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12/18水13:00〜15:30
あなたのオウンドメディアは、なぜ失敗するのだろうか。
—— 目的設定があいまいだから?ターゲットの理解が甘いから?人手不足だから?
どれも、よくある話だ。
しかしながら、実務に携わっている人なら、もっと具体的で、ピンポイントの指摘が欲しいのではないだろうか。
抽象的な話をしても、「で、今日、うちのオウンドメディアを、どう改善する?」というアクションには、結びつかないからだ。
そこで本記事では、オウンドメディア失敗の解剖学と称して、具体的な14の失敗を解説する。
オウンドメディアの失敗を大雑把に捉えるのではなく、高い粒度で把握して行動したい人・結果を出したい人は、ぜひ参考にしてほしい。
さっそく1番目の失敗から、見ていこう。
目次
1番目の失敗は「過度な販促・プロモーション」である。
オウンドメディアを立ち上げた企業が最初に乗り越えるべき難関は、
「オウンドメディアを、販促・プロモーションの場にしない」
という、価値観のシフトである。
企業はしばしば、自社の製品やサービスを前面に出し過ぎ、ユーザーに提供する価値を二の次にしてしまう。
せっかく信念を持ってオウンドメディアを立ち上げたはずなのに、気付けば、コーポレートサイトやランディングページと同じことをしている。
オウンドメディアの本質は、販売促進ではなく、ユーザーに対する価値提供にある。
たとえば、商品の特長を紹介するよりも、顧客が直面する問題の解決法を提案することで、ユーザーの信頼と関心を引くことができる。
*1:ストーリーテリングとは、物語を話して聞かせることを指す。詳しくは、「まだ誤解されがちなストーリーテリング|その本質と実践のコツとは」を確認してほしい。
2番目の失敗は「エンゲージメントに対する無配慮」である。
エンゲージメント(engagement)とは、企業と顧客との関わり合いや結びつきを指す概念だ。
あなたのオウンドメディアで、ユーザーとのエンゲージメントを高めるために、何をしているだろうか。
オウンドメディアにおいて、ユーザーと積極的に関わる機会を設けなければ、成果は半減するといっても過言ではない。
ユーザーが直接参加し、意見を交換できる環境を整えることが、信頼の獲得と関係性の構築につながる。
3番目の失敗は「気ままなコンテンツ更新」である。
前提として、定期的な規則正しい更新が、すべてのオウンドメディアに求められるわけではない。しかし、オウンドメディアの立ち上げ初期には、更新頻度は気にしてほしい。
多くの担当者が失敗するのは、すでに成功しているオウンドメディアの更新状況を参考にするからである。
「ベンチマークにしている○○メディアは、月に2〜3回しか更新していないから、それでいいや」
と考えるのは危険だ。
参考にすべきなのは、ベンチマークにしている○○メディアが、自社と同じフェーズのとき(オウンドメディア立ち上げ初期なら初期)に何をしていたか?である。
オウンドメディアの愛読者が増えて、運営が軌道に乗るまでは、気ままに更新するのではなく、戦略的に更新すべきだ。
4番目の失敗は「SEO対策の怠慢」である。
オウンドメディアを成功に導くためには、SEO(検索エンジン最適化)の重要性を、見過ごすわけにはいかない。
SEOへの取り組みを怠ることは、潜在的な顧客を逃すことを意味する。オウンドメディアの可能性を大きく制限してしまう。
「でも、最近、Google検索はオワコンって聞くけど?」
という声もあるかもしれない。
たしかに、オウンドメディアへの集客経路は多様化している。
しかしながら、少なくとも現在(2024年)、Googleからの集客はオウンドメディアにとって非常に重要だ。
成功しているオウンドメディアは、検索エンジン経由で大量のアクセスを引き寄せ、それを売上の源泉としているのが現実である。
※SEOに関しては、以下の記事で学びを深めてほしい。
5番目の失敗は「データに基づかない意思決定」である。
データドリブン(データ駆動型、データや分析結果に基づいて判断を下すアプローチ)の重要性を知ってはいても、きちんと実行できている企業は少ない。
オウンドメディア運営において、直感や未検証の仮説に頼った意思決定は、効果的な成果を妨げる大きな落とし穴だ。
客観的なデータを根拠として戦略を立て、実施することが、成功への鍵となる。
※分析ツールについては、以下の記事も参照してほしい。
6番目の失敗は「アイデンティティの破綻」である。
ここでいうアイデンティティとは、“ひとりの人間の個性” といった意味合いで捉えてほしい。発信体としてのオウンドメディアには、人格(キャラクター)が宿る。
私たちは、誠実で信頼できる人格と、長く付き合いたい。オウンドメディアもそうだ。
しかしながら、オウンドメディアが多種多様なコンテンツを展開したり、外注ライターに記事を委託したりするなかで、主張や見解に、矛盾を生じることがある。
「ある記事ではこのように主張しているのに、別の記事ではまったく反対のことを言っている」
といった現象である。
矛盾に気付いたユーザーは、混乱したり不信感を抱いたりする。
オウンドメディアのアイデンティティを明確にし、一貫性を確保することが重要だ。
7番目の失敗は「CTA戦略の欠如」である。
CTA(Call To Action:行動喚起)は、オウンドメディアに訪れたユーザーを具体的なアクションに誘導することだ。
たとえば、
などが挙げられる。
CTAは、オウンドメディアに集めたアクセスを、ビジネス成果に転換させる要である。
適切なCTA戦略がなければ、ユーザーが次に取るべき行動が不明確になり、コンバージョンの機会を逃すことになる。
8番目の失敗は「妄想ペルソナ」である。
ペルソナとは、ターゲットとなる顧客層を、 実在する人物のように具体的な人物像として描く手法だ。
オウンドメディアの戦略立案において、ターゲット顧客のペルソナ設定は、欠かせない要素である。
しかし、実際のデータを無視し、企業側の都合や理想に基づく「妄想ペルソナ」を作成することは、オウンドメディアの失敗に直結する。
実在する顧客の行動やニーズを反映していないペルソナは、効果的なコンテンツ戦略を妨げ、ターゲットとするユーザーとのミスマッチを生じさせるからだ。
※具体的なペルソナ設定の手順については、以下の記事を参照してほしい。
9番目の失敗は「既知情報の寄せ集めコンテンツ」である。
記事を作成する際に、検索上位の記事を調べ、それらを取りまとめたようなコンテンツを、自社のオウンドメディアに掲載していないだろうか。
オウンドメディアにおいて、既存の情報を単に再構成して提供することは、ユーザーに新たな価値を生み出さない。
このようなアプローチは、サイトの信頼性や専門性を損ね、最終的にはユーザーから拒否される。
オウンドメディアの存在意義は、独自の視点や深い洞察、新しい情報を通じて、ユーザーに価値を提供することにある。
10番目の失敗は「読みづらい文章」である。
複雑で読みづらい文章は、ユーザーを遠ざける。
オウンドメディアのコンテンツにおいて、読みやすさは、ユーザーが情報を受け入れ、サイトに再訪するかどうかを左右する重要な要素だ。
複雑で読みづらい文章は、たとえ内容が有益であっても、ユーザーにとって大きな障壁となり得る。
※具体的な実践として、以下の2つの記事を強く推奨する。
11番目の失敗は「無メッセージ」である。
オウンドメディアのコンテンツには、明確なメッセージが必要だ。
メッセージを持たないコンテンツの例を挙げれば、「辞書」である。辞書は便利ではあっても、ユーザーに深い印象を残すことは少ない。
各記事やコンテンツが、伝えたい核心的なメッセージを持たずに制作されると、
「便利に利用されるだけで、ビジネス成果に結びつかないオウンドメディア」
ができあがる。
なぜか。その理由は、無メッセージのオウンドメディアには、影響力がないからだ。コンテンツには明確なメッセージを持たせ、その影響力を高めなければならない。
12番目の失敗は「ユーザーエクスペリエンスの悪さ」である。
オウンドメディアのナビゲーションが複雑であったり、読み込みが遅かったりすると、ユーザーエクスペリエンス(UX、ユーザー体験)が損なわれる。
“UX” というと難しそうだが、端的にいえば、「ユーザーをイライラさせていないか?」に注意を払ってほしい。
たとえば、こんなときに人はイライラする。
※UX改良に関しては、以下の記事が参考になるだろう。
13番目の失敗は「外注丸投げ」である。
外部にコンテンツ制作を委託すると、品質の低下や一貫性の欠如が生じることがある。しかし、丸投げ問題の本質は、そこではない。
丸投げしている “熱意のなさ” が、真の問題だ。
オウンドメディアとは、企業やブランドの自己紹介であり、価値を提供してユーザーとの関係を築く手段である。
表面的なコンテンツではなく、エネルギーが感じられるコンテンツこそが、ユーザーの心をつかむ。
エネルギーとは、熱意・労力・時間と言い換えてもよい。
外注が悪いわけではないが、ポイントを押さえて活用する必要がある。
14番目の失敗は「マーケティング近視眼」である。
近視眼とは、目先の事柄にとらわれて視野が狭くなり、長期的な見通しをつけられない状態のことである。
短期的なマーケティング成果に固執すると、長期的な価値の構築がおろそかになる。多くのオウンドメディアが、陥っている現象だ。
先ほど、失敗1:過度な販促・プロモーションのセクションで、以下のとおり述べた。
〈オウンドメディアを立ち上げた企業が最初に乗り越えるべき難関は、「販促・プロモーションの場にしない」という、価値観のシフトである〉
上記を踏まえつつ、今から大切なことをお伝えする。
多くのオウンドメディアは、我慢できずに、販促・プロモーションに走る。走った瞬間、その初回は、良好な成果が出ることが多い。これが不幸の始まりだ。
その成果は長続きしないのだが、多くの担当者は「やっぱり、販促したほうが数字が出る」と、誤った学習をしてしまう。
成果が長続きしない理由は、それは単なるカンフル剤(一時的な刺激剤)だからだ。1回目は成果が出ても、2回目・3回目…と繰り返すごとに、耐性ができて効かなくなる。
この記事を読んだあなたには、いっときの刺激のために、オウンドメディアを破壊しないよう、くれぐれも注意してほしい。
*2:「見える指標」「見えない指標」については、下図が参考になるだろう。
上図の解説はXで行ったので、以下もあわせて参照してほしい。
多くの人が見落としがちですが、コンテンツの良し悪しを判断する指標には「見えやすい指標」と「見えにくい指標」があります。
見やすい指標ばかり追っていると、気がつくとビジネス上の大きな損失に気づかないことがあります。… pic.twitter.com/dylYqgegpg
— 松澤 大輔|バズ部コンサル責任者 (@mtzw_bazubu) October 12, 2023
本記事では、オウンドメディアの14の失敗を解説した。
「これって、うちのオウンドメディアのことじゃ…?」と思い当たるものがあったなら、今すぐ対策を打ってほしい。
あるいは、すでに残念ながらオウンドメディアを閉鎖しており、あらためて、オウンドメディアをイチから構築したい方もいるだろう。
その場合は、上記の失敗をしっかり胸に刻んだうえで、続けて以下の記事に進んでほしい。
ここまでの情報をインプットしていただけたら、もう二度と失敗することなく、最高のオウンドメディアを構築できるはずだ。
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