Google「E-A-T」とは?専門性・権威性・信頼性の高め方

「E-A-T」は、専門性・権威性・信頼性の頭文字を取った言葉で、Googleの造語である。

現在のGoogleが、サイトやページの品質を評価する際に最重視している指標であり、SEO実践者なら知っておきたい概念だ。

しかし、聞いたことはあっても、イマイチ肚落ちしていない人が多いのではないだろうか。その原因は、誰かの解釈を入れた二次情報で、理解しようとしているからかもしれない。

この記事では、あなたに絶対に必要なE-A-Tの概念を正しく理解してほしく、英語版しか存在しないGoogleの公式言及など、一次情報を引っ張りながら、E-A-Tを解説する。

「具体的に、何をすればいいの?」

という人には、E-A-Tを高めるために取り組むべき行動(やるべきこと/やってはいけないこと)のリストも用意した。

E-A-Tを理解して、本当に質の高いページを作るための、第一歩を踏み出そう。

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1. Google E-A-T の概要

Google E-A-Tの円グラフ

E-A-Tについて深掘りしていく前に、簡単に概要から押さえていこう。

1-1. E-A-T=専門性・権威性・信頼性

E-A-Tとは、

  • Expertise(専門性)
  • Authoritativeness(権威性)
  • Trustworthiness(信頼性)

の頭文字をとったものだ。

Googleが、Webページの「品質」を評価する概念として作った、Googleオリジナル用語である。

1-2. 質が高いコンテンツ=E-A-Tが高いコンテンツ

近年のSEOでは、「コンテンツの質」が重視される傾向が強まっている。

私たちバズ部も、「良質なコンテンツ」を作る意義を、訴え続けてきた(参考:​​コンテンツとは見た人の「人生の質」を上げるもの)。

しかし、コンテンツの質は定量化しにくい(数値化しにくい)。

そこで、Googleがチームメンバーやサイト運営者と「Googleが考える質の高さ」を共有するために生み出したのが、E-A-Tである。

1-3. 2018年8月のMedic Update以降によく知られるようになる

E-A-Tの概念は、2014年頃には存在が確認されている(後ほど紹介する『検索品質評価ガイドライン』にて)。

ただ、一般的によく知られるようになったのは、2018年8月以降のことだ。

2018年8月は、英語圏のGoogleでMedic Updateが公開されたタイミングだ(日本では一足早く、2017年12月の健康アップデートが該当する)。

日本では、健康アップデートのタイミングでYMYLがよく知られるようになったが、YMYLの評価項目として「E-A-T」もフィーチャーされた。

1-4. YMYLとE-A-Tの違い

「YMYLとE-A-Tの違いは何ですか?」

という質問が多いので、ここで触れておこう。

YMYLはサイトやページが扱うトピックの分野を示す概念で、E-A-Tはサイトやページの品質を評価する基準である。

略す前の語句

対象

意味

YMYL

Your Money or Your Life
(お金か人生か)

サイトやページが扱うトピック

人間の幸福・健康・経済的安定・安全・生命に影響を与えるトピック

E-A-T

Expertise
Authoritativeness
Trustworthiness

サイトやページの品質

専門性・権威性・信頼性


Googleは、あらゆるサイト・ページに対してE-A-Tを重要視しているが、

「その中でもとくに、E-A-Tが重視されるのがYMYLの分野」

という関係性にある。

なお、繰り返しになるが、誤解なきように付け加えると、「E-A-T=YMYLに必要な概念」ではない。YMYL以外でも、あらゆるトピックで、E-A-Tが検索評価に関わっている。

以上がざっくりとしたE-A-Tの概要だ。続けて、実際にGoogleはどう定義しているのか、深掘りしていこう。


2. E-A-Tについて書かれている2つのGoogleの公式ドキュメント

E-A-Tを、ニュアンスも含んで正しく肚落ちさせるためには、一次情報にあたっておく必要がある。

E-A-Tについて書かれている、2つのGoogle公式ドキュメントを紹介しよう。

2-1. 検索品質評価ガイドライン(2022年7月更新)

1つめは『検索品質評価ガイドライン』である。

General Guidelines Overview

出典:searchqualityevaluatorguidelines.pdf

Googleの外部スタッフ向け内部マニュアル

このガイドラインは、Googleの内部マニュアルで、検索評価者向けのものだ。検索評価者とは、Googleの評価プログラムが適切に稼働していることを、手動でテストする外部スタッフである。

スタッフが評価を行う手順や、評価項目・基準が詳細にガイドされていることから、サイト運営者にしてみれば、Googleの評価項目・基準が垣間見られる文書となっている。

E-A-Tについて書かれた原文

このガイドラインに「E-A-T」が登場することから、E-A-Tの存在が明らかとなった。どのように登場するか、以下が原文である。

3.1 Page Quality Rating: Most Important Factors

Here are the most important factors to consider when selecting an overall Page Quality rating:
  ●  ThePurpose of the Page 
  ●  Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness: This is an important quality characteristic.  Use your    research on the additional factors below to inform your rating.
  ●  Main Content Quality and Amount: The rating should be based on the landing page of the task URL.
  ●  Website Reputation/reputation about who is responsible for the MC: Links to help with reputation research    will be provided.

Note: Some tasks may ask you to view the page on your phone, but todo research(e.g., finding website information and reputation)on your desktop.  Other tasks may ask you to do  everything on desktop.  Please follow instructions in the task.

3.2 Expertise, Authoritativeness, and Trustworthiness(E-A-T)

The amount of expertise, authoritativeness, and trustworthiness(E-A-T)is very important.  Please consider:

  ●  The expertise of the creator of the MC.
  ●  The authoritativeness of the creator of the MC, the MC itself, and the website.
  ●  The trustworthiness of the creator of the MC, theMC itself, and the website.

〔訳〕
3.1  ページ品質評価:最も重要な要素

ページ品質の総合評価を選択する際に考慮すべき、最も重要な要素を以下に示します。

ページの目的
専門性・権威性・信頼性:これは重要な品質基準です。この後に追記する要素について調査し、評価に役立ててください。
メインコンテンツの品質と量:タスクのURLページを評価する必要があります。
Webサイト情報/メインコンテンツの責任者情報:Webサイトやメインコンテンツの作成者に関する情報を確認しましょう。
Webウェブサイトの評判/メインコンテンツの責任者に関する評判:評判を調査するためにリンクが助けとなります。
(略)

3.2 専門性・権威性・信頼性(E-A-T)

専門性・権威性・信頼性(E-A-T)の度合いは、非常に重要です。よく調べてください。

メインコンテンツの作成者の専門性
メインコンテンツの作成者、メインコンテンツ自体、Webサイトの権威性
メインコンテンツの作成者、メインコンテンツ自体、Webサイトの信頼性

出典:searchqualityevaluatorguidelines.pdf(July 28, 2022)

重要な2つのポイント

ここからわかる重要なポイントは、2つある。

1つめは、ページの品質を評価する基準として、GoogleがE-A-Tを重要視していることである(“最も重要な要素”として登場する)。

2つめは、E-A-Tは「コンテンツ自体」だけでなく、「そのコンテンツの作者」「Webサイト」に対して、個別に検証されるということだ。

コンテンツ自体の専門性が高かったとしても、作成した人物が無資格で専門性を持ち合わせていなかったら、そのページの品質評価は低くなる、ということである。

E-A-Tの基準はトピックによって異なる

気になるのが、具体的に何をもって「専門性・権威性・信頼性が決まるのか?」ではないだろうか。

「○○があると、スコア●点」という具合に単純化されていればわかりやすいのだが、E-A-Tはもっと概念的であり、かつ変動性がある。

というのは、E-A-Tの評価基準は、トピックによって変わるのだ。

『検索品質評価ガイドライン』におけるE-A-Tの定義的な説明は、先の引用ですべてだが、その後、ケーススタディ的に評価手法が解説されていくなかで、断片的に登場する。

たとえば、検索品質評価者がタスクとして受け取ったURLを、「非常に高いレベルのE-A-T」とレーティングする場合のアドバイスとして、以下のように書かれている。

専門性・権威性・信頼性が、そのページのトピックにとって、どのような意味を持つか考えてみましょう。

専門家は誰か?

そのトピックで、信頼できる情報源は何か?

そのトピックでは、何が権威性を作るのか?

E-A-Tの基準は、そのページのトピックによって異なります。

Googleの評価者も、それぞれのトピックに合わせて自分で考えなければならないので、もちろん私たちも、自分が扱うトピックに合わせて、何が専門性・権威性・信頼性なのか、都度、考えることが大切だ。

ガイドラインの内容は、「Google検索品質評価ガイドライン【2022年7月28日版】日本語訳で要約」にて詳説しているので、チェックしておこう。

2-2. How Google Fights Disinformation(2019年2月発行)

もう1つ、E-A-Tが登場するGoogleの文書として、『How Google Fights Disinformation』がある。

訳すと『Googleが偽の情報に対抗する方法』といった意味だ。フェイクニュースや誤報に対するGoogleの活動を紹介する、ホワイトペーパーである。

How Google Fights Disinformation

出典:How_Google_Fights_Disinformation.pdf

この中に、

「Googleのアルゴリズムは、専門性・権威性・信頼性をどのように評価しているのか?」

というトピックが出てくるので、紹介しよう。

How do Google’s algorithms assess expertise, authority, and trustworthiness?

● Google’s algorithms identify signals about pages that correlate with trustworthiness and authoritativeness.   The best known of these signals is PageRank, which uses links on the web to understand authoritativeness.

● We are constantly evolving these algorithms to improve results ー not least because the web itself keeps  changing.  For instance, in 2017 alone, we ran over 200,000 experiments with trained external Search Evaluators  and live user tests, resulting in more than 2,400 updates to Google Search algorithms.

● To perform these evaluations, we work with Search Quality Evaluators who help us measure the quality of Search  results on an ongoing basis.  Evaluators assess whether a website provides users who click on it with the content  they were looking for, and they evaluate the quality of results based on the expertise, authoritativeness, and  trustworthiness of the content.

● The resulting ratings do not affect the ranking of any individual website, but they do help us benchmark the  quality of our results, which in turn allows us to build algorithms that globally recognize results that meet high- quality criteria.  To ensure a consistent approach, our evaluators use the Search Quality Rater Guidelines(publicly  available online)18 which provide guidance and examples for appropriate ratings.  To ensure the consistency of the  rating program, Search Quality evaluators must pass a comprehensive exam and are audited on a regular basis.

● These evaluators also perform evaluations of each improvement to Search we roll out: in side-by-side  experiments, we show evaluators two different sets of Search results, one with the proposed change already  implemented and one without.  We ask them which results they prefer and why.  This feedback is central to our  launch decisions.

For more information about how our ranking work, please visit:
www.google.com/search/howsearchworks

〔訳〕
Googleのアルゴリズムは、専門性・権威性・信頼性をどのように評価しているのか?

Googleのアルゴリズムは、信頼性と権威性に相関するシグナルを識別します。これらのシグナルの中で最もよく知られているのは、Web上のリンクを利用して権威性を理解するPageRankです。

私たちは、検索結果を改善するために、アルゴリズムを進化させ続けています。というのも、Web自体が変化し続けているからです。2017年だけでも、トレーニングされた外部の検索評価者とライブのユーザーテストで20万回以上のテストを行い、その結果、Google検索アルゴリズムに2,400回以上のアップデートを実施しました。

これらの評価を行うために、Googleは検索品質評価者と連携し、継続的に検索結果の品質を測定するサポートを行っています。検索品質評価者は、Webサイトが、クリックしたユーザーが探しているコンテンツを提供しているか評価し、コンテンツの専門性・権威性・信頼性に基づいて、検索結果の品質を評価します。

この評価結果は、個々のWebサイトのランキングには影響しませんが、検索結果の品質を評価するのに役立ち、その結果、高品質基準を満たした検索結果を、グローバルに提供するアルゴリズムを構築できます。統一されたアプローチを担保するために、検索品質評価者は、的確な評価を行うためのガイドと事例を示した検索品質評価ガイドライン(オンラインで一般公開)を使用して、評価を行います。評価プログラムの一貫性を確保するために、検索品質評価者は総合試験に合格しなければならず、定期的に監査を受けています。

検索品質評価者は、私たちが実施する検索改善の評価も行っています。どちらの結果を好むか、またその理由をヒアリングします。このフィードバックは、ローンチ決定の中心となります。

詳しくは、www.google.com/search/howsearchworks  をご覧ください。

出典:How_Google_Fights_Disinformation.pdf

被リンクは権威性とつながっている

上記からわかるポイントとして注目したいのは、権威性の文脈で、PageRank(*1)におけるリンク、つまり「被リンク」の話が出てくることだ。

Googleが権威性を測る際に、「被リンク」を重視していることがうかがえる。

*1:PageRankは「ページランクとは?今でも意識するべき理由と調べ方を解説」に詳しい。

E-A-T=ランキングのスコアリング指標ではない

もうひとつの注目点は、検索品質評価ガイドラインに基づいて行われるページ品質の評価は、

「個々のWebサイトのランキングには影響しない」

と明示されていることである。

そもそも検索品質評価者が評価するのは、「Googleの検索結果」の品質だ。そのプロセスとして必要なページ品質を評価する、という構造なので、「個々のWebサイトのランキングには影響しない」は当然ではある。

ただ、はっきり言い切っていることから、前述の『検索品質評価ガイドライン』でレクチャーされているE-A-Tの評価プロセスと、実際のランキング要因として使用されているアルゴリズムのスコアリング指標は、別であると推察できる。

SEO実践者がやるべきことは?

以上を踏まえてSEO実践者がやるべきことは、

「E-A-Tとは、専門性○点、権威性○点、信頼性○点といった単純なスコア指標ではなく、もっと包括的で、変動性もある大きな概念」

と認識したうえで、

「大きな概念だからこそ、こちらも全般的に捉えて、枝葉をいじるのではなく幹を育てるつもりで、専門性・権威性・信頼性が向上するように成長する」

……ということだ。

感覚的に感じるかもしれないが、検索品質評価者という人間や、ユーザーテストの評価結果にそぐうように、Googleのアルゴリズムのアップデートが繰り返されている(年に2,400回以上も!)ことから、それが一番の早道といえる。

とはいえ、

「漠然としすぎて、どこから手をつけていいか、わからない」

「そもそも、専門性・権威性・信頼性の日本語訳ではいまいちピンとこない」

という方向けに、以下で具体的な実践のヒントをご紹介していこう。

上記の前提を踏まえたうえで、読み進めてほしい。


3. E-A-T【E】専門性を高める方法

まずはE-A-Tの【E】である「専門性」を高める方法について、見ていこう。

3-1. Expertiseの意味

先に、英語のニュアンスをつかんでおこう。

Googleは米国企業であり、公式ドキュメントの原文は英語である。日本語訳の過程で、原文のニュアンスが抜け落ち、日本人にとってわかりづらくなることがあるからだ。

Expertiseの意味は、ビジネス系の英語辞典では以下のとおり記述されている。

専門的知識・経験,専門技能,高度の技能,専門的技術[知識,意見]
出典:プログレッシブ ビジネス英語辞典

ノウハウ, 専門知識, 専門技術, 腕[腕前, 手腕], 技術的な知見
出典:ビジネス技術実用英語大辞典V6

「専門性とは何か?」といえば、具体的には上記を指すと捉えておこう。

3-2. 専門性はどう評価されるか

先ほど『検索品質評価ガイドライン』の解説で、E-A-Tは前半で簡単に定義が説明された後は、文中のケーススタディで断片的に登場する旨をお伝えした。

断片的な登場の中から、「専門性」はどう評価されるかピックアップすると、以下のとおりである。

◎ 専門性が高いと評価される例

適切な専門家や認定を受けた人によって、専門的なスタイルで書かれている
そのトピックにおいて人生経験を積んでいる人が作っている

× 専門性が低いと評価される例

コンテンツ作成者が、コンテンツのトピックについて十分な専門知識を有していない。たとえば、税務申告の専門知識が明確でない人が作成した税務申告書の解説ビデオなど。

専門性を理解するうえで注意したいのは、「専門家としての資格」「公式の訓練や教育」という意味ではないことだ。

「トピックによって、E-A-Tは何か」は変わる、という話をした。そのトピックにおいて、高度な経験があれば専門性とみなされ、それは「人生経験」も含まれる。

ガイドラインで例として挙げられているのは、

「肝臓がんを患った自分の大切な人が、どれくらい生きられたか?」

が語られているフォーラムである。

YMYLのトピックであるが、このような人生経験を語るトピック(医療アドバイスではない)において、専門性とは医療資格ではない。人生経験である。

「このフォーラムで個人的経験を共有する人たちは、エキスパート(専門家)です」

と、明示されている。

たとえば、「猫のお世話」「MacBookの使い方」といった日常的な専門知識が求められるトピックでは、人生経験を共有する一般の人々が最も専門的な情報源になり得る、ということだ。獣医師やシステム技術者である必要はない。

ガイドラインでも、検索品質評価者に対し「人生経験を大切にしてください」とアドバイスされている。

3-3. 専門性を高めるSEO対策

以上を踏まえて、やるべきこと、やるべきでないことをまとめておこう。

◎ やるべきこと

  • 専門性を示す証拠(資格、受賞歴、経験など)を記載する
    企業概要や執筆者プロフィールで自分が手がけるトピックの分野で専門家であることを明示する
  • 自分が専門性を持っている分野のトピックでコンテンツを作る
    資格の有無だけでなく深い経験を語れるトピックにも目を向けてみよう
  • 自分が専門性を持っていない分野のトピックは専門家に寄稿してもらう
    専門性はコンテンツの作成者に対して適用されるため、寄稿記事でも専門性は評価される

× やるべきでないこと

  • YMYLのトピックで専門家ではないのに専門的なアドバイスをする
    医療・健康系だけでなく、たとえば企業のオウンドメディアは法務・税務・財務に関わる専門トピックを、専門家ではないのに作らないよう注意する
  • 自身に専門知識がない分野のトピックを扱う
    調べた情報を継ぎ合わせて質を高めたとしても、コンテンツ作成者の専門性が認められないと評価されずに無駄となる

4. E-A-T【A】権威性を高める方法

続いてE-A-Tの【A】である権威性の話に移ろう。

4-1. Authoritativenessの意味

権威性「Authoritativeness」の形容詞形であるAuthoritativeを辞書で引くと、以下のとおり記載されている。

(略) 正式な(official), 当局の; 権威的な, 厳然たる, (略) 権威のある, 信頼すべき, 信頼できる
出典:ビジネス技術実用英語大辞典V6

Authoritativenessは、英語でも日本語でも理解しにくいので、別途「権威性とは?SEOやマーケティングで使う意味と権威性を高める7ルール」でも個別に解説している。

「権威」という字面から「権力を持っている」と連想しやすいが、権威には複数の意味がある。E-A-Tの文脈における権威とは、「社会的に認められている」という意味だ。

「社会的に認められている」とは、以下のような例である。

公式の機関である
業界の権威として、みんなが知っている
一流メディアとして、一般に認知されている
その分野の第一人者として、有名である

先ほど解説した「専門性」が焦点としているのは、その人の有している資格や経験であり、社会からどう思われているか?は、無関係だった。

一方、権威性となると「社会(他者)」との関係性が考慮されるのがポイントだ。

Googleは、たくさんある情報の中から、

「社会的にコンセンサスが取れている情報を、優先してユーザーに示したい」

という思惑がある、とイメージすると理解しやすいだろう。

たとえば、高度な専門性を持つ天才医師が2人いたとして、1人は社会的に認められた論文を多数発表している第一人者、もう1人はブラックジャック的な孤高の医師だとする。

Googleは、社会的に認められた前者の医師を、「権威性」 の指標を根拠に優先するイメージだ。

4-2. 権威性はどう評価されるか

権威性がどう評価されているのか、前述のガイドラインからピックアップすると、以下のとおりだ。

◎ 権威性が高いと評価される例

数々の権威性ある賞を受賞している
政府系ドメイン・研究機関など公式サイト内のページである
その製品を製造する専門メーカーである(例:リュック製造会社のリュックに関するWebサイト)
その業界の権威・第一人者から推薦されている

× 権威性が低いと評価される例

Webサイトが、そのページのトピックに関する権威ある情報源ではない(例:料理サイトの税金情報)

権威性を読み解くポイントとしては、前述の「専門性」と、直接的に相関する説明が散見されることだ。

たとえば「○○の商品を扱う専門会社だから、権威性が高い」といった書き方である。

もちろん、社会的に認知のある賞の受賞や、業界の権威からの推奨などを得られれば、それは権威性を高めることになる。

一方、それが難しい分野に自分が位置する場合でも、専門性の強い分野を攻略する(自分が業界の第一人者といえるフィールドで戦う)ことで、権威性の評価を高められる、と考えられる。

また、前述のホワイトペーパーに、

〈Googleのアルゴリズムは、信頼性と権威性に相関するシグナルを識別します。これらのシグナルの中で最もよく知られているのは、Web上のリンクを利用して権威性を理解するPageRankです〉

と記載があったことも、思い出しておこう。

被リンクは、権威性を高めるために有効だ。

4-3. 権威性を高めるSEO対策

権威性を高めるためにやるべきこと、やるべきでないことは、以下のとおりだ。

◎ やるべきこと

  • 権威性の高いサイトから被リンクを受け取る
    権威性がトップレベルに高いのは、官公庁サイトである。官公庁サイトからリンクを受け取っているサイト(リンクの距離が近いサイト)も権威性が高い。その他、一流メディア、業界の第一人者、研究機関、業界紙など
  • 自社が専門とする事業や商品・サービスに関するコンテンツを作る
    とくに「第一人者」と自負できる分野なら強い
  • 多くのWebサイトの出典元として引用されるコンテンツを作る
    ネット上で社会的な承認を作るためには多く言及されることが役立つ

× やるべきでないこと

  • 権威性の低いサイトとリンクでつながる
    被リンクも発リンクもできるだけ避ける
  • 自社の事業やサイトの方向性と関係のない多様なトピックを扱う
    権威性をキープできる分野に集中したほうが効率的である

5. E-A-T【T】信頼性を高める方法

最後に、E-A-Tの【T】信頼性を解説する。

5-1. Trustworthinessの意味

Trustworthinessは、Trustworthyの名詞形だ。Trustworthyの意味を見てみよう。

信頼するに値する, 信じる[信憑する]に足る, 信頼できる, 信頼すべき, 当てになる, 頼りになる, 頼もしい, 確かな, 確実な, 手堅い
出典:ビジネス技術実用英語大辞典V6

これに関しては日本語における「信頼性」のままの意味と捉えて問題ないだろう。

5-2. 信頼性はどう評価されるか

前述のガイドラインにおける、信頼性の評価を見てみよう。

◎ 信頼性が高いと評価される例

ネット上でよい評判が多い(例:高品質なサービスを提供している会社だ)
運営会社が有名で評価が高く、サイトには詳細なカスタマーサービス情報が掲載されている

× 信頼性が低いと評価される例

コンテンツが、安全でない接続を持つショッピングのチェックアウトページのように、信頼できないものである
ネット上で悪い評判が多い(例:お金を払ったのに商品が届かない)
匿名であることの合理性がないコンテンツなのに、サイト運営者やコンテンツ作成者の情報が記載されていない

「信頼性」も、権威性と同じく「他者からの評価」を加味しているが、Googleのガイドラインから読み取れるのは、「善悪の善か・悪か」というニュアンスがあることだ。

「コンテンツに書かれている内容は、正確か?」とった意味での信頼性は、どちらかといえば、前述の専門性や権威性によって担保されていて、こちらの信頼性で見ているのは、

「信用しても問題のない、善良なサイト運営者・コンテンツ作成者か?」

と解釈したほうが、つじつまが合う。

ただ、これはあくまでバズ部の解釈であり、Googleの公式文書でそう明示されているわけでないことは、断っておきたい。

5-3. 信頼性を高めるSEO対策

以上を踏まえて、信頼性を高めるためにやるべきこと、やるべきでないことは、以下のとおりだ。

◎ やるべきこと

  • サイト運営者やコンテンツ作成者が誰なのか身元を明示する
    運営者や作成者がわからないと信頼性はゼロカウントとなる
  • 法的に必要な表記を行う
    ECサイトの「特定商取引法に基づく表記」など
  • 連絡先の明示・問い合わせフォームの設置をする
    顧客向けのカスタマーサポート窓口など
  • E-A-Tが高いサイトを情報の出典元として発リンクする
    go.jp の官公庁サイトや大学病院レベルのサイトなどを情報源として積極的に活用する
  • ネット上に自社のよい評判が増えるよう本業にいそしむ
    サイト運営者やコンテンツ作者自身の評判はサイト内だけのものではない。本業で獲得したよい評判が、本当の信頼性の源泉となる

× やるべきでないこと

  • オンライン・オフライン問わずユーザーの信頼を損なう行為
    顧客の利得を犠牲にする、法的にグレーゾーンのビジネス、ユーザーがだまされたと感じるコンテンツなど、信頼を損なうと自サイトの評価も落とすことになる
  • 信頼性が低いと想定されるサイトとの関係構築(*2)
    発リンク・被リンクともに回避するように心掛けよう

*2:補足となるが、Googleは少数の信頼できるサイトを選定し、そのサイトとリンクによってつながる距離が近いサイトの信頼性を高く評価するアルゴリズムを持っている。

逆に、信頼性が低いと識別されているサイトと近しい関係だと認識されれば、信頼スコアを落とされるリスクがある。

リンクジュースとは?SEO用語としての意味と具体的な被リンク戦略」で触れているので、参考にしてほしい。


6. まとめ

本記事では「Google E-A-T」をテーマに解説した。

◎やるべきこと

×やるべきでないこと

専門性

  • 専門性を示す証拠(資格、受賞歴、経験など)を記載する
  • 自分が専門性を持っている分野のトピックでコンテンツを作る
  • 自分が専門性を持っていない分野のトピックは専門家に寄稿してもらう
  • YMYLのトピックで専門家ではないのに専門的なアドバイスをする
  • 自身に専門知識がない分野のトピックを扱う

権威性

  • 権威性の高いサイトから被リンクを受け取る
  • 自社が専門とする業種や商品・サービスに関するコンテンツを作る
  • 多くのWebサイトの出典元として引用されるコンテンツを作る
  • 権威性の低いサイトとリンクでつながる
  • 自社やサイトの方向性と関係のない多様なトピックを扱う

信頼性

  • サイト運営者やコンテンツ作成者が誰なのか身元を明示する
  • 法的に必要な表記を行う
  • 連絡先の明示・問い合わせフォームの設置をする
  • E-A-Tが高いサイトを情報の出典元として発リンクする
  • ネット上に自社のよい評判が増えるよう本業にいそしむ
  • オンライン・オフライン問わずユーザーの信頼を損なう行為
  • 信頼性が低いと想定されるサイトとの関係構築


E-A-Tを踏まえることは、良質なコンテンツづくりの第一歩である。第一歩を踏み出したら、E-A-Tをベースにした方向性で、コンテンツの質を高めるために、労力・時間・熱意をかけて取り組んでほしい。

以下の記事が、参考になる。

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