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強いオウンドメディアに成長させる「ビジョン設定」をしよう

オウンドメディアをスタートさせるには、ビジョンが大事だ。
ビジョンが設定されていないまま進むというのは、地図を持たずに航海に出るようなものだ。
「どこに自分たちは向かうのか」がないと、いつまで経っても本来向かうべき場所には到達できない。

しかし、自分のオウンドメディアのビジョンを明確に言語化できている企業は、私の体感で1, 2%程度しかない。ほとんどの企業が明確なビジョンを持っていないのが実際のところだ。

だが結論から言うと、最初の1年間はそれでもいい。無理にビジョンは設定しなくていい。

最低限の目標だけ持ってまずは1年回そう。1年後には自分の進むべき方向性について必ず解像度が上がっているので、そのタイミングで改めてビジョンを設定するのが効果的だ。なぜならスタート前から無理に決めようと時間もコストもかけても、後から方向性が変わることが多く、実際ほとんど意味をなさないからだ。

もちろんビジョンを持つことは大事だが、設定するタイミングと内容をしっかり抑えないと、無駄な手間をかけてしまう。この記事でビジョン設定のコツをお話していくので、オウンドメディア担当者はぜひ参考にしてほしい。

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オウンドメディアには「ビジョン」が大事

オウンドメディアにおける「ビジョン」は以下のような内容だ。

オウンドメディアのビジョン設定
ビジョン = 「◯年後に●●の分野トップのメディアになる」といった、ある程度期日が決まった長期目標のこと。

ミッション = 期日のない「なぜそのメディアをやるのか」ということ。

ビジョンは、「こうしていこう」「この方向へ進んでいこう」という未来への展望を表したものだ。地図のない航海が目的地に到着できないのと同じように、ビジョンがないとオウンドメディアは成果が出ない。似ているもので「ミッション」との違いは、ビジョンは1年後や2年後などある程度期日が決まっているという点だ。

多くの人が「ビジョンが大事」となんとなく認識しているとは思うが、なんとなくではだめだ。そもそもビジョン設定の意味をしっかり理解していないからこそ、ビジョンが曖昧だったり、設定してもそのまま使いこなせないのだ。まずは、なぜオウンドメディアにおいてビジョンが大事なのかを理解しよう。

明確なビジョンはパワーになる

設定したビジョンがチーム内で腹落ちしている場合、それは一人ひとりの活動のパワーになる。それぞれがビジョンを理解し共感した上で行動するのと、単に指示されて行動するのでは入り込む熱が違うからだ。
この感覚は誰もが想像できるだろう。具体的なゴールや未来が見えないと「何のために今頑張らなければならないのか」がわからなくなってしまいがちだ。

さらに、期日が明確に設定されていることで行動量が増える。先の見えないものとは違い、期日と大義名分が揃えば「いつまでに何をしなければならないのか」という思考ができあがるからだ。その思考の上で、逆算的に必要な行動が見えて実行につながっていく。

明確なビジョンは間違った意思決定を回避する

明確なビジョンがあれば、間違った意思決定を避けることができる。
例えば、店舗数No.1を目指しているのに、「クレームが来た!まずい!」と目の前のクレーム一つ一つにあたふたしてその対応に全精力を注ぐ、なんてことがなくなる。クレーム対応がお店の評判を左右するかもしれないが、果たしてそれを一番に考えて行動すべきかというとそうでないケースが多々ある。

本来、チーム内でも人によって「何を重要視するか」は違ってくる。数ある事象と情報の中で、人は自分にとって重要なものだけを取捨選択している。ビジョンがないと意思決定の土台が「自分にとってどうか」というところになってしまうために、ずれた意思決定が生まれてしまうのだ。
たとえ同じ事象が発生したとしても、ビジョンがあるのとないのとでは意思決定の内容が変わってきてしまう。

明確なビジョンはコンテンツの質を向上させる

ビジョンによって、発信すべきコンテンツが見えてくる。そしてもっと言えば、ビジョンによって視点が高まれば、コンテンツの中で提案する内容や文章の書き方なども微妙に変わってくる。

なぜならシンプルに選択肢が狭まるからだ。ビジョンがないと、何のコンテンツを発信するにしろ、少しでも可能性のある膨大な選択肢の中から選択しなければならない。だからブレが生じるし、遠回りになる。

ビジョンがあれば「自分が何を選択すべきか」がよりはっきり見えてくるために、コンテンツ制作における小さな意思決定があるべきものになっていくのだ。

実際に、ビジョンがオウンドメディアの成長に大きく起因することを私は体感している。

ビジョン定義後のアナリティクスデータ

これは、ビジョンを途中で定義したメディアのPV推移だ。
見て分かる通り、ビジョン定義前はずっと横ばいで推移している。しかし、定義後6ヶ月間のPV成長率は283%と、定義前と比べて成長率が2倍に変化している。

このお酒メディアは、明確な方針が決まっていないままスタートしたメディアだったため、ビジョンが曖昧な状態が続いていた。しかし、ビジョンを再定義したタイミングから明らかに成果が出始めている。体感値ではあるが、ビジョンが明確になったことによって、選定するキーワードも取り上げるテーマも、そしてコンテンツの質も変化があった。


最初からビジョンを描ける企業は少ない

ビジョンは大事だ。しかし、最初は無理に作らなくていい。はじめからビジョンを明確に描いた状態でスタートできる企業はほぼない。

なぜなら、オウンドメディアでコンテンツ発信することで、今まで見えていなかった意外な層から反応が来たり、実は今までターゲットと思っていた層がそうではなかったり、徐々にユーザーの反応からわかることが多いからだ。発信してみないとわからないことが非常に多く、最初からそこがわかっていて言語化できている企業はほぼない。あっても1~2%くらいだ。

最初からビジョンを明確に言語化しようと、時間も手間もかけてリサーチしようとする企業もあるが、はっきりいって時間の無駄だ。それならコンテンツとしてアウトプットしながら、ユーザーからの反応を実際に見るべきだ。実際のコンテンツを通したほうが、自分たちが「誰に」発信すべきか、「どんな価値」を発信すべきか、「なぜ自分が」やっていくのか、解像度がぐんと上がるしチームのスキルも洗練されていく。


1年後に明確なビジョンを描こう

最初から無理にビジョンを描く必要はない。ペルソナもだいたいでいい。
最初の1年はマイルストーン(KPI)のみで構わない。※初期に設定すべきKPIに関しては、こちらの記事「効率的に最大の成果を出すためのコンテンツマーケティングのKPI設計」を参考にしてほしい。

実際にコンテンツを発信していく1年の間で、様々な解像度が上がってくる。あなたが提供できる価値が何か、どんな人に届けたいか、それによってどう社会を変えたいのか。しっかり見えてきたら改めてビジョンを言語化しよう。

そしてオウンドメディアとして、どこかのカテゴリー・セグメントにおいてトップになるというビジョンをぜひ持ってやってほしい。かなりニッチな分野でもいい。中途半端ではなく、トップを目指すからこそ社会が変わり、チームにパワーをもたらす。

ツールをうまく活用してビジョンを言語化しよう

最低限、ビジョンで言語化してほしい内容は以下だ。

ビジョンで設定するべき内容
・いつ、何の分野でトップのメディアにするのか
・誰に、なぜ、何を提供するのか
・業界に対してどんな変化を及ぼすのか

ビジョンの言語化には、ぜひうまくツールを活用してほしい。

例えば、バズ部はブランドアイデンティティープリズムをベースにビジョンを設定している。

バズ部ブランドアイデンティティーバズ部のブランドアイデンティティー

ブランドアイデンティティーは、ブランドとして何を発信していくかといった視点に加え、ユーザーにどうイメージしてほしいかといった感覚的な部分も言語化したい際に役立つ。

また、より根本的な視点から言語化したいという場合は、リーンUXキャンバスがおすすめだ。

・解決したい社会課題はなにか、誰がターゲットか、といった現状整理
・自分が発信することによってビジネスがどう変わるか、ユーザーがどう変わるかといった未来予想図
いった、現状の見直し→目指す未来まで言語化していくのに役立つ。

Lean UX CanvasLEAN UX CANVAS V2

チームメンバーにしっかり共有しよう

このようなツールをうまく活用して1つ作ったら、ぜひチームに共有してディスカッションする時間をとろう。言葉一つにとっても、実際一人ひとりが持つ定義が微妙に違うことは多々ある。チーム全員が同じ方向に向かって進んでいけるように、認識をすり合わせしよう。

例えば、バズ部のブランドアイデンティティーで記載している「成果にこだわり…」という部分で、そもそも「成果」が何か人によってイメージが異なることがある。こういった小さな認識のズレをできるだけすり合わせていくことが、チームが同じビジョンに向かって進むために重要だ。


まとめ

オウンドメディアにおいてビジョンは大事だが、最初の1年間は無理に設定しようとしなくていい。実際に1年回してみてからわかることのほうが大半だからだ。

あなたが発信できる価値や、その価値を求めているユーザーが見えてきたら、ぜひビジョンを設定して業界トップのメディアを目指そう。

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