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11/27水19:00〜20:00
「検索エンジンとは何か?」
この記事は、そんな素朴な疑問に、極めてわかりやすい解説が欲しい方のために書かれている。
検索エンジンとは、キーワードやフレーズを使って、探している情報をオンライン上から見つけ出すためのシステムのことだ。
検索エンジンのシステムには、インターネット上の膨大なページの情報が、データベースとして格納されている。それらのデータをスキャンすることで、欲しい情報を瞬時に取り出せる仕組みになっているのだ。
一方、デジタルツールが当たり前の環境で育った若い世代からは、
「ブラウザと検索エンジンの違いがわからない」
「Safariは検索エンジンなのか?Googleはブラウザ?」
といった声も聞かれる。
結論からいえば、『Google』は世界シェアNo.1の検索エンジンであり、会社名でもあり、多種多様なサービス名でもある。『Safari』は、Appleが開発したブラウザだ。
このあたりの“ややこしい話”も、本記事を通じて整理していこう。
まずは検索エンジンとは何か、基本的な事項から確認する。
冒頭でも触れたとおり、検索エンジン(Search Engine)とは、テキスト(キーワードやフレーズ)で指定した特定の情報を、インターネット上を検索して探し出すシステムのことをいう。
後ほど「3. 検索エンジンの歴史」にて変遷について触れるが、1990年代に誕生した『Google』は、現在、世界で最も利用されている検索エンジンだ。
「ググる*1」という言葉があるように、Googleは検索エンジンの代名詞的な存在といえる。
*1 ググる:Googleなどの検索エンジンを使って検索すること。
検索エンジンとは何か、を理解するためには、仕組みを知ることが役立つ。
検索エンジンは、基本的に「クロール→インデックス作成→検索結果の表示」という3つのステップで成り立っている。
それぞれ、もう少し詳しく見ていこう。
まず最初のステップでは、クローラーと呼ばれるボットが、インターネット上を自動巡回して、ページの情報を収集していく(クローラーが巡回することを“クロール”という)。
私たちがネットサーフィンしているときに、ページからページへ、リンクをクリックして、次のページ、またその次のページ……、という具合に、延々とサイトを巡回していくことがあるだろう。
クローラーの挙動もこれと同じだ。
ページからページへ張られたリンクを道筋にして、インターネット上の膨大なページを巡回し続けている。
クローラーが発見したページの情報は、「インデックス」と呼ばれるデータベースに格納される。
私たちが、メモや写真、音楽などの情報を、カテゴリー別のフォルダに保存したり、タグづけしたりして、素早く探せるようにするのと同じく、インデックス登録の際にも、情報が整理される。
ユーザーが検索したとき、瞬時に検索結果を返せるのは、あらかじめインデックスに情報が整理されているからだ。
最後に3つめのステップは、検索結果ページの表示である。
ユーザーが、検索エンジンの入力欄にテキストを入力すると、検索エンジンは、そのテキスト(検索クエリという)に最も適合する情報をインデックスから探し出し、最適な順にランキングして検索結果ページを生成する。
検索結果を生成する際には、さまざまな要素が考慮されている。そのルールや計算式をアルゴリズムというが、数百以上のアルゴリズムが稼働しているといわれる。
検索エンジンは、複雑なアルゴリズムを駆使して、ユーザーが探している情報を特定し、検索結果ページに表示させているのだ。
以上がおおまかな検索エンジンの仕組みである。
より詳しくは「図解でわかる「検索エンジンの仕組み」とは?基本とSEOのポイント」にて解説しているので、あわせて参考にしてほしい。
ここで、用語を整理しておこう。
冒頭でも触れたが、「ブラウザ」や「検索エンジン」の解釈があいまいで、混乱している例が見られるためだ。
たしかに、近年のスマホユーザーにとって、両者は混在しやすいかもしれない。
まず「ブラウザ(browser)」とは、閲覧ソフトウェアという意味である。
「browse」は、“ざっと目を通す、閲覧する”という意味の英単語で、「browser」はその名詞形だ。
ブラウザは、さまざまな企業が開発している。代表的なブラウザは次の3つである。
|
Apple社のiPhoneのデフォルト設定のブラウザはSafariになっているし、Google社のAndroidのデフォルト設定のブラウザはChromeになっている。
次に「検索エンジン」とは、ユーザーが指定したテキストに対応する情報を探し出すシステムを指す。
検索エンジンのサービスは、ユーザーが使いやすいようにWebサイトの形状で提供されている。具体的には、以下が代表的な検索エンジンのサービスだ。
【検索エンジン1:Google】
【検索エンジン2:Bing】
この他に「Yahoo!」も検索エンジンとして数えられるが、現在のYahoo!は独自開発の検索エンジンではなく、Googleの検索エンジンを利用しているため、中身はGoogleと同じだ。*2
*2:注意点として、近い将来、Yahoo!の検索エンジンがGoogleではなくなる可能性がある。
参考:ヤフーの検索エンジン技術契約、Googleから変更検討(日本経済新聞、2023年7月1日)
ここまでの話をまとめると、私たちは「ブラウザで、検索エンジンを閲覧している」ということだ。
もしあなたがiPhoneユーザーで、デフォルトの設定のまま利用しているなら、
「Safariというブラウザを使っていて、インターネット検索をするときにはGoogleの検索エンジンを閲覧している」
という状況になっている。
補足として、『Google』は、検索エンジンの名称であると同時に、Googleを開発した企業名(Google LLC)でもある。
Google LLCは、検索エンジン以外にも、多岐にわたるプロダクトとサービスを提供している。それらにも、Googleの名が使われている。
たとえば、
|
……という具合だ。
ちなみに、Googleの運営会社としては「Alphabet社(Alphabet Inc.)」が挙げられることもある。
Alphabet Inc.は、2015年に設立されたホールディングカンパニー(グループの親会社)だ。Google LLC は Alphabet Inc. の子会社として再編成された。
検索エンジンとは異なる文脈でGoogleの名を見かけ、「Googleは検索エンジンではないのか?」と混乱することがあったら、上記の情報を思い出すと、整理できるだろう。
「検索エンジン」の概念とそれが成長してきた経緯を理解するためには、“歴史”に目を向けることが役立つ。
以下では、検索エンジンの誕生から現在までの重要な出来事と、それぞれの時期でどのような進化があったのかを見ていこう。
1990年代、まだインターネットが一般的ではなかった時代に、検索エンジンの起源ともいえる2つの巨大な存在、『Yahoo!』と『Google』が誕生した。
これらは初期の検索エンジンの形を作り出し、私たちが今日利用する情報検索の仕組みを、根底から作り上げた。
Yahoo!は米国で1994年に誕生し、最初は手作業でWebページをカテゴライズする“ディレクトリ型の検索エンジン”としてスタートした。
この手法は、初期のインターネットに対しては効果的だった。まだ規模が小さかったからである。
しかし、Webの急速な成長とともに、手作業によるカテゴリー分けは効率が追いつかなくなり、新たな手法が求められるようになった。
一方、米国で1998年に誕生したGoogleは、革新的なアプローチを採用していた。
“他のWebページからどれだけリンクを受けているか”をもとにページの重要度を判断する、「PageRank(ページランク)」というアルゴリズムを開発したのである。
これにより、関連性の高い情報を高速に提供できるようになり、Googleは検索エンジンとしての地位を確立した。
Googleは情報検索のパラダイムを一変させ、その後の検索エンジン開発に大きな影響を与えたのである。
関連記事:ページランクとは?今でも意識するべき理由と調べ方を解説
新世紀の幕開けとともに、検索エンジンの競争はさらに激化した。この時代の象徴的な出来事といえば、Microsoftによる検索エンジン『Bing』の登場である。
Bingは、従来の検索エンジンよりもユーザーフレンドリーな体験を提供することを目指し、そのインターフェースと機能性の両方で独自の進化を遂げた。
Bingの画期的な点は、情報の提供方法に対する新しい見方を導入したことだった。
つまり、ただ単に情報を見つけて提供するだけでなく、その情報をどのように表示し、ユーザーに理解しやすい形で提供するかに注力したのである。
検索エンジンの世界では、技術革新が絶えず行われ続けた。
2010年代には、その革新は「アルゴリズムの高度化」という形を取った。
とくにGoogleは、機械学習とAI技術を取り入れた「RankBrain(ランクブレイン)」という新しいシステムを開発し、これまで以上に精度の高い検索結果を提供することに成功している。
RankBrainは、機械学習の力を利用して、検索クエリの意図を理解し、最も関連性の高い結果を表示する。
ユーザーが入力した検索クエリがあいまいでも、その背後の意図を理解して最適な結果を出力する能力は、検索エンジンの可能性を大幅に広げた。
関連記事:Googleのアルゴリズムとは?2022最新アップデートから対策まで解説
2020年代に入ると、生成AIの出現が検索エンジンの発展に新たな可能性を開いた。
この時期の先駆けとなったのは、2022年11月にOpenAIがリリースした『ChatGPT』だ。ChatGPTの出現により、全世界で生成AIに関連する大きな変化が起きている。
生成AIの台頭は、検索エンジンの進化にとっても、極めて重要な意味を持っている。
なぜなら、生成AIによって、検索エンジンはユーザーの意図を理解するだけでなく、人間同士の会話のように自然な文章で回答を生成できるようになったからだ。
検索エンジンは、単なる情報検索ツールから、より対話的でインタラクティブ(双方向的)な情報提供者へと進化していくだろう。
とくに注目したいのは、Bingを通じて検索エンジン市場に参入したMicrosoftが、OpenAIとの出資関係を通じて、ChatGPTの開発に関与していることだ。
参考:マイクロソフトと OpenAI がパートナーシップを拡大
Microsoftは現に、『BingAI』をはじめ、さまざまなサービスへChatGPTのテクノロジーの導入を進めている。
一方、Googleも『Bard』という名の生成AIの開発しており、いずれGoogle検索にも搭載される可能性がある。検索エンジンの変化に、目が離せない。
検索エンジンは、今や情報収集の基本となっており、その存在はビジネス領域にも大きな影響を与えている。
具体的には、検索エンジンを最大限に活用するためのマーケティング戦略が数多く生まれている。
ここでは、代表的な3つの手法について、説明しよう。
「SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)」とは、自社のWebサイトが検索エンジンの検索結果ページで上位に表示されるよう、Webサイトのコンテンツや構造を最適化する手法である。
SEOの目的は、Webサイトへのアクセス数を増加させ、その結果、商品・サービスの認知度を向上させたり、新規顧客を獲得したりすることだ。
SEOは、キーワードリサーチ、コンテンツ、被リンク対策といった技術的な要素だけでなく、WebサイトのユーザビリティやデザインといったUX(ユーザーエクスペリエンス)とも関連が深い。
非常に多岐にわたる取り組みとなるため、効果的な手法を十分に学んでから着手することが大切だ。
詳しくは「【2023年版】SEO対策とは?今さら聞けない基本から最新情報まで解説」を参考にしてほしい。
「リスティング広告」とは、ユーザーが特定のキーワードを検索したときに、検索結果ページに表示される広告のことで、PPC(Pay-Per-Click)広告とも呼ばれる。
広告主が広告のクリックごとに料金を支払う広告形態で、Google 広告やMicrosoft 広告などのプラットフォームが提供している。
リスティング広告の特徴は、ユーザーが商品やサービスを探している「その瞬間」に表示されることだ。具体的なニーズを持つユーザーに対して、タイムリーかつ直接的に訴求できる。
たとえば、あるユーザーが[オンライン英会話]というキーワードで検索したとしよう。
オンライン英会話学校がリスティング広告を出稿していたら、その広告は検索結果の上部に表示され、ユーザーは、その学校のWebサイトにすぐアクセスできる。
「ユーザーがニーズを感じているそのタイミングで、ピッタリの商品・サービスを宣伝できる」
という点で、リスティング広告はコンバージョン率が高くなりやすい。
「ローカルSEO」は、マップエンジン最適化(MEO)ともいい、飲食店やサロン、クリニックなどの店舗情報を、Googleマップなどの地図サービス上で最適化することを指す。
ローカルSEOの最初の一歩は、「Google ビジネス プロフィール」を充実させることだ。
Google ビジネス プロフィールとは、店舗の基本情報(名称、住所、電話番号など)から営業時間、サービス詳細、カスタマーレビューまで、情報を一元管理・公開できるGoogleの無料ツールである。
詳しくは「MEOとは?自分で行うMEO対策でGoogleマップの集客UPする方法」にてご確認いただければと思う。
最後に、検索エンジンのシェアランキングを紹介する。本記事執筆時点での勢力図として、見ていこう。
まずは日本の検索エンジンランキングだ。
順位 | 検索エンジン名 | 割合 |
1 | 75.82 % | |
2 | Yahoo! | 13.4 % |
3 | Bing | 9.66 % |
4 | CocCoc | 0.36 % |
5 | DuckDuckGo | 0.31 % |
6 | Yandex | 0.17 % |
7 | Baidu | 0.13 % |
8 | Naver | 0.08 % |
9 | Ecosia | 0.04 % |
10 | Other | 0.02 % |
出典:Statcounter Global Stats「Search Engine Market Share Japan」より作成(2023年6月時点)
日本での検索エンジン市場は、Google・Yahoo!・Bingの3つで、全体の98.8%を占めている。*3
*3:先にも述べたとおり、現在のYahoo!はGoogleの検索エンジンを利用しているので、実質的にはYahoo!=Google ともいえる。
次に世界に目を向けると、以下のとおりとなっている。
順位 | 検索エンジン名 | 割合 |
1 | 92.64 % | |
2 | Bing | 2.77 % |
3 | Yandex | 1.17 % |
4 | Yahoo! | 1.09 % |
5 | Baidu | 0.84 % |
6 | DuckDuckGo | 0.51 % |
7 | CocCoc | 0.26 % |
8 | Naver | 0.21 % |
9 | Sogou | 0.19 % |
10 | Ecosia | 0.08 % |
出典:Statcounter Global Stats「Search Engine Market Share Worldwide」より作成(2023年6月時点)
日本のランキング以上に、Googleの強さが際立っている。
参考までに、世界の市場動向と異なる動きを見せている国があるので、紹介しよう。中国とロシアだ。
中国の検索エンジン市場の特徴は、中国企業が開発した『Baidu(百度)』と『Sogou(捜狗)』が、シェアを持っていることだ。
順位 | 検索エンジン名 | 割合 |
1 | Baidu | 61.47 % |
2 | Bing | 14.44 % |
3 | Sogou | 13.77 % |
4 | Shenma | 3.2 % |
5 | Haosou | 3.09 % |
6 | 2.39 % | |
7 | Yandex | 1.16 % |
8 | Ecosia | 0.41 % |
9 | Yahoo! | 0.05 % |
10 | Naver | 0.01 % |
出典:Statcounter Global Stats「Search Engine Market Share China」より作成(2023年6月時点)
一方、中国企業の中で、米国企業であるBingが健闘していることは、特筆に値する。
中国においては、BingはGoogleの6倍以上のシェアを持っている。
ロシアの検索エンジン市場で目立つのは、ロシア企業が開発した『Yandex』である。
順位 | 検索エンジン名 | 割合 |
1 | Yandex | 58.22 % |
2 | 40.4 % | |
3 | Bing | 0.82 % |
4 | DuckDuckGo | 0.2 % |
5 | Yahoo! | 0.14 % |
6 | Mail.ru | 0.1 % |
7 | Other | 0.05 % |
8 | Petal Search | 0.04 % |
9 | Baidu | 0.04 % |
10 | Naver | 0 % |
出典:Statcounter Global Stats「Search Engine Market Share Russian Federation」より作成(2023年6月時点)
ロシアでは、Bingのシェアはほとんどなく、GoogleがYandexに迫る勢いで2強となっている。
以上、検索エンジンランキングをご紹介した。
たとえば、訪日旅行者向けのインバウンド施策を実施したい場合には、Googleだけでなく、世界の検索エンジンに目を向けることが役立つだろう。
本記事では「検索エンジンとは何か?」をテーマに解説した。要点を簡単にまとめておこう。
|
検索エンジンの歴史は以下のとおりだ。
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検索エンジンを活用したビジネスとして、以下が挙げられる。
|
日本では、Google・Yahoo!・Bingの3つが検索エンジン市場のほとんどを占めているが、状況は国によって異なる。
今後、生成AIによって新たな進化を遂げれば、検索エンジンのあり方そのものが変わることもあるだろう。
ひとついえるのは、検索エンジンは、私たちの探求、学習、世界の理解において、欠かせない道具となっていることである。
本記事を、検索エンジンの本質や歴史、そして将来について考えるきっかけとしていただければ幸いだ。