GA4イベント設定をわかりやすく解説:初心者向け手順から活用法まで

GA4のイベント設定、何からやればいいかわからない……」
このように戸惑っているところかもしれない。

データ活用が当たり前になった今、Googleアナリティクス4(以下GA4)を使いこなせないと、競合サイトに大きく水をあけられかねない。とりわけ、イベント設定は、ユーザー行動を詳細に分析するために欠かせない機能だ。

イベント設定はユーザー行動の分析に欠かせない機能

しかし、イベント設定がわからないまま、なんとなくGA4を使っている方も多いのではないだろうか。

本記事では、GA4イベント設定の基本的な概念から、初心者でも理解できる詳細な手順、さらには実践的な活用例までを網羅的に解説する。

画像を交えてわかりやすく説明するので、初めての方も安心して取り組んでほしい。サイト改善に直結するGA4イベント設定のノウハウを、身につけていこう。

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1. GA4イベント設定について最初に知っておきたいこと

まず知っておきたい基本的な事項から確認していこう。

  1. イベントとは何か?
  2. なぜイベントを設定するのか?
  3. GA4はイベント中心のデータ計測モデル

1-1. イベントとは何か?

Webサイトを訪れたユーザーは、ページを見るだけでなく、リンクやボタンのクリック、フォームへの入力など、さまざまなアクションを起こしている。

これらのユーザーアクションをGA4で記録し、数値として可視化したものが「イベント」だ。つまり、イベント設定をすると、サイト訪問者が具体的に何をしたのかを把握できるようになる。

GA4イベントの基本

イベントには、ページ閲覧、ボタンクリック、ファイルダウンロードなど、ユーザーの行動を表す多様な種類がある。これらを分析すれば、単なるアクセス数ではつかめない行動パターンを見いだせる。

1-2. なぜイベントを設定するのか?

イベントを設定する目的は、成果につながる重要な行動を追跡し、サイトの改善に役立てることだ。たとえば、問い合わせや購入などコンバージョンに至るまでの過程を詳細に把握できれば、効果的な施策を打てる。

イベントデータを活用するメリットをまとめておこう。

  • 成果の可視化:ゴールにつながる行動を具体的に把握でき、単なるアクセス数では見落としがちな実態を理解しやすい。
  • 離脱箇所の特定:ユーザーが離脱しやすい位置を検出し、サイト上の課題を早期に発見できる。
  • 施策検証の効率化:流入元や期間別などのイベント数の比較によって、各種施策の効果を定量的に評価できる。

イベントを活用すれば、データに基づいて優先順位を判断し、根拠を持って施策を実行できるようになるのだ。

1-3. GA4はイベント中心のデータ計測モデル

そもそもの前提として、GA4はイベントを中核に据えた、新しいデータ計測モデルを採用している。

GA4の前身であるUA(2023年7月終了)では、イベントはオプション的な位置付けだった。一方、GA4では、ページビュー、クリック、スクロール、サイト内検索など、あらゆるユーザー行動をイベントとして収集できる仕組みになった。

つまり、イベントを理解し適切に設定することが、GA4を活用するための必須スキルとなったのだ。イベントの設計がGA4分析の質を大きく左右するといっても過言ではない。


2. 設定する前にイベントとパラメータを理解しよう

イベント設定をするうえで、まず理解しておきたいのが「イベント」と「パラメータ」の概念だ。以下のポイントを確認しよう。

  1. イベントとパラメータの関係性
  2. イベントとパラメータの設定例
  3. 使える文字列

2-1. イベントとパラメータの関係性

GA4における“イベント”とは、ユーザーがサイト上で行うアクションを表す単位だ。「ページの閲覧」「クリック」「フォーム送信」など、あらゆる行動をイベントとして計測の対象にできる。

しかし「クリックがあった」だけでは、どのボタンを押したのか・どのページで押したのかはわからない。そこで使うのが“パラメータ”である。パラメータを付与すると、そのイベントに関する詳しい情報を記録できる。

イベントとパラメータとは?

【イベント】

  • 大枠の行動名(例:button_click、file_download など)
  • “何が起こったのか”を示す

【パラメータ】

  • イベントに付随する補足情報を入れる領域(例:button_label、file_name など)
  • “どのボタンか”、“どのファイルか”など詳細を把握するために使う

2-2. イベントとパラメータの設定例

イベントとパラメータの使い方を、具体例で見ていこう。詳しい設定方法はのちほど解説するので、ここでは概念を理解することに集中してほしい。

たとえば “button_click” というイベント名を設定し、そこに “button_label” というパラメータを付け、 ‘資料請求ボタン’ という値を記録すると、“どのボタンを押したのか”を判別できるようになる。

資料請求ボタン

  • イベント名:button_click(ボタンのクリックという行動を指す)
  • パラメータ名:button_label(クリックされたボタンの名前を格納する)
  • パラメータ値:“資料請求ボタン”(クリックされたボタンの実際の名前)

このようにイベントを記録しておけば、あとで分析する際に、「“button_click” イベントのうち、“button_label” が ‘資料請求ボタン’ のもの」を簡単に取り出せる。

2-3. 使える文字列

イベント名とパラメータ名は、半角英数字とアンダースコア(_)を使用し、先頭文字は数字ではなく英字にするのが基本だ(*1)。小文字・大文字も別物として扱われるため、注意する。パラメータの値は日本語で問題ない。

*1:補足として、「イベント名は、先頭文字以外は英語以外も使える」というのが公式の命名規則だが、一部でエラーが生じる可能性も指摘されており、英語のみの設定が推奨される。

参考:アナリティクス ヘルプ「[GA4] イベントの命名規則」Google アナリティクス コミュニティ「GA4のイベント名に日本語は使えますか?」

参考までに、以下はGA4で実際に設定した例だ。

実際に設定した例

***

ここまでの話をまとめると、イベントで「行動の種類」を定義し、パラメータで「その行動の詳細」を追加すると、ユーザーがどこで何をしたかを立体的に把握できるようになる。

初心者は、まず計測したい行動(イベント)を決め、次に「どのような補足情報(パラメータ)があると分析に役立つか」を検討すると効率的である。


3. GA4のイベントの種類は4つある

GA4では計測するイベントが4つのタイプに分類される。

  1. 自動収集イベント
  2. 拡張計測イベント
  3. 推奨イベント
  4. カスタムイベント

最初は、この4種類のイベントの違いを把握することからスタートするとよい。それぞれの特徴を理解しておけば、イベント設定の設計がしやすくなるからだ。

以下でそれぞれ見ていこう。

3-1. 自動収集イベント

「自動収集イベント」とは、GA4を導入したら自動的に記録が開始されるイベントのことだ。

【代表的な自動収集イベント】

  • page_view:ユーザーがページを閲覧した際に発生する。ページビュー数(PV数)は、Webサイトのアクセス状況を把握するための最も基本的な指標となる。
  • first_visit:ユーザーがサイトを初めて訪問した瞬間を示す。新規ユーザーの獲得状況を確認するうえで重要な指標となる。
  • session_start:ユーザーのセッション(訪問から離脱まで)が開始したタイミングを表す。サイト滞在時間や平均ページ数など、エンゲージメント分析の基礎となる。

自動収集イベントは、アクセス解析の土台となる基本的な指標をカバーしている。GA4導入初期は、まずはこれらのデータを使って、サイト全体のパフォーマンスを評価することに慣れていこう。

3-2. 拡張計測イベント

「拡張計測イベント」は、自動収集では入手できない詳細な情報を集めるために用意された仕組みだ。GA4の管理画面上で設定を有効化するだけで、追加のイベントを記録できるようになる。

【おもな拡張計測イベント】

  • scroll:ページの上部から下部までのスクロール深度を計測し、90%までスクロールされた際に発生する。コンテンツの読了率や関心度合いを推定する手がかりになる。
  • click:外部サイトへのリンクをクリックした際に発生する。ユーザーがどのようなリンク先に興味を示しているかを知る手がかりとなる。
  • file_download:PDFなどのファイルがダウンロードされた際に記録される。コンテンツの利用状況を把握し、人気の資料を特定できる。
  • video_start:埋め込みYouTube動画の再生が開始された際に記録される。動画コンテンツのエンゲージメントを測定でき最適化に役立つ。

拡張計測イベントは、[管理]>データの収集と修正[データストリーム]>データストリームの名前をクリック>ウェブストリームの詳細のページにて、拡張計測機能をONにすると計測できる。

拡張計測機能をONにする

拡張計測イベントを活用すると、ユーザーのより具体的なアクションを可視化できる。サイトの目的に応じて必要な項目を選択し、データ収集の幅を広げるとよいだろう。

上記の拡張計測機能のON/OFFをするトグルボタンの下にある歯車マークをクリックすると、以下のとおり、詳細を設定できる。

拡張計測機能の設定参考:アナリティクス ヘルプ「[GA4] 拡張計測機能イベント」

3-3. 推奨イベント

「推奨イベント」とは、Googleがあらかじめ定義した共通のイベント名とパラメータのことを指す。

新しいイベントを設定する際、自由にイベント名やパラメータを作るのではなく、まずは推奨イベントを使うことをGoogleは推奨している。

推奨イベントを使うと、次のメリットがある。

  • GA4のレポートで特別な設定をしなくても自動的にデータが表示される。
  • BigQuery(*2)やほかのツールとデータ構造が統一されているために扱いやすくなる。

*2:BigQueryとは、Google Cloudの超高速・大規模データ分析サービスのこと。

【推奨イベントの例】

  • purchase:商品やサービスの購入が完了した際に発生する。売上の把握や購買分析に直結する重要なイベントだ。
  • generate_lead:資料請求やお問い合わせなど、リード獲得の起点となるアクションを表す。マーケティングファネルの最適化に役立てられる。
  • sign_up:会員登録やアカウント作成が行われた際に記録される。新規ユーザーの獲得状況を把握する指標となる。

推奨イベントは、Google公式ヘルプの「[GA4] 推奨イベント」にて確認できる。以下のように分類された多くの推奨イベントがあるので、自サイトに適合する分野をチェックしておこう。

  • すべてのプロパティ向け
  • オンライン販売向け
  • 見込み顧客の発掘向け
  • ゲーム向け

なお、推奨イベントは「Googleが推奨するイベント名」であり、GA4上に推奨イベントという設定項目が存在するわけではない。実際の作業としては、次項で解説するカスタムイベントに、推奨イベントの名前とパラメータを適用する形で利用する。

3-4. カスタムイベント

「カスタムイベント」は、拡張計測や推奨イベントでは捉えきれない独自のアクションを記録するために使われる。

サイト運営者が自由にイベント名とパラメータを定義できるため、ビジネスの特性に合わせた詳細な分析が可能だ。

【カスタムイベントの活用例】

  • add_to_wishlist:ECサイトの商品をお気に入りリストに追加した際に記録する。購入に至る前の行動を分析し、施策の改善に生かせる。
  • share_content:記事やコンテンツがSNSでシェアされた際に検知する。バズの兆しをいち早くキャッチし、拡散の後押しができる。
  • tutorial_complete:アプリ内のチュートリアルを最後まで完了した際に送信する。ユーザーの初期学習の進捗を把握できる。

カスタムイベントは、自社のビジネスモデルに特化した指標を設計できる反面、管理の手間が増える点には注意が必要だ。

ここまでに解説したほかのイベント(自動収集/拡張計測/推奨イベント)で代替できないかを慎重に検討したうえで、必要な項目のみを厳選して実装するのがよいだろう。

***

以上の4種類のイベントを状況に応じて使い分けることが、GA4を活用するうえでの基本となる。

GA4の4つのイベントタイプ

初心者は、まず自動収集と拡張計測を軸にデータを集め、徐々に推奨イベントやカスタムイベントを検討していくとよいだろう。


4. 実際にGA4のイベントを設定してみよう

ここまでお読みいただき、GA4の基本概念を理解できたら、実際にイベント設定にチャレンジしてみよう。

ここでは2つの方法(GA4管理画面を使う/Googleタグマネージャーを使う)と、イベント設定後の確認方法を解説する。

  1. 方法1:GA4管理画面から設定する
  2. 方法2:Googleタグマネージャー(GTM)から設定する
  3. イベント設定後の確認方法
  4. イベント設定がうまくいかないときは?

4-1. 方法1:GA4管理画面から設定する

まず、GA4管理画面にある「イベントを作成」機能を使う方法から見ていこう。

管理画面にアクセスして新しいイベントの作成を開始する

GA4にログインしたら、画面の右下にある[歯車]マークをクリックして管理画面に遷移する。[データの表示]→[イベント]の順にクリックして、イベントの管理画面にアクセスしよう。

管理画面にアクセスして新しいイベントの作成を開始

自動収集イベントなど、収集中のイベント一覧が表示されるので、右上の[イベントを作成]ボタンをクリックし、新規作成モードに入る。

カスタムイベントの作成画面が表示されるので、右上の[作成]をクリックしよう。

[作成]をクリック

新しいイベントのルールを設定する

新しいイベントのルールを設定

イベントの作成画面が表示されたら、以下の項目を設定する。

カスタムイベント名

作成したいイベントの名称を入力する。これがGA4上に記録される名称となる。任意で設定できるが、前出の「[GA4] イベントの命名規則」に従って命名しよう。

一致する条件

トリガー(イベントの引き金となる条件)となる、既存の元イベント(ソースイベント)のパラメータと条件を設定する。

一致する条件

たとえば、パラメータで “page_title” を選び、条件を「 ‘商品詳細’ を含む」とする。すると、ページビュー時に、そのページのタイトルが ‘商品詳細’ を含んでいれば、イベントが発生して記録される。

パラメータ設定

ソースイベントのパラメータ(例:ページURL、タイトルなど)を新イベントにコピーするか、チェックボックスで選択する。通常はONにして引き継ぐ(OFFにするのは、元イベントのパラメータが不要・新イベントに独自のパラメータだけを付与したい場合で、上級者向け)。

通常はONにしておく

設定内容を確認して保存する

設定内容を確認したら右上の[作成]ボタンをクリックし、新しいイベントルールを有効化しよう。

[作成]ボタンをクリック

カスタムイベント一覧に新ルールが表示される。

新ルールが表示

なお、この時点では収集中のイベント一覧には表示されない。作成した新規イベントが実際に計測されて初めて、収集中のイベント一覧に表示されるようになる。

必要に応じてコンバージョンとしてマークする

作成した新規イベントが実際に計測され、イベント一覧に登場したら、必要に応じてコンバージョンとしてマークしておこう。

ONにする

[キーイベントとしてマークを付ける]のトグルボタンをONにすると、コンバージョンとしてマークされる。

キーイベント(コンバージョン)としてマークしておくと、GA4の主要レポートで、そのイベントがコンバージョンとして集計されるようになる。

注意事項

イベント設定時の注意事項をまとめておこう。

  • 前述のとおり、イベント名は「[GA4] イベントの命名規則」に従って入力する。英字の大文字・小文字は区別されるので注意する。標準レポートなどですでに使用されている名前など、Googleが “予約済みの接頭辞とイベント名” に指定している文字列も使用不可だ。

    イベント名の入力ミス

  • 推奨イベントの解説で触れたように、体系的ではなくむやみにイベントを作成してしまうと、管理コストが増えるしレポートが煩雑になる。まずは推奨イベントの中から選び、どうしても推奨イベントでは対応できない場合のみ、新しいイベント名・パラメータを用意するようにしよう。推奨イベントは「[GA4] 推奨イベント」で確認できる。

4-2. 方法2:Googleタグマネージャー(GTM)から設定する

続いて2つめの方法として、Googleタグマネージャー(GTM)を使う方法を解説する。

前述のGA4管理画面での設定は手軽だが、より複雑な条件やサイト固有の動作をトラッキングする場合は、GTMの利用が有効だ。GTMを用いれば、担当者自身がイベント実行の条件を細かく設定できる。

なお、以下の解説は、GTMを理解していないと読み進めるのが難しい。GTMをまだ使っていない方、使い方がわからない方は、先に「Googleタグマネージャーの使い方【初心者OK】導入から設定例までわかる」の記事から確認しよう。

GTMのワークスペースにアクセスする

GTMにログインし、対象コンテナ(サイト)のワークスペースを開こう。

なお、GTMの初期設定として、GTMとGA4の連携が済んでいる必要がある。連携が済んでいない場合は、「Googleタグマネージャーの使い方【初心者OK】導入から設定例までわかる」を確認のうえ進めてほしい。

新規タグを作成する

[タグ]>[新規]をクリックし、新規タグを作成する。

新規タグを作成

名前の部分が「名前のないタグ」となっているので、適切な名前を付けよう(例:GA4イベント_請求ボタンクリック)。

名前を付ける

タグ設定をする

タグタイプとして[Google アナリティクス: GA4 イベント]を選択する。

[Google アナリティクス: GA4 イベント]をクリック

※測定タグの入力を求められた場合は、GA4の測定 ID「G-XXXXXXXXXX」を入力しよう。

まず、任意の[イベント名]を入力する(例:request_button_click)。推奨イベントの場合、公式のイベント名をそのまま使用する。

任意のイベント名を入力

次に、[イベントパラメータ]を開き、必要に応じて設定する。

必要に応じて設定

注意点として、先ほど解説したGA4の設定時に使った “パラメータ” は、既存イベントをもとにして新規イベントを記録するトリガーとしての役割をしていた。

一方、こちらのGTMの[イベントパラメータ]は少し異なる概念なので、混乱しないようにしよう。[イベントパラメータ]は、GTMがGA4にイベントを送信する際に、そのイベントに付随する情報を追加する役割をしている。

たとえば、パラメータ名“button_text”に組み込み変数[Click Text]を設定し、クリックしたボタンのテキスト情報を送信する、といった設定が可能だ。

クリックすると変数を選択できる

少し上級者向けなので、最初の段階では[イベントパラメータ]は設定しない状態でも構わない。

トリガーの設定

タグの設定が済んだら、タグ設定エリアの下部にある[トリガー]の設定に進もう。

[トリガー]の設定

トリガーでは、どのような条件のときにタグを実行(=イベントを記録)するかを設定する。トリガーのエリアをクリックすると、まずトリガーの選択画面が表示される。

今回は新規にトリガーを作成することとして、右上のプラスボタン[+]をクリックしよう。

[+]をクリック

トリガー作成画面が開いたら、トリガー名(例:トリガー_請求ボタンクリック)を入力し、トリガーのタイプを選択する。今回はクリックを計測したいので、[クリック>すべての要素]を選択しよう。

トリガーのタイプを選択

次に、[このトリガーの発生場所]で、[一部のクリック]を選択する。条件としてたとえば、 “Click Text” に ‘請求’ を含むよう指定する。

トリガーの発生条件を設定する

上記の設定をすると、以下のようなボタンでトリガーが実行される。

  • <button>資料請求</button>
  • <button>資料を請求する</button>

設定できたら、右上の[保存]ボタンをクリックしてトリガーを保存しよう。

タグの保存と公開

これで一通りのタグ設定ができた。

一通りのタグ設定

右上の[保存]ボタンをクリックしてタグを保存し、GTMのタグおよびトリガーの画面で新しいタグとトリガーが追加されていることを確認しよう。

追加された項目

最後に、GTMコンテナを公開すれば、サイト上で指定したアクションに応じてGA4イベントが実行される(プレビューで動作確認してから公開しよう)。

4-3. イベント設定後の確認方法

GA4またはGTMでイベントを設定したら、正しくイベントが受信されていることを確認しよう。

リアルタイムレポートをチェックする

まず、GA4の「リアルタイムの概要」レポートを開き、直近30分間のイベント発生状況を確認する。イベントで設定したアクションが反映されているか、イベント名ごとの件数などをチェックしよう。

イベント発生状況を確認

DebugViewを使う

さらに、GA4の機能である「DebugView」と併用するとより正確な検証ができる。DebugViewを利用するには、デバッグモードを有効にする必要があるため、詳しくはGoogle公式ヘルプの「[GA4] DebugView でイベントをモニタリングする」を参照してほしい。

標準レポートへの反映を確認する

数時間〜数日ほど経ったら、標準レポートにもデータが反映されるのを確認しよう。[ライフサイクル]>[エンゲージメント]>[イベント]にアクセスすると、イベントレポートを確認できる。

イベント発生状況を確認

なお、新規に作成したイベントは、反映までに時間がかかる場合がある。反映されない場合は、まずは1日程度、待ってみるとよい。

4-4. イベント設定がうまくいかないときは?

イベント設定がうまくいかないときは、まずはGoogle公式ヘルプの「[GA4] カスタム イベント」を確認しよう。

イベント名やパラメータ名の命名規則や各種制限など、つまずきやすいポイントが網羅されているため、セルフチェックに役立つ。

さらにサポートが必要な場合は、「Google アナリティクス コミュニティ」で同じ問題に直面しているユーザーの質問を検索したり、あるいは自分で質問を投稿してみるのがおすすめだ。


5. ケース別に見るGA4イベントの設定例

最後に、イベント設定に慣れてきた方に向けて、以下の3つのケースごとに実践的なイベント設定例を紹介するので、ぜひ活用してほしい。

  1. ケース1:コンテンツマーケティング
  2. ケース2:ECサイト
  3. ケース3:BtoBマーケティング

5-1. ケース1:コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングでは、ブログ記事、動画、ホワイトペーパーなどを通じて見込み客との接点を深め、ブランド価値向上やリード獲得を狙う。こうしたプロセスの各段階で詳細なデータを提供し、改善ポイントを明確にするイベントに着目しよう。

自動収集イベント

  • first_visit:ユーザーがサイトを初めて訪問した瞬間を自動で記録し、新規ユーザーの獲得状況を把握する。
  • session_start:ユーザーのセッション開始時に自動で記録され、サイト滞在時間や平均ページ数などのエンゲージメント指標の基礎データとなる。
  • user_engagement:ページでの実際の閲覧時間やアクティブな操作を測定し、深い利用状況を把握する。エンゲージメントの低いセッションを抽出し、直帰率の代替指標として利用できる。

拡張計測イベント

  • file_download:拡張計測イベントとして、PDFやホワイトペーパーなどの資料ダウンロードが記録される。どのコンテンツがリード獲得の起点となっているかを評価できる。
  • video_start / video_progress / video_complete:埋め込み動画の再生状況が計測され、再生開始から完了までの各段階を把握できる。動画コンテンツの効果検証に役立つ。
  • scroll:ページスクロール深度を計測する。標準では90%到達時に発火するが、GTMを活用すれば25%、50%、75%など複数のしきい値での発火も実装可能となり、記事全体の読了状況や途中離脱箇所を詳細に分析できる。

推奨イベント

  • generate_lead:フォーム送信によるリード獲得を推奨イベントとして計測する。コンテンツごとのリード獲得効率を比較し、効果の高いコンテンツに注力する判断材料となる。

カスタムイベント(設定例)

  • share_x、share_facebook:ソーシャルシェアボタンのクリックを、カスタムイベントとしてGTMで実装する。各コンテンツのシェア数を比較し、SNS上での拡散力の高い記事を把握できる。
  • related_click、cta_click:記事内の関連記事リンクやCTAボタンのクリックを、GTMなどでカスタムイベントとして実装する。ユーザーがどのリンクをクリックして次のアクションに移っているかが定量的に把握でき、内部導線やコンテンツ改善の根拠となる。

これらの設定により、各コンテンツのエンゲージメントを定量的に評価し、戦略的なコンテンツ制作および改善が実現できる。

5-2. ケース2:ECサイト

ECサイト運営においては、ユーザーの購買プロセス全体を正確に把握し、売上向上を実現することが最重要課題だ。GA4は、EC向け推奨イベントを豊富に提供しているので、各段階のユーザー行動を詳細に記録できる。

推奨イベント

  • view_item_list:商品一覧やカテゴリページの表示を記録し、どのリストページがよく閲覧されているかを把握する。
  • view_item:個別商品の詳細ページ閲覧を記録する。人気商品の把握や滞在時間の分析に有用だ。
  • add_to_cart:商品がカートに追加された際にイベント記録され、カートイン率の評価に利用できる。
  • begin_checkout:チェックアウト進行時の操作を記録し、購入手続き開始数を把握する。
  • add_payment_info:支払い情報の入力完了時に発火し、支払いオプションの利用状況などを評価できる。
  • purchase:購入完了時に発火し、売上金額や数量などの収益データの中核となる。

各イベントには、商品ID・価格・数量などの詳細パラメータを付与できる。推奨イベント名を活用すれば、GA4のEC向けのレポート(収益化レポートなど)がそのまま利用でき、分析が効率化される。

また、ECシステム側でGA4との連携機能(プラグイン、拡張機能など)を提供している場合もある。利用すれば、推奨イベントの設定が容易になり、データ収集の精度も向上する可能性が高い。

自社サイトで利用しているECシステムのマニュアルやサポート情報を確認し、GA4との連携機能の有無や設定方法を調べてみてほしい。

5-3. ケース3:BtoBマーケティング

BtoBサイトでは、問い合わせや資料請求などのWeb上のコンバージョンが商談につながる初動となる。GA4の詳細なイベント計測は、リード獲得から育成、最終的な商談転換までの流れを明確にするための強力な手段となる。

推奨イベント

  • generate_lead:お問い合わせフォーム送信時に発生させ、どのチャネルからリードが獲得されているかを定量的に把握する。
  • sign_up:会員登録やアカウント作成が行われた際に記録し、新規ユーザー獲得状況を評価する。

カスタムイベント(設定例)

  • lead_form_submit:資料ダウンロードなど特定のリード獲得アクションを記録するために、GTMでクリックイベントを設定しデータレイヤーに送信する。
  • form_start / form_submit:フォーム入力開始と送信完了のイベントを比較してフォーム完了率を算出し、完了率が低い場合は入力項目やUI改善の根拠とする。
  • deal_won:CRMデータと連携し、オフラインでの商談成立時に発生させる。各流入チャネルが最終的に受注につながった割合を定量的に評価できる。

以上、各シーンでのGA4イベント設定例を、自動収集・拡張計測・推奨・カスタムイベントに分類して紹介した。これらの具体例を参考に、各領域でのGA4活用を実務に取り入れ、サイト改善を目指してほしい。

マーケターやWeb担当者の自力だけでは実装が難しい場合は、開発やWebシステム会社などの協力も得ながら、データ収集・分析の体制を整えていこう。


6. まとめ

本記事では「GA4のイベント設定」をテーマに解説した。要点をまとめておこう。

GA4イベント設定について最初に知っておきたいこととして、以下を解説した。

  • イベントはユーザーアクションをGA4で記録し可視化したもの
  • イベント設定で成果につながる重要な操作を明確に追跡しサイト改善に役立てる
  • GA4はイベントを中核に据えた新しいデータ計測モデルを採用

設定する前にイベントとパラメータを理解する必要がある。

  • イベントはユーザーアクションの大枠、パラメータは詳細情報
  • イベント名とパラメータ名は半角英数字とアンダースコアを使用

GA4のイベントの種類は4つある。

  • 自動収集イベント:GA4導入で自動的に記録開始
  • 拡張計測イベント:管理画面で有効化し追加のイベントを記録
  • 推奨イベント:Googleが定義した共通のイベント名とパラメータ
  • カスタムイベント:自由にイベント名とパラメータを定義し独自のアクションを記録

実際にイベント設定する流れを解説した。

  • GA4管理画面から新しいイベントのルールを設定
  • GTMから新規タグとトリガーを作成しGA4イベントを送信
  • リアルタイムレポートやDebugViewで設定後の動作を確認
  • 設定がうまくいかない場合はヘルプやコミュニティで解決策を探る

3つのケース別に見るGA4イベントの設定例は以下のとおりだ。

  • コンテンツマーケティング:各コンテンツのエンゲージメントを評価し戦略的な制作と改善を実現
  • ECサイト:推奨イベントを活用し購買プロセス全体を把握して売上向上を目指す
  • BtoBマーケティング:リード獲得から商談転換までの流れを詳細に計測し施策の改善につなげる

ぜひ本記事を参考に、GA4のイベント計測と分析に挑戦してみてほしい。最初は手探りでも、一歩ずつ進めればGA4がもたらす豊富なデータの恩恵を実感できるはずだ。あなたのマーケティングがデータによって飛躍することを願っている。

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