あなたのコンテンツマーケティングを加速させるTED動画7選

様々な分野のプロフェッショナルたちが集まるTED Talk。
日々私たちにアイデアやインスピレーションを与えてくれるものが多い。

今回は中でも、コンテンツマーケターにぜひ見てほしいTED動画を7つ紹介したい。
人に意思決定させる学術的な根拠や、価値の生み出し方など日々のマーケティング活動にヒントを与えてくれるものばかりだ。どれも世界で数百万回再生されている人気の動画。
最近発表されたばかりのプレゼンテーションも含め、ここ数年で有益だと私が考えるものをピックアップした。

それぞれの主張内容の要約を書いているのでぜひ参考にしてほしい。

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“突き抜けた価値を生み出そう”

How to get your ideas to spread by. Seth Godin

「選択肢が多い世の中で、いかに人々から選ばれるか」について話したTed Talk。
プレゼンターのSeth Godin氏はアメリカの作家であり起業家。Yahoo! のダイレクトマーケティング部署をまとめていた経験もある人物。2018年に出版した著作 ”This Is Marketing” は、ウォールストリートジャーナルやニューヨークタイムズのベストセラーに選ばれた。

Seth Godin氏がこのプレゼンテーションで主張するのは大きく3つ。
・突き抜けた価値を創造しよう
・Very Goodは単なる平均である
・強い関心を持つ「オタク」に売ろう

No.1 の商品が日々入れ変わる世の中では、本当に注目に値するモノしか生き残れない。
“Very good”ではつまらないし単なる平均でしかない。そこを目指してはいけない。

すでに平均的な人々に平均的な製品を作るマスマーケティングではもうない。
波形の中心である「活気のある変わり者」にフォーカスする時代になっている。
変わり者とは、自分の好きなものに熱狂的でこだわりを持つ「オタク」。
彼らに刺さる価値であれば、関心の強い彼らはすぐに興味を示し、それがよければ口コミも広げてくれるかもしれない。そこからだんだん波が広がっていくのだ。

つまり、あなたのビジネスに「誰が一番興味を持っているかを知ること」が非常に重要。
そして彼らの話を聞き、その人たちがあっと驚くような価値を提供すること。それが生き残るビジネスの法則なのだ。

突き抜けた価値の重要さを改めて感じさせてくれるプレゼンテーションだ。
具体的な事例も交えて話しているため頭に入ってきやすい。ぜひマーケティングに関わる人は見てみてほしい。


“小さな変化が意思決定を左右する”

The new science of consumer decisions by. Terry Wu

ニューロマーケティングに関するTED Talk。
プレゼンターのDr. Wuは神経科学の博士号を持ち、SEOに特化したマーケティング会社の創業者である。科学的なデータを根拠としたWebサイトデザインやコンバージョン最適化などを強みとしている。

彼が主張するのは、小さな変化が意思決定に劇的に影響を与えることがあるということだ。それが例え気付きもしないような微々たる違いでも、それが潜在的に人々の感情(喜び、怒り、悲しみ…など)に訴えかけるからだと。主張の根拠には脳神経の働きとマーケティングデータを示している。

例えば、コカコーラとペプシを飲み比べさせたマーケティング調査について。
メーカーを隠した状態で被験者に飲んでもらうと、50%以上がペプシを好んだ。しかし、メーカーが見えた状態だと75%がコカコーラを選んだのだ。コカコーラに対して持っているイメージ、経験、感情が選択に影響を与えたことがわかる。

実はある研究によると、95%の意思決定が無意識のうちに行われており、実は私たちは感情抜きでは意思決定ができないことがわかっている。

他にも、Googleが表示色を変えただけでクリック率を上げたり、Amazonがサイトスピードを速めただけで売上が伸びたりという事例がある。これは全て人々の「体験」をより良くした結果、人の感情に影響を与え意思決定の背中を押したのだ。

大きな成果を出すためには大きな変化が必要だと考えやすいが、実はそうではない。
人々の感情にどう影響を与えるか、私たちは小さな変化でも見逃さずに気を配らなければならないということを学べるプレゼンテーションだ。

このTED Talkは現時点(2020年1月)で日本語字幕はないが、英語は難しくなく映像で分かりやすいのでぜひ見てみてほしい。


“相手を深く理解し仮説検証を繰り返そう”

How I hacked online dating by. Amy Webb

オンラインデートのシステムでどうやって最高の相手を見つけ出したか、という切り口のTED Talkだ。
Amy Webb氏は作家、起業家であり、ニューヨーク大学の経営大学院教授。

彼女がオンラインデートサイトで理想の相手を探すためにデータに基づき仮説を立て、実践を繰り返した経緯が語られている。

内容を少し紹介しよう。
・登録した情報のアルゴリズムで選定される男性だったが、明らかに適合しているとは言えなかった
・デート場所にPCを持ち込んで、話した内容など様々なデータを統計的に収集し相関関係を見出した
・登録者に最初に回答させる質問が効果的ではないとして、独自の質問項目を作り優先順位をつけ採点システムを構築した
・理想の男性を見つけたが、「ライバル」の存在を考慮していなかったため実らなかった
・架空の男性のプロフィールを10個作って市場調査をし、適度なプロフィールの長さ、コミュニケーションのスタイルなどのデータを集めた
・オンラインデートサイトで大人気になりたくさんのデートの申し込みがきた

恋愛にアルゴリズムを見出して、見事最高の相手を見つけたAmy Webb氏。
「ここまでやるか!?」とも感じてしまう彼女の姿勢は、ターゲットを理解し仮説検証を繰り返すというマーケティングに通じるものがある。

他人の決めたアルゴリズムに左右されずに、自分で根拠のあるデータを集め実践していく。
知的好奇心とマーケティングの面白さを感じさせてくれるプレゼンテーションだ。


“ストーリーで人を惹きつける方法”

The clues to a great story by. Andrew Stanton

トイストーリーやウォーリーの制作者Andrew Stantonが「素晴らしいストーリーテリングの手法」に関して話したTED Talk。

人々を惹きつけるストーリーテリングを得意とする彼が主張するのは、「観客は主題を自分で見つけたがっている」ということ。人は問題を解いたり推理をしたりするのが好きなため、意識せず自分で何かを見つけようとしているのだ。観客には2+2の答えである4を見せずに、2+2だけを見せる。これを彼は「2+2の法則」と呼んでいる。

ストーリーを伝えるときに、読み手の期待感をうまく構築しているか?
どんなエンディングか知りたいと思わせているか?

世界的なストーリーテラーであるピクサーが持つストーリーの考え。
ストーリーテリングを実践しているマーケターにぜひ見てほしいプレゼンテーションだ。


“人の本当に欲しいものを解き明かそう”

Choice, happiness and spaghetti sauce by. Malcolm Gladwell

ジャーナリスト・作家であるMalcolm Gladwell氏が「思い込みを捨てて人が本当にほしいものを知ること」ついて話したTED Talk。
尊敬する人物は心理物理学者のHoward Moskowitz(ハワード・モスコウィツ)の功績が話の背景にある。彼はパスタソースの改革をした人だという。

「売れるトマトソースを作りたい」と相談を受けたハワードは、トマトの種類で思いつく全て、45種類ものパスタソースを作り試食会を行った。
あらゆる角度からデータをとった結果分かったのが、この時どこにも売っていなかった「トマトがごろごろ固まりで入ったソース」が求められていたということ。これは、20〜30年もの長い間、「どんなパスタソースが好きですか?」と消費者に尋ねても全く出てこなかったものだ。
結果、その後の10年間でこのソースが6億ドルも生み出したのだ。

不思議なことに、人は自分が本当にほしいものが何かわかっていない。
「一番売れている定番商品がいい」という固定概念をはずし、あらゆる角度から人が求めるものを見つけていく必要があるのだ。

この考え方はもちろん、データの効果的な集め方などはすぐに使えるナレッジなのでぜひ見てみてほしい。


“人に意思決定させるコツとは”

How to make choosing easier by. Sheena Iyengar

Sheena Iyengar氏は「選択」を研究するコロンビア大学ビジネススクールの教授。
研究からわかった「人に選択してもらうための手法」について話したTED Talkだ。

人は通常1日に下す意思決定の数は、約70にもなる。
CEOともなると139と増え、意思決定の50%が9分以内に行われているという。
意思決定にはパワーを消耗するため、人は多くの選択に疲れているのだ。

例えば、ジャムコーナーでの調査についてでは、24種類のジャムを置いた場合と6種類だけ置いた場合で、大きく異なる結果となった。
・24種類の際、60%の人が試食したが、購入したのは3%
・6種類の際、40%の人が試食して30%が購入した
選択肢の多さが人の意思決定を妨げるということがよくわかる調査だ。

Sheena Iyengar氏は、人が意思決定しやすくする4つの手法について説明している。
(1)まずは不要な選択肢を削ること
(2)違いを具体化すること
(3)複数の選択肢をカテゴリー分けすること
(4)少ない選択肢から始めて複雑さに慣れさせること

この考え方はWebサイトにおける商品ページや申し込みページにも活かせるものだ。


“思いついたら5秒で行動しよう”

How to stop screwing yourself over by. Mel Robbins

最後に私が個人的に好きな動画を紹介しよう。コンテンツマーケティングとは直接的な関係はないがとても学びがある内容なのでぜひ見てほしい。

やる気を出して人生を好転させる方法について説いたTED Talk。
Mel Robbins氏はアメリカのテレビ司会者、コメンテーター。
過去に失業や破産、うまくいかない結婚生活などでアルコールに逃げる日々が続いていた彼女。それが今やテレビや講演でひっぱりだこになっている秘密が、「思いついたら5秒で行動する」というルール。

やろうと思ってもなかなか実行に移せない、という経験はありませんか?
Mel Robbins氏によると、脳は習慣化された行動をとる「自動運転」と行動をとめる「非常ブレーキ」という機能を持っていて、いつもと何か違うことをしようとすると脳が無意識に非常ブレーキを作動させるという。

新しいアイデアを思いついたら5秒で行動すること。
そうでないとせっかく沸き起こったやる気が失せ、何も変わらなくなってしまう。
彼女自身、辛い現状を変えられない自分に嫌気が差しそれがさらに状況を悪化させていたという。

先延ばしにせずすぐさま行動することが、自分に自信を持つきっかけにもなり結果を好転させるのだ。
マーケティングにおいても、アイデアを実行に移すことは障壁の一つだろう。
どうしても「忙しいから」などで先延ばしにしてしまっていないだろうか。

普段の行動を変え成果を出したいと考えるマーケターがぜひ見てほしいプレゼンテーションだ。


さいごに

7つのTED動画を紹介したが、 
・マーケターが持つべき姿勢と考え方
・ターゲットを深く知る方法
・ターゲットを動かす方法
など、マーケティングのヒントがたくさんあったはずだ。
ぜひ実際の動画も見ることをおすすめする。どの動画も18分ほどなので空き時間にぜひ見てほしい。

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