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06/24火13:00〜16:00
「GA4のイベント設定、何からやればいいかわからない……」
このように戸惑っているところかもしれない。
データ活用が当たり前になった今、Googleアナリティクス4(以下GA4)を使いこなせないと、競合サイトに大きく水をあけられかねない。とりわけ、イベント設定は、ユーザー行動を詳細に分析するために欠かせない機能だ。
しかし、イベント設定がわからないまま、なんとなくGA4を使っている方も多いのではないだろうか。
本記事では、GA4イベント設定の基本的な概念から、初心者でも理解できる詳細な手順、さらには実践的な活用例までを網羅的に解説する。
画像を交えてわかりやすく説明するので、初めての方も安心して取り組んでほしい。サイト改善に直結するGA4イベント設定のノウハウを、身につけていこう。
目次
まず知っておきたい基本的な事項から確認していこう。
Webサイトを訪れたユーザーは、ページを見るだけでなく、リンクやボタンのクリック、フォームへの入力など、さまざまなアクションを起こしている。
これらのユーザーアクションをGA4で記録し、数値として可視化したものが「イベント」だ。つまり、イベント設定をすると、サイト訪問者が具体的に何をしたのかを把握できるようになる。
イベントには、ページ閲覧、ボタンクリック、ファイルダウンロードなど、ユーザーの行動を表す多様な種類がある。これらを分析すれば、単なるアクセス数ではつかめない行動パターンを見いだせる。
イベントを設定する目的は、成果につながる重要な行動を追跡し、サイトの改善に役立てることだ。たとえば、問い合わせや購入などコンバージョンに至るまでの過程を詳細に把握できれば、効果的な施策を打てる。
イベントデータを活用するメリットをまとめておこう。
イベントを活用すれば、データに基づいて優先順位を判断し、根拠を持って施策を実行できるようになるのだ。
そもそもの前提として、GA4はイベントを中核に据えた、新しいデータ計測モデルを採用している。
GA4の前身であるUA(2023年7月終了)では、イベントはオプション的な位置付けだった。一方、GA4では、ページビュー、クリック、スクロール、サイト内検索など、あらゆるユーザー行動をイベントとして収集できる仕組みになった。
つまり、イベントを理解し適切に設定することが、GA4を活用するための必須スキルとなったのだ。イベントの設計がGA4分析の質を大きく左右するといっても過言ではない。
イベント設定をするうえで、まず理解しておきたいのが「イベント」と「パラメータ」の概念だ。以下のポイントを確認しよう。
GA4における“イベント”とは、ユーザーがサイト上で行うアクションを表す単位だ。「ページの閲覧」「クリック」「フォーム送信」など、あらゆる行動をイベントとして計測の対象にできる。
しかし「クリックがあった」だけでは、どのボタンを押したのか・どのページで押したのかはわからない。そこで使うのが“パラメータ”である。パラメータを付与すると、そのイベントに関する詳しい情報を記録できる。
【イベント】
【パラメータ】
イベントとパラメータの使い方を、具体例で見ていこう。詳しい設定方法はのちほど解説するので、ここでは概念を理解することに集中してほしい。
たとえば “button_click” というイベント名を設定し、そこに “button_label” というパラメータを付け、 ‘資料請求ボタン’ という値を記録すると、“どのボタンを押したのか”を判別できるようになる。
このようにイベントを記録しておけば、あとで分析する際に、「“button_click” イベントのうち、“button_label” が ‘資料請求ボタン’ のもの」を簡単に取り出せる。
イベント名とパラメータ名は、半角英数字とアンダースコア(_)を使用し、先頭文字は数字ではなく英字にするのが基本だ(*1)。小文字・大文字も別物として扱われるため、注意する。パラメータの値は日本語で問題ない。
*1:補足として、「イベント名は、先頭文字以外は英語以外も使える」というのが公式の命名規則だが、一部でエラーが生じる可能性も指摘されており、英語のみの設定が推奨される。
参考:アナリティクス ヘルプ「[GA4] イベントの命名規則」、Google アナリティクス コミュニティ「GA4のイベント名に日本語は使えますか?」
参考までに、以下はGA4で実際に設定した例だ。
***
ここまでの話をまとめると、イベントで「行動の種類」を定義し、パラメータで「その行動の詳細」を追加すると、ユーザーがどこで何をしたかを立体的に把握できるようになる。
初心者は、まず計測したい行動(イベント)を決め、次に「どのような補足情報(パラメータ)があると分析に役立つか」を検討すると効率的である。
GA4では計測するイベントが4つのタイプに分類される。
最初は、この4種類のイベントの違いを把握することからスタートするとよい。それぞれの特徴を理解しておけば、イベント設定の設計がしやすくなるからだ。
以下でそれぞれ見ていこう。
「自動収集イベント」とは、GA4を導入したら自動的に記録が開始されるイベントのことだ。
【代表的な自動収集イベント】
自動収集イベントは、アクセス解析の土台となる基本的な指標をカバーしている。GA4導入初期は、まずはこれらのデータを使って、サイト全体のパフォーマンスを評価することに慣れていこう。
「拡張計測イベント」は、自動収集では入手できない詳細な情報を集めるために用意された仕組みだ。GA4の管理画面上で設定を有効化するだけで、追加のイベントを記録できるようになる。
【おもな拡張計測イベント】
拡張計測イベントは、[管理]>データの収集と修正[データストリーム]>データストリームの名前をクリック>ウェブストリームの詳細のページにて、拡張計測機能をONにすると計測できる。
拡張計測イベントを活用すると、ユーザーのより具体的なアクションを可視化できる。サイトの目的に応じて必要な項目を選択し、データ収集の幅を広げるとよいだろう。
上記の拡張計測機能のON/OFFをするトグルボタンの下にある歯車マークをクリックすると、以下のとおり、詳細を設定できる。
参考:アナリティクス ヘルプ「[GA4] 拡張計測機能イベント」
「推奨イベント」とは、Googleがあらかじめ定義した共通のイベント名とパラメータのことを指す。
新しいイベントを設定する際、自由にイベント名やパラメータを作るのではなく、まずは推奨イベントを使うことをGoogleは推奨している。
推奨イベントを使うと、次のメリットがある。
*2:BigQueryとは、Google Cloudの超高速・大規模データ分析サービスのこと。
【推奨イベントの例】
推奨イベントは、Google公式ヘルプの「[GA4] 推奨イベント」にて確認できる。以下のように分類された多くの推奨イベントがあるので、自サイトに適合する分野をチェックしておこう。
なお、推奨イベントは「Googleが推奨するイベント名」であり、GA4上に推奨イベントという設定項目が存在するわけではない。実際の作業としては、次項で解説するカスタムイベントに、推奨イベントの名前とパラメータを適用する形で利用する。
「カスタムイベント」は、拡張計測や推奨イベントでは捉えきれない独自のアクションを記録するために使われる。
サイト運営者が自由にイベント名とパラメータを定義できるため、ビジネスの特性に合わせた詳細な分析が可能だ。
【カスタムイベントの活用例】
カスタムイベントは、自社のビジネスモデルに特化した指標を設計できる反面、管理の手間が増える点には注意が必要だ。
ここまでに解説したほかのイベント(自動収集/拡張計測/推奨イベント)で代替できないかを慎重に検討したうえで、必要な項目のみを厳選して実装するのがよいだろう。
***
以上の4種類のイベントを状況に応じて使い分けることが、GA4を活用するうえでの基本となる。
初心者は、まず自動収集と拡張計測を軸にデータを集め、徐々に推奨イベントやカスタムイベントを検討していくとよいだろう。
ここまでお読みいただき、GA4の基本概念を理解できたら、実際にイベント設定にチャレンジしてみよう。
ここでは2つの方法(GA4管理画面を使う/Googleタグマネージャーを使う)と、イベント設定後の確認方法を解説する。
まず、GA4管理画面にある「イベントを作成」機能を使う方法から見ていこう。
GA4にログインしたら、画面の右下にある[歯車]マークをクリックして管理画面に遷移する。[データの表示]→[イベント]の順にクリックして、イベントの管理画面にアクセスしよう。
自動収集イベントなど、収集中のイベント一覧が表示されるので、右上の[イベントを作成]ボタンをクリックし、新規作成モードに入る。
カスタムイベントの作成画面が表示されるので、右上の[作成]をクリックしよう。
イベントの作成画面が表示されたら、以下の項目を設定する。
作成したいイベントの名称を入力する。これがGA4上に記録される名称となる。任意で設定できるが、前出の「[GA4] イベントの命名規則」に従って命名しよう。
トリガー(イベントの引き金となる条件)となる、既存の元イベント(ソースイベント)のパラメータと条件を設定する。
たとえば、パラメータで “page_title” を選び、条件を「 ‘商品詳細’ を含む」とする。すると、ページビュー時に、そのページのタイトルが ‘商品詳細’ を含んでいれば、イベントが発生して記録される。
ソースイベントのパラメータ(例:ページURL、タイトルなど)を新イベントにコピーするか、チェックボックスで選択する。通常はONにして引き継ぐ(OFFにするのは、元イベントのパラメータが不要・新イベントに独自のパラメータだけを付与したい場合で、上級者向け)。
設定内容を確認したら右上の[作成]ボタンをクリックし、新しいイベントルールを有効化しよう。
カスタムイベント一覧に新ルールが表示される。
なお、この時点では収集中のイベント一覧には表示されない。作成した新規イベントが実際に計測されて初めて、収集中のイベント一覧に表示されるようになる。
作成した新規イベントが実際に計測され、イベント一覧に登場したら、必要に応じてコンバージョンとしてマークしておこう。
[キーイベントとしてマークを付ける]のトグルボタンをONにすると、コンバージョンとしてマークされる。
キーイベント(コンバージョン)としてマークしておくと、GA4の主要レポートで、そのイベントがコンバージョンとして集計されるようになる。
コンバージョンについてより詳しく知りたい方は、「GA4コンバージョンの設定方法から確認方法・注意したいミスまで解説」の記事をあわせて確認してほしい。
イベント設定時の注意事項をまとめておこう。
続いて2つめの方法として、Googleタグマネージャー(GTM)を使う方法を解説する。
前述のGA4管理画面での設定は手軽だが、より複雑な条件やサイト固有の動作をトラッキングする場合は、GTMの利用が有効だ。GTMを用いれば、担当者自身がイベント実行の条件を細かく設定できる。
なお、以下の解説は、GTMを理解していないと読み進めるのが難しい。GTMをまだ使っていない方、使い方がわからない方は、先に「Googleタグマネージャーの使い方【初心者OK】導入から設定例までわかる」の記事から確認しよう。
GTMにログインし、対象コンテナ(サイト)のワークスペースを開こう。
なお、GTMの初期設定として、GTMとGA4の連携が済んでいる必要がある。連携が済んでいない場合は、「Googleタグマネージャーの使い方【初心者OK】導入から設定例までわかる」を確認のうえ進めてほしい。
[タグ]>[新規]をクリックし、新規タグを作成する。
名前の部分が「名前のないタグ」となっているので、適切な名前を付けよう(例:GA4イベント_請求ボタンクリック)。
タグタイプとして[Google アナリティクス: GA4 イベント]を選択する。
※測定タグの入力を求められた場合は、GA4の測定 ID「G-XXXXXXXXXX」を入力しよう。
まず、任意の[イベント名]を入力する(例:request_button_click)。推奨イベントの場合、公式のイベント名をそのまま使用する。
次に、[イベントパラメータ]を開き、必要に応じて設定する。
注意点として、先ほど解説したGA4の設定時に使った “パラメータ” は、既存イベントをもとにして新規イベントを記録するトリガーとしての役割をしていた。
一方、こちらのGTMの[イベントパラメータ]は少し異なる概念なので、混乱しないようにしよう。[イベントパラメータ]は、GTMがGA4にイベントを送信する際に、そのイベントに付随する情報を追加する役割をしている。
たとえば、パラメータ名“button_text”に組み込み変数[Click Text]を設定し、クリックしたボタンのテキスト情報を送信する、といった設定が可能だ。
少し上級者向けなので、最初の段階では[イベントパラメータ]は設定しない状態でも構わない。
タグの設定が済んだら、タグ設定エリアの下部にある[トリガー]の設定に進もう。
トリガーでは、どのような条件のときにタグを実行(=イベントを記録)するかを設定する。トリガーのエリアをクリックすると、まずトリガーの選択画面が表示される。
今回は新規にトリガーを作成することとして、右上のプラスボタン[+]をクリックしよう。
トリガー作成画面が開いたら、トリガー名(例:トリガー_請求ボタンクリック)を入力し、トリガーのタイプを選択する。今回はクリックを計測したいので、[クリック>すべての要素]を選択しよう。
次に、[このトリガーの発生場所]で、[一部のクリック]を選択する。条件としてたとえば、 “Click Text” に ‘請求’ を含むよう指定する。
上記の設定をすると、以下のようなボタンでトリガーが実行される。
設定できたら、右上の[保存]ボタンをクリックしてトリガーを保存しよう。
これで一通りのタグ設定ができた。
右上の[保存]ボタンをクリックしてタグを保存し、GTMのタグおよびトリガーの画面で新しいタグとトリガーが追加されていることを確認しよう。
最後に、GTMコンテナを公開すれば、サイト上で指定したアクションに応じてGA4イベントが実行される(プレビューで動作確認してから公開しよう)。
GA4またはGTMでイベントを設定したら、正しくイベントが受信されていることを確認しよう。
まず、GA4の「リアルタイムの概要」レポートを開き、直近30分間のイベント発生状況を確認する。イベントで設定したアクションが反映されているか、イベント名ごとの件数などをチェックしよう。
さらに、GA4の機能である「DebugView」と併用するとより正確な検証ができる。DebugViewを利用するには、デバッグモードを有効にする必要があるため、詳しくはGoogle公式ヘルプの「[GA4] DebugView でイベントをモニタリングする」を参照してほしい。
数時間〜数日ほど経ったら、標準レポートにもデータが反映されるのを確認しよう。[ライフサイクル]>[エンゲージメント]>[イベント]にアクセスすると、イベントレポートを確認できる。
なお、新規に作成したイベントは、反映までに時間がかかる場合がある。反映されない場合は、まずは1日程度、待ってみるとよい。
イベント設定がうまくいかないときは、まずはGoogle公式ヘルプの「[GA4] カスタム イベント」を確認しよう。
イベント名やパラメータ名の命名規則や各種制限など、つまずきやすいポイントが網羅されているため、セルフチェックに役立つ。
さらにサポートが必要な場合は、「Google アナリティクス コミュニティ」で同じ問題に直面しているユーザーの質問を検索したり、あるいは自分で質問を投稿してみるのがおすすめだ。
最後に、イベント設定に慣れてきた方に向けて、以下の3つのケースごとに実践的なイベント設定例を紹介するので、ぜひ活用してほしい。
コンテンツマーケティングでは、ブログ記事、動画、ホワイトペーパーなどを通じて見込み客との接点を深め、ブランド価値向上やリード獲得を狙う。こうしたプロセスの各段階で詳細なデータを提供し、改善ポイントを明確にするイベントに着目しよう。
これらの設定により、各コンテンツのエンゲージメントを定量的に評価し、戦略的なコンテンツ制作および改善が実現できる。
ECサイト運営においては、ユーザーの購買プロセス全体を正確に把握し、売上向上を実現することが最重要課題だ。GA4は、EC向け推奨イベントを豊富に提供しているので、各段階のユーザー行動を詳細に記録できる。
各イベントには、商品ID・価格・数量などの詳細パラメータを付与できる。推奨イベント名を活用すれば、GA4のEC向けのレポート(収益化レポートなど)がそのまま利用でき、分析が効率化される。
また、ECシステム側でGA4との連携機能(プラグイン、拡張機能など)を提供している場合もある。利用すれば、推奨イベントの設定が容易になり、データ収集の精度も向上する可能性が高い。
自社サイトで利用しているECシステムのマニュアルやサポート情報を確認し、GA4との連携機能の有無や設定方法を調べてみてほしい。
BtoBサイトでは、問い合わせや資料請求などのWeb上のコンバージョンが商談につながる初動となる。GA4の詳細なイベント計測は、リード獲得から育成、最終的な商談転換までの流れを明確にするための強力な手段となる。
以上、各シーンでのGA4イベント設定例を、自動収集・拡張計測・推奨・カスタムイベントに分類して紹介した。これらの具体例を参考に、各領域でのGA4活用を実務に取り入れ、サイト改善を目指してほしい。
マーケターやWeb担当者の自力だけでは実装が難しい場合は、開発やWebシステム会社などの協力も得ながら、データ収集・分析の体制を整えていこう。
本記事では「GA4のイベント設定」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。
GA4イベント設定について最初に知っておきたいこととして、以下を解説した。
設定する前にイベントとパラメータを理解する必要がある。
GA4のイベントの種類は4つある。
実際にイベント設定する流れを解説した。
3つのケース別に見るGA4イベントの設定例は以下のとおりだ。
ぜひ本記事を参考に、GA4のイベント計測と分析に挑戦してみてほしい。最初は手探りでも、一歩ずつ進めればGA4がもたらす豊富なデータの恩恵を実感できるはずだ。あなたのマーケティングがデータによって飛躍することを願っている。
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