あなたのオウンドメディアは、なぜ失敗するのだろうか。
—— 目的設定があいまいだから?ターゲットの理解が甘いから?人手不足だから?
どれも、よくある話だ。
しかしながら、実務に携わっている人なら、もっと具体的で、ピンポイントの指摘が欲しいのではないだろうか。
抽象的な話をしても、「で、今日、うちのオウンドメディアを、どう改善する?」というアクションには、結びつかないからだ。
そこで本記事では、オウンドメディア失敗の解剖学と称して、具体的な14の失敗を解説する。
オウンドメディアの失敗を大雑把に捉えるのではなく、高い粒度で把握して行動したい人・結果を出したい人は、ぜひ参考にしてほしい。
さっそく1番目の失敗から、見ていこう。
目次
失敗1:過度な販促・プロモーション
1番目の失敗は「過度な販促・プロモーション」である。
オウンドメディアを立ち上げた企業が最初に乗り越えるべき難関は、
「オウンドメディアを、販促・プロモーションの場にしない」
という、価値観のシフトである。
企業はしばしば、自社の製品やサービスを前面に出し過ぎ、ユーザーに提供する価値を二の次にしてしまう。
せっかく信念を持ってオウンドメディアを立ち上げたはずなのに、気付けば、コーポレートサイトやランディングページと同じことをしている。
オウンドメディアの本質は、販売促進ではなく、ユーザーに対する価値提供にある。
たとえば、商品の特長を紹介するよりも、顧客が直面する問題の解決法を提案することで、ユーザーの信頼と関心を引くことができる。
- 顧客のニーズへの焦点:製品・サービスの特長ではなく、顧客が直面する課題や問題の解決に焦点を当てる。
- 啓蒙的コンテンツの提供:業界の専門情報やハウツー記事を提供し、ユーザーが実生活で役立つ情報を得られるようにする。
- ストーリーテリング(*1)の活用:商品・サービスの特長を伝えたい場合は、直接的に伝えるのではなく、どのように顧客の生活を豊かにするかを、物語形式で伝える。
*1:ストーリーテリングとは、物語を話して聞かせることを指す。詳しくは、「まだ誤解されがちなストーリーテリング|その本質と実践のコツとは」を確認してほしい。
失敗2:エンゲージメントに対する無配慮
2番目の失敗は「エンゲージメントに対する無配慮」である。
エンゲージメント(engagement)とは、企業と顧客との関わり合いや結びつきを指す概念だ。
あなたのオウンドメディアで、ユーザーとのエンゲージメントを高めるために、何をしているだろうか。
オウンドメディアにおいて、ユーザーと積極的に関わる機会を設けなければ、成果は半減するといっても過言ではない。
ユーザーが直接参加し、意見を交換できる環境を整えることが、信頼の獲得と関係性の構築につながる。
- コメント欄の活用:記事下にコメント欄を設け、ユーザーからのフィードバックや質問に積極的に返答する。ユーザーが自らの意見を表明できる場を提供することで、コミュニティ感を醸成し、サイトへの定着を促す。
- ソーシャルメディアでの対話:FacebookやXなどのプラットフォームを通じて、ユーザーと交流する。投稿に対するリアクションやコメントを契機に、ユーザーとの距離を縮める。
- アンケートや投票:ユーザーの意見を直接聞くためのアンケートや投票を定期的に実施する。ユーザーが関心を持つテーマについて意見を求め、その結果をコンテンツに反映させることで、ユーザーの関与を深める。
- ユーザー生成コンテンツの推進:ユーザー自身によるコンテンツ投稿を奨励する。たとえば、写真コンテストや体験談の募集などを通じて、ユーザーが積極的に参加する機会を創出する。
- 定期的なフィードバックの公開:ユーザーから寄せられた意見や提案を定期的に検討し、それに基づいた改善策をサイト上で公開する。ユーザーが自らの意見が反映されることを実感できるようにする。
失敗3:気ままなコンテンツ更新
3番目の失敗は「気ままなコンテンツ更新」である。
前提として、定期的な規則正しい更新が、すべてのオウンドメディアに求められるわけではない。しかし、オウンドメディアの立ち上げ初期には、更新頻度は気にしてほしい。
多くの担当者が失敗するのは、すでに成功しているオウンドメディアの更新状況を参考にするからである。
「ベンチマークにしている○○メディアは、月に2〜3回しか更新していないから、それでいいや」
と考えるのは危険だ。
参考にすべきなのは、ベンチマークにしている○○メディアが、自社と同じフェーズのとき(オウンドメディア立ち上げ初期なら初期)に何をしていたか?である。
オウンドメディアの愛読者が増えて、運営が軌道に乗るまでは、気ままに更新するのではなく、戦略的に更新すべきだ。
- 更新頻度の設定:週に何回、または月に何回更新するのかという頻度を事前に決め、それを守る。たとえば、「毎週水曜日に新しい記事を公開する」など、ユーザーが覚えやすいリズムを作る。
- コンテンツカレンダーの活用:公開するコンテンツのテーマや日付を事前に計画し、コンテンツカレンダーにまとめる。これにより、一貫性のあるコンテンツ提供が可能になる。
- 事前制作とストック:繁忙期やコンテンツ制作が難しい時期に備え、複数の記事を事前に制作しておく。
- 品質と量のバランス:定期的な更新を実現するために、コンテンツの品質と量のバランスを考慮する。量を追求するあまり、品質が低下することがないよう注意する。
失敗4:SEO対策の怠慢
4番目の失敗は「SEO対策の怠慢」である。
オウンドメディアを成功に導くためには、SEO(検索エンジン最適化)の重要性を、見過ごすわけにはいかない。
SEOへの取り組みを怠ることは、潜在的な顧客を逃すことを意味する。オウンドメディアの可能性を大きく制限してしまう。
「でも、最近、Google検索はオワコンって聞くけど?」
という声もあるかもしれない。
たしかに、オウンドメディアへの集客経路は多様化している。
しかしながら、少なくとも現在(2024年)、Googleからの集客はオウンドメディアにとって非常に重要だ。
成功しているオウンドメディアは、検索エンジン経由で大量のアクセスを引き寄せ、それを売上の源泉としているのが現実である。
- キーワードリサーチの徹底:ターゲットとする顧客がよく使う検索フレーズをもとに、最適なキーワードを選定する。この手順は、制作するコンテンツをユーザーの検索意図と合致させるために欠かせない。
- タイトルやメタタグの最適化:各ページのタイトルタグとメタディスクリプションに、選定したキーワードを適切に含める。
- 内部リンクの強化:サイト内のコンテンツ間で適切な内部リンクを構築する。検索エンジンに対してコンテンツの相互関連性を示し、サイト全体のSEOを強化する。
- 被リンクの獲得:他サイトからのリンクを獲得することで、サイトの信頼性や権威性を高める。質の高いコンテンツを作成し、自然なリンクを促すことが肝要だ。
※SEOに関しては、以下の記事で学びを深めてほしい。
- ガッツリ取り組みたい人向け⇒ SEO初心者向けマニュアル
- ざっくり概要をつかみたい人向け⇒ SEO対策とは?初心者が自分でできる基本対策をわかりやすく解説
失敗5:データに基づかない意思決定
5番目の失敗は「データに基づかない意思決定」である。
データドリブン(データ駆動型、データや分析結果に基づいて判断を下すアプローチ)の重要性を知ってはいても、きちんと実行できている企業は少ない。
オウンドメディア運営において、直感や未検証の仮説に頼った意思決定は、効果的な成果を妨げる大きな落とし穴だ。
客観的なデータを根拠として戦略を立て、実施することが、成功への鍵となる。
- 分析ツールの活用:Google Analyticsやその他の分析ツールを使って、サイト訪問者の行動やコンテンツのパフォーマンスを定期的にモニターする。これらのツールは、訪問者がどのページをどのくらいの時間閲覧しているか、どのコンテンツが最もエンゲージメントを生んでいるかなど、貴重な洞察を提供してくれる。
- パフォーマンスの定量的評価:各コンテンツの閲覧数、滞在時間、ソーシャルメディアでの共有数などの指標を用いて、コンテンツの成果を定量的に評価する。どのトピックやフォーマットがユーザーに受け入れられているかを、具体的に理解できる。
- A/Bテストの実施:異なるタイトルやコンテンツのレイアウトを試すA/Bテストを通じて、最も効果的な要素を見極める。ユーザーの反応に基づいた改善が可能となる。
※分析ツールについては、以下の記事も参照してほしい。
失敗6:アイデンティティの破綻
6番目の失敗は「アイデンティティの破綻」である。
ここでいうアイデンティティとは、“ひとりの人間の個性” といった意味合いで捉えてほしい。発信体としてのオウンドメディアには、人格(キャラクター)が宿る。
私たちは、誠実で信頼できる人格と、長く付き合いたい。オウンドメディアもそうだ。
しかしながら、オウンドメディアが多種多様なコンテンツを展開したり、外注ライターに記事を委託したりするなかで、主張や見解に、矛盾を生じることがある。
「ある記事ではこのように主張しているのに、別の記事ではまったく反対のことを言っている」
といった現象である。
矛盾に気付いたユーザーは、混乱したり不信感を抱いたりする。
オウンドメディアのアイデンティティを明確にし、一貫性を確保することが重要だ。
- コンセプトの明確化:オウンドメディアが伝えたい核心メッセージや目指すイメージをはっきりと定める。この基本コンセプトが、すべてのコンテンツ制作の礎となる。
- ガイドラインの策定:伝えたい主張や大切にする価値観、表現のトーンやスタイルを定義したガイドラインを作成する。これをすべてのコンテンツ制作者が参照し、一貫性を保つ。
- 編集プロセスの強化:提出されたコンテンツがガイドラインに沿っているかをチェックする編集プロセスを設ける。これにより、コンテンツの品質と一貫性を担保する。
- 外部ライターの教育:外注する場合でも、ライターにガイドラインを共有し、正確に反映させるための研修を行う。アイデンティティを理解したうえで、それに基づいた記事を執筆してもらう。
失敗7:CTA戦略の欠如
7番目の失敗は「CTA戦略の欠如」である。
CTA(Call To Action:行動喚起)は、オウンドメディアに訪れたユーザーを具体的なアクションに誘導することだ。
たとえば、
- ホワイトペーパーやeBookのダウンロード
- メールマガジンの登録
- メールフォームからの問い合わせ
- ウェビナーへの参加申し込み
- 商品・サービスの購入
などが挙げられる。
CTAは、オウンドメディアに集めたアクセスを、ビジネス成果に転換させる要である。
適切なCTA戦略がなければ、ユーザーが次に取るべき行動が不明確になり、コンバージョンの機会を逃すことになる。
- 魅力的なオファー:ユーザーの関心を引き、行動を促すためには、魅力的なオファー(行動を起こすきっかけとなる特典や特別な提案)を準備する必要がある。
- 目立つが邪魔にならないデザイン:CTAは、ユーザーの注意を引くために目立つ必要がある。しかし、サイトの読みやすさやデザインを損なわない配慮が必要だ。
- 具体的な表現:「無料でダウンロードする」「お得に申し込む」など、明確で直接的な表現を使う。ユーザーが何をすべきかを即座に理解できるようにする。
- 関連性のあるCTAの選択:CTAを配置する記事の内容や、アクセスするユーザーの興味に基づいたCTAを選ぶ。関連性が高いCTAほど、クリック率が高くなる。
- テストと最適化:異なるCTAの文言やデザインをA/Bテストなどで試し、最も効果的なものを見つける。定期的にテストを行い、CTA戦略を最適化する。
失敗8:妄想ペルソナ
8番目の失敗は「妄想ペルソナ」である。
ペルソナとは、ターゲットとなる顧客層を、 実在する人物のように具体的な人物像として描く手法だ。
オウンドメディアの戦略立案において、ターゲット顧客のペルソナ設定は、欠かせない要素である。
しかし、実際のデータを無視し、企業側の都合や理想に基づく「妄想ペルソナ」を作成することは、オウンドメディアの失敗に直結する。
実在する顧客の行動やニーズを反映していないペルソナは、効果的なコンテンツ戦略を妨げ、ターゲットとするユーザーとのミスマッチを生じさせるからだ。
- 市場調査の実施:ターゲットとなる市場の調査を通じて、潜在顧客の情報を収集する。
- 顧客インタビューの実施:実際の顧客にインタビューを行い、ニーズ・悩み・関心事を直接聞き出す。顧客の声に耳を傾けることで、よりリアルなペルソナを構築できる。
- オンライン行動の観察:ソーシャルメディアやサイト分析ツールを用いて、顧客がオンラインでどのような行動を取っているかを観察する。よく訪れるサイト、ソーシャルメディアの投稿、検索に使うフレーズなどから顧客の興味を探る。
- ペルソナの定期的な見直し:市場や顧客の状況は常に変化するため、ペルソナもそれに応じて更新する必要がある。定期的にデータを見直し、ペルソナを現状に合わせて調整する。
※具体的なペルソナ設定の手順については、以下の記事を参照してほしい。
失敗9:既知情報の寄せ集めコンテンツ
9番目の失敗は「既知情報の寄せ集めコンテンツ」である。
記事を作成する際に、検索上位の記事を調べ、それらを取りまとめたようなコンテンツを、自社のオウンドメディアに掲載していないだろうか。
オウンドメディアにおいて、既存の情報を単に再構成して提供することは、ユーザーに新たな価値を生み出さない。
このようなアプローチは、サイトの信頼性や専門性を損ね、最終的にはユーザーから拒否される。
オウンドメディアの存在意義は、独自の視点や深い洞察、新しい情報を通じて、ユーザーに価値を提供することにある。
- 自社の専門性の発揮:自社が持つ専門知識や経験を活かして、独自コンテンツを作成する。個性と専門性を際立たせる。
- 独自調査の実施:市場や業界に関する独自の調査や分析を行い、その結果をコンテンツに反映させる。自社で収集したデータや洞察は、ほかでは得られない価値ある情報となる。
- 専門家へのインタビュー:業界の専門家やオピニオンリーダーにインタビューを行い、その知見や視点をコンテンツに取り入れる。専門家の声は、コンテンツの権威性を高める。
- 最新研究の活用:最新の研究や学術論文から得られる知見を積極的に紹介し、ユーザーに最前線の情報を提供する。新しい知識や技術に関する情報は、ユーザーの関心を強く引く。
- ユーザー体験談の紹介:導入事例やお客様の声など、実際の顧客の体験談・ストーリーを取り上げることで、コンテンツにリアリティと説得力を持たせる。ユーザーは実際の事例を通じて、より深く内容を理解できる。
失敗10:読みづらい文章
10番目の失敗は「読みづらい文章」である。
複雑で読みづらい文章は、ユーザーを遠ざける。
オウンドメディアのコンテンツにおいて、読みやすさは、ユーザーが情報を受け入れ、サイトに再訪するかどうかを左右する重要な要素だ。
複雑で読みづらい文章は、たとえ内容が有益であっても、ユーザーにとって大きな障壁となり得る。
- 短い文の多用:長い文よりも短い文を多く使うことで、内容を明瞭に伝えられる。情報をシンプルに提供することで、読み手の理解を助ける。
- ユーザーが理解しやすい語句の使用:難解な表現や専門用語を避ける。できる限り、日常的に使われる平易な言葉を選ぶ。
- 専門用語の解説:やむを得ず専門用語を使用する場合は、その都度、わかりやすい言葉で説明を加える。初めてその用語に触れるユーザーも理解できるように配慮する。
- フォントとサイズの配慮:読みやすいフォントを選び、適切なサイズでテキストを表示する。
- 段落分けと見出しの利用:情報を段落に分け、適切な見出しを使用する。文章の構造を明確にし、ユーザーが興味のある部分を簡単に見つけられるようにする。
- リストや箇条書きの活用:複数のポイントや手順を説明する場合は、リストや箇条書きを活用する。情報を視覚的に整理し、把握しやすくする。
※具体的な実践として、以下の2つの記事を強く推奨する。
失敗11:無メッセージ
11番目の失敗は「無メッセージ」である。
オウンドメディアのコンテンツには、明確なメッセージが必要だ。
メッセージを持たないコンテンツの例を挙げれば、「辞書」である。辞書は便利ではあっても、ユーザーに深い印象を残すことは少ない。
各記事やコンテンツが、伝えたい核心的なメッセージを持たずに制作されると、
「便利に利用されるだけで、ビジネス成果に結びつかないオウンドメディア」
ができあがる。
なぜか。その理由は、無メッセージのオウンドメディアには、影響力がないからだ。コンテンツには明確なメッセージを持たせ、その影響力を高めなければならない。
- コアメッセージの明確化:各コンテンツの中心となるメッセージを、明確に一文で定義する。このメッセージをもとに、メッセージを補強する情報やデータ、事例を掲載する。
- 具体性と関連度の確保:具体的で、かつ対象ユーザーとの関連度が高いメッセージを発信する。抱えている悩みや毎日の業務など、その人の関心事に近いメッセージほど目に留まりやすいからだ。
- ユーザーの心に響くコンテンツ:ユーザーの心情や価値観を理解し、心に響く内容を心掛ける。血の通った人間として、思いを届けることも大切だ。
失敗12:ユーザーエクスペリエンスの悪さ
12番目の失敗は「ユーザーエクスペリエンスの悪さ」である。
オウンドメディアのナビゲーションが複雑であったり、読み込みが遅かったりすると、ユーザーエクスペリエンス(UX、ユーザー体験)が損なわれる。
“UX” というと難しそうだが、端的にいえば、「ユーザーをイライラさせていないか?」に注意を払ってほしい。
たとえば、こんなときに人はイライラする。
- 欲しい情報をスムーズに見つけられない。
- ページの読み込みで、待たされる。
- 目がチカチカする。色合いが悪い。デザインセンスが劣悪。
- 字が読みづらい。
- 邪魔な広告や宣伝が表示される。
- 表示が崩れている。
- シンプルなサイト構造:ユーザーが求める情報に容易にアクセスできるよう、直感的に理解しやすいナビゲーションを設計する。メニューやカテゴリーは明確に区分し、ユーザーが迷わないようにする。
- 高速なページロード:ページの読み込み速度はUXに直接影響を与える。画像の最適化、キャッシュの利用、不要なスクリプトの削減などを通じて、ページのロード時間を短縮する。
- レスポンシブデザインの採用:スマートフォンやタブレットなど、異なるデバイスからのアクセスに対応するレスポンシブデザインを採用する。ページの表示崩れなどのトラブルを回避する。
- アクセシビリティの向上:シニア世代や障がいのある方を含む、すべての人がサイトを利用しやすいよう、アクセシビリティに配慮した設計を心がける。テキストと背景のコントラストを高め、代替テキストを画像に付与するなどの対策を講じる。
※UX改良に関しては、以下の記事が参考になるだろう。
失敗13:外注丸投げ
13番目の失敗は「外注丸投げ」である。
外部にコンテンツ制作を委託すると、品質の低下や一貫性の欠如が生じることがある。しかし、丸投げ問題の本質は、そこではない。
丸投げしている “熱意のなさ” が、真の問題だ。
オウンドメディアとは、企業やブランドの自己紹介であり、価値を提供してユーザーとの関係を築く手段である。
表面的なコンテンツではなく、エネルギーが感じられるコンテンツこそが、ユーザーの心をつかむ。
エネルギーとは、熱意・労力・時間と言い換えてもよい。
外注が悪いわけではないが、ポイントを押さえて活用する必要がある。
- 理念の共有:外部の制作者に対して、企業理念やコンテンツ制作の目的を明確に伝える。これにより、価値観を反映したコンテンツを制作できる。
- 編集プロセスの徹底:外注したコンテンツも、社内での厳たる編集プロセスを経てから公開する。具体的には、最終校正・校閲・ファクトチェック・表記統一・文体や体裁の整え・不適切表現の修正などは、自社で責任を持って行う。
- 定期的なコミュニケーション:外部の制作者と定期的にコミュニケーションの機会を持ち、コンテンツの方向性を共有する。共感と理解を深める。
- 情熱を持ったテーマ選び:企業の情熱を反映できるテーマやトピックを選定する。制作者にもユーザーにも、その熱意を感じてもらう。
失敗14:マーケティング近視眼
14番目の失敗は「マーケティング近視眼」である。
近視眼とは、目先の事柄にとらわれて視野が狭くなり、長期的な見通しをつけられない状態のことである。
短期的なマーケティング成果に固執すると、長期的な価値の構築がおろそかになる。多くのオウンドメディアが、陥っている現象だ。
先ほど、失敗1:過度な販促・プロモーションのセクションで、以下のとおり述べた。
〈オウンドメディアを立ち上げた企業が最初に乗り越えるべき難関は、「販促・プロモーションの場にしない」という、価値観のシフトである〉
上記を踏まえつつ、今から大切なことをお伝えする。
多くのオウンドメディアは、我慢できずに、販促・プロモーションに走る。走った瞬間、その初回は、良好な成果が出ることが多い。これが不幸の始まりだ。
その成果は長続きしないのだが、多くの担当者は「やっぱり、販促したほうが数字が出る」と、誤った学習をしてしまう。
成果が長続きしない理由は、それは単なるカンフル剤(一時的な刺激剤)だからだ。1回目は成果が出ても、2回目・3回目…と繰り返すごとに、耐性ができて効かなくなる。
この記事を読んだあなたには、いっときの刺激のために、オウンドメディアを破壊しないよう、くれぐれも注意してほしい。
- 価値観のシフト:販促・プロモーション中心から、ユーザーに真の価値を提供するコンテンツへのシフトを図る。コンテンツマーケティングについて学び、長期的な関係構築を目指す。
- 見えない指標への意識:売上や販売数といった見えやすい成果だけにとらわれず、コンテンツの質やユーザーエンゲージメントといった見えにくい指標も定期的に分析し、改善を続ける。(*2)
- ユーザーとの対話強化:ユーザーの声を直接聞き、フィードバックをコンテンツに反映させることで、ユーザーとの関係を深める。SNSやアンケート、インタビューを活用し、ユーザーの期待に応えるコンテンツを提供する。
*2:「見える指標」「見えない指標」については、下図が参考になるだろう。
上図の解説はXで行ったので、以下もあわせて参照してほしい。
多くの人が見落としがちですが、コンテンツの良し悪しを判断する指標には「見えやすい指標」と「見えにくい指標」があります。
見やすい指標ばかり追っていると、気がつくとビジネス上の大きな損失に気づかないことがあります。… pic.twitter.com/dylYqgegpg
— 松澤 大輔|バズ部コンサル責任者 (@mtzw_bazubu) October 12, 2023
まとめ
本記事では、オウンドメディアの14の失敗を解説した。
「これって、うちのオウンドメディアのことじゃ…?」と思い当たるものがあったなら、今すぐ対策を打ってほしい。
- 過度な販促・プロモーション
- エンゲージメントに対する無配慮
- 気ままなコンテンツ更新
- SEO対策の怠慢
- データに基づかない意思決定
- アイデンティティの破綻
- CTA戦略の欠如
- 妄想ペルソナ
- 既知情報の寄せ集めコンテンツ
- 読みづらい文章
- 無メッセージ
- ユーザーエクスペリエンスの悪さ
- 外注丸投げ
- マーケティング近視眼
あるいは、すでに残念ながらオウンドメディアを閉鎖しており、あらためて、オウンドメディアをイチから構築したい方もいるだろう。
その場合は、上記の失敗をしっかり胸に刻んだうえで、続けて以下の記事に進んでほしい。
ここまでの情報をインプットしていただけたら、もう二度と失敗することなく、最高のオウンドメディアを構築できるはずだ。