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11/27水19:00〜20:00
DMCAとは「デジタルミレニアム著作権法」のことで、デジタルコンテンツの著作権に関わる、米国の法律である。
米国の法律ではあるが、日本のユーザーやサイト運営者にも影響がある。GoogleやTwitterなど、米国企業は、DMCAの法律に従う必要があるためだ。
本記事では、図解を用いて、以下をわかりやすく解説する。
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無知によって損害を被ることのないよう、知識を身につけ、DMCAに対処できるようにしておこう。
目次
まずはDMCAとは何か、概要から見ていこう。
DMCAは「Digital Millennium Copyright Act」の頭文字をとった略語で、冒頭でも触れたとおり「デジタルミレニアム著作権法」のことをいう。
1998年、ビル・クリントン大統領によって制定された米国の法律だ。当時はインターネットが広く普及し始めた時期である。
DMCAは、インターネットのユーザーが直面する著作権の課題に対処することを目的とし、デジタルコンテンツを保護するための権利や、違反に対する罰則が規定されている。
DMCAの施行によって、米国著作権法は、どう変わったのだろうか。大きなポイントは、3つあった。
▼ ざっくり押さえるDMCAの3ポイント
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参考:U.S. Copyright Office「The Digital Millennium Copyright Act」
上記のうち、とくに1つめのポイントは、日本のユーザーへの影響が強い。日本のユーザーが知っておきたい要点は、次章で解説する。
DMCAの解説を深めていく前に、言葉の定義を確認しておこう。
DMCAでは「オンラインサービスプロバイダ(online service providers、OSP)」という言葉が、頻繁に出てくる。
過去(あるいは日本国内では現在でも)、プロバイダといえばインターネット接続事業者を指していた。
しかし、現在の定義では意味が拡張され、オンラインサービス全般を指す。
SNS、検索エンジン、エンタメ、ショッピング、情報サイトなど、さまざまなオンラインサービス事業者を含んで、「オンラインサービスプロバイダ」の用語が使われていることに留意したうえで、続きを読み進めてほしい。
前述のとおりDMCAは米国の法律であるが、日本のユーザーやサイト運営者にも影響が及ぶ。
知っておきたい要点は、以下のとおりだ。
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それぞれ見ていこう。
大前提として、DMCAは米国の法律のため、日本では適用されない。
しかし、DMCAのポイントは、米国のオンラインサービスプロバイダは、著作権者から通知があったときに、該当コンテンツを削除しなければならないところにある。
著作権者や著作権侵害者が米国外の人物であっても、米国でホストされているWebサイト上に存在するコンテンツなら、米国のオンラインサービスプロバイダは、法に則って対処しなければならない。
▼ 米国のオンラインサービスプロバイダの例 ※リンク先は各サービスのDMCAに関するページ
Google・YouTube・Twitterなど、米国企業のオンラインサービスを使うなら、日本にいてもDMCAの影響を受ける、ということだ。
どう影響を受けるのか理解するうえで、重要な点がある。
DMCAは、
「オンラインサービスプロバイダは、著作権者から通知を受けたとき、実際に著作権侵害かどうかにかかわらず、いったん削除すれば、責任を負わない」
という設計になっているのだ。
オンラインサービスプロバイダが、著作権者から「私の著作権が侵害されています」と通知(Notification)を受けた場合、ひとまず真偽はおいて、該当コンテンツを削除する。
と同時に、削除したコンテンツの発信者に対して、削除した事実を知らせる。
発信者が「私は著作権侵害をしていない」と異議を申し立てたい場合には、反対通知(Counter Notification)を行う。
反対通知のあと、著作権者が訴訟提起しない場合には、オンラインサービスプロバイダは、削除したコンテンツを復活させる(そうすれば、削除したことに対しても責任を負わない)。
この“通知と削除の仕組み”のことを「ノーティスアンドテイクダウン(the notice-and-takedown system)」という。
▼ ノーティスアンドテイクダウンとは?
ノーティスアンドテイクダウンとは、権利侵害を主張する者からの通知により、プロバイダが、権利侵害情報か否かの実体的判断を経ずに、当該情報の削除等の措置を行うことにより、当該削除に係る責任を負わないこととするものである。
米国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)では、著作権の侵害を主張する者から法定の形式的要件を満たす通知を受領したプロバイダ等は、著作権侵害情報か否かの実体的判断を経ずに、いったん当該著作権侵害とされる情報を削除すれば、責任を負わないこととされている。
米国企業のオンラインサービスを利用する場合は、自分が「ノーティスアンドテイクダウン」の当事者となる可能性がある、と覚えておこう。
もうひとつの重要ポイントは、米国ではDMCAに否定的な声もあり、物議を醸している側面があることだ。
批判者の主張は、
「インターネットからコンテンツを削除する権限を、オンラインサービスプロバイダに与えすぎている」
というものだ。
具体的な問題として、ノーティスアンドテイクダウンの制度を悪用した「虚偽の通知」が横行している。
通知があれば、真偽がどうであれ、そのコンテンツを削除するのが、オンラインサービスプロバイダの義務だからだ。
ライバルサイトを蹴落とそうとする勢力や、嫌がらせ・愉快犯のほか、自社の悪評をインターネット上から削除するために、DMCA通知を利用する企業まで現れた。
参考:Wantedly社によるDMCA申請で渦中のブログエントリ、Googleの検索結果に復活
著作権侵害とは無縁の、健全なサイト運営者であっても、悪意ある通知によって自分のコンテンツが突然削除されるリスクがあることを、知っておこう。
「著作権侵害なんてしていないのに、真偽も確かめずに削除するなんて、プロバイダがどうかしている」
と憤慨するかもしれないが、DMCAの法律がそういう仕様になっている。仕方ないのだ。
もし悪意による通知を受けたら、法で定められたルールに則って異議申し立てする必要がある。やり方は、後ほど「4. DMCA通知を受け取ったときの対処方法」にて解説する。
続けて、自分が著作権侵害の被害に遭い、DMCAのノーティスアンドテイクダウンの制度を使いたいときの方法を紹介する。
著作権侵害を行っている相手へ直接連絡できる状態なら、まずは直接連絡をしよう。
たとえば、あなたが著作権を持つコンテンツが、Aサイトに無断掲載されていたら、Aサイトの運営者の連絡先や問い合わせフォームを探す。
そして、自分が著作権者であること、および該当コンテンツを削除するように伝える。
削除要請を受けたAサイトの運営者は、普通ならすぐに該当コンテンツを削除する。法的リスクを避けたいと考えるのが通常だからだ。
相手が普通ではなく、依頼しても削除してもらえなかった場合で、かつオンラインサービスプロバイダが米国企業であれば、DMCA通知を送る段取りになる。
「オンラインサービスプロバイダが米国企業ではなく日本企業だったら、どうするのか?」
という疑問に対しては、DMCAの日本版ともいえる「プロバイダ責任制限法」の管轄となる。
▼ プロバイダ責任制限法の概要
出典:総務省
情報の削除請求をしたい場合は、総務省支援事業として設けられている「違法・有害情報相談センター」に相談しよう。削除依頼の方法などに関するアドバイスを受けられる。
▼ 参考:
話は戻って、米国企業のオンラインサービスプロバイダに、DMCA通知を送る方法を見ていこう。
上図の赤色部分のフローになる。
DMCA通知に決められた様式はないが、住所・氏名・メールアドレスなどの個人情報、著作権侵害のコンテンツを特定するための情報、ステートメントなどを掲載する必要がある。
具体的なテンプレートとしては、「Create a DMCA takedown notice in Minutes」の以下が参考になるだろう。
▼ DMCA通知のテンプレート例(日本語訳はGoogle翻訳)
出典:Create a DMCA takedown notice in Minute
くわえて、ステートメント(宣誓)も必要となる。
▼ ステートメントの例
出典:Twitter
DMCA通知の送信先となるオンラインサービスプロバイダが、著名なサービスであれば、自分でフォーマットから作成する必要はないことが多い。
専用のDMCA削除申請フォームが用意されているからだ。
以下にGoogle・YouTube・Twitterの削除申請フォームのリンクを紹介しておく。
注意点として、DMCA通知を行うためには個人情報を提供する必要がある。その理由は、法的な文書だからだ。
個人情報は、通知した相手に開示されるのが基本だ(オンラインサービスプロバイダが、通知内容をそのまま相手に転送することが多い)。
さらに一般にも公開される。Googleをはじめとする多くのオンラインサービスプロバイダは、受け取ったDMCA通知の情報を、「Lumen」というデータベースに共有しているためである。
▼ Lumen(Google翻訳で日本語にしたもの)出典:Lumen Database
Lumenは、オンラインコンテンツの削除リクエストのコピーを保管・分析・公開しているプロジェクトだ。詳しくは、GoogleのLegalヘルプ「Lumen について」がわかりやすい。
Googleが、著作権に関するリクエストでLumenに共有する情報の箇所のみ、以下に抜粋しておこう。
▼ 著作権および商標法に関するリクエスト
DMCA、その他の著作権法、または商標法に基づいて提出されたコンテンツの削除リクエストについて、Google は通常、以下の情報を Lumen と共有します。
個人情報を提供することに不安を覚えるなら、代理人を立てる方法がある。弁護士などに依頼して、弁護士名義でDMCA通知を行う方法だ。費用感は5〜10万円程度を見ておこう。
DMCA通知を行ったあとの流れだが、もし相手が反対通知を行って異議を申し立てた場合には、訴訟提起しないと、削除されたコンテンツは復活する。
復活までの期間は、反対通知の受領後、10〜14日営業日後である。
相手が争ってきた場合、著作権侵害か否かの判断は、オンラインサービスプロバイダはしない。「あとは法廷で」ということになる。
逆に、自分がDMCA通知を受け取ったら、どうすればよいのか。対処法を見ていこう。
もし、自分がDMCA通知を受け取ったら、まずは落ち着こう。
「2-3. 悪用した詐欺通知の横行が物議を醸している」でも紹介したとおり、ノーティスアンドテイクダウンの仕組みを悪用した通知も多い。慌てないことだ。
たとえば、Twitterで「DMCA アカウント 凍結」と検索してみてほしい。「虚偽申請によってアカウントが凍結されたものの、復活できた」といったツイートがヒットするはずだ。
身に覚えがないなら、反対通知を行って、異議申し立てをすればよい。
一時、該当コンテンツが削除されたとしても、反対通知を送付後、10〜14日営業日以内には復活できる見込だ。
この知識がないために、「DMCA通知?怖い」という印象だけで、反対通知せずにコンテンツを削除してしまう人がいる。悪意ある通知者の思うツボである。
悪意ある通知者は、反対通知をすれば、あっさり引き下がることが多い。訴訟提起しても、勝ち目がないからだ。
反対通知は、オンラインサービスプロバイダからのDMCA通知受領の知らせを受けて行われる。
具体的な段取りは、基本的にはオンラインサービスプロバイダからの案内に従えばよい。
たとえば、Twitterであれば「DMCA異議申し立て通知」の申請フォームから必要事項を入力して送信する。
▼ 個人情報
▼ 削除されたコンテンツを特定する情報
▼ 法的な声明
もし、DMCA通知を受け、身に覚えがある(著作権侵害を行っている可能性がある)なら、該当コンテンツを即刻削除することだ。
身に覚えがあるのに反対通知を行えば、訴訟になるリスクがある。時間、お金、社会的信用など、失うものは大きい。
同時に、もう二度と著作権侵害者とならぬよう、著作権について学ぶ必要がある。書籍などを通じて、正しい知識を身につけてほしい。
▼ 書籍の例:『コンテンツ別 ウェブサイトの作権Q&A〈第2版〉』
本記事では「DMCA」をテーマに解説した。要点を簡単にまとめておこう。
DMCAの基本として押さえたいポイントは次のとおりだ。
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日本のユーザーが知っておきたいDMCAの要点として、以下を解説した。
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著作権侵害の被害に遭ってDMCA通知を行う際のポイントは、次のとおりだ。
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自分がDMCA通知を受け取ったときの対処方法は以下となる。
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DMCAの知識を持つことは、著作権侵害の被害を受けたときはもちろん、悪意の通知の被害に遭ったときにも役立つ。自分が当事者となったときにも、落ち着いて、法に則って対処できるよう心構えをしておこう。
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