「中小企業だがオウンドメディアに取り組んでも大丈夫なのだろうか?うまくいくやり方はある?」
オウンドメディア運営に関心があり、中小企業でも成功するためにはどうすべきか、実際に成果を出した事例が知りたい、とお考えではないだろうか。
それなら今日、具体的な成功イメージを描こう。中小企業でも「工夫さえすれば」オウンドメディアで成功できるのだ。
具体的な工夫は、以下のとおりだ。この3つを押さえること、その条件下であれば中小企業でもオウンドメディアによって売上を伸ばせる。
かくいう私たちバズ部も、従業員約30人の中小企業だ。それでもオウンドメディア経由で50億円以上の売上を創出することに成功している。
実際に成果を証明した私たちのノウハウをお伝えするのだから、もう中小企業におけるオウンドメディア運営を恐れる必要はない。前向きにモチベーションを高めていこう。
本記事では、中小企業でもオウンドメディアで成功できる理由とその方法について解説する。実際の成功事例もご紹介するため、自社での運用や成功について具体的にイメージできるようになるはずだ。
オウンドメディアによって経営資金の確保や採用上のミスマッチといった課題を解決する、そんな好機を逃さないために、ぜひ最後まで読んでほしい。
目次
1. 中小企業でも「工夫さえすれば」オウンドメディアで成功できる
中小企業がオウンドメディアで成果を出すことはできるのだろうか?という疑問をもっているあなたに、まずは結論をお伝えしよう。
中小企業でも「工夫さえすれば」オウンドメディアで成功できる。同じく中小企業でありながら、50億円以上の売上をオウンドメディア経由で創出してきた私たちの経験が、根拠だ。
気になる「工夫さえすれば」の中身について解説しよう。「ニッチなキーワードを選び、強い主張を込めたコンテンツを作り、SNSも駆使してユーザーに届ける」ことが必要だ。具体的なやり方については、「3.中小企業がオウンドメディア運営において講じるべき3つの工夫」で解説する。
ここでは、なぜ中小企業には工夫が必要なのかをお伝えしておく。
実は5年ほど前までは、特別な工夫をしなくても中小企業がオウンドメディア運営を成功させることができていた。良質なコンテンツさえ作れば検索エンジンに認められ、上位表示されていたからだ。上位表示とはすなわち、たくさんの見込み客を集めて売上につなげられるということを意味する。
しかしこの2~3年で、状況が変化してきた。検索エンジンがコンテンツ単体だけではなくドメインの評価も重視するようになってきたため、中小企業のコンテンツが大企業を押しのけて上位を獲得することが難しくなったのだ。
第一に、そのメディアを誰が運営しているのかがチェックされる。会社の規模そのものも評価対象だ。加えて、被リンクの数も重要である。たとえば、上場企業であれば日本取引所グループのリストにリンクされるなど、大企業ほど信用のおけるリンクを得やすい。
そのため、検索結果での上位表示という点では、中小企業よりも大企業の方が圧倒的に有利だというわけだ。
このような状況の中でも中小企業が価値あるコンテンツをユーザーに届け、ロイヤルティを高めることで売上につなげていくために、前述の工夫が功を奏するのである。
中小企業が大企業と同じやり方をしても、オウンドメディアで成功するのは難しい。あなたが懐疑的であるのももっともだ。しかし、中小企業ならではの戦術で取り組めば十分に通用するため、諦める必要はない。
2. 中小企業がオウンドメディア運営で得られる効果
中小企業が講じるべき具体的な工夫をお伝えする前に、中小企業がオウンドメディア運営で得られる効果を確認しておこう。オウンドメディアが自社にとって有益であるかどうかの判断材料になるはずだ。
2-1. 売上に莫大なインパクトをもたらす可能性がある
オウンドメディアは、中小企業の売上に莫大なインパクトをもたらす可能性がある。
オウンドメディア経由で一定額の売上が生まれた場合に、それまでの売上を凌駕するケースもあるからだ。
たとえばバズ部のように、オウンドメディアで50億円の売上を得たとしよう。売上1兆円の企業にとってはさほどのインパクトがないかもしれないが、売上5千万円の企業では売上が100倍になるのである。
このようにオウンドメディア運営は、経営資金の確保が重要課題になりやすい中小企業にとって救世主となり得る施策だといえるだろう。
2-2. 理念に共感する人材を採用しやすくなる
オウンドメディア運営によって、企業の理念に共感する人材を採用しやすくなるという効果も得られる。
求職者がオウンドメディアを見ることで企業の想いやスタンスを理解し、その上でエントリーしてくれれば、企業文化や思想に合った人材を確保しやすいからだ。
実際にバズ部も、「オウンドメディアを見てバズ部の考え方に共感した」という社員を数多く採用している。そのおかげで、並外れたモチベーションの高さをもつメンバーによってバズ部を運営することができているのである。
中小企業の採用は大企業に比べて簡単ではなく、いかにして求める人材にエントリーしてもらうかが課題だろう。そこでオウンドメディアを運営すると、求職者への認知拡大や企業文化・魅力の訴求につながり、「どこか」ではなく「ここ」で働きたいという人材を集めることに寄与してくれる。
3. 中小企業がオウンドメディア運営において講じるべき3つの工夫
中小企業でのオウンドメディア運営に前向きな気持ちが湧いてきたあなたに、成功するために講じるべき工夫をお伝えしよう。
「ニッチなキーワードを選ぶ」と「強い主張を込めたコンテンツを作る」は、やらなければ失敗する、つまり絶対に講じるべき工夫だ。
「SNSを駆使する」は、できればやった方がよい工夫だ。成果を得るまでのスピードを上げたい、より成果量を増やしたいという場合には、ぜひ取り組もう。
それぞれの内容について、解説していく。
3-1. ニッチなキーワードを選ぶ
中小企業がコンテンツを作る際に狙う検索キーワードには、ニッチなキーワードを選ぼう。そうすることで、上位表示される可能性が高まるからだ。
検索結果での上位表示がなぜ重要なのかについて、確認しておこう。コンテンツが上位であればあるほど、オウンドメディアに流入する人数が増える。検索順位が上がるにつれて、クリック率(つまりメディアへの訪問率)も高くなるのである。
参考:SISTRIX「Why (almost) everything you knew about Google CTR is no longer valid」
検索順位が4位以下になるとクリック率が10%を切ってしまうため、3位までを目標にしたいところだ。反対に、10位ではクリック率がたったの2.5%であることを考えると、これ以下の場合にはほぼ集客ゼロだということになってしまう。
そこで上位表示されるコンテンツを作る必要があるわけだが、それには適切なキーワード選定が必須になる。
よくある失敗は、売上につながりやすそうなイメージだからといって[不動産 投資]などのような検索数が多くて競合が強い、いわゆるビッグキーワードを選んでしまうケースだ。こういったキーワードでの上位表示はそもそも困難なうえに、後発の中小企業が大企業に勝てる可能性は極めて低い。
だからこそ中小企業は、検索数が少なくてまだ誰もいいコンテンツを作っていない、ニッチなキーワードを選ぶべきなのである。それなら十分に上位表示を狙えるからだ。
領域にもよるが、具体的には検索数が2桁のキーワードを中心に攻略しよう。極端な話、検索数がゼロでもよい。
たとえば同じ不動産投資がテーマでも、[不動産 投資 一棟マンション]といったより限定的なキーワードや、[資産運用 初心者 安全な方法]など関連性がありそうな他のキーワードがいいだろう。
キーワード選定は全てのオウンドメディアにおいて重要なポイントだが、中小企業では特に「確実に勝てるキーワード」の見極めが成果を大きく左右するのである。
キーワードの選定方法について具体的なやり方を知りたい方は、以下の記事を参照してほしい。
参考記事:【図解】キーワード選定の正しいやり方─SEOの最初に読むべき記事
検索数がゼロのキーワードでもいいってどういうこと?と疑問に思った方には、以下の記事をおすすめする。
参考記事:検索ボリュームがゼロのキーワードなのに、あなたのサイトのCVを倍増させる可能性が!
3-2. 強い主張を込めたコンテンツを作る
中小企業がオウンドメディアで成果を出すためには、強い主張を込めたコンテンツを作ることも欠かせない。
オウンドメディアの成果を左右するのはコンテンツの質だが、中小企業こそユーザーの心に残るコンテンツを作らなければならず、かつ作りやすいからだ。
「こうするべきだ」という強い主張は、疑問や不安を抱えているユーザーにとって、解決策を明示してくれる非常に有益な情報になり得る。その情報を得たことでよい結果が得られれば、ユーザーは発信元のメディアや企業を信頼し、購入に踏み切ってくれるのである。
また、そのようにしてユーザーの役に立つコンテンツは検索エンジンからも評価されるため、ますます上位表示されやすくなる。
これは実際の事例なのだが、たとえばあなたが「ワンルームマンション投資に興味があるけれど、どうなんだろう?」と検索したとしよう。以下2つコンテンツのうち、どちらが役に立つだろうか?
①ワンルームマンション投資に関する基礎知識を羅列し、実際に行うかどうかの判断は読んだ人に委ねる記事 |
もちろん②のようなコンテンツを積み重ねたオウンドメディアが、大きな成果を上げた。①のように読者の時間を搾取するだけで無益なコンテンツを作っても売上にはつながらないばかりか、信頼を失うのがオチだ。
実はここまでの話は、中小企業に限ったことではない。しかし、大企業とは違って知名度やメディアの規模では集客しにくい中小企業だからこそ、尚更コンテンツの質が重要になってくるのだ。良質なコンテンツには検索エンジンから直接ユーザーが流入してくるため、どんな企業であるかに関係なく成果を出せる。
また単純に、有益で尖ったコンテンツの方がユーザーの心に刺さることは想像に難くないだろう。後述するが、検索結果での上位表示以外にも、SNSなどユーザーにコンテンツを届ける術はあるのだ。
そして強い主張を込めたコンテンツは、中小企業の得意分野でもある。大企業では、ターゲットが幅広かったり、ブランドイメージの棄損を懸念して無難さが重視されたりといった状況によって、踏み込んだ主張がないコンテンツが作られるケースも多い。
一方の中小企業では、経営者との距離が近いことや意思決定の自由度が高いことを活かして、絞り込んだターゲットに自社の想いをストレートに伝えるコンテンツを作りやすいのである。
経験や専門性からユーザーのためになる情報を掘り起こし、その幸せに寄与することを目的に熱く伝えることができれば、中小企業でも価値の高いオウンドメディアを作っていけるのだ。それが成果につながる。
3-3. SNSを駆使する
中小企業では、サイト型のオウンドメディアだけではなくSNSも駆使して集客することをおすすめする。
現状SNSには、検索結果で上位表示を狙う場合のような「大企業が過剰に有利なプラットフォーム上の仕組み」がないからだ。誰が作ったコンテンツでも、初日から平等に表示される。
一方、検索結果で上位表示を果たすには最低でも半年程度はかかるため、早く成果を出したい場合にはSNSを活用するのがおすすめだ。より多くのユーザーにリーチできることに伴って、成果量が増えることも期待できる。
実際にバズ部でも、サイト型のメディアに加えてYouTubeとX(旧Twitter)を運営している。そちらをよく見てくれる層もあり、SNSからサイトに流入することもあるため、非常に効果的な方法だと実感しているところだ。
たとえばYouTubeでは、記事コンテンツの内容を担当者がカメラの前で解説する動画を公開している。
またX(旧Twitter)には、記事コンテンツ詳しく解説している内容を一目でわかるイラストにまとめて投稿しているのだ。
【CVキーワードを見つける25のアイディアリスト】
SEOにおけるキーワード選定で重要なのは、とにかく1%でもコンバージョン可能性があるキーワードは、すべて洗い出すことです。… pic.twitter.com/XcxeUDIduP— 松澤 大輔|バズ部コンサル責任者 (@mtzw_bazubu) August 16, 2024
サイト型のオウンドメディアを始めるかどうかという段階でSNSも必要と聞くと、そんなに大変なことはできないという気持ちになるかもしれないが、さほど恐れることはない。
どのみち必要になる記事コンテンツを作れば、それを各SNSに適した形にアレンジして投稿すればよいのだ。セット運用だと思って最初から仕組み化してしまおう。
リソースに限りがある中小企業だからこそ、コスパのよいSNSを最大限に活用することでオウンドメディアの成果を最大化できるのだ。
4. オウンドメディア運営を成功させた中小企業事例
ここで、中小企業でも大きな成果を出したオウンドメディアの事例をご紹介しよう。あなたが次に続くことも夢ではない。
4-1. バズ部
最初はやはり、私たちバズ部だ。中小企業でありながら、なかなかに目覚ましい成果を生んでいると自負している。
バズ部では、真にユーザーのためになるコンテンツを発信している。主にコンテンツマーケティングについて、有料レベルの情報を無料でこれでもかというほど惜しみなく提供しているのだ。
その結果、オウンドメディアの運営を始めてから12年間で50億円以上の売上を創出した。営業はしていない。オウンドメディアが代わりにやってくれているのだ。
加えて、バズ部の考え方に共感する10万人以上がメールマガジンに登録したり、数多くの社員の採用につながったりという効果も得ている。
また、このノウハウを活かしてコンサルティングした数多くのオウンドメディアも、大きな成果を出している。再現性の高い成功方程式を有するという点からも、バズ部は成功事例だといえるだろう。
4-2. みんチャレブログ
アプリサービス提供会社であるエーテンラボ株式会社は、従業員約30人の中小企業だ。運営する「みんチャレブログ」は、アプリの活用方法に関する情報を届けるメディアである。
おすすめの活用方法やユーザーのリアルな事例、代表の想いなどといった独自性の高いコンテンツによって、ユーザーにサービスの本当の価値を伝え、潜在的なニーズを喚起している。
その結果、公開から3ヶ月後には月間20万PV、そしてわずか8ヶ月後には月間140万PVものアクセスを集め、膨大な数のダウンロードを生み出すことに成功した。
しかも、オウンドメディアを通してアプリをダウンロードしたユーザーは、その他の経路でダウンロードしたユーザーと比べて課金率が約25%高かったのだ。
中小企業が認知を拡大したり、サービスに込めた想いや魅力を伝えたりするために、オウンドメディアが大きく貢献するということがわかる事例だといえる。
みんチャレブログの事例については、以下の記事で詳しく解説している。
参考記事:コンサルティング記事代行事例 / わずか8ヶ月で月間140万PVを実現したアプリ企業メディア成功事例
4-3. REFINE
かばん・靴のリペアスタジオ「REFINE」を運営する株式会社モダンアルファは、従業員数人の中小企業だ。企業サイトに組み込む形でコンテンツを発信しているメディアである。
「修理を知らない人」の立場になって考え、まずは自分で直す方法を知りたいというニーズに応えるハウツー系コンテンツを中心に、ユーザーの役に立つコンテンツを発信している。具体的な手順がよくわかるように、記事に埋め込むYouTube動画も作成しているのだ。
その結果、自社サイトからの月間コンバージョン数を取り組み前の18件から495件にまで増やすことに成功したのである。
しかも特筆すべきは、それをたった2名のチームによって成し遂げたということだ。運営責任者1名とライティング担当者1名、これだけである。
中小企業でリソースが限られる中でも大きな成果を出せる、ということを証明する事例だといえる。
REFINEの事例については、以下の記事で詳しく解説している。
参考記事:事例 / たった2名のチームで自社サイトからのコンバージョン数を18件→495件に増やしたリペア専門店
5. 中小企業がオウンドメディアを成功させるための2つのポイント
最後に、中小企業がオウンドメディアを成功させるために押さえるべきポイントをお伝えする。せっかく取り組むのであれば成果を最大化できるように、確認しておこう。
5-1. 代表がこれでもかというほどコミットする
1つめのポイントは、代表がこれでもかというほどコミットすることだ。特に運営を始めた初期段階では、非常に重要な要素になる。
代表が密接に介入することで、企業の想いや知見が詰まったよいコンテンツができるからである。そしてそれが、メディアや社員全体に根付いていく。
前述したように中小企業が成果を出すためには、強い主張を込めた独自の価値をもつコンテンツを作ることが欠かせない。
代表がコンテンツのテーマを検討したり、内容を確認したりすることで、根幹となる企業の考え方とコンテンツの一貫性が担保されるのだ。付随して、後から大きな修正が入って工数がかかるという事態も避けられる。
その企業の色が非常に濃い「ならでは」なオウンドメディアは、ユーザーの認知と信頼を促す。中小企業の象徴である代表が舵を取ることで、その実現が容易になるというわけだ。
5-2. まずは小さな成果をひねり出す
2つめのポイントは、まずは小さな成果をひねり出すことだ。オウンドメディア運営を継続するエネルギーを確保するためである。
オウンドメディア運営を始めたものの、時間ばかりかかって成果が出なかったとしたら、これ以上リソースを投じられないという理由で打ち切りになる可能性がある。経営資金の確保が簡単ではない場合も多い中小企業においては、シビアな判断を下しがちではないだろうか。
しかしオウンドメディアで成果を出すためには、少なくとも半年から1年の時間がかかる。待てずにやめたらそこで終わりなのだ。
そのため、まずは1件の成果(問い合わせや資料請求など)を獲得することをおすすめしたいのである。1件でも成果が出れば、それを増やすことで今後も成果が得られるというイメージがつくため、プロジェクトを継続しやすい。
前述したように、検索数がゼロのキーワードでも構わない。極めて検索数が少ないキーワードのコンテンツを作り、上位表示を実現して成果につなげるというところから始めよう。
6. まとめ
本記事では、中小企業のオウンドメディア運営について、その可能性や方法を解説した。以下に要点をまとめよう。
中小企業でも「工夫さえすれば」オウンドメディアで成功できる。成功するために講じるべき工夫は、以下の3つだ。
1)ニッチなキーワードを選ぶ |
中小企業がオウンドメディアを運営すると、以下の効果を得られる。
・売上に莫大なインパクトをもたらす可能性がある |
中小企業がオウンドメディアを成功させるためには、以下のポイントを押さえよう。
・代表がこれでもかというほどコミットする |
オウンドメディアは、中小企業が売り上げを伸ばす起爆剤になり得る。その可能性を諦めてしまうのは非常にもったいない話だ。この機会に、オウンドメディア運営について前向きに考えてみてはいかがだろうか。