マーケティング部門以外のメンバーをコンテンツ制作に巻き込もう

こんにちは。バズ部の野口です。

ある日、BtoBの事業(SIer)を行っている会社のマーケティング部門のお客様から質問をいただきました。

「うち独自の質の高い情報をブログに盛り込むことが課題なのですが、私たちでは限界を感じています。現場に出て直接クライアントと話している訳ではないから、実際の深い悩みについては正直わかっていません。現場のメンバーに協力を依頼すべきでしょうか?」

この場合は、当然マーケティング部門以外の現場のメンバーを「うまく巻き込んでいく」しかないでしょう。

マーケティング部門には、マーケティングスキルがあっても、

  • クライアントワークを通じたユーザーサイドの深い理解がない
  • サービスの背景や根幹の事業戦略やコンセプトの深い理解がない

メンバーがアサインされることが多くあります。ユーザー理解やサービス理解よりも、SNSやSEOなどのスキルを優先した人事を行うからです。

そのため、社内のしかるべき人から積極的に情報を集めてこなければユーザーにとって真に価値あるコンテンツを作ることができません。

私たちが過去支援したプロジェクトを振り返ると、「社内に眠る情報資産を引き出し、徹底して反映したコンテンツ」は、確実にアクセスやコンバージョンなどの成果を生み出していました。

「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント(基本編)」でも、以下のように述べられています。

マーケターのスキルとして最も価値が高いのは、人材を社内から選び出し、教育し、結集させて、顧客と円滑で有益かつ長期的なリレーションシップを構築する手伝いを全社員が喜んでしたがるように仕向ける能力である。

フィリップ・コトラー、ケビン・レーン・ケラー著 「コトラー&ケラーのマーケティングマネジメント 基本編」(丸善出版)

そこで今回は、

  • なぜマーケティング部門以外のメンバーをコンテンツ制作に巻き込む必要があるのか
  • 誰を巻き込むのが良いのか
  • どうすれば協力してもらえるのか

についてお伝えします。

あなたの会社に眠る情報資産がコンテンツに反映されれば、より専門的で、独自性を持った高い質のコンテンツに変貌を遂げていくはずです。

コンテンツマーケティングの成果を劇的に高めるために、ぜひお役立てください。


1.マーケティング部門にはそもそもユーザーの深い理解がないと思った方がよい

マーケティング部門のメンバーがアサインされる時、ユーザーの深い理解があるかどうかよりも、多くの場合は「マーケティングスキルの有無」が優先されます。そのため、ユーザーの様々な場面における悩みを解決して成果を出した経験がない、もしくは少ないのです。その状態でコンテンツを作ろうとしても、内容が薄い、ユーザーには響かないコンテンツになってしまいます。

一方で、社内にいるユーザー理解の経験値の高い人、いわゆる社長やトップ営業マンのような方は、ユーザーの悩みを深く理解した上で解決策を提示する専門家です。自身の支援経験や実績を背景に「行動の提案」(あなたはこうすべきだ、という主張)を明確にすることができるため、非常に価値の高いコンテンツを作ることができます。

ここではユーザーの理解とその分野の専門性がマーケティングには必要であることを具体的に掘り下げてお伝えしていきます。

1-1.ユーザーの深い理解と専門性がないと「行動提案」ができない

ユーザーサイドの深い理解と、専門知識がない人がコンテンツを作っても、プロレベルの行動提案ができないコンテンツになってしまいます。

そうなると、コンテンツを見たユーザーがその通りに行動しても、「結果が出ない」コンテンツになってしまいます。

イメージで表すと、以下の図の通りです。

良質なコンテンツと普通のコンテンツのユーザー満足度

ユーザーの深い理解・悩みを解決できるレベルの専門性がないと、ユーザーの潜在ニーズを満たす(=ユーザーが必ず悩むことを先回りして解決する)素材がない状態でコンテンツを作ることになります。

例えば、BtoBのサービス業の会社であれば、

  • 自社サービスの依頼を検討する前に、ユーザーはどんな悩みを抱えるのか
  • プロ(専門家)からすると、ユーザーはその悩みをどう解決すべきなのか
  • プロ(専門家)からすると、ユーザーは自力ではなく外部サービスを利用すべきなのか
  • なぜクライアントは自社のサービスを選んだのか?
  • サービスを利用したクライアントは、どのような価値を感じているのか

これらは最低限把握しておきたい情報です。

ユーザーが直面している「その場を経験しなければわからない具体的な悩み」に配慮したコンテンツを提供するには、ユーザーと直接話したり解決をする経験者ならではの情報が必要となります。

1-2.行動提案は、コンテンツを見た後の行動を変える

「行動提案」(=あなたはこうすべきだ、という主張)がある記事は、コンテンツを見た後のユーザーの行動を変える力を持っています。

単に知識を提供するのではなく、「ユーザーの悩みがを解決できる」イメージを与えるからです。

具体的に、ブログの内容で見ていきましょう。

「ワンルームマンション投資」というキーワードで制作された以下のブログをご覧ください。

なぜワンルームマンション投資はやめろと言われるのか?

記事を読むと、冒頭ではっきりとした行動提案(主張)がされています。

先にお伝えすると、私はワンルームマンション投資をおすすめしません。

なぜなら、毎月200名以上の投資家がお越しになる弊社の投資相談で、

「ワンルームマンション投資をよく考えずに購入して後悔している」

とおっしゃる方が後を絶たないからです。具体的に、月に5人以上はいらっしゃるでしょうか。

引用:https://www.musashi-corporation.com/wealthhack/division-apartment-investment

ワンルームマンション投資をおすすめしません。」というはっきりとした行動提案(主張)があり、実体験を元にした根拠も明確にされていることで、「ワンルームマンションの投資は慎重になるべきだ」というイメージを持つことができます。

以下は、行動提案がある記事・ない記事例の比較です。

行動提案が「ある」記事行動提案が「ない」記事の例
キーワードワンルームマンション 投資ワンルームマンション 投資
タイトルなぜワンルームマンション投資はやめろと言われるのか?ワンルームマンション投資とは?詳しく解説
目次
  1. ワンルームマンション投資とは
  2. おすすめしない5つの理由
  3. 失敗した実例
  4. 失敗しないために当社がお伝えしたいたった1つのこと
  5. おすすめできるケース
  6. まとめ
  1. ワンルームマンション投資とは
  2. メリット・デメリット
  3. やめた方が良い?からくりや危険性
  4. 始め方
  5. 失敗しない方法
  6. おすすめの会社
  7. まとめ
行動提案(主張)ワンルームマンション投資に
安易に手を出さないでください
なし
(自分で良いと思ったら始めてください)
読み終わった後の
ユーザーの状態
収益性が低いと考えられるワンルームマンション投資には安易に手を出さない判断ができる。
仮に怪しい営業をされても断る。
ワンルームマンション投資についての知識が増えた。

はっきりと行動提案をすることで、構成(目次)は、一見すると似ていますが、読み終わった後のユーザーの状態に大きな違いが生まれます。

行動提案が「ない」記事の例のように、「知識が増えた」だけだと、たとえ記事が上位に存在しアクセスが集まったとしても、問い合わせする理由が生まれず、コンバージョンにはつながりづらいでしょう。

マーケティング部門以外のメンバーの力を借りることで、ユーザーに対してプロレベルの行動提案をすることができます。これが、ユーザーの行動を変えるコンテンツに質を上げることにつながります。

ユーザーがあなたの会社のコンテンツをきっかけに、行動を変えて大きな成果を出したら、あなたの会社のコンテンツのファンになり、さらに期待した相談やサービスの利用に繋がっていくはずです。

結局のところ、行動提案こそが価値であり、そこがマーケティングの肝になってくるのです。それはユーザーの置かれた状況に対する深い理解なしでは絶対にできない。だからこそ、部門外のメンバーを巻き込む必要があるのです。


2.専門性・顧客への献身性を持つメンバーを巻き込もう

マーケティング部門以外のメンバーを巻き込む際は2つの特徴に留意して巻き込む必要があります。

具体的には、以下の2つの特徴を持っているメンバーをプロジェクトにアサインしましょう。

2-1.発信するテーマについて高い専門性を有する人

メンバー選定では、発信するテーマに対する専門的知識・経験を持つメンバーをアサインしましょう。

まだ公開されていない(マーケティングチームでも知らなかった)コンテンツの資源を持っている可能性が高いからです。

私たちの経験からすると、たとえば以下のような方です。

  • 経営者(経営層)
  • セールス担当者、マネージャー
  • カスタマーサクセスなどクライアントとクライアントワークの担当者、マネージャー
  • プロダクトの開発の責任者 など

ここで挙げた方々は、

  • 発信者自身がその分野・業界におけるオーソリティ(専門家)である
  • 専門家としての強い主張・結論がしっかりと出せる
  • 明確で論理的なソースに基づく根拠の提示が可能
  • 筆者の経験に基づく深い洞察とアドバイスが行える など

いずれかの特徴を持っているはずです。

あなたの行うコンテンツマーケティングのジャンル・テーマで専門知識豊富な方をピックアップしてみましょう。

2-2.顧客・ユーザーに対して献身性のある人

「顧客」・「エンドユーザー」に対して献身性のある社員をアサインしましょう。

理由は、ユーザーに響く情報を得られやすいからです。

「顧客」・「エンドユーザー」に献身性のある社員は

  • 検索キーワードの裏にあるユーザーの背景
  • ユーザーが検索時に置かれている状況
  • ユーザーが本質的に知りたいこと(潜在的な悩み・課題解決策など)

まで考え抜きます。

例えば、

  • 成績上位のセールス担当者
  • クライアントの成功事例に関わった支援担当者
  • 競合のサービスと市場を徹底調査したリサーチ担当者、開発担当者 など

これらのメンバーからアサインしてみましょう。

強力なメンバーから、社内に眠るコンテンツの資源を少しでも反映できれば、それだけでユーザーへの行動提案の質が高まります。

あなたの会社の将来の見込客に響く情報を持っている方を、ピックアップしてみましょう。


3.うまく巻き込むために、2つのハードルを越えよう

マーケティング部門以外のメンバーをうまく巻き込むためには、2つのハードルを超える必要があります。

  1. コンテンツマーケティングを経営課題として認識させる
  2. アサインするメンバーが動きやすい体制にする

巻き込み方は簡単ではありませんし、巻き込むことがうまくないと、メンバーにとってはボランティアのように捉えられてしまい、短期的なプロジェクトで終わってしまう最悪の可能性もあります。

ここでは、うまく巻き込むための2つのハードルをお伝えします。

3-1.コンテンツマーケティングを経営課題として認識させる

最適なメンバーを巻き込むには、コンテンツマーケティングを経営課題として認識させる必要があります。

経営課題として認識しないと、会社にとっての優先度が下がり、最適なメンバーがアサインされないからです。

具体的には、自社の「今のコンテンツ」に着目し、提案することが重要です。

アサインしたいメンバーの部門長・マネージャー、その立ち位置が社長なら、最大の熱量で提案していきましょう。

自社のコーポレートサイトの改善に経営層を巻き込む際の説得内容例

  1. コーポレートサイトの改善に、経営層に協力してもらいたい。
  2. なぜなら、コーポレートサイトの改善は、緊急で重要な経営課題として認識すべきだと考えているから。
  3. 具体的には、経営層にユーザーに伝えるメッセージを直接考えてもらいたい。
  4. コーポレートサイトは将来の見込客との一番最初のコミュニケーションになるにも関わらず、今のコーポレートサイトには、経営層の言葉が反映されていない。
  5. コーポレートサイトに本来とは違うメッセージがあるということは、サイトを見た方に意図と違う印象を与えているということ。
  6. 自社は競合他社より、誰が見ても明らかに優れた独自の強みを持っている。これを適切に発信することでより大きな成果が出る可能性がある。
  7. 一方でコーポレートサイトが競合他社よりも優れていなけば、広告掲載などで作為的にアクセスを集めても成果にはつながらない。競合他社にユーザーを明け渡すことになる。
  8. 今ここで協力いただくことで、将来の機会損失を防ぐことにつながる。
  9. だから、コーポーレートサイトの改善は経営課題だと認識して、関わってもらいたい。

ブログの改善にクライアントワークの第一人者を巻き込む場合の説得内容例

  1. 自社のブログの改善のために、クライアントワークの第一人者をアサインさせてほしい。
  2. ブログの改善によって、緊急で重要な経営課題の解決に繋げることができるから。
  3. 具体的には、集客・売上・ブランド認知面の3つに良い効果を発揮できる。
  4. 自社は業界でもトップレベルの質のサービスを提供しているにも関わらず、自社を象徴する検索キーワードで検索しても、上位にページが出てこない。
  5. 原因は、この領域でユーザーにとって価値のある情報を発信していないから。クライアントワークの現場の深い情報がないと、そもそも価値のある情報を発信できない。
  6. クライアントワークを行うチームから協力を得たいが、クライアントとの時間・自部門の短期的な成果を優先するため、全面的にマーケティングに協力してくれるわけではない。(逆の立場に立っても、確かにそのように考えるだろう。)
  7. しかし、クライアントワークを行うメンバーにとっても、「新規クライアントを増やし続ける」ことは重要な課題の一つであるはずだ。
  8. このままだと、他社のページにユーザーが流れ続ける。これは集客・売上・ブランド認知面の3つに悪い影響が起きるということ。
  9. 今このタイミングでマーケティングにリソースを集中させて解決すべきだと考えている。
  10. ブログの改善に協力してくれれば、競合他社を圧倒するレベルの質のコンテンツを作ることができると確信している。具体的にもらいたい情報も想定している。
  11. 自社の第一人者を、ブログの改善のプロジェクトにアサインさせてもらいたい。

このように、

  • 現在、会社全体にとって良くない状態である事実の指摘
  • 成果を出すために自社の第一人者に関わってもらうことがベストという提案

をしていきます。会社の状況によってロジックは変わるかもしれませんが、参考にしてみてください。

経営課題として認識させることは一番難しいことです。最大の熱量を持って提案していきましょう。

場合によっては、そもそもコンテンツマーケティング自体の理解をしてもらうことが必要になることがあるでしょう。その場合は、以下をご覧ください。

コンテンツマーケティングの企画を社内で通すために役立つ説得材料集

コンテンツマーケティング検討段階で最も多く寄せられる50の質問とその答え

3-2.アサインするメンバーが動きやすい体制にする

うまく巻き込むには、アサインするメンバーがとにかく動きやすい体制にする必要があります。

そもそも、マーケティングのコンテンツ制作に関わったことがない、未経験のメンバーはどのようにコンテンツをつくるのかを理解していませんし、どの点で、どのように貢献すべきかもよくわからないからです。

  • いつ
  • どこで
  • 誰に対して
  • どのレベルの情報を
  • どのような形式で

提供して欲しいのか。マーケティングチームが具体的に伝えましょう。

例えば、最初は、マーケティングチームの作ったコンテンツに「口出ししてもらう」ことだけを依頼しても良いでしょう。

プロジェクトの進み具合に合わせて、より深く「コンテンツの制作」にも携わってもらう、など状況に合わせてより大きな成果のための体制に変えていくのが良いと思います。

実際に、コンテンツマーケティングのプロジェクトに専門家を巻き込んで大きな成果を出した武蔵コーポレーション様(不動産業)は、社内の協力を得て以下のようにコンテンツマーケティングの運用体制を整備していました。

【武蔵コーポレーション様のコンテンツ制作体制(オウンドメディア「ウェルスハック」の運営体制】

武蔵コーポレーション様のコンテンツ制作体制

あえて営業・会計士にはコンテンツの「確認」をしてもらう形にしています。

武蔵コーポレーション様の事例を詳しく知りたい場合は、こちらをご覧ください。

累計106億円の売上を叩き出した不動産会社のコンテンツマーケティング事例

外部のメンバーを巻き込むために、関わってくれるメンバーが動きやすい体制であることを示せば、お互いの時間の価値を高められるはずです。


まとめ

マーケティング部門以外のメンバーをうまく巻き込むことで、発信する情報の質を格段に上げることができます。

そのため、マーケティング部門の最大の役割は、「社内に眠る情報資産を引き出し、マーケティングの成果を最大化させるコンテンツに落とし込むこと」だとも言えます。

ぜひ、あなたの会社に眠る情報資産を引き出し、「まさにこの情報を探していた!」とユーザーが叫びたくなるようなコンテンツの完成にお役立てください。

あなたの会社を象徴するコンテンツに共感したユーザーが、大量にアクセスし、サービスにマッチしたユーザーがアクションを起こすはずです。

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