- オンライン
11/27水19:00〜20:00
あなたはコンテンツ作成におけるAIの活用をどのように思われているだろうか。例えば、ChatGPTを活用したコンテンツは良いコンテンツと呼べるだろうか。
現時点での回答は、「良いコンテンツと呼べる場合もあれば、呼べない場合もある」といったところだろう。
実際、ChatGPTの台頭により今まで以上にテクノロジーの活用がコンテンツ作成に活かされているし、“活かし方”によっては良質なコンテンツが作れる気配がする。
ところが、まだその“活かし方”には様々な議論があり問題点が指摘されることも多い。例えば、無機質で平均的で抽象的な文章が生成されるなどだ。「嘘」が紛れ込むこともある。
特に重要な問題として「ユーザーニーズの観点が抜け落ちたコンテンツになりがち」という点は大きい。ユーザーには文脈が存在するし、ニーズには意味がある。まだまだAIは文脈や意味の理解が難しいとされていることを考えると、「AI依存」は避けるべきと考えるのが自然だろう。少なくとも、ユーザーニーズの観点を持った人間が使わなければコンテンツ作成に活かすことは難しいと考えられる。
実は先日、私たちの意向に反して、ChatGPTを使ったコンテンツを提出したクライアントがいた。一部はとても良いと感じたが、一部はとても悪いと感じた。話を聞いてみると、前者は自分で書いて、後者はChatGPTに依存したらしい。つまり自分で書いた部分は品質が高く、ChatGPTに依存した部分は品質が低かったのだ。その経緯を知らない私ですら明確な差を感じたのだから、きっとユーザーも同じような違和感を覚えることだろう。
そこで今回は、全てのコンテンツ制作者を対象に、「AI時代だからこそ考えたい独自性の高いコンテンツを作成するための17の質問」と銘打って、「コンテンツ作成時に何を思考すれば良いか」をリスト化することにした。チームで議論する場面や自分でコンテンツを作成する場面など、あらゆるコンテンツ作成の場面において活用できる内容だ。
独自性は良質なコンテンツを作成する上でとても重要な概念だから、AI時代の今だからこそぜひ本記事を参考にしてほしい。
目次
繰り返しになるが、独自性は良質なコンテンツを作成する上でとても重要な概念だ。
例えばGoogleは10年以上も前から「質の高いサイトと見なされるもの 」の項目の一つとして以下のように独自性の重要性を発信している。
独自のコンテンツや情報、独自のレポート、独自の調査、独自の分析内容が記載されているか。
そのうえで、私たちも10年以上にわたって独自性の高いコンテンツを作るために、次の前提を遵守するよう徹底してきた。
経験と思考に基づいてコンテンツを作れば自ずと独自性が高まるという考えだ。
もしライティング担当がとあるトピックに関する未経験者だとしても、何かしらの形で経験者の「経験」に基づいてコンテンツを作成することで独自性は高まるはずだ。例えば監修のような立ち位置でプロジェクトに参加してもらうなどだ。
それぞれ説明していこう。
1つ目は「経験に基づいて作ること」だ。
経験者の経験に基づいて作ればよっぽどのことがない限り独自性は生まれるはずだ。なぜなら経験は個人的なものであり、個人的ということは一般論の真逆に位置する概念だからだ。個人的な経験以上に独自のものは存在しないと考えても良いくらいだろう。
仮に発信内容が同一でも、その発信に至るまでのプロセスはそれぞれで異なるはずだ。経験者は個人的で具体的なことが言える一方で、未経験者は一般的で抽象的なことしか言えないのは容易に想像がつく。
例えば、税務調査に関するコンテンツを作るのであれば、税務調査を乗り越えた経験者(税理士など)が関与すべきことは明白だろう。「どう作るか」は誰でもできるが「何を言うか」は限られた人しかできない。
Googleが2022年12月15日にリリースした「E-E-A-T」が、経験に基づいてコンテンツを作成すべき重要性を物語っている。
このたび、検索結果の評価を改善するために、E-A-T に E(経験)を追加しました。つまり、実際に製品を使用している、実際にその場所を訪問している、誰かが経験したことを伝えているなど、コンテンツにある程度の経験が織り込まれているかどうかも評価されます。状況によっては、そのトピックに関連して実体験をもつ人が作成したコンテンツが最も高く評価される場合もあります。
2つ目は「思考に基づいて作る」だ。
思考こそが人間らしさであり、人間らしさこそが独自性の源泉と言えるからだ。思考は人間特有の機能であり、ツールにはその機能が存在しない。例えば「空気を読む」といった機能はAIには存在しない。空気を読むためには文脈や意味を理解しなければいけないが、現時点でツールはその機能性は人間には到底及ばない。
「感情」もわかりやすい例だ。ツールは感情をそれっぽく表現することはできるが、実際のところ感情を持っているわけではない。思考に伴う感情こそが人間らしさと言って良いくらいだ。
なかでもSEOツールは、思考に基づいてコンテンツを作るべき理由を理解するためのわかりやすい例だ。SEOツールに依存する人が増えれば増えるほど似たようなコンテンツが世に溢れていく。実際あなたも検索エンジンに表示される似たようなコンテンツにうんざりしていないだろうか。もちろん使い方次第ではあるが、ツールに依存すればするほどそのコンテンツは独自性からかけ離れていくのは自明だ。
なお、私はツールの活用自体は肯定的だ。「ツール中心」ではなく「思考中心」を推奨したいだけだ。感覚的には思考80%ツール20%くらいの比率で十分だと思っている。あくまでもツールは思考を支えする「補助」の位置付けという考えだ。
それでは本題の「独自性の高いコンテンツを作成するための17の質問」を紹介する。
ここで取り上げる質問を経験者に投げかけてほしい。これらの質問は「何を思考すべきか」のヒントであり、経験者の経験に基づく独自の結論を導き出すためのリストだ。この質問を有効活用していただければ、良いコンテンツの核心に辿り着けるはずだ。
私が数々の経験者とコンテンツ作成を共にする過程で、頻繁に活用してきた質問のリストだ。現場ではもっと踏み込んだコミュニケーションを取っているが、これくらいシンプルな質問でも十分な効果を感じていただけるだろう。
ライター、ディレクターなどの立場を問わず、経験者を交えたミーティングを進める場面でこれらのリストを参考にしていただければ幸いだ。これらの質問に答えようとする過程(思考)で、独自性の高いコンテンツを作成するためのアイデアが出てくるはずだ。
第一に考えるべきはユーザーの悩みだ。「どの悩みを解決するためにコンテンツを作成するか」がコンテンツ作成の思考の出発地点と言って良いだろう。なぜなら、ユーザーは悩みを解決するためにコンテンツにたどり着くからだ。言い方を変えるとコンテンツが読まれる理由はユーザーの悩みだ。
その悩みを起点に様々な思考を展開すると奥行きのあるコンテンツが出来上がる。
だから真っ先に「ユーザーはどのような悩みを抱えていると考えられるか?」と質問を投げかけてほしい。
その悩みを起点に「状況」まで踏み込んで考えてみよう。
悩みは悩みでしかなく、願望といったユーザーの欲求からは程遠い。願望を探るためのヒントとして「状況」を考えることをおすすめする。
外壁塗装分野で言えば「訪問営業を受けている」という状況がよく話にあがる。ユーザーが外壁塗装の見積もり額に悩んでいる背景には、突然の訪問営業に対する不信感や不安が付き纏ってる状況が想定できるということだ。
その他、例えば転職に悩んでいるユーザーで考えてみよう。以下のような状況が想像できる。
次に状況から願望まで思考を発展させよう。
願望とはユーザーの望みであり、ユーザーが思い描く明るい未来の姿だ。
例えば前述した転職の例で言えば、以下のような願望が考えられる。
上記はあくまでも例だが、経験者の経験に基づいて思考すれば実態と大きくずれることなく願望の特定に近づけるだろう。
次に課題を考えよう。
ユーザーの悩みが現在地だとすると願望は未来だ。つまり現在地と願望の間にある「ギャップ」こそが課題であり、その課題を特定するために悩みと願望を考えたということだ。
さきほどの転職の例で言えば、以下のような課題が考えられる。
なお、このあたりから選択肢が膨大に広がっていく。様々なパターンが無数に考えられるはずだ。そして、ここまで実践していただければ経験者の経験に基づいて考えることの重要性も実感していただけるはずだ。様々なパターンの中から適切と思われる選択をするためには経験が欠かせないからだ。単なる妄想ではユーザーのニーズは捉えられない。
的確にユーザーの課題を捉えるためにも「他の課題の可能性は考えられませんか?」「その課題を抱えていた人の事例はありますか?」など深掘りしてみると良いだろう。
ここからはユーザーに対して「何を発信するか」について思考しよう。
その取っ掛かりとして、ここまでの流れを通じて抽出したユーザーの課題を解決するために、ユーザーに何を伝えるべきか考えていこう。
例えば「人間関係を円滑にするコミュニケーションの方法を磨くこと」が課題だとすれば、「まずは相手を理解することに徹しよう」といったメッセージが想像できるはずだ。
これは経験者の知見に基づいて導き出さなければならない。教科書的な一般論を語っても仕方ないし、そのユーザーの課題をピンポイントで解決するためには、その課題に照準を合わせた適切なメッセージが必要だ。
さきほどの「ユーザーに何を伝えるべきか?」を思考するための質問として、「どうすればユーザーが喜んでくれそうか」を考えてみよう。
「何を伝えるべきか」は間違いなく重要だし、その論点で思考すれば十分とも言えるが、人間の思考を最大限発揮するためにもいくつかの切り口を通じてその論点を補強することをおすすめしたい。そのための問いかけとして「どうすればユーザーが喜んでくれるか」を考えてほしい。
言い方を変えると、課題にフォーカスするというより「課題と願望」をセットで考えるということだ。課題は課題でしかない。究極的にはユーザーは願望を叶えたいのだ。願望というポジティブな視点で思考することで、ユーザーにとって適切なメッセージが思い浮かびやすくなる。
今度は真逆の視点で考えてみよう。
「課題と悩み」とセットで考えるということだ。課題にフォーカスするのではなく、悩みというネガティブな側面も踏まえてユーザーへのメッセージを考えてみよう。何かを伝えないことでユーザーが後悔してしまうのであれば、そのメッセージはユーザーに伝えるべきだ。
例えば、資産形成の方法を紹介するコンテンツに、不動産投資を推奨する箇所があった。「このコンテンツにたどり着くユーザーが後悔しないために伝えておかなければいけない情報はないか?」と話をしたところ、「もし年収1,000万円に満たないユーザーがこの記事にたどり着くようであれば、そのユーザーに対しては不動産投資を推奨はしない。」と回答があった。ユーザーの後悔を回避するための思考に基づいて新しい情報が引き出せた瞬間だった。
この質問も「その課題を解決するためにユーザーに何を伝えるべきか?」の思考を深めるためのものだ。
これは私の中で特に効果を感じている質問だ。ユーザーとの間にある情報のギャップを特定するプロセスを通じて、思いもしない尖ったメッセージが浮かび上がることが多かったからだ。
そっくりそのまま質問を投げかけてみてほしい。
こちらも上記と同じく私が特に効果を感じている質問だ。より個人的で面白い情報が抽出できることがある。
数年前の事例だが、IHクッキングヒーターの焦げを落とす方法についてクライアントと議論している中でこの質問を投げかけた。すると、「私は歯磨き粉とサランラップを使っている」と返答が返ってきた。
その時点で調べた限りではそのような情報を発信しているコンテンツは存在していなかった。「重曹とアルミホイルを使おう」というメッセージで溢れかえっていた。
でもクライアントは経験則的に歯磨き粉とサランラップの方が効果があると断言していた一方で、アルミホイルだと傷がついてしまうからおすすめできないとも言っていた。
こういった情報を引き出せる効果を知ってから、私はこの質問を多用するようになった。ぜひあなたの質問の切り札として活用してみてほしい。
ここから先はコンテンツに納得感をもたらすための質問だ。
例えばストーリーテリングであったり具体例であったり、コンテンツのコアなメッセージを補強する情報を抽出するための質問だ。ここまで取り上げた9つの質問と比べると、少しだけライトな質問だと思っていただいて良い。
そのうえでここで取り上げるのは「あなたはどのような成功体験(事例)が語れるか?」だ。経験者の成功体験を認識しておけば、ユーザーに届けるメッセージも抽出できるし、その成功体験自体をメッセージの根拠として取り扱うこともできる。
次は失敗体験に関する質問だ。
上記と同じく失敗体験を認識しておけば、そこからユーザーに届けるメッセージも抽出できるし、その体験を反面教師的に取り扱うこともできる。つまり一種の根拠として取り扱うことができる。
経験をただの経験としてコンテンツに取り入れるのではなく「教訓」に発展させよう。
経験とは具体の階層の話だ。経験だけを語っているとそれぞれが散らばっている印象でわかりにくさが生まれてしまう。だからそれを抽象化して教訓に発展させることをおすすめしたい。複数の経験に共通する要素(法則性)を導き出して、そこから新たなメッセージを生むという発想だ。
過去に住宅ローンの滞納に関するメディアで、「家を買って後悔していること」と銘打って1000人以上の住宅ローン破綻者からのヒアリング経験に基づいて法則性を導き出したことがある。
それをコンテンツに落とし込んで発信した結果、ソーシャルメディアで拡散され、24時間以内に2万回以上閲覧された。経験に基づく教訓が大きな価値を生むことを実感した事例だ。
教訓に発展させるだけでなくもっと高い価値を目指そう。
教訓の「効果」を訴えかけることによって説得力を高めるということだ。
説得力があるからユーザーはそのメッセージを受け取ってくれる。だから、その教訓を踏まえたその先の経験を抽出して効果を証明していくことをおすすめしたい。
この質問を通じて実績を引き出そう。実績はコンテンツに説得力を与えてくれるからだ。
どのような形でも構わない。対象ユーザーにとって納得感があれば良い。その納得感を生み出す実績を質問を通じて引き出そう。
上記と同様、コンテンツの説得力を高めるために経歴を引き出そう。
ユーザーにとって納得感がある形で経歴を活用すると良い。
人間関係とは様々な意味が含まれる。例えば次のようなことだ。
繰り返しにはなるが、ユーザーにとって納得感がある形で取り入れよう。
最後は未来予測に関する質問だ。
予測は予測だからもちろん断定はできない。予測は仮説であり事実ではないから、実際にコンテンツに反映させる際は注意が必要だ。あくまでも「経験に基づく確度の高い仮説」という位置付けでコンテンツへの反映を検討していただきたい。
そのうえで未来予測に関するニーズは間違いなく存在する。例えば「業界の今後」のようなニーズが存在することは想像できるだろう。過去から現在にかけての経験を通じて未来予測が語れるのであれば、ユーザーにとってその回答は非常に興味深いものになるはずだ。
本記事ではコンテンツの独自性を高めるための17の質問を紹介してきた。
その中でも強調したかったのは「経験」であり「思考」だ。今回紹介したのは独自性を高めるための全てではないが、経験と思考を最大限活かすためのヒントは十分お伝えできたはずだ。
ぜひ本記事を参考に今後のコンテンツ作成を進めてほしい。
広告に頼り切ったマーケティングの打開策としてコンテンツマーケティングについて調べているけれど、よく分からないと悩んでいませんか?
本書は弊社やクライアント様がコンテンツマーケティングに取り組み
など、コンテンツマーケティングの効果と、具体的な施策内容を全94ページに渡って詳細に解説しているものです。
ぜひ、貴社のWEBマーケティングにもご活用ください。