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代表1人で問い合わせ数0件→200件獲得した法律事務所に学ぶ、SEO/コンテンツマーケティング4つの極意
「最近はどこの法律事務所もSEO/コンテンツマーケティングをやっている。今更成功させるやり方はあるのか?」
今や、競合が多すぎてコンテンツマーケティングに取り組みたいが躊躇してしまうーー法律事務所がそう悩むのも無理はない。
法律領域のコンテンツマーケティングは競争が激しく、むやみに参入しても負け戦になることが珍しくないからだ。
しかしこの厳しい状況下で、私たちは次の法律事務所を支援し、大きな成果を出した実績をもつ。
私たちがこのような弁護士事務所様の支援を多く経験する中で「特にこの点は、法律事務所が成果を出す上で重要だ」と思ったポイントがある。そのポイントが下記の4つだ。
本記事では、これら4つのポイントについて、意義と方法を具体的に解説する。どの施策も今日から着手でき、かつ高い再現性をもって効果が見込めるものばかりである。
一つひとつ着実に取り入れれば、あなたの事務所は「ぜひここにお願いしたい」という依頼者で溢れるはずだ。ぜひ最後まで読んでほしい。
目次
1. 他の法律事務所が扱っていない検索vol.50以下のキーワードを選ぼう
1つめのポイントは、他の法律事務所が扱っていない検索ボリューム50以下のキーワードキーワードを選ぶことである。
なぜなら、検索ボリュームが大きい王道キーワードでコンテンツを作っても、これから勝つのはほぼ不可能だからだ。
法律領域のSEO/コンテンツマーケティングには、すでに多くの事務所が参入している。主要なキーワードは書き尽くされており、検索結果の上位は強豪事務所の寡占状態だ。
たとえば以下は、[離婚 慰謝料]のキーワードとその検索ボリュームである。
検索ボリューム9,900[離婚 慰謝料]の検索結果は以下のとおりで、1位の朝日新聞社が運営する情報サイトに続き、大手法律事務所による完成度の高いコンテンツが上位に並んでいる。
出典:Google
検索ボリュームを880まで下げた[モラハラ 離婚 慰謝料]の検索結果も、同じ構造だ。後発メディアがこれらのコンテンツを押し退けて上位表示を獲得するのは、極めて困難である。
出典:Google
一方、検索ボリューム50以下のキーワードでは、検索結果の様相が異なる。以下は、[バツイチ子持ち 離婚 慰謝料]の検索結果だ。
出典:Google
1位と3位に大手法律事務所が存在するものの、記事には「バツイチ」の要素がない。これは、ユーザーのニーズに完全に合致するコンテンツがまだ存在しないため、近いものが選ばれているということだ。
また、2位は相談サイトで、ユーザーが知りたい情報を体系的に解説するコンテンツではない。
つまり、ここはまだ他の事務所が本気で取りに来ていない領域であり、こうしたキーワードこそ、案件獲得の突破口となるのである。
競合が少ない場所に、有益で深いコンテンツを投下すれば、上位表示されて見込み客に届くチャンスは大いにある。自社の知見が活きるキーワードであることも重要だが、それについては後述しよう。
このように「未開拓の検索ボリューム小キーワード」は、ドメインの強さで押し切れる超大手事務所でない限り、必ずおさえるべき戦略なのである。
自社にとってどのキーワードがベストかという具体的な選定方法については、以下の記事で解説している。ぜひ一度ご参照いただきたい。
【図解】キーワード選定の正しいやり方─SEOの最初に読むべき記事
検索ボリュームが小さいキーワードは成果を生みにくいのではないか、という心配は無用だ。その理由については、以下の記事で解説している。
検索ボリュームがゼロのキーワードなのに、あなたのサイトのCVを倍増させる可能性が!
2.「弁護士が持つプロの知見」を伝えるため、コンテンツ制作は内製化しよう
2つめのポイントは、「弁護士が持つプロの知見」を伝えるため、コンテンツ制作は内製化することである。
法律事務所のSEO/コンテンツマーケティングでは、ユーザーが弁護士の専門性を認識し、「ここなら自分の問題を解決してくれそうだ」と感じられるコンテンツを作らなければならないからだ。
そのためには、『法律上は◯◯です』だけでなく、弁護士の経験を踏まえた見解を示さなければならない。しかし、Webの一般論を元に制作を行う外注では、それが極めて難しいのである。
それだけではない。外注先の多くは法律の知識が不十分なため、誤った情報を発信してしまうリスクもある。実際に、外注した記事が使えず、全て書き直す羽目になったという法律事務所もあるほどだ。
内製化しないリスクについて、詳しく解説していこう。
2-1. 「法律上は◯◯です」だけで、弁護士の経験を踏まえた見解を示せない
外注コンテンツは、法律の解説だけに終始してしまい、弁護士の経験を踏まえた見解を示せないことがほとんどだ。
法律を現場で扱ってきた経験がないライターにできるのは、「法律上は〇〇です」と事実を正確に伝えることぐらいなのである。
しかし、ユーザーが本当に知りたいのはそこではない。「で? それって私の場合どうなるの?」に答える情報だ。
だからこそ、「私の経験ではこう。だから、あなたはこうすべき」まで示せると、ユーザーの疑問はスッと解消され、「これだ」と腹落ちする。
たとえば、以下の2つの記事を想像してみよう。
A.「法律では『親権は父母の協議で定める』と決められています」というだけの記事。
B.「法律では『親権は父母の協議で定める』となっているが、私の経験上、子どもが乳幼児の場合は母親に親権が認められるケースが多い。そのため、面会交流の条件をどうするか先に話し合っておくべきです」とまで書いてある記事。
後者の方が圧倒的に頼りになるのは、言うまでもないだろう。
ここまで言えるのは、法律事務所で実際に案件と向き合っている人だけだ。こうしたコンテンツが、似通った競合の中で光を放ち、ユーザーに「ここなら任せられる」と思わせる。
しかもいまは、法律の要約や一般論的な説明なら、AIでできる時代。プロとしての明快で有益な見解が込められたコンテンツコンテンツこそが、選ばれる理由になる。
なお、説得力がある主張をするためには、自社の知見が活きる、自信をもって言い切れるキーワードを選ぶことが前提になる。これは、1つめのポイントとセットで考えよう。
2-2. 法律の知識が不十分なため、誤った情報を発信してしまうリスクがある
法律の知識が不十分な外注業者に任せると、誤った情報を発信してしまうリスクがある。
法律というものは、難解で複雑だ。素人がその内容を正確に理解し、しかも人に伝えるというのは、かなり難易度が高い。そうして誤った情報を発信してしまうと、事務所の信頼は一瞬で失われる。
たとえば、離婚や相続の解説記事に、法改正前の古い情報や誤った情報を載せてしまったらどうだろう。ユーザーがそれを信じて行動し、不利な結果になれば、発信した事務所に不信感を抱くはずだ。たとえ記事を修正しても、「また間違っているかも」「法律事務所なのに間違えているんだけど…」という疑念が残り続ける。
依頼者にとって弁護士は、安心と安全の象徴だ。その信頼を失えば、弁護士にとっては致命傷となる。だからこそ、コンテンツ制作は内製化し、法律のプロが正確な情報を発信することが欠かせない。
3.「安心して任せられる弁護士」であることを具体的なプロフィールで示そう
3つめのポイントは、ユーザーが安心して相談できるように、担当弁護士のプロフィールを具体的に掲載することである。
法律問題は、ユーザーにとって非常に重要な課題であり、ときには人生を左右する局面にもなり得る。
だからこそ、ユーザーの最大の関心事は「この弁護士は本当に解決してくれるのか?」という一点に尽きる。この不安を解消しない限り、問い合わせは生まれないのだ。
そのため、次のような内容を弁護士プロフィールとして明記しよう。こうした情報があれば、ユーザーは担当弁護士の実力や人柄をイメージできる。
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【弁護士プロフィールの例】
たとえばこのように、弁護士としてどの程度の経験があり、どんな強みをもっているのか、それをもとにしてどのような案件を解決してきたのかを示すとよい。
使命感やモットーなど、依頼者にどう寄り添うのかという本人の言葉も掲載しよう。
そこからユーザーの「この弁護士なら大丈夫かもしれない」という安心感が育ち、問い合わせへと踏み出せるようになるのである。
弁護士紹介は単なる“顔出し”ではない。ユーザーに対して「私たちがあなたを助ける」と伝える、重要なタッチポイントだ。具体的な情報で、安心と信頼を届けよう。
以下の記事では、事務所の雰囲気や人柄が伝わるコンテンツについても解説している。ぜひご参照いただきたい。
【士業事務所のSEO/コンテンツマーケティング】問い合わせを増やす7つの行動提案
4. 解決事例をHPに掲載する仕組みを作ろう
4つめのポイントは、解決事例をホームページに掲載する仕組みを作ることである。
訪れたユーザーに、自分の状況にぴったりと当てはまる事例を見つけてもらうためだ。それができたとき、「この事務所なら解決してくれるかもしれない」という期待が生まれ、問い合わせにつながりやすくなる。
だからこそ、豊富な事例をストックし続けることが不可欠になる。それをスムーズに進めるために、仕組み化が効果的だというわけだ。
依頼者に打診してインタビューやアンケートを行い、フォーマットにまとめるというフローを整え、解決事例を着実に増やしていこう。
解決事例の要素として最低限示すべき内容は、以下のとおりだ。
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たとえば交通事故案件なら、依頼者の年齢や後遺障害等級、自営業か否かといった状況を明記するとよい。また、被害者か加害者か、同じ示談交渉でも過失割合によって解決までの進め方が変わるため、相談内容を具体的に書くことも重要だ。
さらに可能であれば、増額できた金額や解決までの期間といった成果、対応上苦労した点やそれに対する工夫なども紹介すると、リアルさと説得力が増す。以下はその一例だ。
事例117:賠償額約140万円→賠償額約1400万円へ。後遺障害12級認定獲得により約10倍獲得できた事例 【Aさんの詳細】
Aさんは約7か月にわたって継続的に治療を受けたものの、左肘に痛みが残った状態で症状固定になってしまいました。 しかし、後遺障害診断書には「料理中、ものを取るときにまっすぐ伸ばせない、ちょっと痛い」などと限定的な記載に。結果、事前認定の手続きでは非該当に。 そこで、私たちは以下の2点を実施しました。
結果、異議申し立て後、12級13号認定の獲得に繋がり、賠償金も自賠責保険金を合わせて約1500万円と増額することができました。 |
最終的にはこれらをカテゴリー化して、ユーザーが検索しやすいようにすると、より効果的だ。交通事故であれば、「被害者」「加害者」はもちろんのこと、「受傷部位別」「後遺障害等級認定別」といったカテゴリーが考えられる。
こうした個別的なケースを積み重ねることで、事例は単なる成功報告ではなく、「同じ悩みをどう解決したか」が伝わるストーリーとなり、ユーザーの背中を押すのである。
5. バズ部の法律事務所SEO/コンテンツマーケティング成功事例
最後に、これら4つのポイントを見出す源泉となった法律事務所のSEO/コンテンツマーケティング成功事例の概要をご紹介しておこう。
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5-1. 2年で注力分野の問い合わせ数7倍(グラディアトル法律事務所)
出典:グラディアトル法律事務所
グラディアトル法律事務所は、ナイト系の領域やWebトラブルなど、比較的ニッチな領域で事業展開を行っている法律事務所だ。
バズ部サポートのもとSEO/コンテンツマーケティングに取り組んだ成果として、2年間で問い合わせの全体数が2~3倍、注力しているナイト系領域の問い合わせ数は7倍にまで増加した。
グラディアトル法律事務所の成功要因は、特定領域に強みをもって解決してきた経験を、コンテンツに必ず入れるようにしたことである。
取り組みを始めた当初は完全内製化が難しかったため、一部のコンテンツ制作をバズ部が行ったが、担当弁護士に実際の事例の詳細をヒアリングしながら進めた。
こうして、弁護士としての主張を込めたコンテンツを積み重ねたことで、大きな成果を上げた事例である。
グラディアトル法律事務所の事例について、詳細は以下の記事でご紹介している。
参考記事:事例/2年で注力領域の問い合わせ数を7倍以上に増やした法律事務所
5-2. 代表1人で問い合わせ数0件→200件に(リバティ・ベル法律事務所)
出典:リバティ・ベル法律事務所
リバティ・ベル法律事務所は、代表の籾山善臣弁護士がたった一人でコンテンツ制作を行った法律事務所だ。
「労働問題」「離婚・男女問題」「企業法務」にそれぞれ特化した、3つの法律情報オウンドメディアを運営している。
バズ部のサポートのもとSEO/コンテンツマーケティングに取り組んだ成果として、問い合わせ数がゼロから200件に増加した。しかもそのうちの多くは、「お願いするなら先生に決めていました」という確度が高い顧客だ。
リバティ・ベル法律事務所の成功要因は、勝ち目がある細かいキーワード選びにこだわってコンテンツを制作したことだ。
たとえば労働問題で検索ボリュームが大きいキーワードは、すでにコンテンツが出尽くしていたため、検索ボリューム30程度のキーワードを選定した。
実際に、検索ボリューム2万の記事よりも、30の記事の方が多くの問い合わせを生んでいる。
こうして、他の事務所が扱っていないキーワードを選んだことで、まったく成果が出ない状況を見事に打破した事例である。
リバティ・ベル法律事務所の事例について、詳細は以下の記事でご紹介している。
参考記事:お問合せ 0→200件/月。代表1人で成果を実現させた弁護士事務所の秘訣
5-3. 問い合わせが月4,400件以上(弁護士法人ベリーベスト法律事務所)
出典:ベリーベスト法律事務所
ベリーベスト法律事務所は、全国74拠点を展開し、400名以上の弁護士を抱える大手法律事務所だ。
バズ部のサポートのもとSEO/コンテンツマーケティングに取り組んだ成果として、広告費ゼロで月間4,400件以上の問い合わせを獲得している。しかも、案件につながる可能性が高い問い合わせが半数以上を占める。
ベリーベスト法律事務所の成功要因は、コンテンツ制作の体制を整備し、良質な記事をコンスタントに発信したことだ。1チーム4名×5チーム、週3本ペースで記事を内製している。
ベリーベスト法律事務所は大手なので、比較的検索ボリュームが大きいキーワードでも上位表示を狙える。この点を活かして、多様なテーマでコンテンツを制作し、網羅的にユーザーのニーズをカバーした。
こうして、組織的な内製によって品質を担保したコンテンツを広く露出し、圧倒的な成果を得た事例である。
ベリーベスト法律事務所の事例について、詳細は以下の記事でご紹介している。
参考記事:事例 / 問い合わせが月4,400件以上!自社メディアで驚異的なCV数を生み出した弁護士事務所
6.まとめ
本記事では、私たちが経験した「法律事務所のSEO/コンテンツマーケティング成功事例」から、実効性・再現性が高いと考えられる重要なポイントをお伝えした。
4つのポイントの内容は、以下のとおり。
- 他の法律事務所が扱っていない検索vol.50以下のキーワードを選ぼう
- 「弁護士が持つプロの知見」を伝えるため、コンテンツ制作は内製化しよう
- 「安心して任せられる弁護士」であることを具体的なプロフィールで示そう
- 解決事例をHPに掲載する仕組みを作ろう
法律事務所のSEO/コンテンツマーケティングは、すでにレッドオーシャンの様相を呈しているため、いかに戦略的に取り組むかが成否を分ける。
本記事でご紹介したポイントは、どの法律事務所でも実践できるものばかりだ。一つずつ取り入れ、あなたの事務所ならではの強みがにじむメディアを育ててほしい。そうすれば、「信頼されて選ばれる」という確かな手ごたえを感じるはずだ。