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E-E-A-Tとは、経験(Experience)・専門性(Expertise)・権威性(Authoritativeness)・信頼(Trust)の頭文字を取った略語で、Google社の造語である。
Googleは、「E-E-A-T」をWebページの品質を評価するための基準として利用している。端的にいえば、E-E-A-Tが高いほど、検索結果の上位に表示されやすい。
E-E-A-Tの各要素をしっかり理解し、適切な対策を施さなければ、ビジネス機会を逃してしまうだろう。
この記事では「E-E-A-Tとは何か?」について、わかりやすく解説する。曖昧な理解ではなく、はっきり鮮明に理解することが、E-E-A-T対策の第一歩だ。
そのうえで、SEOの質を格段に向上させる、具体的なアクションを紹介する。
サイト運営において、長期的な成功を築く基盤として、本記事で解説するE-E-A-Tの知識を活用してほしい。
目次
まずは、E-E-A-Tとは何か、基本的な事項から確認しておこう。
各項目の詳細は、後ほど詳しく解説するので、ここでは全体像を把握してほしい。
E-E-A-Tは、Googleが公表している「検索品質評価ガイドライン」に登場する、Google社が作った用語だ。
検索品質評価ガイドラインとは、Googleのアルゴリズムが適切に機能しているかをテストする「検索品質評価者」向けのガイドである。
本来、担当者向けの内部資料であったが、Googleは2013年より一般公開を始めた。以降、1年に1回程度のペースで改訂され、現在に至っている。
【検索品質評価ガイドラインの歴史】
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最新版の検索品質評価ガイドラインの原文はこちらのページにあるが、全編英語で日本語訳はない。
【検索品質評価ガイドライン】
出典:Google「検索品質評価ガイドライン」2022年12月15日版
本記事執筆時点での最新版は、2022年12月15日版である。
2022年7月28日版の品質評価ガイドラインまでは、「E-A-T」という概念が使われていた。
2022年7月28日版の検索品質評価ガイドラインの記載:
3.2 Expertise, Authoritativeness, and Trustworthiness(E-A-T) The amount of expertise, authoritativeness, and, trustworthiness(E-A-T)is very important. Please consider: |
〔訳〕
3.2 専門性、権威性、信頼性(E-A-T)
専門性、権威性、信頼性(E-A-T)の度合いは非常に重要です。よく考慮してください:
E-A-Tとは、Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trustworthiness(信頼性)のことであり、これらが高いほど、高品質のページとして評価される。
2014年3月の公表から、8年以上にわたって活用されてきた「E-A-T」であるが、2022年12月に「Experience(経験)」が加わって「E-E-A-T」に進化した。
出典:Google「検索品質評価ガイドライン」2022年12月15日版
以下に、当時、Googleがブログへ掲載したメッセージを引用する。
2022 年 12 月 15 日(木曜日)
「E-A-T」という言葉が耳慣れてきたクリエイターの方は多いのではないでしょうか。これは、Google の検索ランキング システムが有益で的確な情報を提供しているか評価する際に使用されるコンセプトで、一般の人が、表示された検索結果で E-A-T(専門性、権威性、信頼性)が示されていると感じるかどうかを評価します。
このたび、検索結果の評価を改善するために、E-A-T に E(経験)を追加しました。つまり、実際に製品を使用している、実際にその場所を訪問している、誰かが経験したことを伝えているなど、コンテンツにある程度の経験が織り込まれているかどうかも評価されます。状況によっては、そのトピックに関連して実体験をもつ人が作成したコンテンツが最も高く評価される場合もあります。
出典:Google 検索セントラル ブログ 「品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加」
なお、元のE-A-Tでも、“経験”が評価されていなかったわけではない。「Expertise(専門性)」に含まれると説明されていた。
それが「Experience(経験)」として独立し、よりわかりやすく明確になったといえる。
【E-E-A-Tの概要】
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検索品質評価ガイドラインでは、
〈経験、専門性、権威性、信頼(E-E-A-T)はすべて、ページ品質評価における重要な考慮事項である〉
と明記されている。
冒頭でも触れたとおり、E-E-A-Tが高いと、Googleの検索結果において上位表示されやすくなる。これは、ビジネスにとって非常に重要な要素だ。
とりわけ、YMYL(*1)にかかわるコンテンツの場合、非常に高いレベルのE-E-A-Tが求められる。
*1:YMYLは“Your Money or Your Life”の頭文字を取った略語で、ユーザーのお金や命といった重大事項にかかわるトピックを指す。心身の健康、安全、経済的な安定、社会的影響などの種類がある。詳しくは「【2023年】YMYLとは?基本の必携知識から最新対策までアップデート」を参照してほしい。
ここからは、E-E-A-Tの要素を1つずつ、深掘りしていこう。
まずは、2022年12月に追加された《E:経験》について、以下の3つのパートに分けて解説する。
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“Experience(エクスペリエンス)”は、経験・見聞・体験(で得た知識)、といった意味である。
《E:経験》が指すものは、おもに2つある。「実体験」と「人生経験」である。
実体験とは、製品やサービスを実際に使用した経験や、特定の出来事を直接見たり、参加したりした経験を指す。
たとえば、製品レビューのコンテンツであれば、実際にその製品を使用した経験があることが、《E:経験》を高めるために不可欠である。
あるいは、「おすすめ観光地10選」のようなトピックなら、実際にそれらの観光地へ訪れた経験が、評価される。
人生経験とは、その人が生きてきた過程で蓄積されたさまざまな経験のことだ。
たとえば、親としての育児経験、ある病気の闘病体験、猫や犬を飼った経験などは人生経験として、ページ品質の評価ポイントとなる。
《E:経験》を高めるためには、実際に「やってみる」ことだ。パソコンで調べて書くのではなく、実際に体験したことを書く姿勢を身につけよう。
加えて、新しいコンテンツを作るときに、自分の人生経験を共有できないか、検討してほしい。
Googleの検索品質評価ガイドラインには、
〈経験はより主観的なものであり、個人的な語りによって共有されることが多い〉
〈(たとえば)治療を経験した他の人々の体験談は、精神的な支えとなり、何が起こるかわからないという心構えを与えてくれるかもしれない〉
といった記述がある。
貴重な人生経験を語り、誰かに受け継いでいくことは、大きな価値を生む。
SEO対策としては、高評価に値する経験を持っていることを、Googleに明示的に伝えることが必要だ。
以下はその一例である。
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専門性は、知識と技術の深度である。経験が「体験」による信頼性を築くなら、《E:専門性》は「知識と技術」によってその信頼性を裏付ける。
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E-E-A-Tにおける“Expertise(エクスパティーズ)”の日本語訳は「専門性」が定着しているが、Expertiseは「専門的技術、専門知識、専門技術、技術的知見」といった意味を持つ名詞である。
《E:専門性》が指すものを整理すると、以下のとおりとなる。
専門技術は、特定の分野での高度な技術やノウハウを持っていることだ。
例を挙げると、日本標準職業分類でいうところの、専門的・技術的職業従事者は、紛れもなく専門技術の保有者といえる。
【参考:専門的・技術的職業従事者】
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出典:総務省「日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定)」
専門的・技術的職業従事者でなくても、学術的な背景や研究に基づく深い知識を保有する人は、《E:専門性》が高いといえる。
たとえば、大学院における研究や専門機関におけるトレーニングによって、知識を習得したケースだ。
過去のプロジェクト、公表された研究、受賞歴など、エキスパートとしてのキャリアを持つ人も、《E:専門性》を評価できる。
ここで、前述の《E:経験》との重複を感じるかもしれない。
Googleは、
「E-E-A-Tについて考えると、専門性と経験が重複しているように思える。何が違うのか?」
という質問に対して、以下のとおり回答している。
Here’s one way to think about it |
〔訳〕それについて考えるひとつの方法は、以下のとおりだ。
Expertise(専門性)は、客観的でテスト可能な知識やスキルの関わることが多い。たとえば、橋の耐荷重を計算できるように。
Experience(経験)は、より主観的で、個人的な語りによって共有されることが多い。たとえば、他者への愛を経験してどう感じたか?といったように。
出典:Google「検索品質評価ガイドライン」2022年12月15日版
つまり、《E:専門性》は定量的、《E:経験》は定性的という区分ができる。
ただし、ページ品質評価において、専門性と経験を厳密に区別する必要はないと、Googleはいう。
重要なのは、そのページの目的に対して、コンテンツの信頼性がどれだけあり、ユーザーの満足度が高いか?という点である。
専門性も経験も、それを評価するためのひとつの手段に過ぎず、実際に同じトピックに対して重複していることもあるという。
もうひとつ、補足しておこう。
SEOにおいては、「特定のテーマに特化した、専門的なサイトが有利」とよくいわれる。この文脈での“専門的”とE-E-A-Tが混ざって、混乱している方がいるかもしれない。
専門性に特化すると有利な理由は、2つに整理できる。
1つめは、コンテンツ作成者が保有する《E:専門性》に適合したコンテンツを作ったほうが、そのコンテンツ(URL)のE-E-A-T評価が向上するからである。
「自分の専門領域のテーマに特化してコンテンツを作ったほうが、E-E-A-Tの評価に有利」といえる。
2つめは、「サイトのテーマが統一されているほうが、そのサイト自体が、特定テーマに対して専門的であると評価される」というメカニズムがある。
本記事では、検索品質評価ガイドラインに沿ってE-E-A-Tを解説しているため、後者のアルゴリズムについては少々話がずれるが、存在は確かと考えられている。
具体的なアルゴリズムは公開されていないが、一般的には「ドメインオーソリティ(Domain Authority)」「ドメインパワー(Domain Power)」といった用語で解説される概念が近い。
※E-E-A-Tの《A:Authoritativeness》と混ざると、また混乱してしまうので、別と考えてほしい。
より詳しく知りたい方は「ドメインパワーとは?捉え方のSEO本質論と上げる方法・数値の調べ方」を参照していただければと思う。
専門性は、この後に紹介する権威性と比較すると、自ら高めやすい要素である。たとえば、以下の実践は、専門性の向上につながる。
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身につけた専門性を証明するSEO対策としては、以下を実践しよう。
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補足として、検索品質評価ガイドラインでは、
〈ページのコンテンツ自体から、作者の経験や専門性が明らかになる場合がある〉
と指摘されている。
たとえば、Aさんがヘアスタイリングの専門家であるかどうかは、Aさんが実際にヘアスタイリングする動画を見れば、判断できる。
あるいは、メインコンテンツ以外の部分でも、コメント欄などで、Aさんの専門性がある(または欠ける)というユーザーからの評価を確認できると、指摘されている。
コメント欄やレビューも含めて、Googleは総合評価を行うと考えて、多角的に対応しよう。
専門性が個々の知識と技術に焦点を当てるのに対し、《A:権威性》は、より広い範囲での認知と影響力に関連する。
権威性は、自分ひとりでは形成できず、他者からの評価や信頼によって形成される。
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“Authoritativeness(オーソリタティブネス)”は、Authoritative の名詞形だ。Authoritative には、「権威のある、正式な、正当な権能を持った、裏付けられた」といった意味がある。
《A:権威性》が指すものを、具体的に挙げていこう。
公的な認知を受けている組織や、公的な認定を受けている個人などは、非常に権威性が高いと判断できる。
【公的認知を受けている組織・個人の例】
ノーベル賞をはじめとする、さまざまな賞の受賞は、権威性を高める。
【権威性の高い賞の例】
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その人物や組織を紹介するときに、
「一流のビジネス雑誌」「SEOの第一人者」「マーケティング論の権威」
という具合に、“一流・第一人者・権威” と形容される場合、権威性が高い。
権威性とは、「社会から、どれだけ認められているか?」を示す基準である。多くの人が「第一人者」だと認めている人物は、すなわち権威性が高いのだ。
専門性は「何を知っているか、どのような技術を持つか」に焦点を当て、権威性は「その知識や技術がどれだけ認められているか」に焦点を当てる。
権威性は、社会的な評価や、その人が持つ影響力にかかわる。
専門性が高いからといって、かならずしも権威性が高いわけではない。逆もまた然りである。
両者は比例する部分もあるが、別々の側面が大きいことを、理解しておこう。
※権威性について、より詳細に知りたい方には「権威性とは?SEOやマーケティングで使う意味と権威性を高める7ルール」がおすすめだ。
権威性は他者からの評価であるため、「業界内での評判」や「社会とのつながり」を構築することが必要だ。
以下はその一例である。
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権威性を高めた後は、それを検索エンジンにも理解させる必要がある。
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とくに重要なのが「被リンク(バックリンク)」の獲得である。
多くのサイトからリンクが張られ、推薦されたり引用されたりしているサイトは、権威性が高いと明確に証明できる。
たとえば、専門性の高いコンテンツを作成し、その内容が多くのサイトから引用されると、権威性が高まる。
良質なリンクの増やし方については、「被リンクとは?SEO効果と良質なリンクの増やし方を解説」にて詳説しているので、実践してほしい。
最後に、4つめとなる《T:信頼》を見ていこう。
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《T:信頼》は、厳密にいうと2022年12月15日の検索品質評価ガイドラインの改訂で、少し扱いが変わっている。
まず改訂前を見てみよう。
【2022年7月22日版】
3.2 Expertise, Authoritativeness, and Trustworthiness(E-A-T) The amount of expertise, authoritativeness, and, trustworthiness(E-A-T)is very important. Please consider: |
E-A-Tの3つは並列の扱いで、Tは「Trustworthiness(信頼性)」である。
一方、改訂後は以下のとおりだ。
【2022年12月15日版】
出典:Google「検索品質評価ガイドライン」2022年12月15日版
Trustworthinessは「Trust(信頼)」に変更された。E-E-A-Tは並列ではなく、経験・専門性・権威性を土台として、Trust(信頼)が中心にある。
重なった円の図解の上に書かれている英文は、
〈経験・専門性・権威性・信頼(E-E-A-T)は、ページ品質(PQ)評価において重要な要素である。
このE-E-A-Tの中で、最も重要な要素はTrust(信頼)だ〉
という意味である。
そのうえで、
〈Trust : Consider the extent to which the page is accurate, honest, safe, and reliable.〉
と書かれている。
信頼とは、そのページがどの程度「accurate, honest, safe, and reliable=正確・正直・安全・確実」であるか、という意味だ。
この4つを詳しく見ていこう。
正確さは、情報が事実と一致しているかどうかを示す。誤情報や偏見が含まれておらず、正しい情報を提供しているかが問われる。
科学的な根拠や統計データに基づいていれば、その情報は正確だといえる。
信頼性の高い文献を参照し、それを出典として明示している場合も、正確性が高いと評価できる。
正直さは、情報が誠実に、隠し事なく提供されているかを示す。誇張や偽装がないことが重要だ。
たとえば、広告を掲載する場合には「広告」と明示することが必要だ。そういった意図を隠して、ユーザーを誘導しようとするコンテンツは、正直さに欠ける。
提供されている情報が、人々や社会に対して危害を及ぼすリスクがないことを評価する。
たとえば、偏見や差別、ヘイトスピーチを助長するようなコンテンツは、安全ではない。あるいは、正確性に欠ける医療情報も危険である。
確かな情報源であり、頼りにしてよいかどうかが評価される。
たとえば、同サイトが過去にも信頼性の高い情報を提供している場合には、確かさが増強される。
《T:信頼》を高めるためには、多角的なアプローチが必要だ。以下に一例を挙げよう。
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《T:信頼》を、どう示していくかについては、その性質上、ページによって大きく異なることに留意してほしい。
Googleは以下のとおり述べている。
必要な Trust の種類と量は、ページによって異なる。
出典:Google「検索品質評価ガイドライン」2022年12月15日版
YMYLに関しては「【2023年】YMYLとは?基本の必携知識から最新対策までアップデート」の記事も参照してほしい。
さらに信頼を証明するためには、本記事で解説してきたさまざまな取り組みを、確実に実行するしかない。テクニカルに寄りすぎず、正面から勝負すべきといえるだろう。
あなたにしかできない貴重な実体験や人生経験、たゆまぬ努力で磨き上げた専門性、社会から認められて築き上げた権威性、これらの総合力が「信頼」である。
本記事では「E-E-A-T」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。
E-E-A-Tとは、Googleの検索品質評価ガイドラインに登場する用語で、以下を示している。
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本文中ではそれぞれの詳細と、向上させるための方法、証明するアクションを解説した。
E-E-A-Tは、すぐに高まるものではなく、時間をかけて醸成させていく類いのものだ。今日からE-E-A-Tを意識し、具体的な行動に移すことが、長期的な成功へつながる。
その努力が積み重なることで、検索エンジンのみならず、顧客からの信頼が高まるだろう。
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