営業が強い会社ほどWebサイトを軽く見て損をしている|海外レポート【バズ部社長AI活用コラム】

「うちは商談に持ち込めれば強い」。多くの経営者からこの言葉を聞きます。私もそう思います。実際に会って話せば伝わる会社はたくさんある。ところが海外の買い手調査を見ていくと、その「商談に持ち込む」までの道が、この1〜2年で静かに作り変えられていました。

こんにちは、バズ部の石井です。

結論、買い手は営業に会う前に候補を絞り終えていて、営業の仕事は「説明」から「検証」に変わりつつあると私は確信しています。今回はGartnerとEdelmanが2025年に発表した買い手調査を手がかりに、この変化が「営業では強い会社」に何をもたらすのかを考えます。


買い手は営業に会う前にある程度検討を済ませている

Gartnerが2025年8月から9月にかけてBtoBの買い手645人に行った調査があります。直近の購買で使った情報源は平均7つ。45%が生成AIを使い、その用途は主にベンダーと製品の情報収集でした。

もっと目を引いたのは次の数字です。67%が営業担当抜きの購買を好み、70%が完全にデジタルで自己完結する購買体験を好むと答えています。

出典:Gartner Survey Finds 69% of B2B Buyers Turn to Sales Reps to Validate AI-Generated Insights(Gartner、2026年5月20日)

つまり買い手は営業に会う前に、AIとWebで調べ、比べ、候補を絞ることを済ませている。営業はその後に呼ばれます。

これは日本でも起きているはずです。問い合わせの一報が来た時点で、相手はすでに競合と比較を終えている。営業の現場で「最近の見込み客は妙に詳しい」と感じているなら、それがこの数字の正体だと思います。


それでも営業が呼ばれるのはなぜか

ここで終わると「営業はもう要らない」という話に見えます。同じ調査は逆のことも言っています。

69%の買い手は、AIが出した情報を営業担当に確認して検証したいと答えました。理由も出ています。51%はAIから誤った情報を受け取る可能性を懸念し、49%は営業から誤った情報を受け取る可能性を懸念している。ほぼ同じ割合です。

出典:Gartner Survey Finds 69% of B2B Buyers Turn to Sales Reps to Validate AI-Generated Insights(Gartner、2026年5月20日)

買い手はAIを信じきっていないし、営業も信じきっていない。だからAIで仮説を作り、営業でその仮説を確かめる。Gartnerはこれを、営業の役割が「情報の一次提供者」から「検証と確信の提供者」へ移ったと表現しています。

私がこの調査で一番重要だと思う点はここです。営業に会いに来る買い手は、もう白紙ではありません。AIとWebで作った仮説を持って来る。営業の強さはその仮説を裏づけるときに発揮される。逆に言えば、仮説の中に自社が入っていなければ、営業が強くても出番が回ってきません。


「商談なら勝てる」会社ほど、なぜ候補に残れないのか

私の周りには、商談では言い切れるのにサイトでは言い切れない会社がたくさんあります。営業の場では「うちは創業3年以内の製造業に絞っています」と言えるのに、サイトには「お客様に寄り添います」としか書いていない。

この構造は、いまの買い手の動き方と最悪の組み合わせです。買い手が仮説を作る材料はWebとAIにある言葉であって、営業の言葉ではない。営業で伝わっている強みがWebに書かれていなければ、買い手の仮説に入れない。仮説に入れなければ営業に呼ばれない。営業に呼ばれなければ、強みを伝える場がそもそも来ない。

Edelmanが2025年に約2,000人のBtoB意思決定者を対象にした調査には、もうひとつ見落とせない数字があります。BtoBの商談の40%以上が、買い手の社内で意見がまとまらずに停滞している。しかも止めているのは製品を使う担当者ではなく、財務や法務や調達など、営業が一度も会わない人たちだと報告されています。

出典:The Rise of the Hidden Buyer: Rethinking B2B Influence Beyond the Obvious(Edelman)
出典:2025 Edelman-LinkedIn B2B Thought Leadership Impact Report(PDF)

営業の言葉は目の前の担当者にしか届きません。その担当者が社内に持ち帰って回覧するのは、営業の記憶ではなく、サイトのページや資料です。営業がどれだけ言い切っても、社内で回るのはWebにある言葉だけ。ここでも「サイトで言い切れているか」が効いてきます。

同じ調査で、最終決定の場面で買い手が重視する要素の1位は「自社固有の課題やニーズを理解している証拠」で85%でした。業界の理解や専門家としての認知ではなく、自社のことを分かっているかどうか。営業が得意なのはまさにここで、そしてWebが最も苦手なのもここです。

出典:Marketers Need to Gear Content to Hidden B2B Buyers: Edelman/LinkedIn(Demand Gen Report、2025年7月)


さいごに:AIは営業を減らさない。営業に会う権利を先に決める

海外の調査を並べて見えてきたのは、AIが営業を不要にする未来ではありませんでした。AIは営業の手前に選別の関門を置いた。そして関門を通れるかどうかを、Webに書いてある言葉で決めるようになった。

ここに私は希望も見ています。営業の強さそのものは、これまで以上に価値を持つからです。買い手は最後に人に確かめたがっている。ただし条件がひとつある。営業で語っている強みを、営業より先にWebに置いておくこと。

私たちがこの数年やってきたのは、その翻訳作業です。営業がなぜ勝てているのかを言葉にし、その言葉が届く顧客グループを設計し、その顧客グループが最初に見るサービスごとの詳細ページに落とし込む。表面的なコピーを整える仕事ではなく、営業の言い切りをそのままWebで言い切れる状態にする仕事です。

本稿で触れた「営業で伝わっている強みをWebでも伝わる形に翻訳する」ことを、90日で実装するプログラムも提供しています。よろしければご覧ください。

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