こんにちは、バズ部の石井です。
「ChatGPTに聞いたら、ちゃんとうちの会社が出てきました」。
最近はAI対策もそろそろ考えなきゃなと考える方も増えてきて、こういった報告がみなさんの社内でも出てきているかもしれません。
今日は、一つの事例を引用しながら解説します。ちょっと怖い内容です。
目次
無意味なファイルがAI対策のスタンダードになりかけた
海外のあるSEOの専門家が、cats.txt という規格を作りました。サイトの直下に置いて「うちのオフィスの猫」を正式に宣言するためのファイルです。猫の名前、肩書き、品種、そして10点満点のなつき度。これはもちろんジョークで、実在しない猫です。
ここからが肝心なところ。彼はこれをきちんとした仕様書を書いてブログで公開し、SNSで「AI検索の時代に必要な新しい標準です。導入すべきです」と発表しました。llms.txt に並ぶもうひとつの標準といった感じで。
SEOに詳しい人たちは当然これがジョークだとわかっていました。わかったうえでおもしろがり、自分のサイトにもcats.txt ファイルを置き、記事を書き、話題にしました。もっと凄いcats.txtを作成する人まで現れました。その結果、ネット上に「cats.txt という標準がある」と真面目な調子で書かれた文章が、大量に生まれます。
ここからが怖い話です。
cats.txt をAIクローラーが取りに来ました。Googleがインデックスしました。AIは、そのファイルにしか存在しない猫について自信たっぷりに説明し、さらにChatGPTは「cats.txt は効果があります」と推奨したんです。恐ろしいですね。
しばらくして、あれはジョークだという話が広まります。すると今度は「あれはジョークだ」と書く文章が増えました。すると、AIの答えが変わりました。「これはSEOの専門家が作ったジョーク規格です」と。
なぜこんな実験が必要だったのか
いま、AI対策としてよく提案される施策に llms.txt がありますよね。サイトの直下に置く短いテキストファイルで、「このサイトはこういう構成で、ここに何が書いてあります」とAIに説明するものです。
AI対策の施策内容に項目として入り、AI対策の見積り書にも載っているかもしれません。
では、llms.txt 施策を行う根拠は何か。だいたいこの4つです。
- AIのクローラーが、そのファイルを取りに来た
- Googleがインデックスした
- そのファイルにしか書かれていない情報を、AIが答えとして返した
- ChatGPT自身が「llms.txt は効果があります」と推奨する
報告書にもよく書かれているはず。AI対策を依頼した側は、この施策が効いていると受け取ります。
海外のSEO専門家が疑ったのはここでした。これらは、本当に効果を発揮しているのか。もし中身が完全に無意味なファイルでも、これらのことが起こるなら無意味なんじゃないか。だから無意味なcats.txt で試したのです。
結果は先ほど紹介したとおりです。
AIは多数派を見つけているだけ
猫のファイルで起きていたことを整理します。
人間はジョークだと分かっていました。わかったうえで書いた。ところがAIは、その文章の量を読んで「実在する標準施策だ」と判断した。人間の悪ノリがAIの誤認を作ったのです。
AIは猫のファイルそのものを評価していません。誰が何を言っていて、どれだけ書かれているかを見て、多数派の意見をさも正解かのように返しているだけです。だから世間の空気が変われば、答えも変わります。
そして llms.txt でも、まったく同じことが起きています。支援会社が記事や投稿で「llms.txt は効きます」と書く。AIがそれを読む。AIはこの施策は「効きます」とユーザーに答える。実態がなくとも、嘘を平気でつきます。
明確な「成果が出ている」判断基準を持つ
念のため書いておくと、llms.txt が今後も無意味だという話ではありません。実験をした本人もそこまでは言っていません。問題は、架空の猫のファイルでも通るほどその証拠の水準が低いことです。
回避策の一つは、判断基準を変えることです。
AIクローラーがきたか、インデックスされたか、AIに推薦されるか、、、
これらは正直通過点の一つでしかありません。
しかも全部、AIの中で起きた出来事です。自社のマーケティング成果は1ミリも動いていません。
判断基準は、自社の成果が変化したかどうかに置くべきです。問い合わせが増えたのか。受注が増えたのか。最終的に売上が上がったのか。そもそもマーケティング施策の目指すところは売上をあげることですよね。(それだけ価値提供したということ)
とくに、最近私たちバズ部では一周回って、問い合わせなどのCV数をかなり重視する方向に傾いています。PVやSEOランクなどではなく、CV数や商談率、売上への貢献度にフォーカスを強める。
私たちの基準は「問い合わせが増えたか」だけです
私たちはAI対策に関して、引用ではなく、問い合わせと成約数が動いたかどうかを主に見ています。
AIに引用されても、その先で起きることは意外と地味です。海外の調査では、AIの引用の65%はサイトの深い階層のコンテンツを指しているのに、そこから流れてくるユーザーの58.8%はトップページに着地しています。引用は起きている。でも、たどり着いた先に受け皿がない。そこで話が終わります。
出典:Similarweb「The 2026 Generative AI Landscape Report」
引用は入口の話で、問い合わせは出口の話です。入口だけ増やしても、出口が「なんとなく良さそうな会社」のままなら数字は動きません。逆に出口が整っている会社は、いまの流入のままでも結果が変わります。
だから私たちは順番を変えません。ターゲットを絞り、強みを他社が書けない解像度まで言語化し、その相手のためのページを作り、お客様事例を置く。集客はその後です。文字に書くと当たり前のことをしているように見えますが、驚くほどここができていない企業が多いです。
さいごに
猫のファイルは、AIの未熟さを笑った話ではないと思っています。私たちも賢くならなければ、AIに騙されてしまう。AI対策もテクニカルな話、甘い話に騙されないように、やるべき施策、やるべき方向に向けて施策を考えAIを使える場所で使っていかなければなりません。
AI検索で選ばれる状態に、90日で到達します
「Webからの問い合わせが減った」「AI対策したいけれど何から始めればいいか分からない」——AI対策は、個別施策を積み上げても答えにたどり着きません。必要なのは、AIに選ばれる構造にサイト全体を作り変えることです。
バズ部の「AI対策90日プログラム」は、ターゲットの特定・強みの言語化・サイト構造の再設計・AIクローラー対応まで、全18施策を90日で一括実行します。



