サイトの内部SEOの最適化を考えた時に、外せない要素がパンくずリストだ。
念のため説明しておくと、パンくずリストは、通常ページの上部に表示され、今訪問者がサイトのどこの階層にいるのかを伝えるリンクのことだ。
一見、地味で特に意味のないものに思えるが、これはユーザーにとっても、検索エンジンにとっても有益なもので、 SEOにも好影響を与える。
そこで、このページではパンくずリストの役割やWordPressでのパンくずリストの設定方法をご紹介する。
1.パンくずリストの役割
パンくずリストの役割は大きく分けて2つある。
- ユーザーに今サイト内のどこにいるのかを伝える。
- 検索エンジンのロボット(クローラー)がサイト内を巡回しやすくする。
早速、一つずつご説明する。
1−1.ユーザーに今サイト内のどのページにいるのかを伝える
パンくずリストがあることで、サイトに訪れたユーザーが、サイト内のどこにいるのかが分かり、上の階層にあるコンテンツを辿っていくことができるようになる。
例えば、下の図の左下の記事Aに訪れた人は、パンくずリストがあることによって「これは内部SEOに関するページの一つだな。」ということが分かり、内部SEOに関する他のページを見たい時は、そこのリンクをクリックすれば良い。
このパンくずリストがあるかないかで、サイトのユーザビリティは大きく変わる。この有用性を、より具体的に理解するために、まずは以下のアナリティクスのデータを見て欲しい。
これは、月間100万PVあるクライアントサイトの流入ページの 上位10ページだ。
この中に、トップページが入っていない点に注目して欲しい。
つまり、コンテンツSEOでしっかりとサイトを運営していると、サイトトップではなく一つひとつの記事から流入してくる読者の方が圧倒的に多くなる。(下図参照)
それらのひとつひとつのページに訪問してきた時に、パンくずリストで、
と表示されていれば、訪問者は、「このページは、SEOカテゴリーの中の、コンテンツSEOというサブカテゴリーにあるページだな」ということが理解できる。
そして、コンテンツSEOのサブカテゴリをクリックすれば、コンテンツSEOに関する他の記事を探すことができるし、SEOのカテゴリをクリックすれば、SEOに関する他の記事を探すことができる。
これがパンくずリストの役割の一つだ。
もう一つ、パンくずリストはSEOの側面での役割もある。
1−2.クローラーがサイト内を巡回しやすくなる
『robots.txtの書き方と効果的な活用法』で言及しているように、クローラーの巡回頻度や、巡回効率は、サイトのSEOに大きな影響を与える。
そして、パンくずリストは、正にクローラーの巡回効率の改善のために有用なものだ。
なぜなら、パンくずリストがあることによってクローラーが、サイトに関する以下の情報を理解できるようになるからだ。
- 今いるページがサイト内のどこに位置するのか
- 運営者が、サイト内のどのページを重要と考えているのか
- そのサイトがどのようなトピックを扱っていて、どのようなサイト構成になっているのか
これらは全て、クローラーが巡回し、データベースにインデックスし、ランキングが決まるという検索エンジンのステップに好影響を与えるものだ。
サイトにクローラーが回ってきて、検索順位が決まるまでのステップは、『検索エンジンの仕組み』を見て抑えておこう。また、現在のクローラーは、実際の人間の行動にかなり近付いている。つまり、人間にとって本当に使いやすいサイトを作ったら、結果的にそれがSEOにとっても効果的だということだ。
以上の点から、サイトの内部SEOを改善するために、パンくずリストは必ず導入するようにしよう。
2.パンくずリストを作成する時に心がけるべき3つのこと
作る時に心がけておきたいことをご説明する。
2−1.サイトのカテゴリー構成を常に明確にしておくこと
パンくずリストの最適化は、サイトの規模が大きくなればなるほど難しくなる。なぜなら、サイトの根本的なコンテンツ設計が関わってくるからだ。
考えてみて欲しい。パンくずリストは、
という形で表示される。つまり訪問者にとって本当に分かりやすいパンくずリストを作るためには、大前提として、サイトのコンテンツプランを綿密に行っておく必要がある。
そして、そのコンテンツプランを基に、ユーザーにとって最も使いやすいサイトになるには、どのようにカテゴリー分けをしたら良いかを考えておく必要がある。
極端な例だが、ずさんなコンテンツプランをもとにサイトを作っていると、例えば、パンくずリストは、
のように非常に分かりにくいものになってしまう。これだと、一体どのようなサイト構造になっているのか、誰も理解できないだろう。
しかし、
となっていれば、今いるページが「SEO」カテゴリー下にあることが分かり、他にもSEOに関するページが豊富にありそうだということが感覚的に理解できる。もちろん、ユーザーだけでなく、検索エンジンのクローラーにとっても、前者より後者の方が遥かに理解しやすい。(=SEOに高評価)
このようにサイトのコンテンツプランが雑だと、せっかくパンくずリストがあっても、その本来の役割を果たせなくなってしまう。
2−2.カテゴリにSEOキーワードが含まれるように設計すること
カテゴリ構成の設計の際に重要なことが、SEOキーワードを考慮にいれることだ。
なぜなら、先ほどの
の例だと、「バズ部の物語」というタイトルのページがあることになる。しかし、「バズ部の物語」という言葉は一体月間で何回検索されるだろうか?ほぼゼロに近いだろう。
一方、
となっていれば、「SEO」という月間検索数が非常に大きいタイトルのページがある。つまり、「SEO」というキーワードで上位表示される可能性を高めることができるのだ。
この時に、サイト構成をしっかりと行っていると、SEOカテゴリの中にある一つひとつのページからの内部リンク効果が集まる。(下図参照)
このようにカテゴリのページには内部リンクの効果が集まりやすいため、ビッグキーワードを設定しておくと、そのビッグキーワードを攻略しやすくなる。(※もちろん、ビッグキーワードを設定するカテゴリページは、ユーザーを120%満足させるコンテンツになっていなければいけない。)
このように、パンくずリストの最適化は、単に設定だけの問題ではなく、サイトのカテゴリ構造やコンテンツプランを見直しが必要なものだ。
もし、あなたが、これからサイトを作るという場合や、サイトを始めて間もないため、まだまだ改善が間に合う場合は、何よりもまず、『キーワード選定とコンテンツプラン』を読んで、サイトのコンテンツ計画をしっかりと整えておこう。
それを怠ると、最悪の場合、この悪例のサイトのようになってしまう。
2−3.パンくずリストは基本的に全てのページに設定すること
パンくずリストは基本的に全てのページに設定するようにしよう。
ただし、トップページや、SEO面よりもコンバージョン率を上げることが重要なランディングページなど、そもそも階層構造を伝える必要がないページには不要だ。
3.パンくずリストの設定方法(WP)
最後にWordPressでのパンくずリストの設定方法をご紹介する。(※microdata 又は RDFa が分かる方は、Google のリッチスニペット – パンくずリスト を参考にしよう。)
WordPressを自作のテーマではなく、公開されているテンプレートのいずれかを使っている方は、極力最初から、パンくずリストが導入されているテンプレートを選ぶようにしよう。そうすると、わざわざテンプレートタグを編集したりプラグインを追加する必要はなくなる。
3−1.テンプレートタグを編集する方法
テンプレートタグを編集する方法は、Web Design RECIPES の『パンくずリストを作ってみるとWordPressでのサイト構築のコツがつかめるかもしれない』で紹介されている。また、WordPressでパンくずリストを設定するべきページの種類なども細かく解説されているので、非常に参考になるだろう。
3−2.プラグインで簡単に実装する方法
WordPressの場合、Breadcrumb NVXTというプラグインを使えば簡単にパンくずリストを設定することができる。しかし、最近では、最初からパンくずリストが導入されているテンプレートも多いので、そうしたものを選ぶ方が得策だろう。
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