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11/27水19:00〜20:00
「セマンティック検索ってどういうもの?これまでの検索と何がどう違うの?」
セマンティック検索とは、入力された検索キーワードから、その検索意図(ユーザーが本当に求めている情報)を洞察し、最適な情報を提供する仕組みや技術のことだ。
セマンティック検索の導入で、ユーザーは求める情報をこれまでより効率よく探せるようになった。
本記事では、セマンティック検索について定義から効果、導入の背景まで網羅的に解説する。
また、セマンティック検索を具体的に把握してもらうために、4つの表示形式を事例を交えてわかりやすく伝えていく。
この記事でわかること |
・セマンティック検索とは|定義と効果 |
セマンティック検索の台頭は、ユーザーを第1に考えるGoogleの理念に基づくものだが、サイト運営側に立つと、キーワードに頼ったこれまでのようなSEO対策が通用しない時代が近づきつつあるという見方ができる。
記事後半では、セマンティック検索がSEOに及ぼす影響や、それに対応する具体的な施策について解説するので、ぜひ最後まで目を通してあなたのサイトに役立ててほしい。
目次
まず最初に、セマンティック検索の「定義」と「効果」について解説しよう。
今や、WEBサイトのSEO対策を考える上で無視出来ない『セマンティック検索とはどういったものなのか』を、しっかり頭に入れておいてほしい。
セマンティック検索(Semantic Search)とは、検索するユーザーの目的や検索意図を検索エンジンが適切に読み取り、ユーザーの目的に合わせて検索結果を提供する概念のことをいう。
『ユーザーが求めている情報を検索結果で正しく表示させる技術』といえば、わかりやすいかもしれない。
セマンティックは「意味」「本質」と訳される英単語で、ITの世界では「データが持つ意味(本質)をコンピュータに理解させて処理する技術」の意味で使われる。 つまり、セマンティック検索とは、データ(ユーザーの入力した文言)の意味(本質)を、コンピュータ(検索エンジン)が理解し、処理(検索結果に反映させる)する技術のことなのだ。 |
かつてGoogleの検索アルゴリズム(※1)では、検索キーワードが最重視されていた時代があり、当時はキーワードを無造作に並べただけで、文章として成立していないページが上位に表示されていた。(※2)
(※1)検索アルゴリズム:WEBページの重要性や関連性を評価し、検索結果の表示順を決めるプログラム ワードサラダとは、形態素解析でバラバラにしたキーワードをマルコフ連鎖の技術により新たな文をランダムに生成し、その文が複数集まっている以下のようなものを指す。 例)キーワード「おしゃれ カフェ」 文章全体として支離滅裂で人間が読めばすぐに機械が作った文章だと判断できるが、以前の検索エンジンはこれを「意味不明でおかしなものだ」と識別することができなかった。 当然、この方法で検索上位に表示されたWebサイトはユーザーにとって有用ではない。 現在では、このような手法は通用せず、むしろ検索エンジンによりスパム行為として認識される。 |
セマンティック検索の技術を用いることで、ユーザーにとって有用でないコンテンツが上位表示されるといった状況が改善され、ユーザーの検索意図に沿った検索結果が提供されるようになったのだ。
セマンティック検索の具体例については、「2.「セマンティック検索」の背景には3つのステップがあった」、「3.【具体例で解説】セマンティック検索の4つの表示形式」で後述する。
セマンティック検索は、かねてよりGoogleが理念としているユーザーファーストに基づくものであり、導入はユーザーに下記のような効果をもたらした。
・ユーザーは求める情報を効率よく探せる
・ユーザーにとって有益なコンテンツが増える
それぞれ見ていこう。
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セマンティック検索の導入で、ユーザーは求める情報をより効率的に探せるようになった。
検索キーワードに対して、それを含むページだけを検索上位に表示する以前の仕様とは異なり、キーワードよりも検索意図を重視した検索結果が表示されるようになったからだ。
たとえば、FIVBバレーボール・ネイションズリーグ開催中に、Googleで「昨日 バレボール」と検索した場合の表示は以下のようになる。
キーワードから、「昨日のバレーボールの試合結果が知りたい」という意図を検索エンジンが読み取って、最上位に表示されている。
このように、セマンティック検索では、入力したキーワードの組み合わせや、意味の関連性なども統計的にコンピューターが理解するため、従来のような全く関係性がないと思われるページは検索結果から除外される。
ユーザーが求める検索結果を早く、正確に提供できるようになったのは、セマンティック検索の大きな成果といえるだろう。
セマンティック検索の導入は、ユーザーにとって有益なコンテンツの増加につながる。
検索結果で上位に表示されるために、各WEBサイトでは他のサイトより充実した、今よりもっと「ユーザーに求められる」ページ内容の充実を計っていくことになる。
各サイトがセマンティック検索への対策(SEO対策)を行うことで、それぞれのコンテンツが充実し、ユーザーファーストのサイト運営が実現するのだ。
「5.セマンティック検索に対応する2つのSEO対策」ではサイト側についてくわしく解説する。
ここでは、セマンティック検索の効果を理解することは、ある意味Googleの理念を理解することであり、結果的にサイトにとってのSEO対策につながることを覚えておこう。
スマートフォンの利用が一般的になるにつれ検索キーワードは複雑化し、ユーザーのニーズも多様化していく。これに応えるために、検索エンジンはさらなるパフォーマンスの向上が求められた。
…これが、セマンティック検索の導入につながったわけだが、Googleの検索エンジンが今のような仕様になるまでには、段階的なステップがあった。
ステップ1|2013年、文脈から意図を理解する「ハミングバードアップデート」の導入開始! |
ステップ2|2015年、検索キーワードとコンテンツの関連性を判断する「RankBrain」を導入! |
ステップ3|2019年、人工知能(AI)をベースにした自然言語処理「BERT」アップデート開始! |
セマンティック検索についてさらに理解を深めるために、ステップ順に導入の歴史をみていこう。
2013年9月にGoogleで「ハミングバードアップデート」の導入が開始された。
ハミングバードアップデート(Hummingbird Update)とは、会話調での検索キーワードや、検索エンジンが読み取りづらい意図などをキーワードの文脈や文脈によって理解する検索アルゴリズムの技術。
ハミングバードアップデート導入の結果、
①会話調のキーワードでも検索結果を提示できる
②曖昧な検索にも検索結果を提示できる
という成果があった。
たとえば「父の日は何したらいい」と会話調で検索すると、下記のように、お父さんが理想と思う父の日の過ごし方が書かれた記事が上位に表示される。
このように、「ハミングバードアップデート」の導入で、曖昧なキーワードに対してもユーザーの検索意図を検索エンジンが読み取れるようになった。
2015年より、Googleでは「RankBrain」の導入が開始された。
RankBrain(ランクブレイン)は、検索キーワードとコンテンツの関連性を判断するために作られた人工知能(AI)ベースの検索アルゴリズムで、概念と単語の関係性を理解できる。
わかりやすくいうと、これまで人間にはわかっても、機械には理解できなかったような言葉の意味する所を汲み取ることができるのだ。
たとえば、「日本の大統領」と検索すると、下記のような表示が表れる。
このように「大統領」と間違って検索しても、AIが自動的に「大統領」ではなく、日本の「首相」が誰かを知りたいと思っていると判断して、検索結果を表示してくれる。
RankBrainの導入で、Googleは、ユーザーの閲覧履歴などのあらゆる情報を多角的に分析し、意図を汲み取った検索結果を反映させることができるようになった。
2019年、Googleは「BERT」のアップデートを開始した。
BERT(バート)は、人工知能(AI)をベースにした自然言語処理の検索アルゴリズム。
このアップデートで、Googleの検索エンジンは、キーワードの微妙なニュアンスの違いや文脈によって判断する技術を格段にアップさせた。
BERTアップデートによる検索結果の一例として、Googleは『2019年のブラジルから米国への旅行者はビザが必要です。』というクエリの検索結果を挙げている。
英語表記で「2019 brazil traveler to usa need a visa」となるこの文章は、人が読めば、ブラジルから米国に旅行する人に向けた内容だということがわかるが、BERT導入前の検索エンジンには、toの意味が正しく理解されなかった。
下図左のBEFOREのように、ブラジルに旅行するアメリカ人向けの情報が検索結果の上位に表示されてしまう状態だったのだ。
出典:Google|Understanding searches better than ever before 【日本語に訳すと…】 AFTER : 観光者&旅行者向け|ブラジルのアメリカ大使館 一般に米国に旅行する観光客は有効なB-2ビザ(商用観光ビザ)が必要です。…(正しい:ブラジルから米国に旅行する人に向けた内容) |
これが、BERTの導入後、劇的に改善され、AFTERのような正しい情報が上位に表示されるようになった。
このように、ユーザーの求める情報がきちんと上位表示されるようになった点が、BERTによる変化といえる。
従来の自然言語処理技術では処理できない言葉のニュアンスや意味を、文脈から理解できるBERTのアップデートにより、Googleは検索ユーザーを満足させられる検索結果を表示できるようになった。
2章で紹介した技術の導入によるパフォーマンスの向上で、検索結果の表示形式も大きく変化した。
セマンティック検索による4つの表示形式を、具体的な例を用いて解説する。
・アンサーボックス
・ナレッジグラフ
・リッチスニペット
・類義語の強調
これを読めば、普段何気なく見ていた検索表示も、ユーザーの意図に寄り添うべく、セマンティック検索によってアップデートしていることに気づくだろう。
アンサーボックスとは、検索キーワードに対する答えを検索結果の上部に表示する形式のこと。
具体的にはGoogleで検索をしたときに、検索結果に並んだWebページとは別に、検索結果の上部に枠が設けられ、「ユーザーの質問(クエリ)に対する答えを表示する機能」を指す。
たとえば、「アンサーボックスとは」で検索した場合、下記の赤枠で囲んだ表示がこれに当たる。
アンサーボックスは、ユーザーが検索キーワードに対する答えを素早く見つけることができるというメリットがある。
ナレッジグラフとは、特定の人物・場所・物事などを検索したときに表示される詳細情報のこと。
具体的には、Googleが検索キーワードからユーザーの得たい情報を推測し、検索キーワードに関連する情報をまとめて表示してくれる機能を指す。
情報は、PCでは画面右側に、スマートフォンであれば検索結果の上部に表示される。
たとえば、PCで「サスペンス映画」を検索した場合、下記の赤枠で囲んだ表示がこれに当たる。
ナレッジグラフの情報はWeb上のデータを分析して自動生成されていて、キーワードによって…人物であればプロフィール、場所であれば住所や地図、ストリートビュー…といったように、表示される情報が異なる。
ナレッジグラフが表示されることにより、ユーザーはキーワードに関するさまざまな情報を簡単に手に入れることができる。
リッチスニペットとは、通常の検索結果よりも視覚的、操作的な機能が追加された検索結果のこと。
具体的には、検索結果に表示されるメタ情報(タイトル、URL、ディスクリプション)に、画像やレビュー評価などの詳細情報が追加された表示形式を指す。
リッチスニペットにはいくつか種類があるので、主なものを紹介しよう。
リッチスニペットとして、ページのトピックとなる画像が表示される。
たとえば、「目玉焼き トースト」で検索した場合の、下記の赤枠で囲った画像がそうだ。
画像は検索結果の中でも特に目を惹くので積極的に活用すると良い。
リッチスニペットとして、該当するページがテーマとするものがユーザーからどれだけ評価されているのか、また何人の人のレビューを集めているのかが表示される。
たとえば、「iPhone SE」で検索したとき、評価やレビューが以下のように表示される。
価格のリッチスニペットは商品情報の1つとして、レビューとともに表示されていることが多い。
リッチスニペットでは、ページ内に記載したイベントのうちいくつかについて、日時やイベント名、場所などが表示される。
下記は、「花火 イベント」で検索した時の例だ。
こうしたリッチスニペットの表示によって、ユーザーは自分が見るべきページをいち早く判断することができる。
サイト側に立って言うと、リッチスニペットを適切に使うことで、検索結果上でユーザーにクリックしてもらいやすくなる。
セマンティック検索での類義語の強調とは、検索キーワードと似た意味の単語が太字で表示される形式のこと。
キーワードからユーザーの検索意図を分析し、類似性が高い単語も含めて検索、それが提示されるのだ。
たとえば、「東京 飲み屋」で検索した際の検索結果では、以下のように「飲み屋」と似ている「居酒屋」も太字で表示される。
セマンティック検索は、このように、ユーザーが求めている情報をキーワード以上に深く読み取って提供することを可能にしている。
セマンティック検索によって、ユーザーの検索意図に沿った検索結果が提供されるようになったことは理解してもらえたと思う。
一方、サイト運営者側に立ってセマンティック検索がSEOに及ぼす影響を考えると、その導入で、検索キーワードだけを重視したSEOが通用しなくなりつつあるということがいえる。
これまでは、「検索キーワードの同義語・類義語を狙う」という施策が一般的だった。
例を挙げると、「コンピュータ」という検索キーワードではライバルが多いところを、「パソコン」「PC」というキーワードを利用することで他のサイトが取りこぼしたニーズを拾う、といったものだ。
しかし、セマンティック検索では検索エンジンが関連するキーワードも含めて順位付けを行うため、そのような小手先のテクニックは通用しない。
また、これまではSEO対策の基本として、検索キーワードを記事内に散りばめる方法が知られていた。しかしながら、セマンティック検索の導入によって、検索キーワードをただ増やすことにあまり意味がなくなった。
検索エンジンはユーザーの意図とマッチしたコンテンツを探し出して検索上位に表示するからだ。
Webページの内容そのものが検索順位に影響を与える時代になった今、キーワードへのこだわりよりも、ユーザーの意図に応える『質の高いコンテンツ』を用意することが何より重要になる。
セマンティック検索に対応していくために、キーワードから想定されるユーザーが欲している情報をしっかり捉え、これまで以上に質の高い内容を作り込んでいこう。
最後に、セマンティック検索に対応する具体的なSEO対策を伝授する。
・キーワードに固執し過ぎず「ニーズ」を意識したコンテンツを作成する
・構造化データマークアップを適切に行う
これらのポイントを押さえて、セマンティック検索にしっかり対応していってほしい。
セマンティック検索に対応するSEO対策の1つめは、キーワードに拘りすぎないで、ユーザーの検索ニーズに応えるコンテンツを作成することだ。
先述のように、セマンティック検索では、キーワードを散りばめて検索順位を上げるといった小手先のテクニックは通用しない。
ユーザーの意図に応えた内容であるかどうかを、検索エンジンが判断できるようになったからだ。
たとえば、「猫 ご飯食べない おやつは食べる」という検索キーワードで考えてみよう。
セマンティック検索導入以前であれば、キーワードにある「猫」や「おやつ」もしくはそれの同義語・類義語を散りばめたコンテンツが乱立したことだろう。
猫のおやつを紹介するようなコンテンツが上位にきたかもしれない。
だが現在、このキーワードでの検索上位記事は違う。
下記の表示を見てもらえばわかるように、検索エンジンはキーワードから「猫の健康が心配」「病気なのかどうか知りたい」といった検索意図を判断し、「おやつ」というキーワードに固執せず、食欲不振の理由や対応策、症状から考えられる猫の病気といった、ユーザーのニーズに応えるコンテンツを評価している。
このように、セマンティック検索に対応していくには、ユーザーの検索意図を理解し、ニーズを満たし、悩みを解決できるコンテンツを作ることが何より重要になる。
構造化データマークアップを適切に行うことで、「3-2.ナレッジグラフ」や「3-3.リッチスニペット」でコンテンツの正確な情報を提供することができる。
構造化データとは、文章表記システム・HTML上で作成されたコンテンツがGoogleの検索エンジンに理解しやすい形になるように文章構成を加工すること。
構造化データマークアップとは、構造化データを使ってコンピュータに文章構成の指示を出していくことで、検索エンジンの作業を簡略化させる効果がある。
たとえば… Kというデパートが関西にあるとする。 この、ひとつの情報について、人間は、「Kデパートは関西にある」「関西にKデパートがある」「Kデパートの拠点は関西だ」などと様々な言い方をし、どの言い方をしても情報を同一のものとして捉えることができる。 しかし、検索エンジンはこれらを文字列としか認識しないので、同じものだと理解することができない。 セマンティックWeb(※)の考え方を取り入れ、構造化データマークアップを施すことではじめて、全てが同じ意味を表していることが理解できるようになるのだ。 (※)セマンティックWeb:「Webの意味を取り扱えるツールを増やすことで、Web全体を便利にしていく」という理念。これを実現させるために開発されたのが『セマンティック検索』だ。 |
このように、構造化データマークアップを適切に行うことで、検索エンジンにコンテンツの正しい情報内容が素早く理解される。
ただ、リッチスニペットやナレッジグラフでコンテンツの正確な情報を提供するためには、テキストの各要素にメタ要素(データに対して付加情報を記したデータ)のタグ付けの作業が必要になる。
このメタ要素のタグ付けに関しては、下記の記事を参考にしてほしい。
「メタ要素のタグ付け」関連記事 |
構造化データマークアップによって、すぐにSEO効果は出ないかもしれないが、長期的にみると検索順位向上が期待できる。
長期的なサイト運用を考えるなら、セマンティック検索に対応するSEO対策として積極的に取り入れるべきだろう。
「構造化データ」関連記事 |
セマンティック検索の導入は、ユーザーに2つの大きな効果をもたらした。
・ユーザーは求める情報を効率よく探せる
・ユーザーにとって有益なコンテンツが増える
これによって、検索キーワードに頼ったSEOが通用しなくなり、サイト運営者側には、これまで以上に質の高いコンテンツの作成が求められる。
Googleは公式には、セマンティック検索がSEOに影響があるという発表はしていない。
しかし本文で示したように、セマンティック検索の導入は、上位への表示や検索結果での表示方法に、少なからず変化をもたらしている。
今後はさらに、的確なSEO戦略が重要になるだろう。
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