【2025年最新】SEOのメリットとデメリット:やるか迷ったら読む記事

SEO対策って、本当に効果がある?」
「時間がかかるとも言うし、始めるべきか迷っている」
「メリットとデメリットを知ったうえで判断したい」

このような疑問を抱えている方は多いのではないだろうか。結論からいえば以下のとおりだ。

メリットとデメリット

簡単にまとめると、SEOのメリットは長期的なストック型集客の強み、デメリットは即効性の低さと外部要因依存、継続的な労力の負荷である。

「SEO対策に取り組むべきか?」という問いについては、すべての企業がやるべきだ。しかし、その程度は状況によって異なる。SEOにかけるリソースを的確に判断するためには、SEOの費用対効果やリターンを理解することが不可欠である。

本記事では、2025年最新のSEO動向をふまえ、SEO対策のメリット・デメリットを、データを交えて解説する。リスティング広告やSNSなどの他マーケティング施策との比較も示し、自社に最適な選択ができるよう具体的な判断材料を提供するので参考にしてほしい。

また、私たちバズ部は12年で400社以上のメディア支援を行い、

  • 立ち上げから10ヶ月で14.6億円の売上を産んだ不動産メディア
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など大きな成果を挙げ続けている。

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1. SEO対策で得られる6つの具体的メリット

まずは、冒頭でも触れたSEOのメリットを掘り下げて見ていこう。

  1. 長期的な費用対効果が高い
  2. 購買意欲の高いユーザーを効率的に集客できる
  3. 自社コンテンツが資産として継続的に価値を生む
  4. 購買から遠い潜在層にもリーチできる
  5. ブランディング効果がある
  6. 幅広い業種・規模で活用しやすい

1-1. 長期的な費用対効果が高い

SEOによるオーガニック流入(自然検索からのアクセス)は、初期投資後の継続的なリターンが魅力だ。一度、上位表示を獲得すれば、追加費用なしで長期間にわたり訪問者を集められる。

長期的な費用対効果が高い

【SEOの費用対効果データ】

  • 投資収益率(ROI):SEOに投資した1ドルに対し平均22ドルのリターンが得られるというデータがある。これはリスティング広告のROI(2:1程度)と比較して10倍以上の効率の良さだ。高品質なSEO施策の平均ROIは600〜700%に達するケースもある。
  • クリック率の高さ:Googleの検索結果全体において、94%のクリックがオーガニック結果に集中し、リスティング広告はわずか6%にとどまるという調査結果がある。また、1位のオーガニック結果のCTRは28.5%と広告を大きく上回る傾向だ。

出典:Fire Us Marketing「Discover the Surprising SEO ROI By Industry Statistics」DIGITALSILK「Organic Vs. Paid Search Statistics | Top Surprising Stats For 2025」SISTRIX「Why (almost) everything you knew about Google CTR is no longer valid」

実際、私たちバズ部が携わっているなかでも、10カ月で14.6億円の売上を達成した不動産会社の事例など、高いROIを叩き出しているケースは多数ある。

合計売上14.6億円出典:わずか10ヶ月で14.6億円の売上を叩き出した不動産会社様のコンテンツマーケティング事例

上記は2020年5月〜2021年2月のデータだが、その後も売上を伸ばし、2023年1月時点ではサイト経由の累計売上高が106億円を突破している。

2年9ヶ月経過した時点での累計売上は106億円

SEOは、長期的に効果をもたらすことがわかる事例だ。

詳しくは「累計106億円の売上を叩き出した不動産会社のコンテンツマーケティング事例」にて解説しているので、あわせて参考にしてほしい。

1-2. 購買意欲の高いユーザーを効率的に集客できる

SEOは単にアクセス数を増やすだけでなく、顕在的なニーズを持った質の高いユーザーを集客できる強みがある。

購買意欲の高いユーザーを効率的に集客できる

【SEO流入ユーザーの特性】

  • 成約率の高さ:SEO流入から得られるリード(見込み客)の成約率は14.6%と報告されており、これは飛び込み営業などアウトバウンドマーケティングの成約率1.7%を大きく上回る。
  • ニーズの明確さ:検索エンジン経由の訪問者は、自らキーワードを入力して情報や解決策を探している。このため、SNSなど他経路の流入と比べ、購入や問い合わせなどコンバージョンに直結しやすい高品質なトラフィックが得られる。
  • 信頼性の高さ:ユーザーは「広告」と表示されたリンクよりも、自然検索の上位結果を信用する傾向が強い。検索上位にあることで「広告ではなく自然な情報源」として信頼されやすく、サイト訪問後のエンゲージメントやコンバージョン率の高さにつながる。

出典:sagapixel「SEO ROI Statistics In 2025: Measuring Your Organic Search ROI」

SEOでは、キーワード戦略を適切に立て、検索ユーザーの意図を満たすコンテンツを提供すると、コンバージョンしやすい見込み客を効率的に集客できる。多大な広告費をかけずとも、継続的な成果を生み出せる施策だ。

1-3. 自社コンテンツが資産として継続的に価値を生む

SEO特有の性質として、制作したコンテンツがビジネス成果を生み続ける資産となることが挙げられる。

自社コンテンツが資産として継続的に価値を生む

【コンテンツの資産価値】

  • ストック型資産:SEOで制作するコンテンツは、広告のように終了とともに効果が消えることなく、継続的な価値を創出し続ける「ストック型」の資産だ。過去に制作した記事が、何年も経ってから検索流入の主力になるケースも珍しくない。
  • 累積的効果:継続的なコンテンツ制作により、資産が積み重なっていく効果がある。たとえば月5記事のペースで1年間コンテンツを制作すれば、60記事という資産が蓄積され、そのすべてが潜在的な流入経路となる。この累積効果は、長期的には指数関数的なトラフィック増加をもたらすことがある。
  • リソース効率:一度作成したコンテンツは適宜更新するだけで長期間使用でき、コンテンツ制作の効率が良い。なかでも、時事的でなく普遍性のあるエバーグリーンコンテンツ(長期的に価値が色あせないコンテンツ)は、何度も作り直す必要がなく数年間にわたり安定した流入を生み出せるため、コスト効率が非常に高い。

これらの特性から、SEOへの投資は単なる集客コストではなく、長期的にリターンを生み出す事業資産の構築と捉えることができる。とくに、オウンドメディアやブログを中心とした戦略では、このストック効果による長期的な集客基盤の確立が鍵となる。

1-4. 購買から遠い潜在層にもリーチできる

先ほど「購買意欲の高いユーザーを集客できる」点を挙げたが、「まだ購買意欲が高くない層にもリーチできる」こともSEOの特性だ。

SEOでは、購買プロセスのさまざまな段階にいるユーザーへアプローチできる。

購買から遠い潜在層にもリーチできる

【多段階アプローチの手法】

  • ファネル全体への対応:SEOでは「情報収集」「比較検討」「購入直前」など、購買ファネルのさまざまな段階にいるユーザーへのアプローチが可能だ。ユーザーの検索意図に応じたコンテンツ提供により、潜在層から顕在層まで幅広く集客できる。
  • 上流キーワード戦略:[○○とは][○○ 意味 わかりやすく]などの基礎知識を求める上流キーワードで記事を提供すれば、まだ見込み客ではない潜在層にアプローチできる。この段階から自社への興味喚起や課題認識を促し、徐々に顕在化へと導くことが可能だ。
  • 段階的育成:まず情報提供からスタートし、ユーザーが検討段階に進んだ際には関連コンテンツで再接触する、といった仕組みをSEOで構築できる。長期的な顧客育成が実現し、最終的な商談や購入につなげやすくなる。

このように、SEOはまだ購入意欲がないユーザーも含めた幅広い層へリーチし、将来の顧客を育成する基盤として機能する。BtoBや高額商材のように検討期間の長いビジネスでは、この特性を活かした長期的な関係構築の重要度が非常に高い。

1-5. ブランディング効果がある

SEOの間接的だが重要な効果として挙げられるのが、ブランディング効果だ。

ブランディング効果がある

【ブランド価値向上への貢献】

  • 業界専門家としての地位確立:自社ブログで有益な情報発信を続け上位表示を維持すれば、「○○の情報と言えば△△社のサイト」と認知されるような強力なブランディング効果が期待できる。こうした専門性の認知は、商談や提案の場面でも優位性をもたらし、価格以外の価値で選ばれる要因となる。
  • 専門性の証明:検索結果で上位表示されること自体が「その分野で信頼できるサイト」という指標となる。多くの一般ユーザーにとっては、Googleの上位で目立っているサイトは、それだけ知名度や信頼性が高いと認識される。
  • ブランドの権威確立:SEO対策で自社サイトを育て、充実したコンテンツ群を持つことは、業界内でのオーソリティ(権威)確立につながる。作り上げた記事やページは半永久的に残り、会社のナレッジベースとなる。これらは顧客や取引先からの信用構築に寄与する。

このように、SEOは単なるトラフィック獲得手段ではなく、ブランド価値やポジショニングを構築するための重要な施策としても機能する。目に見えにくいが、事業成長に不可欠なブランド資産を構築できる点が大きなメリットである。

1-6. 幅広い業種・規模で活用しやすい

SEOは基本的にWebサイトさえ持っていれば、どの業界・事業規模でも実施可能な普遍的なマーケティング手法だ。業種や企業規模に関わらず汎用性が高い点が大きな特徴となる。

幅広い業種・規模で活用しやすい

【SEOの普遍的活用性】

  • あらゆる業種への適用:BtoC・DtoC、BtoBやローカルビジネス、非営利組織に至るまで広く適用できる。検索エンジン経由でターゲット層が情報収集をする限り、業種を問わずSEOの効果を期待できる。
  • 導入の容易さ:基本的なSEOの知見はネット上で共有されており、無料で学べる環境がある。中小企業やスタートアップでも、自社内で小規模に始められる。実際、少ないリソースからSEOブログを育て、集客を大きく伸ばした中小企業の事例は数多く存在する(参考:お問合せ 0→200件/月。代表1人で成果を実現させた弁護士事務所の秘訣)。
  • 担当者の個性に依存しにくい:SNS運用のようにセンスや個人のキャラクターに成果が左右されることが少ない。誰でも地道にコツコツと取り組めば、一定のアクセス向上が見込める手法といえる。

SEO専門知識の習得やコンテンツ制作力は必要だが、リソースや状況に応じて、できる範囲で段階的に取り組むことが可能だ。自社の弱い部分は、外部パートナー(SEO会社やWebライターなど)を活用して補う方法もある。


2. SEO対策で注意したい5つのデメリット

SEOには多くのメリットがある一方で、取り組む前に理解しておくべきデメリットも存在する。制約やリスク要因を把握して現実的な期待値を設定し、効果的な施策展開につなげてほしい。

  1. 効果が出るまでに6カ月以上の時間がかかる
  2. Googleアルゴリズムのアップデートで順位変動が起きる
  3. 検索順位1位〜3位を獲れなければ効果が薄い
  4. 競合サイトの強さによって成果が左右される
  5. コンテンツ制作とサイト改善に一定の労力が必要になる

2-1. 効果が出るまでに6カ月以上の時間がかかる

SEOは即効性が低く、成果が出るまでに一定の時間を要する施策だ。

効果が出るまでに6カ月以上の時間がかかる

【SEOの時間的制約】

  • 効果までの期間:米国のSEO専門会社の分析では、SEOに取り組んで初期成果が出始めるのは半年~1年、最大の効果が得られるのは開始後2~3年と報告されている。とくに競合の多い分野では、上位表示を獲得するまでに長期間の取り組みが必要となる。
  • 業種による差異:効果が現れるまでの期間は業種やサイト特性によって異なる。たとえばECサイトでは平均してSEO投資回収まで16カ月ほどかかるとのデータがある一方、金融業界では9カ月程度で効果が出るケースもある。競合が弱くニッチな分野なら数カ月で上位表示できることもあるが、競争の激しい分野では1年以上かけてようやく成果が出ることも少なくない。

出典:sagapixel「SEO ROI Statistics In 2025: Measuring Your Organic Search ROI」Fire Us Marketing「Discover the Surprising SEO ROI By Industry Statistics」

このように、SEOは「来月すぐに売上を○○%アップしたい」といった短期目標には適さない施策である。経営者としては効果が出るまで粘り強くリソース投下する必要があり、短期的にはコスト先行になる点を理解しておくべきだ。

短期的な成果が求められる場合は、リスティング広告などの即効性のある施策と併用することが望ましい。

2-2. Googleアルゴリズムのアップデートで順位変動が起きる

SEOで得た成果は、検索エンジンのアルゴリズム変更によって大きく左右されるリスクを常に抱えている。

Googleアルゴリズムのアップデートで順位変動が起きる

【アルゴリズム変動のリスク】

  • 定期的な大型アップデート:Googleは年に数回、大規模なコアアルゴリズムアップデートを実施している。2024年は、公式に確認された主要アップデートが合計7回(コアアップデート4回+スパム対策アップデート3回)実施された。こういったアップデートの度に検索順位が見直され、大きな変動が起こる可能性がある。
  • 予測不能性:Googleのアルゴリズム変更は事前告知なく実施されることも多く、その内容も完全には公開されていない。このため、突然の順位変動に見舞われることがある。たとえば2024年のGoogleコアアップデートでは、世界的にコンテンツSEOの成功例と称えられてきたHubSpot社のオウンドメディアですら、アクセス数が急減し、4〜年前の水準にまで後退したことが報告されている。
  • 対応の必要性:アルゴリズム変更後に順位低下が起きた場合は、原因分析と対策が必要になる。これには追加の労力とコストが必要だ。場合によっては大規模なコンテンツ改修を余儀なくされることもある。

出典:Search Engine Land「HubSpot’s SEO collapse: What went wrong and why?」

このように、SEOはコントロールできない外部要因に左右される面があり、せっかく上位表示していたページがアップデート直後に圏外に落ちるといった事態も起こり得る。

この不確実性に対処するためには、常に最新のSEO動向を把握し、ユーザーファーストの質の高いコンテンツ制作を心がけるとともに、SEO以外の集客チャネルとの組み合わせによるリスク分散も重要である。

2-3. 検索順位1位〜3位を獲れなければ効果が薄い

SEOで注意しておきたいのは、検索順位による流入量の極端な格差だ。「1位を取れなければ意味がない」とはいわないが、2ページ目以降(11位以下)ではほとんど効果が望めないのが現実である。

検索順位1位〜3位を獲れなければ効果が薄い

【検索結果の閲覧傾向データ】

  • 1ページ目への集中:かつては70%のユーザーは1ページ目しか見ないといわれていたが、最新調査によれば90%以上(一部の調査では99%以上)のユーザーが2ページ目以降には進まない傾向がある。2ページ目の結果をクリックしたユーザーは全体のわずか0.63%という報告もあり、1%にも満たないことが確認されている。
  • 上位表示の価値:Google検索で1位に表示された結果の平均CTRは27.6%であり、10位の結果よりもクリックされる確率が約10倍高い。さらに上位3位までの合計で全体の54.4%のクリックを獲得しており、検索ユーザーの注目は1ページ目の上部に集中している。
  • ゼロクリック検索の増加:検索クエリ(デスクトップ)の61.5%が「ゼロクリック検索」(検索後にどの結果もクリックしない)である。モバイル検索でも34.4%に達している。これは強調スニペットやナレッジパネルなどのリッチリザルトの増加によると考えられ、ユーザーは検索結果ページ上で直接答えを得られるようになっている。

出典:BACKLINKO「We Analyzed 4 Million Google Search Results. Here’s What We Learned About Organic CTR」fire&spark「How Many People Only Look at the First Page of Google Results?」Ahrefs「124 SEO Statistics for 2024」

米国のSEO業界では「死体を隠すならどこ?Googleの2ページ目だ」といったジョークが語られるほど、1ページ目に表示されなければユーザーの目に触れる可能性が極めて低いのが現状だ。

SEOは「少しでも検索結果に表示されればいい」という生易しい施策ではなく、「確実に上位表示を獲得する」という高いハードルを持つ施策であることを理解する必要がある。検索1ページ目に表示されなければ、労力に見合った成果は得られにくいため、戦略的なキーワード選定と質の高いコンテンツ制作が不可欠となる。

2-4. 競合サイトの強さによって成果が左右される

SEOの結果は自社の努力だけでなく、競合他社の取り組み状況にも大きく影響される。

競合サイトの強さによって成果が左右される

競合状況による制約】

  • 相対評価の仕組み:検索結果は基本的に相対評価の世界であり、自社がいくらSEOを頑張っても競合サイトのほうが評価が高ければ上位表示はできない。とくにドメインパワー(サイトの総合的な強さ)で勝る大企業サイトや老舗サイトがひしめくキーワードでは、新興サイトが上位に割って入るのは容易ではない。
  • 継続的な競争:一時的に自社が1位を取れたとしても、競合も同様にSEO対策を強化すれば再び順位を奪われる可能性が常にある。検索上位枠は限られているため、業界によっては上位サイト同士の終わりなき競争になりやすい。リソースが潤沢でない中小企業にとってハードルが高い分野もある。たとえば[ホテル 予約][クレジットカード比較]などの商用キーワードでは大手企業や専門比較サイトがSEOに巨額投資をしており、新規参入でトップを狙うのは容易ではない。
  • 後発参入者のリスク:競合が少ないニッチ領域でも、後発の模倣サイトが現れて順位が脅かされる可能性がある。一度構築したSEO資産が、競合の参入によって価値を下げることは起き得るリスクだ。とくに参入障壁の低い分野では、成功事例を真似た類似サイトが次々と登場するリスクがある。

このように、SEOは自社だけで完結せず外的競争環境に影響される施策である。場合によっては投入コストに見合う成果を得にくいこともあり得るため、競合状況を十分に分析したうえで実施すべきだ。競合が強大な場合は、狙うキーワードを絞り込む、ロングテール戦略をとるなど、戦略的なアプローチが必要となる。

2-5. コンテンツ制作とサイト改善に一定の労力が必要になる

SEOで成果を出すには、継続的なコンテンツ制作や技術的な改善など相応の手間とコストが発生する。

コンテンツ制作とサイト改善に一定の労力が必要になる

【必要なリソースと投資】

  • コンテンツ制作コスト:質の高いコンテンツを継続的に生み出すには、ライティングスキルや専門知識を持った人材が必要となる。上位表示を目指すには一定数の良質な記事を用意する必要がある。内製の場合は工数が、外注の場合は費用が発生する。SEO大国の米国では、企業は平均して年間12万ドル(約1800万円)をSEOに投資しているとのデータもある。
  • 技術的対応の必要性:検索エンジンからの評価を高めるには、サイトの高速化・モバイル対応・構造化データの実装など技術的な改善も必要だ。これには専門知識を持ったエンジニアやSEO担当者の関与が不可欠で、Webサイトのリニューアルやシステム改修が必要になる場合もある。とくにコアウェブバイタルなどのユーザー体験指標の改善は、専門的な技術知識を要する。
  • 運用と分析の継続:SEOは一度対策して終わりではなく、効果測定・分析・改善のサイクルを回し続ける必要がある。検索順位やトラフィックを定期的に計測し、コンテンツの最適化やキーワード戦略の見直しを行うための人的リソースが必要だ。また、競合分析や市場動向調査も欠かせない。

出典:Fire Us Marketing「Discover the Surprising SEO ROI By Industry Statistics」

「SEOは無料でできる集客」と言われることもあるが、それは広告費がかからないという意味にすぎない。実際には、人的リソースや時間というコスト(外注する場合は外注費)を継続的に投下していく必要がある。このため、自社のリソース状況を踏まえた現実的な計画立案が重要であり、どこまでを内製化し、どこから外注するかの判断も求められる。


3. SEO対策と他施策との比較

ここまでSEOのメリット・デメリットを見てきたが、Webマーケティングには多様な施策があり、それぞれに強みと弱みがある。

ここでは代表的な4つの施策とSEOの比較を見ていこう。予算配分の参考にしてほしい。

  1. リスティング広告
  2. YouTube運用
  3. SNS広告
  4. SNS運用

3-1. リスティング広告

リスティング広告(検索連動型広告)は、SEOと同じく検索結果ページに表示されるものの、まったく異なるアプローチの施策だ。

比較ポイントSEOリスティング広告
即効性効果が出るまで
6ヶ月以上かかる
広告出稿後すぐに表示
即日〜数日で効果発揮
費用対構造プラットフォーム利用は基本無料
コンテンツ制作費や技術対応が主
クリックごとに料金発生
競合が多いと単価高騰
持続性「ストック型」資産
長期間効果が持続
「フロー型」施策
予算がなくなると停止
クリック率

検索順位1位で28.5%
ユーザーの信頼度が高い

平均CTR6.42%
「広告」表示で敬遠される傾向

【SEOとリスティング広告の比較ポイント】

  • 即効性:リスティング広告は広告出稿後すぐに検索結果ページ最上部に表示が可能だ。即日~数日でトラフィック獲得をスタートできる点がSEOと対照的である。短期間で結果を求める場合や、新規サイトでドメインパワーがない時期にはこの即効性が大きな強みとなる。
  • 費用構造:リスティング広告は従量課金制であり、クリックごとに料金が発生する。表示自体には費用がかからないが、クリックされるたびに費用が発生し、競合が多いキーワードほど入札単価が高騰する傾向がある。一方、SEOはプラットフォーム利用そのものには費用がかからず、コンテンツ制作や技術的改善などに間接コストが発生する構造だ。
  • 持続性:リスティング広告は広告予算をかけている間のみ効果を発揮する「フロー型」施策である。予算がなくなれば即座に表示されなくなり、集客も止まる。一方、SEOは一度上位表示を獲得すれば、追加費用なしで長期間効果が持続する「ストック型」施策だ。
  • クリック率:オーガニック検索結果(SEO)のほうが広告よりもクリック率が高い。1位のオーガニック結果のCTRは28.5%と、リスティング広告のCTR 6.42%を大きく上回っている。これはユーザーが「広告」と表示されたリンクよりもオーガニックな検索結果を信頼する傾向があるためだ。

出典:SISTRIX「Why (almost) everything you knew about Google CTR is no longer valid」WordStream「Google Ads Benchmarks 2024: New Trends & Insights for Key Industries」

SEOとリスティング広告は、相互補完的な関係にある。短期的な集客はリスティング広告で確保しながら、中長期的な安定集客基盤としてSEOに取り組むという組み合わせが効果的だ。

とくに競争の激しいキーワードでは、広告とオーガニック(SEO)の両方で上位表示させることも検討しよう。

3-2. YouTube運用

動画プラットフォームであるYouTubeの運用は、SEOとは異なる特性と可能性を持つ。

比較ポイントSEOYouTube運用
コンテンツ形式テキストと画像が中心
情報の整理と詳細の説明に
適している

動画による視聴覚コンテンツ
複雑な概念や手順の説明、
製品デモに強み

検索エンジンとしての側面Google検索が主戦場
コンテンツ内容、被リンク、
ユーザー行動などで評価

世界第2位の検索エンジン
ともいわれる
視聴継続率やエンゲージメントが重要

バイラル効果比較的安定した増加傾向
急激な爆発的拡散は
あまり期待できない
おすすめ動画としての展開
魅力的なコンテンツは短期間で
爆発的に視聴数を伸ばす可能性

【YouTubeとSEOの比較ポイント】

  • コンテンツ形式:SEOはテキストと画像が中心となるのに対し、YouTubeは動画という視覚・聴覚に訴えるコンテンツを扱う。複雑な概念や手順の説明、製品デモンストレーションなど、動きや音声を活用したほうが効果的なコンテンツ領域では、YouTubeに優位性がある。テキストでは表現しづらい情報を映像で立体的に伝えられる強みがある。
  • 検索エンジンとしての側面:YouTubeは世界第2位の検索エンジンともいわれ、独自の検索アルゴリズムを持つ。YouTube SEOという概念もあり、タイトル・説明文・タグなどの最適化は従来のSEOと共通する部分もある。しかし、視聴継続率や視聴者のエンゲージメントなど、動画特有の評価基準も重要となる。
  • バイラル効果:YouTube動画は「おすすめ動画」として自動的に関連コンテンツの視聴者に提案される仕組みがある。魅力的なコンテンツは短期間で爆発的に視聴回数を伸ばす「バイラル効果」を期待できる点が、比較的安定した増加傾向を示すSEOとは異なる。この予測不能な爆発力がYouTube運用の醍醐味であり、リスクでもある。

YouTube運用とSEOは排他的ではなく、相乗効果を生み出せる関係だ。たとえば記事内に関連動画を埋め込んだり、動画説明欄からブログ記事へリンクしたりして、双方のメディア資産を強化できる。

あるいは、SEOのコンテンツ資産が蓄積している場合、それらのコンテンツを原稿としてYouTube向け動画を制作すると効率的だ。詳しくは「YouTubeのハードルが高くて始められない企業へのアドバイス」を参照してほしい。

3-3. SNS広告

SNS広告は特定のターゲットに絞った広告配信が可能で、有力なマーケティング手段だ。

比較ポイントSEOSNS広告
ターゲティング精度検索意図を持った
ユーザーのみにリーチ
ニーズのある層を集客
年齢・性別・趣味嗜好など
詳細な属性でターゲティング
潜在層へのアプローチが可能
費用対効果の特性初期投資後の
ランニングコストは低い
長期的に高いROIを期待
インプレッション課金や
クリック課金で費用発生
配信を止めると効果も消失
ビジュアル訴求力基本はテキストベース
情報収集・比較検討する
ユーザーに向いている
ビジュアルに優れたクリエイティブ
製品の魅力を視覚的に訴求
(ファッション・美容・グルメなど)

【SNS広告とSEOの比較ポイント】

  • ターゲティング精度:SNS広告の最大の強みは、年齢・性別・趣味嗜好・行動履歴など詳細な属性でターゲティングできる点だ。潜在層や特定セグメントへのアプローチが得意であり、ニーズが顕在化していない層へのリーチが可能である。一方、SEOは検索意図を持ったユーザーにしかリーチできないが、その分、明確なニーズのある層へのアプローチに強みがある。
  • 費用対効果の特性:SNS広告はおもにインプレッション課金やクリック課金で、予算設定次第で配信量をコントロールできる。露出拡大には適しているが継続的なコストがかかり、配信を止めれば効果もすぐに消える。対してSEOは初期投資後のランニングコストが低く、長期的には高いROIを期待できるが、短期的な費用対効果は測定しづらい。
  • ビジュアル訴求力:Instagram、TikTokなどのSNS広告はビジュアルに優れたクリエイティブが効果を左右する。製品の魅力を視覚的に訴求できる分野(ファッション、美容・コスメ、食品、旅行・グルメなど)では高い効果を発揮する。一方、SEOはテキストベースの情報提供が中心となるため、情報収集段階や比較検討段階のユーザーに向いている。

SNS広告とSEOは用途が異なるため、マーケティング目標に応じて使い分けるべきだ。たとえば新商品の認知拡大にはSNS広告を活用し、比較検討層や購入直前層の獲得にはSEOでアプローチするなど、カスタマージャーニーの各段階に適した施策を組み合わせることで効果を最大化できる。

3-4. SNS運用

オーガニックなSNS運用は、SEOとは異なるコミュニケーション設計が求められる施策だ。

比較ポイントSEOSNS運用
コミュニケーション特性一方向の情報提供が中心で
検索意図で応える形で
コンテンツを設計
双方向コミュニケーション
エンゲージメントを通じた
関係構築が中心
時間的特性「ストック型」
一度作れば長期間にわたり
流入を生み出し続ける
「フロー型」
投稿後数日〜1週間程度で
エンゲージメントは減衰
新規ユーザー流入の質能動的に検索したユーザーのため
コンバージョン率が高い
成約獲得に向いている
「たまたま目に留まった」
ユーザーが多い
ブランド認知や関係構築に向く

【SNS運用とSEOの比較ポイント】

  • コミュニケーション特性:SNS運用はユーザーとの双方向コミュニケーションが基本であり、エンゲージメント(いいね、コメント、シェアなど)を通じた関係構築が中心となる。SEOは一方向の情報提供が主となり、ユーザーの検索意図に応える形でコンテンツを設計する。SNSは生の声を聞ける場、SEOは専門性を示す場というすみ分けを意識したい。
  • 時間的特性:SNSの投稿は基本的に「フロー型」で、投稿後の数日~1週間程度でエンゲージメントは減衰する。継続的な露出には定期的な投稿が必須となる。一方、SEOコンテンツは「ストック型」で、一度作れば長期間にわたり流入を生み出し続ける。この時間軸の違いは、リソース配分を考えるうえで重要な要素だ。
  • ユーザー流入の質:SNSからの流入は「たまたま目に留まった」ユーザーが多く、直接のコンバージョンにつながりにくい傾向がある。SEOは能動的に検索したユーザーが訪問するため、コンバージョン率が高い傾向にある。SNSはブランド認知や関係構築、SEOは成約獲得という役割分担が効果的だ。

SNS運用とSEOは、それぞれの特性を活かしたマーケティングミックスを考えよう。たとえばSEOから流入したユーザーとSNSでつながり関係性を深めたり、SNSで築いた信頼をSEOコンテンツへの継続的な訪問につなげたりすると、双方の効果を高められる。


4. SEOに適している商品・会社の見極め方

最後に、SEOに適している商品・会社の見極め方として以下を見ていこう。

  1. SEOと相性が良い商品・悪い商品
  2. SEOですぐに効果を出しやすい会社・出しにくい会社

4-1. SEOと相性が良い商品・悪い商品

すべての事業がSEOに最適というわけではなく、特定の特性を持つ業界や商材でより効果を発揮する。

◎SEOとの相性が良い例

  • 高額の商品・サービス:住宅、自動車、保険などの高額商品は購入前の情報収集が活発で、検索ユーザーが多い。購入を検討する人は、大きな出費を伴う決断の前に徹底的に調査する傾向があり、この情報収集段階でSEOコンテンツが効果的に機能する。
  • 長期検討サイクルのあるBtoB領域:法人向けのSaaSやITインフラ、コンサルティングサービスなどは検討期間が長く、複数の意思決定者が関わる。技術仕様の比較や導入事例など、検索を通じた情報収集が繰り返し行われるため、専門的なコンテンツでリードを獲得できる。
  • 専門知識が必要な分野:法律、金融、技術、特定のビジネス分野など専門的な知識を要する領域では、ユーザーが検索を通じて知識を得ようとする傾向が強い。こうした分野でSEOを活用すれば、専門知識を持つ企業としての権威性を確立しながら効率的に見込み客を集客できる。
  • 地域性の強い商品・サービス:地域に根ざしたサービス(病院、美容院、飲食店、不動産など)は、[○○ 地域名]といった地域名を含む検索が多く行われる。こうした「ローカルSEO」と呼ばれる分野は、大手サイトとの競合が比較的少なく、中小企業でも上位表示を獲得しやすい特徴がある。

△SEOとの相性が悪い例

  • 低単価の衝動買い商品:日用品や安価なアパレル商品などは、検索よりもSNSや店頭での発見が購買につながりやすい。検索意図が弱く、情報収集プロセスを経ないため、SEOへの投資対効果が低くなりがちだ。
  • ビジュアル訴求が重要な商品:ファッションやインテリアなど視覚的な魅力が購買決定に大きく影響する商品は、Instagramなどのビジュアル系SNSとの相性が良く、テキスト中心の検索結果では訴求力が弱くなる。

4-2. SEOですぐに効果を出しやすい会社・出しにくい会社

加えて、取り組む企業や保有サイトの状況によって、SEOの効果が現れる速度には大きな差がある。

◎効果を出しやすい会社

  • サイト運営歴の長い企業:すでにサイト運営歴が長く、Googleから一定の評価を得ているドメインを持つ企業は新たなSEO施策の効果が表れやすい。ドメインパワーがすでに高いサイトは、新規コンテンツを追加しても比較的早く評価される傾向がある。
  • ニッチ市場に特化した企業:競合が少ないブルーオーシャン市場やロングテールキーワードを狙える企業は、比較的早く成果を出せる可能性が高い。専門性の高い商材やサービスを持つ企業ほど、独自の強みを活かした特化型のコンテンツで差別化しやすく、短期間での上位表示獲得が期待できる。
  • 社長や専門人材がコンテンツ制作に参画できる企業:社としての主義主張のある文章を熱量を持って書ける創業社長や、専門知識に精通した技術者などがSEOのコンテンツづくりに参画できる企業は、圧倒的に質の高いコンテンツを投入できる。コンテンツの質が担保されるため、検索エンジンからの評価獲得サイクルが早まる。

△効果を出しにくい会社

  • 新規ドメインでスタートする企業:まったく新しいドメインでは、Googleからの信頼を獲得するまでに時間がかかる(目安として6カ月〜1年)。いわゆる「サンドボックス期間」と呼ばれる評価期間を経なければならず、初期段階での成果が見えにくい。
  • レッドオーシャン市場の企業:競合が多く投資額も大きい分野では、上位表示を獲得するまでに長期間と相応の投資が必要となる。すでに強力なSEO対策を行っている競合が多い市場では、成果が表れるまでの期間が長期化する傾向がある。これを回避するためにはキーワード選定戦略へのリソース投入が鍵となる。
  • 制作リソースが限られた企業:質の高いコンテンツを継続的に制作するリソースが不足している企業は、SEOの効果が出にくい。コンテンツの質と量の両方が重要なSEOでは、少ないリソースでの取り組みは成果につながりにくく、ROIが低下する可能性がある。

これらの要因を踏まえ、自社の状況を客観的に分析すると、SEOがどの程度の期間と投資で成果を出せるかの現実的な見通しを立てられる。既存サイトの改善やニッチ市場向けなら比較的早く効果が出やすく、新規サイトでの競争激しい市場参入は長期戦を覚悟すべきである。

***

ここまでお読みいただき、
「SEOに取り組むメリットは感じるが、リソースに不安がある」
「できるだけ少ない投資額で効果を最大化させたい」
という場合には、ぜひ私たちバズ部にご相談いただければ幸いだ。

私たちにご依頼いただくかどうかに関わらず、多数のSEO支援を行ってきた知見をもとに、どのような選択がベストなのかご提案できればと思う。


5. まとめ

本記事では「SEOのメリット・デメリット」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。

SEO対策で得られる6つの具体的メリットは以下のとおりだ。

  1. 長期的な費用対効果が高い
  2. 購買意欲の高いユーザーを効率的に集客できる
  3. 自社コンテンツが資産として継続的に価値を生む
  4. 購買から遠い潜在層にもリーチできる
  5. ブランディング効果がある
  6. 幅広い業種・規模で活用しやすい

SEO対策で注意したい5つのデメリットは以下のとおりだ。

  1. 効果が出るまでに6カ月以上の時間がかかる
  2. Googleアルゴリズムのアップデートで順位変動が起きる
  3. 検索順位1位〜3位を獲れなければ効果が薄い
  4. 競合サイトの強さによって成果が左右される
  5. コンテンツ制作とサイト改善に一定の労力が必要になる

費用対効果の高いWebマーケティングを実現するためには、SEOの本質を理解し、自社の状況や目標に合った戦略的なアプローチを取ることが不可欠だ。この機会に、さらにSEOに関する理解を深めたい方は、続けて「SEO初心者向けマニュアル」をご確認いただきたい。

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