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11/27水19:00〜20:00
ソーシャルメディアの最先端国であるアメリカでは、ソーシャルメディアを使ってキャンペーンを打って、大きな成果を出している企業は数多くある。
その中でも、今回は、36時間で2300万人を巻き込むという、最もセンセーショナルな結果を出したOld Spiceという男性用Body Washの企業のソーシャルメディアキャンペーン事例を詳しくご紹介する。
早速だが、以下はOld Spiceのソーシャルメディアキャンペーンサマリーだ。
1日目:キャンペーンのローンチ 2日目:動画がソーシャルメディアによる口コミで拡散 3〜7日目:口コミの加速化 全体像:ファンベースの拡大と増収Old Spiceキャンペーンのフローとサマリー
米国最大のスポーツイベントの一つであるスーパーボウルの時期と合わせて、ヴァイラル動画をYouTubeで公開。動画は1日目で590万回再生された。これは史上最速の記録だ。
動画を使って視聴者とリアルタイムでコミュニケーションをすることで、更に多くの人々にコンテンツが拡散していった。結果、全世界のトップ11の動画のうち8位にランクインした。
キャンペーン期間中は四六時中、ソーシャルメディア上での反応を観察し、すぐさまリアルタイムでレスポンス動画を作り続けた。結果、You Tubeの動画再生回数が4,000万回を超えた。
Twitterのフォロワー数2,700%UP、Facebookページのファン数800%UP、サイトへのアクセス数300%UP、売上107%UP
Old Spiceがこれらの結果を出すために、行ったことを単純化すると、以下の3つだ。
1.動画をローンチし口コミによって広げる
2.集まった視聴者とコミュニケーションを取り口コミを加速しファンベースを拡大
3.ブランドの認知度・好感度が上がり売上が倍増
それでは、早速、実際のキャンペーン内容を詳しく見て行こう。
ソーシャルメディアキャンペーンの第一歩は、人々が求めるコンテンツを作り、そのコンテンツを公開後、ヴァイラル(口コミ)の始まりとなるアクセスを集めることだ。
Old Spiceは、まず下のような動画を作りYouTubeの専用チャンネル上で公開した。
この動画では、元NFLプレイヤーのIsaiah Mustafaが、” The man, your man could smell like ” 「君の彼も、俺と同じ匂いになれるんだぜ」と挑発的なメッセージを発信している。意訳すると、次のようになる。
はい、女性たち!さあ、君の彼を見てごらん。もう一度僕を見て。また、君の彼を見て。もう一度僕を見てごらん。残念ながら、彼は僕じゃない。でもね、彼が、女性用のボディーウォッシュを使うのを止めて、Old Spiceを使えば、匂いだけは僕と同じになるよ。下を見て。顔を上げて。今、君はどこにいるんだい?君は今、ボートの上にいる。横には、僕と同じ匂いの彼がいる。
君には何が必要だい?僕を見て。僕はそれを持っているよ。それは、君の大好きなものへの切符を2枚持ったオイスターだ。もう一度見て。その切符はダイアモンドだ。君の彼から、女性のような匂いじゃなくて、Old Spiceの匂いがしたら、何だって可能になるんだよ。ごらん、僕は、馬に乗っている。
Old Spiceは、この動画に対して、一気に多くのアクセスを集めるために、アメリカンフットボールのチャンピオンを決める最大のスポーツイベントであるスーパーボウルでCM広告を打った。
※スーパーボウル当日は、スーパーボウルサンデーという事実上の祝日となっており、米国内で年間2位の消費を生む日となっている。この日にキャンペーンを打てば成功間違いなしと言われており、あのアップルもマッキントッシュのローンチの際に同様のことをしている。
しかし、この動画がアップされてからしばらくは、再生回数は伸びなかった。そこで、Old Spiceはすぐに次の手を打った。
爆発的なコンテンツ拡散のきっかけ
爆発のきっかけとなったのはTwitterだった。Digg.comの創業者ケヴィン・ローズ氏が、体調を壊して寝こんでいたのを知って、彼への激励のメッセージを、(勝手に)動画に撮ってTweetしたのだ。すると、それが、きっかけでOld Spiceが、急激に注目を集め始めた。
そのケヴィン・ローズ氏に向けた動画が下記のものだ。
やぁ、ケビン、体の調子はどうだい?よくなっているといいな。
僕自身は一度も風邪をひいたことがない。なぜなら体の98%が筋肉でできていて、筋肉は病気にならないからな。俺の体で筋肉でない1%は両耳だ。耳は軟骨でできているからな。だが調べてみると、耳は熱を出さないらしい。
これって 俺たち2人にとってすばらしいことだって思わないか?つまり、俺は肉体において明らかに勝っていて、お前はインターネットの天才だから知性で勝っている。お前の明晰な頭脳と、俺の強靭な肉体と、ワイルドでハンサムなこの顔ががひとつになったら、どう思う?
いや、それはお前にはできない。俺にも。誰にも。なぜなら、それを考え出すと脳が爆発するからな。それは健康的ではない。ではケビン、ありがとう。いや、お前の天才的なコンピュータ言語で言おう。 10010110100001101。
この動画を見た、ケヴィン・ローズ氏は、「これまでで最高の動画だよ!」とツイートしたのだ。Kevin Rose氏には、100万人以上のフォロワーがいるので、これが爆発的な再生回数を集めるための呼び水となった。
結果、6000以上ものDigg(アメリカのはてなブックマークのようなもの)を得て、さらに多くの人たちに、キャンペーン動画が拡散して行った。
さらに、ケヴィン・ローズが自分たちの動画を「最高だ!」とツイートしてくれたことに対して、Old Spiceは、すぐにケヴィンへのお礼動画を撮ってツイートした。それが下記の動画だ。
ケヴィン・ローズがツイートしたぜ。なんてこった!ク○野郎。Old Spice man からの最高の動画ギフトをお届けしよう。ケヴィン、また会ったな。お前は、男の中の男だ。今、一番大事なのは、さっさと体を治して、俺たちのような男を作ることだぜ。将来の(男の)赤ちゃんのためにも、早く良くなってくれ。将来の(男の)赤ちゃんのためにな。
すると、このやり取りを見ていて面白いと感じた有名なベンチャーキャピタリスとのガイ・カワサキ氏が、25万人のフォロワーに向けてツイートした。すると、Old Spiceは、ガイ・カワサキ氏にも、すぐさま動画を作って送った。
Hey ガイ・カワサキ。Twitterで動画を広めてくれてありがとう。ところでガール・カワサキってのはいないのかい。ガイ、怒らないでくれ。ただ、単純に知りたいだけなんだ。
このようにOld Spiceは、キャンペーン期間中、ソーシャルメディア上の反応を常に観察していて、すぐにレスポンスを返していた。
結果、キャンペーンそのものが、どんどん話題になっていった。最終的にOld Spiceの動画には、22500以上のコメントが書き込まれ、YouTube史上最大のキャンペーン動画となった。
このキャンペーンでOld Spiceが得た短期的な結果は以下の通りだ。
また、これらの数字で見える要素以外にも、大きな利益を得ている。ソーシャルメディア上で、自身のブランドを確立したのだ
例えば、2012年7月現在、Facebookページには、210万人のファンがいて活発なコミュニケーションが生まれている。
Facebookページ:http://www.facebook.com/OldSpice
同様にTwitterにも21万人を超えるフォロワーがいる。
Twitter:http://twitter.com/OldSpice
更にYouTubeチャンネルには30万人以上の登録者がいて、動画の総再生回数は、何と2億9千万回にも及ぶ。以下は、最新のプロモーション動画だ。
デンジャラスって最高さ。オールドスパイスデンジャーゾーンの匂いで、身体を包み込んでいたら、どんな時でも、恐怖は感じない。デンジャーゾーンを使っている男に、何か危険なことが起きたとしても、それは危険でも何でもない。君の身体が、オールドスパイスデンジャーゾーンの匂いなら、もう、心配ごとなんて全て吹き飛ぶよ。そして、君はアメイジングな男になるのさ。
Old Spiceは、今では、ソーシャルメディアを最も有効に活用している企業の一つとなっている。そして、ファンから愛され親しまれるブランドを確立している。そして、そこから生み出される利益は非常に大きい。
規模の大小を関わらず、ソーシャルメディアを用いたキャンペーンは以下のステップで成り立っている。
鍵は、「コンテンツ」と「ソーシャルメディア」を組み合わせるというところにある。
どれだけ良いコンテンツがあっても、ソーシャルメディアを使わなければ広まらない。また、どれだけソーシャルメディアに詳しくても、良いコンテンツがなければ宝の持ち腐れになってしまう。
このOld Spiceの事例が、あなたの気付きの種となれば幸いだ。
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