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10/23水12:00〜13:00
「他の人はこちらも検索」とは、Google検索結果のURLをクリックしたあと、すぐに検索結果ページに戻ってきたユーザーに対して表示される、6つのキーワード群のことである。
▼ 「他の人はこちらも検索」の例
「他の人はこちらも検索」は、最初の検索で満足できなかったユーザーが目的の情報を得られるように、次の絞り込み検索を、Googleが支援する機能だ。
SEO担当者ならぜひ把握しておきたい、SEO活用度の高い機能でもある。
ただ、「他の人はこちらも検索」という同じ呼び方でも、時期やデスクトップ版・モバイル版によって挙動が異なっており、ややこしい。
この記事では、2022年8月時点の「他の人はこちらも検索」の挙動を整理したうえで、SEOへの活用まで解説する。
そもそも「他の人はこちらも検索」とは何か、基本事項から押さえておこう。
「他の人はこちらも検索」とは、2018年に実装されたGoogle検索の機能だ。
冒頭でも触れたが、検索結果をクリックしたあと、すぐ検索結果ページへ戻ってきたユーザーに、6つのキーワード群が表示される。
▼ 例:[味玉]の他の人はこちらも検索
「すぐに検索結果ページに戻る」というユーザーの行動は、検索結果に満足できなかったシグナルだ。
そこでGoogleは、ユーザーが満足な検索結果を得るための手助けとして、「他の人はこちらも検索」のボックスを表示する。
最初に検索した語句(プライマリキーワード)に加えて、絞り込み検索のために追加する語句(セカンダリキーワード)のパターンが提案されるのが、基本形だ。
たとえば、以下は[味玉]の検索結果ページである。最初の時点では「他の人はこちらも検索」ボックスは表示されていない。
▼ 「味玉」の検索結果ページ
ここで、検索結果に表示されたページの1つをクリックしたあと、ブラウザの「戻る」をクリックして、Googleの検索結果ページに戻ってみよう。
すると「他の人はこちらも検索」のボックスが出現する。
▼ 検索結果をクリックし戻ったときの表示
実際の挙動は以下で確認してみてほしい。
「他の人はこちらも検索」は、英語版の「People also search for」の頭文字をとり「PASF」と呼ばれる。
「他の人はこちらも検索」で出現するキーワードを「PASFキーワード」という。本記事内でも、以後この呼称を使うので、覚えていただければ幸いだ。
注意点したいのは、デスクトップ版とモバイル版で挙動が異なる点だ。
PASF機能が登場した当初は、モバイル版もデスクトップ版も同じ挙動だった。しかし現在のモバイル版では「ページをクリックして戻る」のトリガーがない。
最初から(検索結果のURLをクリックする前から)検索結果ページに「他の人はこちらも検索」が表示される。
フォーマットは、デスクトップ版ではPASFだけに使われるボックス型だった。
一方、モバイル版でのフォーマットは「他の人はこちらも質問」や「関連キーワード」とほぼ同じだ。
※ただし、Googleの仕様は頻繁に変更される。この挙動は本記事執筆時点(2022年8月)であることに注意されたい。
ここで「他の人はこちらも“質問”って何?」「“関連キーワード”との違いは?」と、少々混乱した方もいるかもしれない。
現在のGoogle検索結果ページには、「他の人はこちらも検索」以外にも、さまざまなキーワード表示が混在している。以下に整理しておこう。
概要 | 出現場所 | クリック時の挙動 | |
他の人はこちらも検索 | 再検索のキーワード提案 | 検索結果ページの途中 | クリックしたキーワードの検索結果が表示される |
他の人はこちらも質問 | 現在の検索クエリに関連する質問 | 検索結果ページの途中 | 質問の回答と回答に採用されたURLへのリンクが表示される(*1) |
他のキーワード | 現在の検索クエリに関連するキーワード | 検索結果ページの下部 | クリックしたキーワードの検索結果が表示される |
*1:「他の人はこちらも質問」はアコーディオンパネル(クリックすると隠れている内容が開く)になっている。
クリックするとアコーディオンが開き、質問の回答と回答に採用されたURLへのリンクが表示される。
実際の画像は以下のとおりだ。
▼ デスクトップ版
▼ モバイル版
違いを整理すると以下のとおりとなる。
▼ 「他の人はこちらも検索」と「他の人はこちらも質問」の違い
● 他の人はこちらも検索
再検索のキーワード提案が表示される。クリックすると検索結果に飛ぶ。
● 他の人はこちらも質問
質問が表示される。クリックすると、回答と回答元のURLが表示される。
▼ 「他の人はこちらも検索」と「関連キーワード」の違い
● 他の人はこちらも検索
絞り込み検索用の[元の検索クエリ+●●]が基本形(例外あり)。
● 関連キーワード
関連するキーワードが表示される。元の検索クエリを含まない語句も含む。
次に「他の人はこちらも検索(PASF)」の仕組みについて、見ていこう。
検索クエリ(ユーザーが入力する検索語句)には、それぞれPASFキーワードが関連付けられている。
すべての検索クエリで「他の人はこちらも検索」が表示されるわけではないが、一般認知のない固有名詞(人名など)を除けば、多くの検索クエリで表示される。
具体的な数値としては2019年の調査で、
〈デスクトップ版で58.74%、モバイル版で87.05%の検索結果ページに表示された〉
と報告されている(出典:Moz)。
上記調査から3年以上経過している現在では、カバレッジは広がっていると考えられる。
GoogleがPASFについて公言していることはほぼなく、具体的なアルゴリズムや仕組みは誰にもわからない。
強いていえば、Googleの検索アルゴリズム開発を率いてきたアミット・シンガル(現在は退社)は、PASFについて以下の発言をしている。
“It is now possible for us to answer your question sometimes before you even ask it since the facts that are on display are the direct result of what other people usually search for.”
訳「今や、ユーザーが尋ねるより前に、Googleが答えることも可能になった。
表示される事実は、他のユーザーたちが通常検索しているダイレクトな結果だ」
出典:People Also Search For : Guide to Rank for Related Searches
ここから想像できるのは、ユーザーの膨大な検索クエリをもとにPASFが生成されていること、およびPASFは、Googleがユーザーに答えを直接的に提供する試みである、ということだ。
Googleは自らの進化について、2019年のForm 10-K(日本でいう有価証券報告書)で、以下の主旨を述べている。
「検索結果に10個の青いリンクを表示するだけでなく、直接回答を提供できるようになり、ユーザーは探しているものをより早く、簡単に、自然に見つけられるようになってきた」
PASFも、単に青いリンクを表示するだけでなく、ユーザーがより早く簡単に、回答にたどり着けるようにするGoogleの進化の一環といえる。
ここで補足だが、[他の人はこちらも検索]の検索クエリでPASFを調べると、以下のとおりとなっている。
「無効」「うざい」など、一般の検索ユーザーにとってはネガティブな声が多いことがうかがえる。
とくに近年のスマホでは、検索画面のファーストビューで表示されることも多く、占有面積も大きい。
▼ スマホでの実際の表示例
残念ながら、現時点で非表示にする方法は用意されていない。
ただ、Googleはユーザーのフィードバックをもとに、頻繁に仕様変更を行う傾向がある。不評の声が多ければ、PASFの表示スタイルや出現の要件が変わる可能性は大いにあるだろう。
ここまで「他の人はこちらも検索(PASF)」の概要を解説してきたが、PASFキーワードは、SEOに非常に有益である。
その理由を2つ、紹介する。
1つめの理由は「深い潜在ニーズを発見できる」ことだ。
「SEOでは、検索意図を理解し、潜在ニーズを把握することが大事」
と口で言うのは簡単である。
しかし具体的に、どうすればそれができるのか?が知りたいところだろう。
ひとつの答えが、PASFキーワードを通じてユーザーの検索ジャーニー(検索行動のプロセス)を追体験することだ。
たとえば、[味玉]をスタート地点として、「他の人はこちらも検索」に表示されたキーワードで検索を重ねてみよう。
1番目(左上)のPASFキーワードを追っていくと、以下のとおりとなる。
▼ 味玉
▼ 味玉 めんつゆ
▼ 味玉 めんつゆ 2倍
▼ 煮卵 めんつゆ 2倍 日持ち
[味玉]のキーワードを眺めているだけでは、
「ユーザーは、味玉の作り方を知りたいのかな?」
「おいしい味玉を食べたいのかな?」
といった程度で思考が止まってしまう。
顕在ニーズの浅い部分までしか、到達していない状態(未熟な状態)だ。
一方、何段階もPASFを深掘りしていくと、
「味玉を作ったあとに残るめんつゆを、捨てるのがもったいないと感じている」
という、潜在ニーズが発見される。
このような潜在ニーズの発見こそ、良質なコンテンツづくりの原点である。
※潜在ニーズについては「顧客の潜在ニーズに気づくことがあなたのビジネスにとって重要な理由」もあわせて確認してほしい。
2つめの理由は「コンテンツの網羅性を高められる」ことだ。
1つめの理由がコンテンツの深度(垂直軸)に効くのに対し、2つめの理由は横の広がり(水平軸)に効くとイメージしてほしい。
前述のとおり、「他の人はこちらも検索」ボックスには、最初に検索された語句(プライマリキーワード)に次ぐ、絞り込み検索の語句(セカンダリキーワード)が表示されるのが基本形だ。
セカンダリキーワードは、ユーザーの主要なニーズを網羅的にカバーするために役立つ。
たとえば、「他の人はこちらも検索」が返すキーワードをすべて見出しに入れ込むと、コンテンツの包括性が高まる。
キーワード[味玉]でコンテンツを作るとする。[味玉]のPASFキーワードは以下のとおりだ。
PASFキーワードを網羅したアウトラインの例が、以下である。
▼ アウトラインの例
PASFの6つのキーワードの要素をコンテンツに盛り込むことで、主要なユーザーニーズを確実に押さえることができる。
新規コンテンツ制作時のほか、既存コンテンツのリライト時にも、積極的にPASFキーワードを活用したい。
最後に、PASFの調べ方を2つ、紹介しよう。
1つめは、当たり前のことだがGoogleの検索結果ページにて、手動で確認することだ。
検索結果がパーソナライズされるのを避けるために、シークレットウィンドウを利用するとよい(参考:シークレット ブラウジング)。
作業としては、以下のとおりだ。
2つめは、ChromeおよびFirefoxの拡張機能である『Keywords Everywhere』を使う方法だ。
『Keywords Everywhere』をインストールした状態でGoogle検索すると、「URLをクリックして戻る」という工程を経なくても、右側にPASFが表示される。
▼ Chrome版
▼ Firefox版
▼ 実際の画面
課金すれば、PASFキーワードの検索ボリュームも表示可能だ。
▼ 料金
出典:Keywords Everywhere Google Translateで翻訳
最も安いのは「$10 / 100,000クレジット」である。
1ドル130円で換算すると「1,300円で10万キーワード分」の検索ボリュームを調査できる。
Keywords Everywhereは、PASFに特化したツールではなく、総合的なキーワード分析ができるツールだ。ほかに利用している分析ツールがなければ、課金して使い込むのもよいだろう。
「PASFキーワードのみ、一括でリスト取得はできないのか?」
が気になる方もいるだろう。
本記事執筆時点の調査の限りでは、その方法はない。非公式を含めても、PASFキーワードの取得ができるAPIは見当たらない。
とはいえ、『Ahrefs』や『ラッコキーワード』などキーワード分析ツールを利用している場合、取得できる関連キーワードにPASFキーワードも含まれている。
PASFキーワードは、基本的にサジェストワードや、検索結果ページ下部に表示される「他のキーワード」と重複しているためだ。
全体的な関連キーワードをツールで調査し、そのなかでも深掘りしてユーザーの検索ジャーニーを追いたいときに、PASFを手作業で確認していくのがよいだろう。
本記事では「他の人はこちらも検索」をテーマに解説した。要点を簡単にまとめよう。
「他の人はこちらも検索」の基本事項として押さえたいポイントは以下のとおりだ。
● Google検索結果ページでURLをクリックしてすぐ戻ったユーザーに表示される6つのキーワード群
● 英語版の「People Also Search For」を略して「PASF」と呼ばれる
● デスクトップ版とモバイル版で挙動が異なる点に注意が必要
仕組みに関しては次のとおりだ。
● 検索クエリにPASFキーワードが関連付けられている
● Googleは「直接的に答えを提供する」方向へ進化している
● 非表示にはできない
PASFキーワードはSEOに有益で、その理由は2つある。
● 深い潜在ニーズを発見できる
● コンテンツの網羅性を高められる
PASFキーワードの調べ方として以下を紹介した。
● Googleの検索結果ページ
● Chrome / Firefox 拡張機能『Keywords Everywhere』
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