インハウスSEOとは?内製化するメリット・デメリットと判断基準

SEO対策が必要だと認識しているが、外注する予算を取れない」

このような切実な声を、企業担当者から聞く機会は多い。

近年のWebマーケティングの台頭、および検索アルゴリズムの複雑化により、SEOの重要度と難易度は、上昇の一途をたどっている。

そこで本記事では、

「インハウスSEOとは何か?(SEO対策は内製できるか?)」

をテーマとして取り上げる。

インハウスSEOとは、外部のSEO業者などにSEOを外注せず、社内でSEOを内製することである。

「自社でのSEO実践」に興味をお持ちの方は、まずは一読してほしい。

インハウスSEOの基本概念からメリット・デメリット、自社の適合性の判断基準、進め方に至るまで、網羅的に解説する。検討材料として、お役に立てるはずだ。

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1. インハウスSEOの基本的な意味

まず、インハウスSEOとは何か、その基本的な意味と特徴について解説する。

  1. インハウス(in-house)=社内の意味
  2. 外注SEOとの違い
  3. インハウスSEOが注目される背景

1-1. インハウス(in-house)=社内の意味

言葉の意味から確認すると、インハウス(in-house)とは「社内」という意味だ。

たとえば、“in-house magazine” なら社内誌、“in-house lawyer” なら社内弁護士(社外の顧問弁護士ではなく、従業員として雇われている弁護士)という意味になる。

インハウスSEOとは、社外のSEO専門家などへ外注せず、社内で従業員が内製して行うSEOを指す。

インハウスSEOとは?

※そもそもSEOとは何か?については、「【2023年最新】SEO対策とは?初心者が自分でできる基本対策をわかりやすく解説」の記事で詳説しているので参考にしてほしい。

1-2. 外注SEOとの違い

インハウスSEOは、外注SEOと対となる概念だ。外注SEOとインハウスSEOの主要な違いとして、次の3つが挙げられる。

外注SEOとの主要な違い

【外注SEOとインハウスSEOの違い】

  • コスト面:外注の場合、SEO業者に支払う費用が発生する。インハウスでは、そのようなコストは発生しない。
  • コントロール性:外注では業者が主導するため、細かい調整が難しい場合がある。インハウスでは、そのような制限はない。
  • 専門性:外注の場合、業者が専門的な知識とスキルを持つ。インハウスでは、社内でこれを蓄積する必要がある。

インハウスSEOのメリット・デメリットについては後述するが、まずは大まかに上記の違いを押さえておこう。

1-3. インハウスSEOが注目される背景

近年、インハウスSEOが注目される背景には、多方面の要素が絡み合って存在している。

【インハウスSEOの背景にある要素】

  • Googleアルゴリズムの変化:Googleのアルゴリズムが頻繁に変更される現状では、柔軟に対応できる体制が必要だ。社内にその機能を保持しようとする動きが強まっている。
  • 依存リスクの回避:SEOの重要性の高まりと比例して、外部業者への依存し過ぎるリスクに注意を払う企業が増えた。
  • Webマーケティングの進化:SEOだけでなく、サーチエンジンマーケティング(SEM)やソーシャルメディアマーケティング(SMM)など、多角的なWebマーケティングが求められるようになった。連携を取るためには、インハウスが好都合なケースがある。
  • コスト削減の必要性:Webマーケティングの競争が激化する市場環境にあって、収益性の基準もシビアになっている。コスト削減の一環として、インハウスへの切り替えが行われる例も見られる。

これらの要因が複合的に作用し、各企業内で、インハウスSEOの検討が進んでいる。

具体的に、インハウスSEOにどのようなメリットがあるのか、次のセクションで詳しく見ていこう。


2. インハウスSEOのメリット

インハウスSEOが企業にもたらすメリットは多岐にわたる。ここでは次の5つのポイントについて、見ていこう。

インハウスSEOのメリット

2-1. 外注コストを削減できる

1つめのメリットは「外注コストを削減できる」である。

ここで気になるのが、“SEOを外注すると、どの程度の費用がかかるのか?” という点だ。外注先や内容によって幅はあるが、目安としては以下のとおりである。

外注タイプ

費用

月額制のSEOコンサルティング

月額費用 10万円〜50万円

成果報酬型のSEO対策

1キーワードあたり 5万円〜30万円以上

サイト設計のSEO対策

1サイトあたり 30万円〜100万円以上

もちろん、これらのコストがインサイトSEOで、タダになるわけではない。“担当者の人件費” という大きなリソースを割くことになる。

だが、それを差し引いても、「外注するより、専任者を1人雇用したほうがよい」と考える向きもある。コスト以外のメリットがあるからだ。以下に続く。

2-2. 柔軟な対応が可能となる

2つめのメリットは「柔軟な対応が可能となる」である。

外部業者に依存すると、急な変更に対応するのが難しい。インハウスSEOならば、柔軟に対策を練り直せる。

【柔軟な対応の具体例】

  • Googleアルゴリズムの変更時:Googleのアルゴリズムが変更された場合、即座に新しい戦略を策定し、スピーディに反映させる。
  • 緊急のキャンペーン:急なプロモーションやキャンペーンの必要性が生じた場合、SEO対策を施したうえで展開できる。
  • 競合動向への追随:競合サイトが新しい戦略を採用した場合、それに対する対策を速やかに練って講じることができる。
  • テクニカルSEO:サイトのローディング速度やモバイル対応など、技術面での問題についても、早期発見と対応をしやすい。

このような柔軟性を持つことは、企業が競争力を高めるうえで、大きな武器となる。

2-3. 意思決定のスピードが上がる

3つめのメリットは「意思決定のスピードが上がる」である。

SEOに限ったことではないが、外部業者とのやり取りには、時間がかかる。

出し戻し(修正のやり取り)や、その待ち時間のロス、企業間の取引にまつわる承認プロセスなどが重なって、スピード感が損なわれる。

一方、インハウスSEOでは、そのような遅延は起きにくい。直接的なコミュニケーションや、リアルタイムのデータ分析によって、迅速に対応できる。

とりわけ、Webマーケティングの世界では、変化が常である。

変化にいち早く対応できるかが、成否を分けるシーンも多い。インハウスSEOのスピード感を魅力に感じる企業は、少なくないだろう。

2-4. 社内に知見が蓄積される

4つめのメリットは「社内に知見が蓄積される」である。

インハウスSEOは、社内に貴重なナレッジを構築する。単なるデータや情報を超えた、実践的な知識として、社内資産となる。

【知見蓄積の具体例】

  • アルゴリズムの理解:Googleのアルゴリズムは非公開であるが、社内でSEOを行うことで、その変動にどう対応するかの独自の理論を築ける。
  • キーワード戦略の最適化:外部に依存せず、自社でキーワードの効果を測定し改善できる。そのデータは自社ビジネスに特有のハウツーとして、次回の戦略に直結する。
  • コンテンツの品質向上:SEO対策としてのコンテンツ作成は、品質が重要である。社内での試行錯誤がコンテンツ作成力を高め、それは会社の資産となる。

加えて、社内に知見があれば、ほかのWebマーケティング戦略との連携が取りやすくなる。SEOを孤立した活動ではなく、全体戦略の一部として機能させられるのだ。

2-5. ブランド一貫性を保ちやすい

5つめのメリットは「ブランド一貫性を保ちやすい」である。

これは、本質的には最も重要な、インハウスSEOの利点かもしれない。

SEOを外注すると、「検索キーワードで上位を獲得すること」の優先度が高まる。これは当然ではあるのだが、その半面で犠牲となりやすいのが、以下の2つの要素だ。

  • ブランドメッセージとしてのコンテキスト
  • (検索ユーザーではなく)メディア読者の視点から見た一貫性

具体例を挙げると、同じブランド発信のコンテンツで、「Aページで言っていること」と「Bページで言っていること」に矛盾が生じることがある。

しかし、どちらもそのページの目的(ターゲットキーワードでの上位獲得)を満たしていれば、SEO業者の仕事としては正解となる。

外部のSEO業者は、“各キーワードの検索ユーザー” に強く照準を合わせて、SEO対策を行っている。

ブランドとしての緻密な一貫性は、インハウスで相応の努力をしない限り、維持するのが難しいことは覚えておこう。


3. インハウスSEOのデメリット

インハウスSEOには多くのメリットがあるが、デメリットも無視できない。以下でマイナス面を確認していこう。

インハウスSEOのデメリット

3-1. 専門知識が必要となる

1つめのデメリットは「専門知識が必要となる」である。

“SEOの専門家” というと、どのようなイメージがあるだろうか。Googleのアルゴリズムとにらめっこしている、テクニカルな印象かもしれない。

実際のところ、SEOの専門家とは、極めて多岐にわたるマルチプレイヤーである。

【SEOで必要な専門知識(一例)】

  • アルゴリズム理解:Googleのアルゴリズムは常にアップデートされている。最新の変更内容を理解し、戦略に反映させる能力が必要である。
  • キーワード分析:適切なキーワードを選定し、それに基づいてコンテンツをプランニングする戦略思考が求められる。
  • テクニカルSEO:サイトの構造や速度、モバイル対応など、テクニカルな側面も重要である。
  • コンテンツマーケティング:高品質なコンテンツを制作し、ユーザーに価値を提供する能力が必要である。企画力、ライティング、デザイン、クリエイティビティ、編集力などが求められる。
  • 分析スキル:データを収集し、それを分析することで、SEO戦略の有効性を評価するスキルが求められる。

SEO知識の習得が難しいのは、テクニカルからクリエイティブまで、範囲が横断的なことである。

多岐にわたるSEOのイメージ図

たとえば、“テクニカルSEOに強いが、コンテンツ制作が苦手なスタッフ” が担当すると、SEO戦略の全体バランスが崩れる。

このようなスキルセットの偏りは、SEOの総合的な効果を低下させてしまう。

本業が別にある企業が、インハウスでSEOを成し遂げる難しさが、ここにある。他分野かつ多分野のSEOスキルを習得せねばならないからだ。

3-2. 時間と労力がかかる

2つめのデメリットは「時間と労力がかかる」である。

前述のとおり、SEOの範囲は横断的なため、社内で行うと効率化の難しさに気づくだろう。

かといって、SEOは継続がカギであり、時間と労力を省略すれば結果が出にくい。

【必要不可欠な時間と労力の投資】

  • コンテンツ更新:新しいコンテンツの投稿や既存コンテンツの修正加筆を行う。リサーチから執筆、編集までの時間がかかる。
  • サイト戦略の見直し:市場や競合状況に応じて、戦略を定期的に見直す必要がある。サイトに手を加え続けなければSEO効果は陳腐化し、数ヶ月〜1年で効果の賞味期限が切れることもある。
  • 分析と報告:SEO効果を測定するためには、定期的な分析とレポートが必要である。そのための時間を1週間に1度、ないしは1ヶ月に1度と規則正しく確保して、実行しなければならない。
  • テクニカル対応:サイトの速度やセキュリティ対策など、テクニカルな課題も解決する必要がある。

とりわけ、人的パワーに限りのある小規模事業者や中小企業にとって、これらの作業は大きな負担となる。

時間と労力がかかる理由を理解し、効果と効率を両立させる手段を考えねばならない。

3-3. 成果への不安が付きまとう

3つめのデメリットは「成果への不安が付きまとう」である。

専門家ではない場合、SEO成果が出るまでの期間を見積もるのが難しい。

たとえば、新しいSEO戦略を採用したが、数ヶ月経っても成果が見えない場合がある。このような不確定性は、ビジネスにおいてリスクとなる。

専門家に外注している場合、その専門家は、自身のクライアントである多種多様なサイトの実績値を、リアルタイムで把握している。

「あとどれくらい待てば、成果が出るか?」あるいは「戦略を変更すべきタイミングか否か?」といったアドバイスが可能だ。

一方、インハウスSEOではこのような指針が得られない。そのまま、不確定性が継続すると何が起きるか。

投資意欲が減少し、インハウスSEOは頓挫し、成長のチャンスを逃す。これが、インハウスSEOに取り組む企業が、挫折しやすい原因である。

3-4. 属人化リスクがある

4つめのデメリットは「属人化リスクがある」である。

インハウスでSEOを行う場合、特定のスタッフがSEOのすべてを担当するケースがしばしば見られる。そのスタッフが離職すると、企業はSEO戦略の継続に問題を抱える可能性が高い。

属人化リスクを考慮すると、インハウスSEOを実践するなら、持続可能性を考慮した体制づくりが不可欠である。

SEO業務を複数のスタッフが担当できるようにし、社内でのSEOのノウハウ共有を進めていく必要がある。

しかしながら、このように大掛かりになると、負担も大きい。

「それならば、外注のほうがいいか?」

と判断に迷うケースも多いだろう。

続いて以下では、内製するか外注するか、判断基準を紹介する。


4. SEOを内製すべき?外注すべき?判断基準

SEOの内製・外注の判断基準について、以下を見ていこう。

インハウスSEOが向いている企業と向いていない企業

4-1. インハウスSEOに向いている企業

まず、インハウスSEOに向いている企業として、以下6つのタイプが挙げられる。

  1. SEO担当者を確保できる(理想は専任、2名以上)
    社内にSEOスキルを持つ担当者を確保できる場合、インハウスSEOの成果を発揮しやすいだろう。専任者1名 + 補佐スタッフ1名以上のチームが組めると理想的だ。
  2. 本業がWeb界隈で親和性が高い
    WebサービスやEコマース企業は、SEOとの親和性が高い。たとえば、サイトの構造を最初からSEOに適した形で設計できる。社内にWeb担当者がすでにいる場合、新たなスキルの習得も比較的容易である。
  3. 全体戦略でSEOの重要度が高くない
    SEOがサブの戦略である場合、失敗しても大きなダメージは少ない。たとえば、広告による集客が90%で、残りの10%をSEOで担いたいといったケースである。
  4. 成果を急がない
    SEOは時間がかかる。成果を急がない企業は、じっくりと戦略を練る余裕がある。多少遠回りしたとしても試行錯誤が許されるという意味では、実験的にインハウスSEOを導入するのもおすすめできる。
  5. 社内スキルを高めたい意欲と熱意がある
    社内でのスキル向上を目指す企業は、SEOのノウハウを蓄積できる。たとえば、社内のデジタルスキルを高めたい意向があり、その一環としてSEOに取り組むといったケースでは、成功しやすいといえる。
  6. 緻密にブランドマネジメントを行いたい意向がある
    内製比率を高めることでブランド一貫性の向上を期待できる。たとえば資生堂は、1916年創設の意匠部から連なる社内クリエイティブ部門でデザインを内製してきたことが知られている(現在は子会社化)。同様にSEOも内製化によってブランド強化を図りたい場合、その効果は期待できる。

4-2. インハウスSEOに向いていない企業

次に、インハウスSEOに向いていない企業として、以下3つのタイプが挙げられる。

  1. 全体戦略でSEOの重要度が高い
    SEOが主要な戦略である場合、失敗は許されない。たとえば、新規事業でSEOが集客の中心である場合はリスクが高い。SEOは知識なしに間違ったやり方をすると、ペナルティを受けてサイトがGoogleに表示されなくなる危険があることを知っておこう。
  2. できるだけ早く確実な成果を求める
    短期間での成果が必要な企業は、外部の専門家に依頼したほうがよい。SEOは通常、長期的な戦略が必要である。短期間での成果を求める場面では、高度なスキルと経験がなければ難しい。
  3. 社内が慢性的に多忙状態である
    多忙な状態では、SEOに必要な時間とリソースを確保できない。たとえば、人手不足で業務が遅延している場合は不向きだ。無理に社内で行っても、SEOの品質が低下する。

4-3. バズ部が考える理想のあり方

最終的には、企業の状況と目的に応じて最適な選択をすべきだ。

その前提のうえでだが、

  • 最初は、すべてを完全に内製でやってみる
  • その後、必要に応じて、少しずつ外注部分を増やす

という選択肢をおすすめしたい。

初期は全て内製で中期以降は必要に応じて外注

とくに、スタートアップ企業は、まずは全部を自分たちの手でやってみて、成長とともに外注していくことが有益である。

その3つの理由を、以下に述べる。

❶ 実務経験が外注先の選定眼を養う
❷ 社内に不足しているスキルセットが明確になっている
❸ 外注するうえで必要な基礎知識が自然と身につく

4-3-1. 実務経験が外注先の選定眼を養う

1つめの理由は「実務経験が外注先の選定眼を養う」からだ。

SEO業者は、ピンからキリまでさまざまで、誰に依頼するか?が重要である。SEOにまったく触れたことのない人は、明らかに良くない相手でも、見抜けないケースがある。

SEOに精通している必要はないが、少しでも自分で手を動かして携わったことがあれば、基本的な“良し悪し”は、容易に見極められるはずだ。

4-3-2. 社内に不足しているスキルセットが明確になる

2つめの理由は「社内に不足しているスキルセットが明確になる」からだ。

自分たちでやってみると、

「テクニカルSEOの部分は自分たちでできるが、コンテンツ作成のリソースが足りない」

という具合に、自社の強みと弱みが見えてくる。

自力では難しいと判明した部分のみ、小分けに外注していくことで、コストを抑えながらSEO成果の最大化を図れる。

4-3-3. 外注するうえで必要な基礎知識が自然と身につく

3つめの理由は「外注するうえで必要な基礎知識が自然と身につく」からだ。

最もおすすめできない外注の方法は、「月額○○万円」という具合にコンサル料を支払って、丸投げすることである。

将来的にSEOを外注するにせよ、外注先と共通言語でコミュニケーションを取り、最終的な意思決定を主体的に行うためには、SEOの基礎知識が必要だ。

本を読んで学ぶよりも、一定期間(半年でもいい)、SEOを自分でやってみると知識が自然と身につく。


5. インハウスSEOの進め方

最後に、インハウスSEOにチャレンジしたい方に向けて、進め方を解説していこう。

社内スキルセットを把握する
社内SEOチームを発足する
予算を確保する
必要なSEOトレーニングを実施する
3つの分野のSEOから取り組みをスタートする

5-1. 社内のスキルセットを把握する

1つめのステップは「社内のスキルセットを把握する」である。

まずは、社内にどのようなスキルセットが存在するのかを把握する。

Webデザイナーやコピーライターがいる場合、そのスキルをSEOに活かせる可能性がある。

あるいは、マーケティング部門の顧客分析スキルはキーワードリサーチに重要であるし、システム部門の担当者がいれば、テクニカルSEOにおいてそのスキルを活かせる。

また、SEOに関しては、業務上のキャリアだけでなく、プライベートでの経験も非常に貴重である。

たとえば、自身の個人ブログにSEO対策を行い、アクセスを増加させた経験のあるスタッフは、SEOの基礎知識がある。即戦力となる可能性が高い。

社内アンケートなども活用しながら、社内に眠っているSEOスキルの棚卸しを行い、必要な人材を発見していこう。

5-2. 社内SEOチームを発足する

2つめのステップは「社内SEOチームを発足する」である。

社内のスキルセットを把握できたら、チームメンバーを選定しよう。

小規模ビジネスの組織であれば、大掛かりである必要はないが、正式にアサインすることが重要だ。そうしないと、ほかの急ぎの仕事の犠牲になって、SEOへの取り組みが進まなくなるためである。

SEOチームを立ち消えさせないためには、チーム発足と同時に、定例ミーティングを設定するとよいだろう。

たとえば、「毎週金曜日の14時から30分間、進捗報告をする」と決め、あらかじめGoogleカレンダーなどのスケジュール管理ツールに予定を登録しておく。

5-3. 予算を確保する

3つめのステップは「予算を確保する」である。

インハウスSEOでかかる費用は、どの規模で、どのレベルまで実施するかによって、大きく異なる。

社内スタッフの人件費以外のコストを、一切かけずに運用することも不可能ではないが、取れる予算があれば確保しておこう。そのほうが、ツール導入などの選択肢の可能性が柔軟になる。

ツールは、SEOの効果測定やアクセス解析のためのツールを導入する必要がある。

以下にツール紹介記事をリストアップしたので、必要に応じて確認してほしい。

「有料ツールを1つ、導入したい」と検討される場合にはAhrefs(エイチレフス)」がおすすめである(月額12,500円〜/2023年10月現在)。

私たちバズ部でも、Ahrefsを継続利用している。いろいろなツールを試した結果、最も有用だったからだ。

ahrefs

出典:Ahrefs

Ahrefsの導入手順や使い方は「【Ahrefsの使い方】最初に覚えたい3つの機能と11個の無料版ツール」で取り上げている。

5-4. 必要なSEOトレーニングを実施する

4つめのステップは「必要なSEOトレーニングを実施する」である。

SEOの基礎から応用まで、SEOチームメンバーに対して、必要なトレーニングを行う。これにはいくつかの方法がある。

5-4-1. 読むべきSEOの基本ガイド

まず、チームメンバーの全員に目を通してほしいガイド(無料)が2つある。

1つめは、Googleの「SEOスターターガイド」である。

SEOスターターガイド

出典:Google for Developers「Google 公式 SEO スターター ガイド」

Googleの基本的な考え方をよく理解できるとともに、基本的な用語解説も丁寧になされている。SEO知識がゼロの方ほど、上記の公式ガイドからスタートするとよいだろう。
「Google 公式 SEO スターター ガイド」はこちら

2つめは、バズ部の「SEO初心者向けマニュアル」である。

SEO初心者向けマニュアル

出典:SEO初心者向けマニュアル

このマニュアルでは、SEOを以下の7つの章に分けて、イチから解説している。

  • 1章:検索アルゴリズムとは
  • 2章:キーワード選定
  • 3章:オンページSEO
  • 4章:テクニカルSEO
  • 5章:被リンク獲得
  • 6章:SEOの効果測定
  • 7章:SEOに関するよくある質問と回答

SEOの7章

Googleのスターターガイドで学んだ公式情報を踏まえつつ、ビジネスとしてSEOを実践するときに役立つのが、こちらのマニュアルだ。2つ合わせて読むことで、インハウスSEOを成功に導きやすくなる。
「SEO初心者向けマニュアル」はこちら

5-4-2. SEOセミナーの受講

オンライン、あるいは対面でのSEOセミナーに参加するという方法もある。

社内SEOチームのキックオフと同じタイミングで、チームメンバーが全員そろって、SEOセミナーに参加するのがおすすめだ。

チームのSEOスキルを、一気に底上げできる。

加えて、同じセミナーを受講することで、メンバーによって差のある知識レベルが均一化され、全員が共通言語かつ同じ視点でディスカッションできるようになる。

バズ部でも定期的にセミナーを開催している。タイミングが合えば、ぜひご参加いただければと思う。
開催セミナーの一覧はこちら

5-5. 3つの分野のSEOから取り組みをスタートする

5つめのステップは「3つの分野のSEOから取り組みをスタートする」である。

SEOの分野は多岐にわたるので、目に付いたところから手当たり次第、行うのはおすすめできない。大局的に些末な、枝葉に時間を取られるリスクがあるからだ。

まずは大きく、

  • オンページSEO
  • オフページSEO
  • テクニカルSEO

の3分野に分け、それぞれの基本戦略を策定して進めていくようにしよう。

SEOについて

5-5-1. オンページSEO

オンページSEOとは、自サイト内に施すSEOのことである。

キーワード選定やメタデータ、良質なコンテンツの作成、内部リンクの最適化などがその実践である。

【オンページSEOの関連記事】

オンページSEOは、マーケティング部門やクリエイティブ部門のスタッフに強みがあることが多い分野だ。

5-5-2. オフページSEO

オフページSEOとは、自サイト外で展開するSEOのことである。

たとえば、バックリンク(被リンク、他サイトからリンクされること)や、自社についてSNSで言及されることなどが挙げられる。

あるいは、ゲストポスト(他メディアへの寄稿)や取材を受けることも、オフページSEOの一環だ。

【オフページSEOの関連記事】

オフページSEOは、広報部門やSNSマーケティング担当者の得意領域である。

5-5-3. テクニカルSEO

テクニカルSEOでは、ページの表示スピードやモバイル対応、セキュリティといった技術面を扱う。

【テクニカルSEOの関連記事】

テクニカルSEOは、システム部門の担当者の専門領域と重複する部分が多い。

SEOチーム内のメンバーで、うまく担当を振り分けながら、実践を進めていこう。


6. まとめ

本記事では「インハウスSEO」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。

インハウスSEOのメリットは、次のとおりだ。

  • 外注コストを削減できる
  • 柔軟な対応が可能となる
  • 意思決定のスピードが上がる
  • 社内に知見が蓄積される
  • ブランド一貫性を保ちやすい


一方、インハウスSEOのデメリットは、次のとおりだ。

  • 専門知識が必要となる
  • 時間と労力がかかる
  • 成果への不安が付きまとう
  • 属人化リスクがある


インハウスSEOに向いている企業として、以下が挙げられる。

  • SEO担当者を確保できる
  • 本業がWeb界隈で親和性が高い
  • 全体戦略でSEOの重要度が高くない
  • 成果を急がない
  • 社内スキルを高めたい意欲と熱意がある
  • 緻密にブランドマネジメントを行いたい意向がある


インハウスSEOに向いていない企業として、以下が挙げられる。

  • 全体戦略でSEOの重要度が高い
  • できるだけ早く確実な成果を求める
  • 社内が慢性的に多忙状態である


インハウスSEOの進め方を、以下のステップで紹介した。

  • 社内のスキルセットを把握する
  • 社内SEOチームを発足する
  • 予算を確保する
  • 必要なSEOトレーニングを実施する
  • 3つの分野のSEOから取り組みをスタートする

バズ部では、最新のSEO情報を随時アップデートしている。インハウスSEOに取り組む方は、またときおり、覗いていただければ、有益な情報をお届けできることと思う。

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