「記事作成が初めてで、具体的にどう書けばいいのかわからない」
このような悩みを抱えている方は、少なくない。
近年、企業のオウンドメディア運営が増えている。
その中で記事作成のスキルが求められるようになっているが、多くの方が、
「自分には、記事の構成や書き方に関する知識が不足している」
と感じているのが現状だ。
この記事では、記事作成の基本スキルをわかりやすく解説し、初心者でも取り組める方法を紹介する。
記事作成の方向性の定め方、リサーチの方法、読みやすい文章の書き方、校正のポイントなど、具体的なステップを解説していくので、参考にしてほしい。
この記事を読み終えると、効果的な記事を作成できるようになるだろう。執筆した記事が多くの人に読まれるようになり、売上にも貢献できるはずだ。
1. 記事作成において大切な前知識
記事作成では、着手前にしっかりインプットしておきたい前知識がある。以下を念頭に取り組んでほしい。
それぞれ見ていこう。
1-1. 「ユーザー中心主義」を貫く
ユーザー中心主義とは、読者のニーズを最優先に考える姿勢である。
この考え方は、記事作成において極めて重要だ。読者が何を求めているのかを常に考え、それに応える内容を提供する必要がある。
【具体的な取り組み例】
- 読者の興味・関心をリサーチし、それに基づいたテーマ性を持たせる。
- 読者が直面する問題を解決するための具体的な方法を提供する。
- 読者の反応を分析し、次回作成する記事の方向性を見極める。
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たとえば、健康に関する記事を書くとしよう。
単に「健康的な食生活が重要だ」と述べるのでは不十分だ。ユーザー中心主義を貫けていない。
健康的な食生活を実現するための具体的な食材やレシピ、注意点や実践のポイントまで、詳細に解説する。
そこまでして初めて、読者にとっての「価値」が生まれ、存在意義のある記事として成立する。
1-2. 記事を通じて提供する「価値」を常に考える
先ほど「価値」という言葉が出てきた。記事作成の目的を一言でいえば、読者に何らかの「価値」を提供することである。
その価値とは、情報提供だけでなく、解決策の提案や新しい視点の提供など、多岐にわたる。
価値提供のプロセスこそが、記事の質を高め、読者との信頼関係を築く鍵となる。
【価値提供の一例】
- 解決策の提案:読者が抱える問題を解決するための具体的な手段を提示する。
- 新しい視点の提供:既存の情報に対して新しい角度からの分析や解釈を加える。
- 購買判断の支援:製品やサービスの評価を行い、購買判断に役立つ情報を提供する。
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たとえば、新製品のレビュー記事で、単に製品の特徴を挙げるだけでは、価値を提供していない。
類似製品との比較、購入しないと見えない内部構造の画像、どういった人に向いているのか・向いていないのかなど、購買判断に役立つ情報を提供する。
「今、私が書いているこの記事が、生み出す価値は何か?」と、常に自問自答する姿勢が必要だ。
記事作成とは、価値創造のプロセスである。真摯に取り組みを続けると、この言葉が心底、肚に落ちる日が来る。
1-3. 「4つの基本スキル」を基礎とする
記事作成には、以下の4つの基本スキルが不可欠だ。
- 方向性を定めるスキル:記事の目的と方向性を明確に定める能力だ。読者に何を伝えたいのか、どういった視点でアプローチするのかを決定する。方向性が明確でないと、記事はぼやけてしまい、読者にとって価値のないものとなる恐れがある。
- リサーチするスキル:記事の主題に関連する情報を集め、分析する能力だ。信頼性の高い情報源からのデータ収集や、既存の研究のレビューなどが含まれる。正確なリサーチがなされないと、誤った情報を提供してしまうリスクがある。
- 書くスキル:情報を効果的に伝えるための文章作成能力だ。読者に対してわかりやすく、興味を引く内容を提供するためのスキルである。書くスキルが不足すると、価値のある情報であっても、読者に伝わらないことがある。
- 校正するスキル:記事の誤字脱字のチェックや、文法、構成の確認を行う能力だ。校正を怠ると、読者に対して不信感を抱かせる危険がある。
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方向性を定め、リサーチし、書き、校正する。この一連の流れが、記事の質を高め、読者へ価値を提供する基礎となる。
プロフェッショナルな記事作成には、これらのスキルを磨き、バランス良く組み合わせることが不可欠だ。
以下では、上記の各スキルをひとつずつ解説していく。
2. 記事作成の基本スキル(1)方向性を定める
記事作成の初めのステップである「方向性を定めるスキル」は、記事の土台を作るために重要だ。
このスキルが不足すると、記事全体の一貫性が欠け、読者に混乱をもたらす可能性がある。
この章では、方向性を定める実践手順を紹介するので、身につけてほしい。
2-1. トピックの選定
まず、どのようなテーマで記事を書くのか、トピック(題目)を選定する必要がある。
マーケティング施策の一環として運営されているオウンドメディアなら、「読者の関心を引きつけ、かつ、ビジネス成果の獲得につながるトピック」を選ばねばならない。
ポイントを挙げてみよう。
【トピック選定のポイント】
- 関心の一致:ターゲットとなる読者層の関心を把握し、それに合致したテーマを選ぶ。読者の興味や関心に応じた記事には需要が生まれる。
- トレンド:業界のトレンドを分析し、時流に合った話題を提供する。タイムリーな記事は、SNSなどでの拡散も狙いやすい。
- 差別化:競合他社と差別化できる、ユニークな視点を持つ。他とは違う視点やアプローチは、読者に新しい発見を提供し、印象に残る記事を作り出す。
- 専門性:専門性を高めるため、自社の強みや専門分野に関連するテーマ性を持つ。専門的な内容は、信頼性を高め、読者に深い洞察を提供する。
- コンセプトとの整合:メディアコンセプトと連動させ、戦略に沿った内容を展開する。全体の戦略と連携させることで、一貫性を保ち、ブランドの強化に寄与する。
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たとえば、旅行業のオウンドメディアであれば、読者の旅行先への関心や季節のトレンド、競合との差別化を図る視点、旅行業界の専門的な知識、メディアのコンセプトに基づいた内容などを考慮する。
2-2. 検索キーワードの選定
紙媒体の記事作成とWeb媒体の記事作成で大きく異なるのが、この「検索キーワード」を想定するか否かだ。
Webサイトで集客する場合、検索エンジンからの流入がカギとなる。
検索エンジンの攻略(つまりSEO)ができていなければ、優良な記事を書いても、ビジネス成果が出にくい。
検索キーワードの選定は、記事の効果を最大化する重要なプロセスということだ。
「どういった検索キーワードで、検索エンジンの上位表示を目指すか?」を、最初に定める必要がある。
【キーワード選定のポイント】
- ターゲット読者層の分析:ターゲット読者層の検索行動を分析し、実際に検索されるキーワードを選ぶ。
- 競合サイトの流入ワード:競合サイトの流入キーワードを分析し、洞察を得る。
- 検索結果ページでの競合性:検索結果ページでの競合性を分析し、上位表示を狙える難易度のキーワードを選ぶ。
- 検索ボリューム:検索上位を獲得したときに、期待する流入数を得られるキーワードを選ぶ。
- リスティング広告の成果:リスティング広告ですでに高成果獲得が検証できているキーワードを選ぶ。
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旅行業のオウンドメディアで考えてみよう。
ターゲットとなる読者層は、[春の旅行][格安ツアー][カニ 食べ放題]などのキーワードで検索していることを発見するかもしれない。
あるいは、競合サイトの流入キーワードを調査すると、[近くの温泉][日帰り 入浴]など、想定していなかったキーワードも見つかるだろう。
できるだけ多くの候補キーワードを洗い出してリストを作ったら、それぞれの競合性や検索ボリュームを調べて、最適なキーワードを選定していく。
詳しいやり方は、以下の記事で解説している。実践の前に、目を通しておこう。
【キーワード選定の必読記事】
2-3. 検索ユーザーの理解
検索キーワードの選定ができたら、その検索キーワードで検索するユーザーのことを深く理解しよう。
ユーザーの心理や行動、現状の課題、ニーズに焦点を当てる。
【検索ユーザーの理解のポイント】
- 検索意図:選定したキーワードで検索するユーザーの検索意図を明確にする。
- 求めている情報:検索ユーザーがどのような情報を求めているのかを深堀りする。
- ニーズ:顕在的および潜在的に抱えているニーズを理解する。
- ゴール:ユーザーが最終的に何を成し遂げたいのか、そのゴールを理解する。
- 幸せになるための情報:検索ユーザーが幸せになるためには、どのような情報があればよいのか想像する。
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上記を深く理解するためには、以下の情報を調べよう。
【検索ユーザーを理解する手がかりとなる情報】
- 関連キーワード:検索キーワードのサジェストワード、他のキーワード、他の人はこちらも質問などを確認する。
- 上位ページ:現在、検索結果の上位にランクインされているURLのコンテンツから逆算して検索ユーザーを想像する。
- Q&AサイトやSNS:Q&AサイトやSNSでキーワードを検索し、その会話を確認する。
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上記の手がかりをもとに、検索ユーザーがどのような人物なのか浮かんできたら、「ペルソナ」として描いてみるとよい。
たとえば[春の旅行]という検索キーワードで考えてみよう。
【ペルソナの例】
《ペルソナ》 子育てが一段落し、夫婦での旅行を楽しんでいる60代の女性。1泊2日程度の春の旅行を計画したい。 《現状》 - 子どもたちが独立し、夫婦二人の時間が増えた。これまで子育てに専念していたため、夫婦だけの旅行を積極的に楽しんでいる。もうすぐ春になるので、春の訪れを感じる場所へ行きたい。
- 以前の旅行で服装の失敗や交通手段の選び方で失敗した経験がある。服装に関しては季節の変わり目で寒暖差に対応できず、交通手段では料金が高くついたり時間がかかったりした。次回の旅行は失敗しないように計画したい。
- 夫がグルメ好きなので、旅行先で春の味覚を楽しみたいと考えている。自分は絶景に興味があるが、混雑しすぎるところには行きたくない。地元で愛される隠れた桜の名所や、春限定の地元の美味しいグルメなど、夫婦で楽しめる旅行を考えるために、[春の旅行]と検索した。
《顕在ニーズ》 春の旅行について情報収集したい。 《潜在ニーズ》 夫婦で心豊かに心地よく過ごせる、楽しい春の旅行を望んでいる。 《最高の結果》 春の絶景スポットで感激の時間を過ごし、春の味覚を楽しむグルメに大満足する。失敗しないためのコツを活用し、快適で思い出深い旅行を実現する。夫婦で楽しい時間を過ごすことで絆が深まり、今後の人生がより豊かになる。 |
2-4. アウトラインの作成
検索ユーザーのことを深く理解できていると、自然にどのような記事を提供すべきか、見えてくるはずだ。
記事のアウトライン(概要、構成案)を作成しよう。
【アウトライン作成のポイント】
- 明快な解答:検索ユーザーの検索意図やニーズに、ドンピシャリで答える構成を作る。
- 論理構造:情報の構造や流れを整理し、スムーズに読み進められるようにする。
- “さらにその先”の情報:ユーザーが抱えている疑問や課題を解決するのは当然として、さらに知っておくと役立つ情報も掲載する。
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たとえば、[春の旅行]の検索キーワードで記事を書く場合、前のステップで実践した検索ユーザーの理解をもとに、以下のようなアウトラインが考えられるだろう。
【アウトラインの例】
《タイトル》 春の旅行の絶景スポットとグルメ!五感いっぱいに春を感じる大人旅 《構成案》 - 春の訪れを感じる絶景スポット10選
1-1. 桜が一面に咲く絶景の名所 1-2. 春風に舞う花びらのロマンチックな風景 1-3. 地元で愛される隠れた桜の名所
- 春の味覚を楽しむグルメ旅のオススメ
2-1. 甘くて新鮮なイチゴ狩り体験 2-2. 春限定!地元の美味しいグルメ 2-3. 旬の食材を味わう地域料理の紹介
- 失敗しない!春の旅行を楽しむコツ
3-1. お得に移動する交通手段の選び方 3-2. 心地よい宿でしっかり休息 3-3. 春の天候に合わせた服装と持ち物ガイド
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3. 記事作成の基本スキル(2)リサーチする
アウトラインが完成したら、そのアウトラインの本文を書くために必要なリサーチを行う。
リサーチするスキルが低いと、浅い情報でしか執筆ができなかったり、誤った情報を
掲載したりして、記事の信頼性を損なうリスクがある。
記事作成では、どのようにリサーチしていけばよいのか、見ていこう。
3-1. 信頼性のある情報源の理解
まず、「どこから情報を収集するか?」について、正しく理解したい。
3-1-1. やみくもにネット情報を参照するのはNG
間違っている例は、インターネットを検索して、たまたまヒットした情報を情報源としてしまうことだ。
アフィリエイターによるブログから商用オウンドメディアまで、インターネット上にはさまざまな思惑を持って作成された情報があふれている。
さらに、何らかの情報を参考にして記事を作成した場合、出典元として情報源を明示する必要があることにも留意したい。
アフィリエイターや競合他社のオウンドメディアを、出典元として記載できるか?という観点で考えれば、たとえ情報が正確だったとしても、参考にする文献としてふさわしくない。
3-1-2. 参照元として最適なのは公的機関のWebサイト
では、ネット上の情報で参照元として適しているものは何かといえば、最適なのは「政府・官公庁・自治体などの公的機関のWebサイト」である。
公的機関の情報は、正確性が高い。出典元として記事内から発リンクしたときにも、読者および検索エンジンから見て「信頼性が高い」という評価を得やすい。
官公庁のサイト一覧は、「官公庁サイト一覧 (政府広報オンライン)」より確認できる。
もうひとつ、業界団体で公益財団法人などがあれば、それらの情報も信頼性が高いと判断できるだろう。
Googleなどで検索する際に、「site:ドメイン」を付与するとそのドメイン内のみを検索でき、「OR」でつなぐことで複数設定できる。
たとえば、バズ部ライターが「不動産業界」の記事を書くときに使っているセットが以下である。
site:zennichi.or.jp OR site:retio.or.jp OR site:sfkoutori.or.jp OR site:retpc.jp OR site:fudousan.or.jp OR site:reins.or.jp OR site:zentaku.or.jp OR site:hosyo.or.jp OR site:kokusen.go.jp OR site:mlit.go.jp
こちらをクリックすると、上記を検索した検索結果ページにアクセスできる。具体的なイメージをつかむために確認してほしい。
3-1-3. 参照元として適しているその他の情報
公的機関以外には、以下の情報も、比較的信頼性が高いと考えられる。
- 学術論文
- 専門書籍
- 大手新聞社、NHK
- 業界の第一人者や権威のWebサイト
- 第三者機関による調査報告
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3-2. 独自情報の取得
次に、記事作成において、他のメディアにはない「独自の情報」を提供できる場合、その価値は非常に高い。
独自情報の取得には、以下のような手法がある。
【独自情報の取得方法】
- 専門家へのインタビュー:業界の権威者や専門家に直接インタビューを行い、その意見や解説を取り入れる。
- 自社による調査:自社で行った市場調査やアンケートなど、他社にはないオリジナルのデータを取得する。
- 現地取材:現場に足を運んで取材する。現地の空気や人々の声を直接伝えることで、読者にリアルな体験を提供できる。
- 社内の専門知識や知見:社内のナレッジや経験豊富なスタッフの知見を活用する。
- 独自の分析・解釈:既存のデータや情報から独自の分析や解釈を行う。他のメディアが報じていない新しい視点や解釈を提供する。
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これらの方法により、他のメディアにはない深みと信頼性を、記事に加えることができる。
3-3. 効率的なリサーチ術
オウンドメディアの記事作成の場合、ひとつひとつの記事にかけられるリサーチ時間が、限られているケースが多いだろう。
リサーチの効率化を図らないと、収集できる情報の質や量が劣ってしまう。具体的な手法として、以下が挙げられる。
【効率的なリサーチのためのハック手法】
- 特定ドメイン限定検索:「site:ドメイン」で信頼性の高い情報源に絞って検索が可能だ。専門的な情報を素早く収集するために役立つ。
- 検索演算子の活用:複雑なクエリを組み合わせることで、精度の高い検索ができる。目的に応じた情報の絞り込みがスムーズに行える(参考:Google 検索演算子の概要)
- ハッシュタグのモニタリング:特定のトピックに関連するSNSのハッシュタグをモニタリングし、リアルタイムの動向を把握する。時事的な話題に対して迅速に反応できる。
- Webスクレイピング:定期的に更新される情報源から自動でデータを収集する。手動でのチェック作業を削減し、効率を向上させる。
- RSSフィードの購読:専門的なニュースサイトやブログの最新記事を自動でチェックする。最新の情報を逃さず、素早くアクセスできる。
- 翻訳ツール:外国語の情報を自動で翻訳し、幅広い情報源からの収集を可能にする(参考:DeepL)。
- 有料データベースの利用:業界や分野に特化した有料のデータベースを利用する。高品質な専門情報を効率的に取得できる(例:日経テレコン)。
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上記項目ごとの解説は割愛するが、それぞれ検索するなどして、実践してほしい。他にもリサーチ術は多々あるので、積極的に取り入れていこう。
大切なのは、
「高品質な記事を書くために必要な、高品質な情報を多く収集する」
という姿勢だ。そのために、リサーチ作業時間の効率化を、常時実践し続けることである。
4. 記事作成の基本スキル(3)書く
必要な情報が集まったら、書こう。
サラッと言ったが、実はこれが非常に重要である。多くの人は、必要な情報が集まっていないのに、がんばって書こうとする。
書くべきモノがないのに書くと、書くのが難しくてツラい。何より、書いた文章の中身がないので、仕上がる記事の価値が、薄くなる。
何を書くべきか、リサーチによって中身が十分に充足してから、初めて書く。それまでは書かない。これを徹底してほしい。
満を持して書き始めるとき、「どう書けばいいか?」について、以下で見ていこう。
4-1. Web記事に最適化した文章
まず、記事内の文章全般については、ポイントとして以下が挙げられる。
【Web記事に適した文章のポイント】
- 最初に結論:記事の冒頭または前半の早い段階で結論を明示する。検索ユーザーは検索時の問いの答えを知りたいため、答えがわからない記事はストレスがたまる。
- 具体性の追求:具体的な数字や事例を用いる。できる限り定量的に書く。
- 短文:1文が長すぎると情報の消化に時間がかかる。1文60字を目安に句点(。)で区切り、短文を意識する。
- 構造の明確化:見出し(hタグ)や箇条書き(ul・ol・liタグ)を用いて、文章の構造を明確にする。情報の追いやすさが向上して理解しやすくなる。
- 視覚的な工夫:図解やグラフを用いることで、複雑な内容もわかりやすく伝える。
- 一貫したトーンとスタイル:記事全体で一貫したトーンとスタイルを保つことは、プロフェッショナルな印象を与える。
- 専門用語の解説:専門用語を用いる場合は、一般の読者にも理解できるように補足を加える。
- 信頼性の確保:出典の明示や、正確な情報の提供を徹底する。記事の信頼性を高め、読者との信頼関係を築く。
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上記は、Webライティングの “基本のキ” として実行しよう。
Webライティングの技術に関しては、本記事中では書き切れないため、以下の記事にぜひ目を通してほしい。
4-2. 惹きつけるファーストビュー
ファーストビューとは、ユーザーがそのページにアクセスした瞬間(スクロールする前)に表示される部分を指す。
【ファーストビューの例】
出典:Webライティングとは?書き方の技術13項目【初心者〜中級者向け】
ファーストビューでユーザーが「コレは私が知りたい情報じゃない」と判断すれば、すぐにページを閉じて去ってしまう。
その判断までに要する時間は、一般的に「3秒」といわれる。
与えられた時間は3秒と考えて、記事タイトル + 導入文(イントロダクション)を工夫しよう。
【タイトルのポイント】
- 検索キーワードの挿入:検索キーワードはかならずタイトルに含める。後方より前方が望ましい。
- 数字の活用:調査データや「5つの方法」など具体的な数値を使うとアイキャッチ力が高まりやすい。
- タイトルの長さ:28〜32文字を目安に必要な情報をコンパクトに表現する。
- ベネフィットの伝達:読むとどのようなベネフィット(読者にとっての利益)があるのか明示する。
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タイトルのつけ方について詳しくは、以下の記事にも目を通しておこう。
タイトルに続く導入文の手法としては、以下がある。
【導入文の手法】
- 検索時の心情への寄り添い:ユーザーが検索を行った背景にある心情やニーズに寄り添った言葉を選ぶ。「そうそう、これって私のことだ!」と感じさせることで共感を生み出し、記事への興味を高める。
〔例〕記事を書かなければいけないのに、筆が進まない、アイデアが出ない……。そのつらさを、私たちもよく知っています。
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- 衝撃的な事実の提示:導入部分で衝撃的な事実を提示する。たとえば、ある統計データを引用し、その数字が示す意味を簡潔に説明する。ユーザーは記事のテーマ性を即座に把握できる。
〔例〕驚くべき事実ですが、多くの人が1つの記事作成に16時間以上もの時間をかけているにもかかわらず、まったく効果を得られていません。
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- 疑問を投げかける:読者に直接問いかける形で疑問を投げかける。この手法は、ユーザーに考える機会を提供し、記事への関心を深める。疑問は、記事のテーマに直結したものを選ぶ。
〔例〕なぜ、あなたの文章は読まれないのでしょうか。この問いに答える鍵が、本記事には詰まっています。
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- 引用の活用:権威ある人物の引用を導入部分に用いる。引用する言葉は、記事のテーマに密接に関連している必要がある。記事の信頼性を高める効果を狙う。
〔例〕スティーブ・ジョブズは言いました。「人は、形にして見せてもらうまで、自分が望むものが何なのか、わからないものである。」これは記事作成に、そのまま当てはまる哲学です。
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- 感情への訴求:感情に訴えかける言葉を用いる。感情への訴求は、ユーザーとの強いつながりを築くための重要な手段である。
〔例〕記事作成は、難しい。しかし、その先にはあなたの顧客の笑顔があります。顧客の悩みを解決して笑顔を増やす、価値ある記事を一緒に作っていきましょう。
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どれが適しているかは、メディアのテイストや検索キーワードの内容によって異なる。ぜひ試行錯誤をしてほしい。
ユーザーに「この記事は読む価値がある」と感じさせるタイトルと導入文を作成しよう。
4-3. 論点を明確にする本文構成
導入文に続いて執筆していく「本文」は、論点を明確にし、論理的に構成する必要がある。
個人ブログやエッセイ調の寄稿記事とは異なり、企業のオウンドメディアの記事は「趣深い文章よりも、わかりやすくて説得力があること」の優先度が高い。
具体的には以下を参考にしてほしい。
【本文構成のポイント】
- 主張ごとの段落分け:文章の中で主張するポイントごとに段落を分けることで、読者にとって理解しやすい構造を作る。この際、各段落の先頭に主張の要点を置き、一貫性を保つ。
- 根拠の提示:主張に対して、具体的な根拠を示す。データや専門家の意見など、信頼性のある情報源からの引用が効果的だ。根拠が明確であれば、説得力が高まる。
- 論理的なつながりの構築:段落間の論理的なつながりを明確にする。たとえば、前段落の結論が、次段落の前提となるように構成する。これにより、読者は自然に文章を読み進められる。
- 視点の統一:記事全体で取り扱う視点を統一する。複数の視点を混在させると、読者の混乱を招く可能性がある。視点の統一は、記事の一貫性を保つ上で重要だ。
- 結論の明示:文章の最後には、結論を明示する。結論が明確であれば、読者は文章の主旨を把握しやすくなる。結論は、文章全体のまとめとしての役割を果たす。
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最初は、ロジカルな文章を書くためのフレームワークを利用するのもおすすめだ。代表的なフレームとして「PREP」がある。
【PREPとは】
- P(Point)主張:論じるべき主要なポイントを明確に提示する。この部分で、読者に何を伝えたいのかをはっきりさせる。
- R(Reason)理由:主張に対して、なぜそう考えるのかを説明する。論理的な根拠や理由を示し、主張の正当性を裏付ける。
- E(Example)例:理由を具体的に示すための例やエビデンスを提供する。具体的な事例やデータなどを用いて、主張を具体化する。
- P(Point)結論:最後に、主張の要点を再度強調する。文章の結論部分で、最初に提示した主張を再確認し、読者に印象づける。
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【例文】
- P(Point)主張:健康的な生活を送るためには、毎日の運動が欠かせません。
- R(Reason)理由:なぜなら、運動は心肺機能を向上させ、ストレスの解消にもつながるからです。また、体重管理にも効果があります。
- E(Example)例:たとえば、毎日30分のジョギングをすると、生活習慣病のリスクを下げ、気分をリフレッシュさせる効果が期待できます。週に数回の筋トレを取り入れれば、筋肉を強化し、基礎代謝の向上につながります。
- P(Point)結論:したがって、健康を維持し、より良い生活を送るためには、毎日の運動が重要であるといえます。
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このようにPREPを意識して書くと、読者にとって理解しやすい文章を構築できる。
4-4. 行動を促すネクストアクション
記事中では、単に結論をまとめるだけでなく、読者に具体的行動を促すべきだ。
これは、購買行動や申込みといったコンバージョンの促進という意味ではない。
記事にたどり着いた読者の人生に、何らかの好影響を及ぼすために、行動変容を促す必要がある。
「ネクストアクション(次の行動)」を提示して、せっかく記事を通して出会った読者が、行動できるようにしよう。
【ネクストアクションのポイント】
- 目的の明確化:その行動は何のためにするのか、どんなメリットがあるのかを明示する。
- 行動の具体化:何をどう行うべきかを詳細に示す。具体的なステップや方法を提供し、行動を起こしやすくする。
- 障壁の解消:行動への障壁を特定し、それを解消する方法を提供する。ツールやリソースを紹介し、行動の敷居を下げる。
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例として、この前の項目で「4-3. 論点を明確にする本文構成」を解説した。
よくある失敗は、「論点を明確にする本文構成を心掛けよう」と呼びかけて終わるケースだ。行動喚起には弱い。読者の心情としては「ふーん」で終わってしまう。
そこで、具体的な【本文構成のポイント】を詳説した。さらに、それでも難しそうと感じる読者の障壁を解消するために、【PREP】をツールとして紹介している。
「読んだ人が、行動できるか?できないか?」を良記事判定の重要基準として、記事作成を進めてほしい。
5. 記事作成の基本スキル(4)校正する
最後に、4つめのスキルは「校正」である。
書き上げた記事を、“書きっぱなし”のまま公開するのは、もちろん避けるべきである。
誤った情報や誤字脱字があれば読者に多大な迷惑をかけるし、自社の信頼にもかかわる。
具体的な実践について、以下で見ていこう。
5-1. 文章の校正
文章の校正では、読者にとっての読みやすさ・わかりやすさや、日本語の文章としての適切さの観点から、修正作業を行っていく。
【校正のポイント】
- 文章の一貫性:テーマに沿った内容であり、一貫した視点で書かれているかを確認する。
- 文脈の整合性:前後の文や段落との関連性を確認する。文脈に合った表現を選び、読者の混乱を防ぐ。
- 読みやすさ:文章の流れや構造を整理する。段落の分け方、文の長さなどを調整する。
- 文章のトーン:対象とする読者層に合わせ、文章のトーンを調整する。カジュアルすぎる、または堅苦しすぎるなどの場合に修正する。
- 語彙のバリエーション:同じ単語や表現の繰り返しを避ける。多様な表現を用いて、文章にリズムと変化を持たせる。
- 誤字脱字・文法の誤り:文字や言葉の使い方の間違いを確認する。丁寧にチェックし、正確な文章を目指す。
- 句読点・感嘆符・疑問符:文章のリズムや強調点を作るうえで問題なく配置されているか確認する。過不足を避けて適切な位置に配置する。
- 専門用語・難解語:専門用語などを使用する際は、その意味が一般に広く理解されているかを確認する。必要な場合は、注釈や補足を加える。
- フォーマットとスタイル:文章の外観を整える。レイアウト、デザイン、文字の大きさなどを統一する。
- リンクの確認:リンク先が正しいか、適切な情報を提供しているかを確認する。
- 不適切表現の確認:差別的な用語や読者が不快に感じる言葉を使っていないか確認する。
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校正がきちんとされていない記事は、たとえ内容が正しくとも、稚拙な印象を与える。
文章の品質を高め、読者に対してプロフェッショナルな記事を提供するために、校正力を高めよう。
校正の詳細基準については、多くのメディアや企業が活用している「記者ハンドブック」を参考にするとよいだろう。記事作成をするならば、必携の書といえる。
出典:記者ハンドブック 第14版
5-2. ファクトチェック
ファクトチェックは、記事内容の信頼性と正確性を検証するプロセスだ。
【ファクトチェックのポイント】
- 情報源の確認:出典が明記されているか確認する。信頼性のある情報源からの引用であるか評価し、信頼性が疑われる情報源は、他の情報源で裏付けを取る。
- 数字やデータの正確性:統計データや数値が事実と一致しているか、原典を参照して確認する。誤ったデータは、記事の信頼性を損なうため、厳密にチェックする。
- 固有名詞の確認:企業名・人名・商品名・地名などの固有名詞が正確に記述されているか確認する。
- 事実関係や時系列:記述された事実や出来事、関連する人物や組織について、その真実性と時系列が正確であるかを、公式な情報源と照合する。
- 情報の最新性:情報が最新であるか確認する。とくに短期間で変動しやすい情報については、最新データと照合する。
- 専門家の意見の参照:医療、法律、金融、科学技術などの専門分野に関する情報が含まれる場合、関連する専門家の意見や公開された研究を参照する。
- 偏見や一方的な主張の排除:記事が偏見や根拠のない一方的な主張を含んでいないか、客観的な視点で評価する。
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ファクトチェックを怠ると、記事は単なる意見や推測に過ぎなくなる。そればかりか、誤った情報を流布して、読者や社会に迷惑をかけることになりかねない。
ファクトチェックは、記事品質の最低レベルを担保するための必須事項として、真摯に取り組んでほしい。
5-3. リーガルチェック
リーガルチェックは、記事が法的な問題を引き起こさないようにするための重要なステップである。
【リーガルチェックのポイント】
- 著作権・肖像権の確認:他者の権利を侵害していないか確認する。これには、画像や文章の転載許可、引用の適切性などが含まれる。
- 商標の確認:特定の商品やサービスの名称が正しく使用されているか確認する。商標権の侵害がないか確認する。
- 各種法律の遵守:関連する法律に違反していないか確認する。景表法、薬機法、個人情報保護法、その他、扱うトピックごとに適用される法律を確認する。
- 業界規制・ガイドラインの確認:とくに規制が厳しい分野(例:医療、金融)において、規定のルールやガイドラインが遵守されているか確認する。
- 誹謗・中傷の排除:他者の名誉を傷つける可能性がないか、慎重に確認する。
- プライバシーの保護:個人を特定できる情報(氏名、住所、電話番号など)が含まれていないか確認する。
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リーガルチェックを怠ると、法的なトラブルを引き起こす可能性がある。他者に損害を与えるリスクがあると同時に、記事掲載メディアや記事作成者も深刻なダメージを負う。
記事が法的に健全であることを保証する基本条件として、リーガルチェックを適切に実施していこう。
6. まとめ
本記事では「記事作成」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。
記事作成において大切な前知識として、以下をお伝えした。
- 「ユーザー中心主義」を貫く
- 記事を通じて提供する「価値」を常に考える
- 「4つの基本スキル」を基礎とする
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4つの基本スキルは、次のとおりだ。
- (1)方向性を定める
1. トピックの選定 2. 検索キーワードの選定 3. 検索ユーザーの理解 4. アウトラインの作成
- (2)リサーチする
1. 信頼性のある情報源の理解 2. 独自情報の取得 3. 効率的なリサーチ術
- (3)書く
1. Web記事に最適化した文章 2. 惹きつけるファーストビュー 3. 論点を明確にする本文構成 4. 行動を促すネクストアクション
- (4)校正する
1. 文章の校正 2. ファクトチェック 3. リーガルチェック
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まずは上記の4つのスキルを、ひとつずつ身につけていただければと思う。
さらに多角的に記事作成を学びたい方には、以下の記事がおすすめである。