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11/27水19:00〜20:00
トラックバックという言葉を初めて見かけて、
「それは何か?」「自分に必要なのか?」
と疑問に思っているかもしれない。
結論からいえば、トラックバックは不要である。
トラックバックは、2000年代初頭のブログ黎明期に活発だった古い機能で、現在では使っている人はほとんどいない。
当時は多くのブロガーが好んで使っていたが、やがてスパム行為の温床となり、衰退した。現在では、トラックバックのマイナス面は、プラス面をはるかに上回る。
ただ、ブログやWebサイト運営に関わっているのなら、トラックバックの意味や歴史くらいは理解しておこう。基礎知識としては知っておくのが望ましい。
本記事を読むと、以下のポイントを理解できる。
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さっそく解説を始めよう。
最初にトラックバックとは何か、基本の知識から見ていこう。
トラックバックとは、記事内でリンクした他ブログへ、
「私の記事で、あなたの記事に言及して、リンクを張って紹介しましたよ」
と通知を送信する機能だ。
技術的な話は抜きにして、ごく簡単にいうと、「Twitterのリツイートのブログ版」がトラックバックである。
もっとも、トラックバックが生まれたのが2002年、Twitterが設立されたのが2006年だ。リツイートよりも先に、トラックバックの発明がある。
トラックバックには、ただ通知するだけでなく、記事同士をリンクによって結び付ける相互リンクの機能がある。
トラックバックの挙動はこうだ。
Aブログが、Bブログの記事に言及する記事を書いたとする。
Aブログの作者は記事を公開するとき、トラックバック機能をONにして、Bブログにトラックバックを送信する。
すると、Bブログに通知が届き、Bブログの記事の下部には、Aブログの記事へのリンクが表示される。
なぜトラックバックをするのか。上記のAブログ・Bブログ、それぞれの視点でのメリットは以下のとおりだ。
ここでトラックバックの歴史を紐解いてみよう。
トラックバックが開発されたのは20年以上前で、Movable Typeに実装されたのが最初だ。
ブログ黎明期(2000年代)から知っている人なら、Movable Type(ムーバブルタイプ、略称:MT)はおなじみだが、今では知らない人もいるかもしれない。
Movable Typeとは、かつてWordPressより圧倒的なシェアを誇り、市場をリードしたブログツール(CMS)である。
もちろん現在も存在していて、活用している企業も少なくないが、シェアをWordPressに大きく奪われた。
▼ 現在のMovable Type
出典:Movable Type
トラックバック機能は、Movable Typeの開発元であるSix Apart社が開発し、2002年8月に初めて実装した。
新しい概念だった「ブログ」が、それまでの主流「ホームページ」と異なるツールとして、爆発的に流行したことに大きく貢献したのが、トラックバック機能だ。
当時は、SNSがまだない。「リツイート」「リポスト」が存在しない世界である。
自分のホームページで他ページに言及したことを、相手に知らせるためには、直接メールなどで連絡するしかなかった。
そこへ、トラックバックの発明である。
「あなたのブログに言及しました」と自動的に通知し、相互リンクし、コミュニケーションやアクセス増に貢献する新機能として、多くのブロガーがトラックバックを愛用した。
ここで用語に関する補足をしておきたい。
トラックバック(Trackback)とほぼ同じように使われる言葉に「ピンバック(Pingback)」がある。
簡単にいえば、ピンバックとはトラックバックを自動的に行う方式のことだ。基本的な仕組みは以下のとおりである。
▼ ピンバック(自動方式)の仕組み
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Ping(読み方は「ピン」でも「ピング」でもよい)は、ネットワークで通信したいコンピュータが応答可能か確認するプログラムを指す。
ブログにおけるPingは、コンテンツの更新を共有するための仕組みと捉えておくとよいだろう。PingサーバーにPingが送信されると、ほかのブログツールへ自動通知できる。
以前はトラックバックを手動で送信するやり方も存在したために、自動的に行う方式を区別するために「ピンバック」という言葉が使われていた。
しかし、現在では手動送信の方式はほとんど使われていない。たとえばWordPressの場合、2018年リリースのWordPress5.0以降、デフォルトのエディタから削除された。
よって、「ピンバック=トラックバック」と理解して支障はない。
ここまでの話で、
「トラックバックは優れた機能だ」
と感じた方もいるだろう。
おっしゃるとおり、優れた機能だった。それがなぜ今は不要といえるのか。
ここからは、トラックバックが不要な理由を解説していこう。
2002年に生まれたトラックバック機能だが、10年経った2010年代には、スパムの温床となってしまった背景がある。
2013年、スパム対策サービスを提供するAkismetは、
「最近では、トラックバックとピンバックの、ほぼ100%がスパムである」
と述べている。*1
なぜスパム行為の温床となったのか。それは、トラックバックは自動的に被リンクを増やせる仕組みだからだ。
(ちなみに、スパム被リンクを排除するGoogleペンギンアップデートがリリースされたのは、2012年だ。トラックバックのスパム全盛も踏まえて、ペンギンアップデートがある)
*1:Spammers use trackbacks, pingbacks, and reblogs
トラックバックを受信するブロガーの視点から見ると、毎日大量のトラックバックが届く。被リンク目的の、質の悪いトラックバックが多い。
自動承認をやめて、適切なトラックバックのみ手動承認するにしても、手間がかかる。
そうこうしているうちに、海外から日本語ではないトラックバックが不特定多数に飛ばされるようになった。記事下のトラックバック欄が、意味不明なテキストで埋め尽くされたブログも少なくない。
ブロガーたちは、トラックバック機能を嫌うようになり、機能をオフにして記事下のトラックバック欄を非表示にするようになった。
次に、トラックバックの送信元の視点に立ってみよう。
現在でもトラックバックのPingサーバーは生きているし、記事内で言及しリンクを張った他ブログに向けて、トラックバックを送信することはできる。
「リンクを張った他ブログの作者に、自分の記事を見てほしい。
相手は権威性の高いブログだから、相互リンクもしてもらいたい」
と思うことがあるかもしれない。
しかし最大の問題は、今はトラックバック機能を、ほとんど誰も使っていないことだ。
とくに、アクセス数が多いブログの運営者ほど、トラックバック機能をOFFにして、トラックバックをブロックしている可能性が高い。そうしないとスパムが多くて収拾がつかないからだ。
くわえて、2010年代のトラックバックスパムを経験しているブロガーも、トラックバックに対してよい印象を持っていない。忌み嫌っている人もいて、トラックバック機能をOFFにしている。
以上の話をまとめると、トラックバックは、送信も受信も、基本的に使うメリットがない。
現在、トラックバックを積極的に使うことは「無知」、あるいは「悪意がある」と捉えられるリスクがある。
もうひとつ、今はブログ黎明期にはなかった、TwitterをはじめとするSNSが存在する。
純粋な気持ちで、ブログで言及した他ブログの作者とコミュニケーションをとりたいなら、SNSを活用したほうが有意義だろう。
“あえてトラックバックを使う選択”があり得るのは、イントラブログ(社内ブログ)など、ナレッジ共有やチーム内のコミュニケーションを目的として、ブログを活用しているケースだ。
そういったケースでは、使い方次第でトラックバック機能に利用価値を見いだせるだろう。
最後に、WordPressでトラックバックを無効化するやり方を紹介しておく。念のため設定を見直してほしい。
まずブログ全体で無効化するやり方から紹介しよう。
WordPressのトラックバック機能は、管理画面のメニューから[設定]→[ディスカッション]で設定できる。
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上記2項目のチェックを外しておけば、トラックバック機能は無効化される。
個々の記事ごとにトラックバック設定を変更したい場合は、記事の新規追加画面(エディタ)でも、トラックバックの設定が可能だ。
「ピンバックとトラックバックを許可」にチェックが入っていなければ、無効化されている。
本記事では「トラックバックとは?」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。
トラックバックの基礎知識として押さえたいポイントは次のとおりだ。
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トラックバックは現在では不要といえる。その理由は以下のとおりだ。
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あらためて運営ブログの設定を見直してみてほしい。
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