Webサイトにおけるサブディレクトリとは、ドメインの下層に設置されたディレクトリのことだ。
例えばあなたが今読んでいる「バズ部」も「lucy.ne.jp」というドメインの下層に作成したサブディレクトリを使って運営している。
Webサイトの運営に携わって間もないと、このサブディレクトリというのは「分かるようで分からない」概念ではないだろうか?
しかし、実はそんなに難しく考える必要はなく、普段からパソコンを使用している人ならすぐにサブディレクトリがどのようなものか把握できるはずだ。
そこで、ここではサブディレクトリについて正しく理解を深めるために、以下の内容をお伝えする。
- サブディレクトリとは何か
- サブディレクトリとサブドメインの違い
- サブディレクトリを作る際に気をつけるべきこと
- サブディレクトリの作成方法
これらは、Webサイト運営やコンテンツマーケティングを行う上で非常に重要な基礎知識なので、確実に押さえておこう。
1. サブディレクトリとは
冒頭でもお伝えした通り、サブディレクトリとはドメインの下層に設置されたディレクトリのことだ。
とはいえ、この説明だけではサブディレクトリがどういうものかイマイチ分かりづらい。
そこでまずは、サブディレクトリの言葉の意味と役割を具体的に説明していくので、基礎的な理解に役立てて欲しい。
1-1. ディレクトリとはフォルダのこと
まずサブディレクトリをより理解しやすくするために、言葉の説明から始めたい。
というのも、あなたがサブディレクトリについて「分かるようで分からない」と感じているのは、そもそもディレクトリという言葉に聞きなじみがないからではないだろうか?
実はこの「ディレクトリ」というのは、「フォルダ」と言い換えることができる。パソコンを普段から使っていれば、「フォルダ」がどういうものかはお分かりだろう。
ご存知の通り、フォルダはデスクトップに作成することもできるし、あるフォルダの内部にさらにフォルダを作ることもできる。
サブディレクトリの本来の意味は、この「フォルダの内側に作られたフォルダ」のことを指すのだ。
これならサブディレクトリがどういうものか、イメージしやすいはずだ。
1-2. Webサイトにおけるサブディレクトリとはドメイン下層に作られたフォルダのこと
サブディレクトリの言葉の意味は、「フォルダ内に作られたフォルダ」であることは説明した通りだ。
この意味をWebサイトという範囲に絞って説明すると、
サブディレクトリ = ドメインの下層に作られたフォルダ
と言うことができる。
これではまだ少し分かりづらいので、それぞれの言葉についてもう少し考えてみよう。
まずドメインというのは、各フォルダの一番外側にある場所と考えて欲しい。つまり、パソコンで言うところのデスクトップのような場所がドメインだ。
※厳密に言うとパソコン内の最上位階層はデスクトップではないが、ここでは分かりやすさを優先してデスクトップと説明している。
そしてドメイン下層(内部)に作られた、Webサイトのデータをグループごとに格納したフォルダがサブディレクトリにあたる。
これをよくあるコーポレートサイトを例に図示すると次のようになる。
ここまでで、
Webサイトにおけるサブディレクトリ=ドメインの下層に作られたフォルダ
ということがイメージしやすくなったのではないだろうか。
1-3. サブディレクトリの役割はドメインの配下に各種ページを作ること
サブディレクトリを活用することで、同じドメイン(一つのWebサイト)の中にさまざまなページやメディアを作成し、表示させることができる。
例えば、弊社のドメインである「lucy.ne.jp」の下層には「bazubu/」というサブディレクトリが設置されている。これによって「lucy.ne.jp」というドメイン内で当メディア「バズ部」を表示できている。
その他にも「message」というサブディレクトリも設置してあり、同じ「lucy.ne.jp」内で弊社代表のメッセージも表示させることができている。
このことは各ページのURLにも表れている。
・バズ部URL
▶︎https://lucy.ne.jp/bazubu/
・代表メッセージURL
▶︎https://lucy.ne.jp/message
このようにドメインにぶら下げる形でサブディレクトリを設置することで、同じドメインの中で別のページを表示させることができるのだ。
1-4. サブディレクトリは整理されたWebサイト構成に欠かせないもの
「同じドメインの配下に各種ページを作る」というサブディレクトリの役割は、整理された見やすいWebサイトを構成するためには必要不可欠だ。
例えば一般的なコーポレートサイトには、トップページだけでなく会社概要や問い合わせページが用意されており、中には集客用のメディアやブログを作成している場合もある。
もしサブディレクトリが利用できなければ、そのような各ページはトップページに全て掲載するか、ページごとにドメインを作るしかなくなる。
これが非常に不便で非効率的なことだというのはお分かりいただけるだろう。また、ユーザーにとって見づらいWebサイトであることは言うまでもない。
つまり、サブディレクトリを活用し、同じドメイン下で適切にページを分けることで、世のWebサイトはまとまりのある見やすい構成を実現できているのだ。
2. サブディレクトリとサブドメインの違い
サブディレクトリがどういったものか分かってきたところで、サブディレクトリと混同しやすい「サブドメイン」についても説明しておく。
サブディレクトリについて学んでいけば、
「サブディレクトリとサブドメインは何が違うのだろう?」
という疑問がいずれ生じるはずなので、今のうちに知っておいて損はないだろう。
サブドメインとは、元のドメインを分割したドメインのことだ。
サブディレクトリとの根本的な違いは、サブドメインを使って制作したWebサイトと元のドメインのWebサイトが検索エンジンから別物として認識される点だ。
※ただし一定の関係性があることは認識される
サブドメインを活用して幅広いWebサイトを運用している例に、Yahoo!Japanがある。Yahooの名を冠するWebサイトに、Yahoo!ニュースやYahoo!ショッピング、ヤフオク!などがあるが、これらは全て元ドメインである「yahoo.co.jp」のサブドメインを使って運用されている。
各サイトのURLを見れば、そのことが分かる。
・Yahoo!Japan
(元ドメイン「yahoo.co.jp」で運用しているサイト)
▶︎https://www.yahoo.co.jp/
・Yahoo!ニュース
(サブドメイン「news.yahoo.co.jp」で運用しているサイト)▶︎https://news.yahoo.co.jp/
・Yahoo!ショッピング
(サブドメイン「shopping.yahoo.co.jp」で運用しているサイト)▶︎https://shopping.yahoo.co.jp/
・ヤフオク!
(サブドメインauctions.yahoo.co.jp」で運用しているサイト)▶︎https://auctions.yahoo.co.jp/
このように、元のドメインに「〇〇.」を付けて分割したドメインがサブドメインであることを、まずは覚えておこう。
こうしたサブドメインとサブディレクトリには、それぞれ以下のような特性がある。
サブディレクトリ |
サブドメイン |
|
利用シーン |
本体サイトと関連性の高いテーマを扱うページ・メディアを作成する場合 |
本体サイトとは異なるテーマを扱うページ・メディアを作成する場合 |
SEOへの影響 |
適切に使用していればOK |
適切に使用していればOK |
元ドメインの WebサイトのSEO評価 |
引き継ぐ |
ほぼ引き継がない |
ここでは、このようなサブディレクトリとサブドメインの違いや類似する点について説明する。
2-1. サブディレクトリとサブドメインでは利用シーンが異なる
まず、サブディレクトリとサブドメインでは利用シーンが以下のように異なることを理解しておこう。
サブディレクトリ |
サブドメイン |
|
利用シーン |
本体サイトと関連性の高いテーマを扱うページ・メディアを作成する場合 |
本体サイトとは異なるテーマを扱うページ・メディアを作成する場合 |
すでに説明している通り、サブディレクトリを使用すればドメインの下層にさまざまなページを作成することができる。つまり、サブディレクトリで作成するページは本体サイト内で表示されるということだ。
そのため、サブディレクトリを使って作成するのは、本体サイトとある程度関連性のあるページやメディアである必要がある。
例えば、レストランの公式サイトの中に全国の大学の偏差値を紹介するページがあるような状態は、ユーザーの混乱を招くからだ。
そのように本体サイトとの関連性が極めて低いページやコンテンツを、自社のブランドをある程度保持しながら公開したい場合に利用すべきなのが、サブドメインだ。
サブドメインを使えば、元ドメインを分割して独立した別サイトを立ち上げることができる。
先程のYahoo!の例のように「yahoo.co.jp」という言わばブランド部分をドメインに残しつつ、ニュースサイトやショッピングサイトという全く別のサイトを運用する際に適しているのがサブドメインなのだ。
2-2. サブディレクトリとサブドメインの選択自体はSEOに影響しない
コンテンツマーケティングによるWebサイトへの集客を行うなら、サブディレクトリとサブドメインのどちらを選べば、より高いSEO評価が得られるか気になるところだろう。
まず結論を言うと、サブディレクトリとサブドメインの選択自体はSEOには影響しないというのが定説だ。
サブディレクトリ |
サブドメイン |
|
SEOへの影響 |
適切に使用していればOK |
適切に使用していればOK |
これはGoogleも明言していることなので、公式情報の一つとして知っておいて欲しい。
しかしその一方で、企業や公的機関の元ドメインが発信するコンテンツは高いSEO評価を得やすいという事実もある。
実際、弊社が支援する企業のブログメディアをサブドメインや別ドメインからサブディレクトリに移設しただけで、各コンテンツの検索表示順位が上がり、PV数が伸びたケースは50件以上に及ぶ。中にはPV数が約20倍となったケースもある。
こうしたことから、新たにメディアを公開する予定があって、そのテーマが元ドメインのWebサイトと著しくかけ離れていない場合には、サブディレクトリを使って運営することをオススメする。
2-3. 本体サイトから引き継ぐSEO評価の程度はサブディレクトリとサブドメインで違う
元ドメインのWebサイトから受け継ぐSEO評価の程度には、サブディレクトリとサブドメインで大きな差がある。
サブディレクトリ |
サブドメイン |
|
元ドメインの WebサイトのSEO評価 |
引き継ぐ |
ほぼ引き継がない |
サブディレクトリを使って作成したページやメディアは、検索エンジンから元ドメインのWebサイト(本体サイト)の一部として認識される。そのため、元ドメインが受けているSEO評価はサブディレクトリで作成したページにもそのまま引き継がれる。
つまり、あなたの会社のコーポレートサイトのドメインがGoogleから良い評価を得ていれば、それがそのままサブディレクトリで運用する新メディアにも適用されるということだ。
新メディアで良いコンテンツを生成すれば、そのクオリティに応じてPV数も短期間で伸びることが期待できる。
対してサブドメインで運用するメディアやページは、基本的には元ドメインのWebサイトとは別物と認識されるため、元ドメインの評価を引き継ぐことはできない。もう少し正確に言えば、かなり小さな程度でしか引き継ぐことができない。
このため、サブドメインで新たなメディア運用する場合、元ドメインがGoogleから高評価を得ていても、新メディアが評価されてPV数が伸びてくるまでには時間を要することになる。
注: ・本体サイトに貼られたサブドメインサイトのリンク はどちらも内部リンクとしてカウントされるので留意しておこう。 |
3. サブディレクトリを用いる際に気をつけるべきこと
ここからは、実際にサブディレクトリを使って新たなページやメディアを運用する際に役立つ実用的な情報を紹介する。
まずは、サブディレクトリを用いる際に気をつけるべきことを見ていこう。具体的には次の3点だ。
- サブディレクトリ内のコンテンツが本体サイトのテーマから逸脱しないようにする
- 階層構造はできるだけシンプルにする
- 本体サイトとSEO評価を共有していることを把握する
一つずつ詳しく説明する。
3-1. サブディレクトリ内のコンテンツが本体サイトのテーマから逸脱しないようにする
サブディレクトリを使って作成するページやメディアのテーマは、本体サイトのテーマから大きく逸脱してはならない。
すでにお伝えした通り、サブディレクトリを用いて作成するページ・メディアは大元のWebサイト配下に存在することになるからだ。
レシピサイトには料理関連の情報が掲載されるべきだし、住宅リフォーム会社のコーポレートサイトには住まいに関する情報が掲載されるべきだ。そのように一つのWebサイト内でテーマが統一されていることが、ユーザーの効率的な情報収集に貢献することはお分かりだろう。
また、Webサイト内でテーマを統一することで、そのサイトが「何を専門としているのか」をユーザーや検索エンジンに示しやすくなる。こうした専門性がWebサイトを評価する上で重要な要素であるということは、Google側も明記している。
※参照:検索品質評価ガイドライン
こういったことから、サブディレクトリ内のコンテンツテーマを本体サイトのテーマから逸脱させないことは、ユーザーにとってもSEOにとっても重要であることがお分かりいただけるだろう。
3-2. ディレクトリ構造はできるだけシンプルにする
特にサブディレクトリを使ってメディアを運営する際に気をつけて欲しいのが、ディレクトリの構造をシンプルにすることだ。
構造がシンプルであれば、ユーザーが必要な情報に辿り着きやすくなるからだ。
例えば、次の2つのディレクトリ構造を見比べてみて欲しい。
・サイトA
こちらのサイトAは、メディアのカテゴリ直下に各記事が配置されたシンプルな構造となっている。
・サイトB
対してサイトBは、メディアを作成したサブディレクトリの内側にサブディレクトリやファイルが乱立していて、ごちゃごちゃした構造である。
AとBを比べてみると、Aの方はサイト内のどの場所からでも必要な情報に簡単に辿り着けて、回遊しやすいことが分かる。
一方Bのような構造では、カテゴリや記事を行き来している間に、「今サイト内のどの部分を見ているか」分からなくなってしまう。それでは次に読みたい記事やカテゴリにも辿り着きにくい。
このようにユーザーが現在地を見失うような構造は、SEO的にもマイナスとなってしまう。
サブディレクトリを使う際には、ユーザーのためにもSEO評価のためにも、Aの例のようにユーザーが効率良く情報を得やすいシンプルな構造になるよう注意しておこう。
3-3. 本体サイトとSEO評価を共有していることを把握する
サブディレクトリで作成するページやメディアのSEO評価と、本体サイトのSEO評価は、互いに影響することをきちんと把握しておこう。
先に説明した通り、サブディレクトリで作成したコンテンツは本体サイトのSEO評価を引き継ぐ。
その一方で、サブディレクトリのコンテンツに対するSEO評価も本体サイトに影響を及ぼすのだ。
つまり、サブディレクトリで作成したページやメディアがSEOにおいて低評価を受けてしまうと、その影響が本体サイトにも及ぶということだ。
せっかく本体サイトが良い評価を得ていても、サブディレクトリのコンテンツの質が低いと、本体サイトの評価も下がってしまう。
そのような事態を避けるために、本体サイトとサブディレクトリ内のコンテンツがSEO評価を共有していることを念頭に置き、新たに作成するページやメディアの質に徹底的にこだわるようにして欲しい。
4. サブディレクトリの作り方【WordPress】
サブディレクトリを用いる際に気をつけるべきポイントも分かったので、いよいよサブディレクトリを作成してみよう。
ここでは、サブディレクトリを使ったメディア(WordPress)運用を想定して、サブディレクトリの作成手順を説明する。
説明に使うサーバーはXサーバーだが、他のレンタルサーバーでも大きく手順は違わないはずなので、一通り目を通しておいて欲しい。
まず、既存サイトのサーバーパネルにログインしよう。
ログインすると、以下のようなサーバーパネルトップ画面が表示されるので、「WordPress簡単インストール」をクリックする。
ドメイン選択画面が表示されるので、サブディレクトリを作成したいWebサイトのドメインを選択する。
ドメインを選択したら、「WordPress簡単インストール」画面に遷移するので、「WordPressインストール」タブをクリックして必要事項を入力していく。
各項目について、以下の説明も確認しておこう。
・インストールURL ・ブログ名 ・ユーザ名 ・パスワード ・メールアドレス ・キャッシュ自動削除 ・データベース |
入力が終わったら確認画面へ進み、「インストールする」をクリックすれば、サブディレクトリ内にWordPressがインストールされる。
これでWordPressブログのためのサブディレクトリが作成できた。
続けてWordPressの初期設定を行う場合は『WordPressインストール後すぐやっておきたい6つの初期設定』を参考に進めていこう。
5. まとめ
サブディレクトリがどういったものか、お分かりいただけただろうか。
サブディレクトリを用いれば、既存のWebサイトの配下に新たなページやメディアを作成することができる。
今回説明したことを踏まえて適切にサブディレクトリを使い、ユーザーにとってもSEO評価にとっても最大限プラスとなるコンテンツを作り上げていこう。
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