- オンライン
11/27水19:00〜20:00
世界はCOVID-19(新型コロナウィルス感染症)の脅威にさらされており、世界中の都市で多くの人が自宅での閉じられた生活を余儀なくされている。
特に観光業やイベント・商業施設など「現地に足を運んでもらう」ことが必要なビジネスは大打撃を受けており、とても苦しい状況だ。彼らは今できることを必死で考え、環境に適応する「変化」を受け入れようとしている。
例えば、観光体験プラットフォームのAirbnb(エアビーアンドビー)がアクティビティーのオンライン体験を提供開始するなど、オンライン体験型のコンテンツをビジネスに取り入れる企業事例が増えている。こんな時だからこそ、オンライン体験を提供することで人々と接点を保つことができるし、外出を制限されている人々のストレス緩和にも役立つことができる。
この記事でいくつかの事例を紹介するのでぜひ参考にしてほしい。
目次
ディズニーは2020年4月15日、最も象徴的なアトラクションである「ビッグサンダーマウンテン」のバーチャルライドビデオをリリースした。これは、今ディズニーに行けなくてウズウズしている子供達とぜひ一緒に楽しんでほしいバーチャルコンテンツだ。
モデルとなっているアリゾナのモニュメントバレーを駆け抜けるビッグサンダーマウンテンは、実は無人の暴走列車という設定なのをご存知だろうか?その証拠に、他のアトラクションなら乗れるはずの運転席には誰も乗れないようになっているのだ。この動画でもそれを確認できる。
さらに、全ての列車に固有の名前が付いているのも、とてもディティールにこだわるディズニーならではだ。ちなみにこの列車の名前は「Fearless:恐れ知らず」だ(笑)。ゴールドラッシュの時代に夢に溢れた恐れ知らずの開拓者が暴走列車に乗り込んだ!そんな気分でぜひビデオを見てみよう。
こうした秘密がたくさん隠されているのも間違いなくディズニーの魅力の一つだ。この機会にあなたもディズニーのアトラクションに隠されたさまざまな秘密を探してみよう。きっと近い将来オープンしたディズニーを何倍も楽しめるようになるはずだ。
その他にも、#DisneyMagicMoments(魔法の瞬間)というタグで様々なコンテンツが公開されている。ぜひ見てほしい。
公式YoutubeチャンネルDisney Parks
公式ディズニーブログ
年間6,500万人の観光客が訪れる観光都市ニューヨーク(2018年NYC and Companyによるデータ)も、今ではほとんどの観光施設が閉鎖されている。
そんな中ニューヨーク市観光局は、Webページにて以下のコンテンツ発信を開始した。
・バーチャルニューヨーク体験「Virtual NYC」 各関連機関が保有しているバーチャル体験コンテンツを集約
・テイクアウト可能なレストランリスト「Dine in NYC」 地元のレストランが経営を継続できるようにテイクアウトやデリバリーが可能なレストラン情報を集約
Virtual NYCは新たにバーチャルコンテンツを制作したのではなく、各関連機関がそれぞれ持っているバーチャルコンテンツを寄せ集めたもの。ニューヨークの街並みや美術館などのバーチャルコンテンツが予想以上に揃っていることに驚きだ。観光に行きたいのに行けないという人々が、家にいながらセントラルパークを散歩したりブルックリン橋を渡ったりすることができる。
ヘリコプターに乗ってニューヨークの町を見渡そう
実際にヘリコプターに乗るのは高いお金を支払う必要があるが、バーチャル体験ならタダだ。ニューヨークの町をヘリコプターで散策しよう。
世界遺産である自由の女神
自由の女神には、様々なストーリーがある。フランスから寄贈された自由の女神像。しかし、寄贈後にアメリカで建設の資金が底を突きてしまったのだ。そんなとき新聞社のピューリッツァーが当時の紙面で「自由の女神はお金持ちのものではない。全てのフランス人から全てのアメリカ人に贈られたものだ」と訴えて一般の人々からの寄付を集めた。
日の出の美しいブルックリン橋を渡ろう
日の出の美しいブルックリン橋。歴史は古く、橋の建設は 1869 年に開始して 1883 年に完成した(約14年建設にかかった)。吊り橋とケーブル橋を組み合わせて作られており、この時代の技術としては非常に高い技術で、人々は技術が可能にすることを目の当たりにし、その技術に驚嘆し、当時の「飛躍」や「楽観性」の象徴としての存在であった。
また、それ以外にもNYに関するコンテンツ配信がある。
・ブロードウェイオンラインコンテンツ
ブロードウェイミュージカルも今は閉鎖しているが、オンラインでミュージカルコンテンツが観られるBroadwayHDの7日間の無料トライアルを提供している。
・ブルックリン美術館
ブルックリン美術館で毎月第一土曜日に開催されるライブ演奏やダンスのスペシャルイベント “FIRST SATURDAYS” は、これまでの21年間で初めてオンライン配信される。(次回開催は2020年5月2日)
こういったニューヨーク観光の今をいち早く集め発信する役割をニューヨーク市観光局が担っている。観光客の物理的な誘致ではなく、ニューヨークのファンとのつながりを少しでも持つという目的のために実施されているとのことだ。
EPICアイルランド移民博物館は、館内のバーチャルツアーの提供を開始した。当博物館はアイルランドの移民の歴史や文化などを学べる施設。2019年のワールドトラベルアワードでは「ヨーロッパを代表する観光名所」に選ばれた人気の博物館だ。
バーチャルツアーはWebページ上で公開されており誰でも見ることができる。Googleのストリートビューのようにクリックしながら館内を見て周り、所々に詳細の説明ビデオなども用意されている。クオリティーが非常に高い。
バーチャルツアーはまずウェルカムメッセージの音声から始まる。
フロアプランが常に表示できるため、迷うことなく自分が興味のある分野だけを選んで見に行くこともできる。画面上には所々にピンがあり、それをクリックすると展示物を説明する音声や映像が流れるようになっている。
さらには測定モード機能もあり、実際の展示物のサイズがわかるようになっている。より詳しく知りたい、というビジターの満足度を上げる機能だ。
もし持っていればVRゴーグルで360度見渡せることもでき、まるで本当に博物館にいるような気分だ。このバーチャルツアーは博物館が閉館している間オープンしている。展示物がとても美しいのでぜひ見てほしい。
多くの企業がサマーインターンシッププログラムを中止・延期する中、コンサルティングファームPwC USはオンラインでのインターンシップの続行を決めた。PwCは毎年サマーインターンシッププログラムで3,500人ほど採用しており、このプログラムは重要な位置付けにある。
すでに参加が決まっていたインターン生に向けて
・開始時期を6月から7月にずらす
・完全オンライン体験型で2週間のプログラムに変更
という旨の案内を発信した。
通常のプログラムと同程度のクオリティー、もしくはより付加価値のあるプログラムを提供するために内容が調整された。採用部門トップのRod Adamsによると、一時は中止することも考えたという。しかしPwCはインターンから社員採用というのがベースの採用方式であるため、維持すべき仕組みだという結論になった。どうやって社員とこれから採用する人々を守れるのか、そして価値ある体験を提供できるのかを考えプログラム内容を決めているという。
National Association of Colleges and Employersの調査によると、インターンシッププログラムをオンラインに変更すると回答した企業はまだ約36%にとどまっている。この数値は今後増えていくことが予想されるが、その中でもPwCの決断は非常に速く、多くのインターン生を安心させている。
民泊プラットフォームを提供するAirbnb(エアビーアンドビー)では、世界各地のホストが様々なアクティビティー体験を提供している。今現在は現地での体験は一時停止されているが、その代わり「オンラインでのアクティビティー体験」のプラットフォームが開設された。観光客が激減している中、ホストの収入をできるだけ維持させるためだ。ホストには無料のZoomアカウントが支給されるため、Zoomを通して複数人に対してアクティビティーを提供することができる。アクティビティーは、ワイン専門家によるワイン教室やダンスのレクチャー、パン焼き体験など多種多様なコンテンツが登録されている。
例えば、オリンピック元選手によるヨガ体験は1時間で$28。PC画面を通して一緒にヨガをする。ゲストは事前に実施日程から都合の良い日を選び申し込み、当日Zoomで参加することができる。
通常、Airbnbで新規ホストになるためには申請後承認まで2〜4週間かかるが、今現在は90分もかからず承認されるようになっている。
エンターテイメント劇団のシルク・ドゥ・ソレイユは、オンライン動画コンテンツページ「CirqueConnect」を開設した。
3月27日からスタートし、毎週金曜日に新しいコンテンツを公開していくという。
観られるのは日本でも公演した「KURIOS(キュリオス)」や「ZED(ゼッド)」など人気のショー。なんと60分のスペシャルコンテンツを無料で観ることができる。自宅にいながら普段なかなか体験できないような一列目からの迫力ある景色を楽しめる。
60分のショーに加え、
・ステージを360度見渡せるVRコンテンツ
・劇団員によるメイクアップチュートリアル
・ミュージックビデオやサウンドトラック
・子供向けサーカスアクション
といった様々なコンテンツが配信されている。
シルク・ドゥ・ソレイユのCMOであるSheila Morinは「今、私たちのファンはこれまで以上に気晴らしを求めている。遠く離れた方々にも喜びを伝えるという私たちの使命を果たしたい。」と語っている。
シルク・ドゥ・ソレイユのショーを観たことがある方も観たことがない方も、圧巻のショーをぜひこの機会に見てほしい。
ベネッセコーポレーションの子供向け学習コンテンツ「こどもちゃれんじ」が、「オンライン幼稚園」を開園した。平日毎日リアルタイムで学習コンテンツを無償提供するものだ。3月18日からスタートしてわずか1ヶ月間で、90か国以上の国と地域で利用者が20万人を突破した(4月14日時点)。幼稚園に行けない子供たちが、幼稚園と同じ生活リズム(平日10:00-14:00頃)を保つためのカリキュラムが組まれている。見逃し配信にも対応しているため繰り返し視聴することも可能だ。
「オンライン幼稚園」は登録は不要で公式サイトにアクセスすれば誰でも視聴できる。ひらがなや数などに取り組めるコンテンツや、しまじろうアニメ約50本も楽しめる。
さらに子供向けコンテンツだけでなく、親子で見る「感染予防に関するお役立ち情報」や「おうちでの過ごし方のヒント」などの情報コンテンツも充実している。
特におうちで在宅保育中の方はぜひ試してみてほしい。
Dine(ダイン)は、マッチングアプリの中でも「レストランデート」をマッチングするアプリ。ユーザーはアプリ内でデートで行きたいお店を選び、相手を誘うという流れだ。今回、ユーザーがレストランに足を運べないことを受けて、「オンラインレストランDine」という仮想レストランをアプリ内にオープンした。
このオンラインレストランを予約した後、予約時間になると入店可能になりビデオチャットが開始される。通常のレストランでフードやドリンクをオーダーするように「2人への10個の質問」を注文できるのが特徴的だ。この質問のフルコースは、前菜(軽めの質問)から始まり、徐々により内面を知れるメインディッシュのような質問が続く。
また、ユーザーが容易に直前キャンセルができないようキャンセル料も設けるなど、しっかり仕組みも考えられている。
オンラインデートだからこそ、飲食代節約や時間節約ができる、より内面から知ってもらいやすい、初対面でもリスクが少ないなどのメリットも多くある。
現地での体験をオンライン体験型に変化させたビジネス事例を8つ紹介した。
・ディズニーの「Magic Moment」
・ニューヨークの街をバーチャル体験「Virtual NYC」
・360°バーチャルツアー「EPICアイルランド移民博物館」
・インターンシップ体験をオンライン化「PwC」
・オンライン体験のプラットフォーム提供「Airbnb(エアビーアンドビー)」
・60分の無料オンラインショー公開「シルク・ドゥ・ソレイユ」
・オンライン幼稚園「こどもちゃれんじ」
・オンラインレストランでのデート体験を機能実装「Dine(ダイン)」