自サイト、著者や商品に対するリンクをともわないWEB上ので言及を指す
サイテーションは被リンクではなく、あくまで「リンクをともなわないWEB上での言及」となるため、これまではあまりSEO的に効果は薄いと考えられていた。
しかし、近年の検索結果の動向を見ると「サイテーション」の影響を感じられるケースが増えてきているのだ。
プレスリリースはただ転載されただけではそれほど高い被リンク効果はない。しかし、転載されたことによって商品やサービス名、会社について言及する機会は多くなる。
加えて、プレスリリースきっかけにマスコミ露出を実現できた場合には更に大きくサイテーションを増やすことができるだろう。
良質なコンテンツの作成に加えて、サイテーションや被リンクを確保することによってSEOでの上位表示実現につながる可能性が高くなるのだ。
プレスリリースのSEOへの効果等を理解したうえで、次に考えるべきは「自社メディアでどんなプレスリリースを企画するべきか」ということだろう。
前項で記載したとおり、基本的には『転載』であっても効果は見込めるが、どうせプレスリリースを出すなら多くの反響やサイテーションの増大を狙える『マスコミへの露出』を目指すべきだ。
この章では新商品、新サービスなどなくてもマスコミ露出を実現するための「メディアのための」プレスリリース企画のポイントについてご紹介していく。
これからプレスリリースを始めたいというメディア担当者はぜひ参考にして欲しい。
マスコミへの露出を狙ううえで重要なのは「マスコミ関係者がネタにしやすいものは何か」という視点だ。
そしてその中で一番わかりやすいのが「今話題のもの」、つまり「時勢」だ。
今話題になっているもの、勢いのあるものというのは取り上げるだけで反応が取れる確率が高くなる。マスコミ関係者にとって「社会的意義」というものも重要だが、やはり「反応がとれるか」というのが非常に重要なのだ。
その意味では「今勢いのあるテーマ」というのは流れに乗りやすいということもあり記事等の題材として取り上げやすいのだ。
実際にプレスリリースの企画を行う際にはリリースの内容に今注目されているトピックを織り交ぜよう。
・季節の行事
・話題の映画・アニメ・漫画・ドラマ(呪術廻戦、半沢直樹)
・話題のイベント(オリンピック)
・重要なトピック(コロナ、リモートワーク)
理想のリーダー1位は「ナウシカ」 チームワークの大切さを教えたい人物は「ムスカ大佐」
https://teamwork.cybozu.co.jp/blog/1035.html
クリスマス後に廃棄される花、“フラワーサイクリスト”が『半値』で買い取ります!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000052489.html
約9割の在宅ワーカーがリモート飲みは不要と回答。在宅勤務での職場のメンバーとの関係性の変化に関するアンケート結果
https://strate.biz/news/wfh_relationship/
国内初公開 「コロナ禍でのイベント中止・オンライン開催に関する意識調査」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000232.000022451.html
プレスリリース作成時におすすめなのが、小さくてもかまわないので「初」という言葉を企画の中に見つけることだ。
マスコミ関係者は常に「新鮮な情報」を探している。プレスリリースを「ネタ探し」に活用する理由も、他の貴社やメディアが取り上げていない既視感の無い情報を探しているからだ。
そのため、プレスリリースの中で「業界初」「史上初」といった切り口を見つけることが重要になる。
「そんな初のものなんてないよ」と思う方もいるが、「初」というのは切り口によって作り出すこともできる。
例えば「日本で初めて」というものを探すのは難しいが、その地域で「初めて」であれば見つかるのではないだろうか。自社のサービスやプレスリリースの企画の中で小さくてもかまわないので「初」を見つけるようにしよう。
湘南エリア初のラビットラン『Rabbit Park FUJISAWA』 4月24日(土)にグランドオープン
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000076838.html
住宅業界初、YouTube365日連続配信を達成
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000055231.html
【不動産業界初 LIFULL HOME’S】不動産会社向け『LGBTQ接客チェックリスト』を提供開始!“したい暮らしを、あらゆる人に。” 「LIFULL HOME’S ACTION FOR ALL」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000188.000033058.html
重要なのに意外と忘れがちなのが「関連する数字を掲載する」ということだ。
例えば、独自調査等により「●●%」「●●位」「●●倍」といった数値を使ったプレスリリースというのは非常に効果的ではある。しかし、その数値がどういう根拠のもとの算出されているのか、というのはマスコミ関係者にとって非常に重要になる。マスコミ関係者にとって「信憑性」「信頼性」というのは非常に重要なのだ。
そのため、プレスリリース配信時には「その数値はどこから持ってきた数値なのか」「サンプル数は?」「調査機関は?」といった情報を必ず掲載するようにしよう。
別に数値の根拠自体が「自主調査」と書かれていてもかまわない。重要なのはどういう経緯で算出された数値なのか、ということだからだ。
マイナビ転職、「2021年3月度 正社員の平均初年度年収推移レポート」を発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001407.000002955.html
スキルシェア・サービスのEC需要が1年間で1.6倍に増加。「スキルシェア/サービスEC需要のコロナ禍での変化に関する調査レポート」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000233.000022451.html
【WACUL調査】Web広告は直接CVで評価すればよい。アトリビューションの実態調査の結果を発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000201.000011052.html
配信するプレスリリースの内容のよってはビジュアルで表現することを検討することも重要だ。
マスコミ関係者がプレスリリースを元に記事等を作成する大きな目的の一つには、やはり「拡散するネタが欲しい」というものがある。
その意味ではひと目見てわかるようなキャッチーなビジュアルというのは非常に効果的だ。今はSNSでの拡散力が非常に高く、画像・イラストというのは非常に拡散されやすい。
例えば、2019年に一世を風靡した海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」について登場人物の誰が「玉座にたどり着くのか」というテーマの画像がSNS上で爆発的に拡散した。
ポイントは発信者がこの画像をしっかりとプレスリリースで配信していたことだ。発信者はSNSで発信するだけでなく、プレスリリースにも配信することでマスコミ関係者たちへの露出も狙ったのだ。
結果的にこの画像は大きく拡散し、膨大なトラフィックと被リンクを生み出したのだ。
Chart of the Week: Who Will Win the Game of Thrones?
https://visme.co/blog/game-of-thrones-characters/
2021年はこれに頼ろう!<フリーランス・副業向けサービス カオスマップ2020年完全版 2枚組リンク付>を公開 by SOKUDAN(ソクダン)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000045678.html
マスコミ関係者に取り上げてもらうプレスリリースとして、意外に重要なのが業界全体の話を含めることだ。
新機能のリリース、新サービスのリリース等を行う際、ただ機能の説明等を説明するだけではマスコミ関係者にはスルーされてしまう。理由はマスコミ関係者はその業界のことをほとんど知らない可能性が高いからだ。
マスコミに取り上げてもらうには内容自体に何かしらの特異性、新規性が必要になる。そしてそれらは比較対象があって始めてわかるものなのだ。
つまりただ新機能、新商品などのリリースを出しても業界の事情等を知らないマスコミ関係者からすると、それらの特異性、新規性は認識することができない。
そのため、プレスリリースで新機能のリリースを行う際、単に機能の紹介をするのではなく競合や市場全体の話を踏まえて新機能について紹介するのだ。
前章ではマスコミ露出からの被リンクを獲得するために「どんなリリースを作るか」というプレスリリースの企画のポイントをご紹介した。この章ではその企画を正しくマスコミ関係者に認識してもらうためのプレスリリース作成時の絶対に押さえておきたい基本をご紹介しよう。
これは各企業の広報関係者も口を揃えて言うことだが、プレスリリースは99%タイトルで決まる。
誇張ではなく、本当に99%タイトルで決まるのだ。
何度もお伝えしているが、プレスリリースの露出を高めるために重要なのは「配信したプレスリリースをマスコミ関係者が取り上げたいと思えるか」がすべてだ。そして、この判断の99%はタイトルで行う。
ネタを探している記者等マスコミ関係者には毎日膨大な量のプレスリリースが送られてくる。しかし、全てに完璧に目を通す暇などないため、タイトルを一瞬見て興味を持つかどうかですべて決まるのだ。
目を留めてもらうために、タイトルを多少盛ったり、「前代未聞」等の主観的な誇張表現をいれるのはナンセンスだ。重要なのは「誇張なく短く正しく具体的な事実を伝えること」になる。
記者が知りたいのは「事実」であって主観的な誇張表現を使うと売り込みのようで事実が捉えづらくなる。そのため、具体的な「事実」を短いタイトルの中で正確に伝えることが重要になるのだ。
そして、客観的な事実をタイトルで伝えるためのポイントは以下の2つだ。
もう一つ、タイトルを作成するうえで重要なのが、「誰が(何が)何をするのか」ということを具体的に記載するということだ。
プレスリリースを作成する際、意外とありがちなのが「主語」と「述語」を明確にしていないために「誰が何をするのか」というのがよくわからないタイトルになっていることがある。
プレスリリースを確認する記者等マスコミ関係者は一瞬で「ネタになるかどうか」を判断するため、タイトルを一瞬見ただけで「誰が何をするのか」を記載する必要がある。だからこそ、主語と述語をしっかり記載し、一瞬視界に入っただけでも理解できるタイトルにする必要があるのだ。
タイトル部分でも少し触れたが、基本的に記者は主観が入ることを嫌う。
タイトルで誇張表現をしてはいけいないと記載したが、それはリード文でも変わらない。
例えば新商品や新機能をリリースした時にリード文で「革新的な〜」といった表現が使われることがあるが革新的かどうかは発信者の主観が入っているため、記者達からは無視されるうえにかえってサービスの本質がわからなくなってしまうことすらある。
リード文で押さえるべきなのは、客観的事実だけに絞ったうえで5W1Hを盛り込むことだ。記者が把握したいのは客観的事実だけなので、それを過不足説明するために「だれが、いつ、どこで、なにを、なぜ、どのように」といった情報まで記述したうえで、自身の主観が入った表現が入っていないかを確認しよう。
特に重要なのが「いつ」ということだ。古い情報だと記者にとってはネタとしての価値が低くなってしまう。必ずいつからいつまでの情報なのか、ということを明記するようにしよう。
ここまでは基本的に引き算の発想だったが、プレスリリースを作成するうえでは「必要な情報を記載する」ということも非常に重要になる。
何かしらの情報についてプレスリリースを行う際、重要なのはリリース文の内容を素人でも意味が通じるように作成することにある。
例えば新機能や新サービスについてリリースする場合、業界では一般的に使われる言葉をそのまま使ってしまうことがあるだろう。仮にSEO業界であれば「サイテーション」という言葉なんかは業界人なら誰もが知っている言葉なので使いそうになるが、一般的な言葉ではない。
同じようにプレスリリースを確認する記者等マスコミ関係者らは業界の専門家ではないため、彼らにもわかるような言葉で書く必要があるのだ。
特に重要なのが「何が実現できるのか」ということだ。新機能をリリースしたといっても、その機能によって「何が実現できるか」がわからなければ価値は伝わらない。
この点において、秀逸なのがスティーブ・ジョブズが初代アイポッドの発表の際に使った「1000曲をポケットにいれることができる」というコピーだろう。
サービス・情報をただ説明するだけでは、専門家ではない記者やマスコミ関係者には価値が伝わらない。そのサービス・情報によって何が実現できるかを主観を排除した客観的な情報で伝えられるようにしよう。
ここまではプレスリリースを企画・作成するうえで重要なポイントを解説してきたが「実際にどんなリリースを打てばいいかわからない」なんて方もいるだろう。ここでは、プレスリリース初心者でも実践しやすいプレスリリースのアイディアを6つご紹介する。
どれも少し捻るだけでどんな業界、会社にも活用できるもののはずだ。ぜひ参考にして欲しい。
それほど工数をかけずにビジュアルで主張できておすすめなのが、診断チャートの作成だ。
自社に先進的なサービスや商品がなかったり、プレスリリースのネタがないという方でも診断チャートなら作成することは可能だろう。また、作成の工数も自社商品、もしくは自社に関連性の強い商品を題材にすればそれほど工数はかからないはずだ。
ただし、プレスリリースを目的に作成する場合はいくつかポイントがある。
・ターゲットの切り口を絞ること
・ビジュアルにはこだわる
一つがターゲットを絞ることだ。例えば、前記の通信回線の診断チャートであればターゲットを「コロナでリモートワークをする機会が増えた社会人」に絞っている。
プレスリリースに限った話ではないが、反応を上げるには対象を絞ったほうがいい。人は「自分のことだ」と感じた時に興味・感心を抱くからだ。ただ診断チャートを作るのではなく、ターゲットの絞り方によってはプレスリリースを確認する記者にとっても新規性を感じられるものにすることができる。
もう一つはビジュアルにはこだわること。診断チャートは中身の正確性よりもパッと見た時の完成度がすべてだ。多少チャートに論理的な穴があったとしても、多くは問題ないがビジュアルがイケてない場合は歯牙にもかからなくなる。診断チャート作成に取り組む場合は必ずデザイナーに依頼するようにしよう。
診断チャートと併せておすすめなのがカオスマップの作成だ。
カオスマップとは特定の業界に絞ってサービスや事業者をカテゴライズしたものだ。
【参考】hachidori、アルバイト領域の課題をテクノロジーで解決する「バイトテック」のカオスマップを公開
診断チャートと比べるとカテゴライズの方向性、サービス事業者の選定等に時間はかかるが費用等もかからず、切り口によって様々なカオスマップが作れる点が魅力だ。
カオスマップは以下の視点を欠いた状態で作成するとただの情報の羅列になってしまう。作成する際は必ず以下のポイントを押さえて作成するようにしよう。
・カオスマップの目的を明確にする
・誰のためのマップかを定義する
カオスマップを作る時、よくあるのがすべての事業者・サービスを完全にMECEに整理し、とにかく網羅しようとしてしまうことだ。
それ自体が悪い訳ではないが、重要なのは「何を実現するためのカオスマップなのか」ということだ。とにかく正確な市場の整理が必要な場合にはMECEかつ網羅的に整理する必要があるだろう。しかし、「事業・サービスの俯瞰」が目的であれば、分かりやすさを重視し精緻にMECEにする必要はないかもしれない。
まずは「何を実現するためのカオスマップなのか」ということを定義したうえでカオスマップ作成に取り掛かろう。
カオスマップ作成に関しても前述の診断チャートと同じことが言える。
誰のためのカオスマップにするか、によって見え方は大きく変わるだろう。例えば、参考例のカオスマップは「フリーランスのエンジニア」を対象にサービスを整理している。だからこそ、自身がフリーランスのエンジニアの場合は見てしまう。これが、単に「求人業界カオスマップ」であれば「自分ごと」と捉えられずにスルーされてしまうだろう。
すべてのコンテンツに言えることだが、重要なのは「たった一人の誰か」にとことん刺さるまでターゲットを絞り込むことだ。
アンケート調査は非常に効果が高いリリースネタの一つだ。これまで紹介した診断チャートやカオスマップと比べると、費用や工数は多少増えてしまうが前述の2つよりも拡散される可能性が高い。
理由は「アンケート調査」という手法自体がある程度の「信頼性」「信憑性」を担保してくれるうえに、切り口やタイミングによって「新規性」を担保しやすくなるからだ。
筆者も過去に様々な企業でアンケート調査を使ったプレスリリースを実施したが、1本につき10万円程度の費用で1000万円以上の広告効果を実現した例や、大手新聞社に取り上げられた例も多々ある。
プレスリリース用調査を実施する場合、方法としてはいくつかある。
・調査会社に依頼する
・クラウドワークスで募集する
・自社の抱えるリストにアンケートを配信する
上から順に難易度と費用の高い順になる。
プレスリリースの調査における選択の基準としては「信頼性が必要かどうか」という視点で選んでかまわない。
基本的に調査会社のモニタが最も信頼性が高いが、費用も高い(100サンプル10問で10万円〜)。クラウドワークスは1サンプル5円〜10円程度で安価だが、嘘つき回答者も多いので信頼性は低い。自社の抱えるリストへのアンケートは母集団に偏りがあるため、調査結果としての信頼性は低くなる。
上記を踏まえた時にセンシティブな話題や、信頼性を推す様なテーマの場合は調査会社に依頼するのがベターだと考えられるが、ネタ性の強い調査の場合にはクラウドワークスや自社リストでもかまわないだろう。
アンケート調査を活用してプレスリリースで拡散させるには押さえておくべきポイントがいくつかある。
・時勢を押さえる
・自社と関連の強いテーマを選ぶ
・サンプル数に注意する
調査リリースを拡散させるにはタイミングが非常に重要だ。調査リリースには「空気を作る調査」と「空気を検証する調査」がある。
「空気を作る調査」というのはPR会社などが実施する戦略でブームを作るためのきっかけとして調査結果をリリースすることだ。逆に「空気を利用する調査」というのは、今話題のテーマ、つまり世の中の関心が高いテーマに関連した調査を行うことだ。
プレスリリースで拡散させるには、後者のほうが取り組みやすく、拡散もされやすい。
例えば「ジブリの新作」が話題のタイミングではジブリに絡めたネタ的な調査を行ったり、コロナの環境下でリモートワークが話題になっているのであれば関連した調査を実施するということだ。
時勢にあった調査が効果的と説明したが、そのうえで意外と重要なのが自社と関連の強いテーマを選ぶことだ。
例えば、個人情報の漏洩が問題になったタイミングで個人情報とはなんの関係もない企業が「個人情報の管理に関する調査」というものを行ってもマスコミに取り上げられることはほとんどない。
実はアンケート調査を実施する際、基本的には「調査実施主体=自社」となるケースが多い。そのため、実施主体にある程度の関連性、信頼性がないと調査リリースの強みである「信頼性」を担保できないためマスコミ関係者も取り上げづらくなるのだ。
調査リリースにおける強みは「信頼性」とお伝えしたが、その信頼性を担保するために重要なのが調査時のサンプル数になる。
特に先程の「個人情報に関する調査」のような信頼性が重要そうなテーマの場合、目安は1000サンプル以上だ。
多くの新聞社・出版社が調査を実施する場合は最低1000サンプルが条件になっており、これ以下となると少なくとも大手新聞社・出版社では取り上げづらくなる。
例外として、ネタ要素の強い調査ではそれほどサンプルにこだわる必要はない。
例えば、「上司にしたくない鬼滅キャラクター」といったネタ性の強いテーマの場合は男女各100サンプル程度でも問題ない。あくまでネタとしての調査なので、信頼性を担保する必要がないからだ。
もし、自社で業務やサービスに関わる様々な数値をしっかりと管理できているなら、そのデータをまとめたものをリリースとして出すのもおすすめだ。
例えば、株式会社WACULではAIアナリストというサービスで収集している様々なサイトのデータを集計し、その分析結果を定期的に分析レポートとして配信している。
例)ユーザーは競合商品のWebサイトを見ているか?調査結果をもとに、成果を出すために取り組むべきマーケティング施策の提言を発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000188.000011052.html
ただ、すべての会社でこのようなデータを収集しているわけではないし、必ずしもここまで細かなデータでなくてもかまわない。
メディアを成長させるためにはSEOが重要になり、そのためには外部施策も必要になる。
プレスリリースはスパム的な方法ではなく、担当者としても取り組みやすいうえに効果も期待できる優れた手法だ。
まずはこの記事で紹介した以下の4つの企画
・診断チャート
・カオスマップ
・アンケート調査
・数値検証結果
これらをベースにプレスリリースを作成して、実践してみよう。